あぐい武夫議員の一般質問および答弁(要旨)



2014.6.20

写真1、公民館のあり方について
【あぐい武夫議員】

 まず、公民館のあり方について質問します。
 私は2012年第1回定例会の一般質問で、社会教育法に位置づけられている公民館の役割を発揮させるためには、指定管理者制度と有料化の導入は問題があり、「やめるべきだ」と求めました。ところが、教育委員会の答弁は、「検討していく」とのことでした。
 その直後、(1)スクリーンにあるように平成23年度、2011年度の「外郭団体の事務事業の見直し結果」の中で、「公民館に指定管理者制度を導入し、公募によらずに、教育振興財団を指定管理予定候補者として選定する」との方針が示されました。そして、(2)教育委員会は昨年10月、住民基本台帳の無作為抽出によって、市内在住の20歳以上の男女2,500人に対して公民館に関するアンケート調査を実施し、1,049人、42.0%の方から回答が寄せられました。
 さらに教育委員会は今年3月、検討中の素案として「今後の公民館のあり方について」を提示しました。その中で、教育委員会による直営は、「人事異動等により継続的な取り組みに限界がある」等の課題があるとされ、ひとつの方向性として、2016年度から指定管理者制度を導入し、千葉市教育振興財団による管理運営をすすめることを検討していることが説明されました。
 この「あり方について」は、すでに各区の公民館運営審議会で説明と意見聴取が行われ、その質疑の内容は、議事録として市のホームページに公開されています。
 こうしたことを踏まえ、質問します。
 まず、公民館の意義、役割についてです。
 地域に根差した公民館は、学習活動や地域づくりを通して、住民自治を推進するうえで、重要な役割を果たすことができます。
 公民館活動で全国的に先進となっている長野県飯田市では、職員に公民館で住民とともに学習活動や地域課題に取り組む経験を積ませ、こうした職員の中から、住民とともに市政を担う幹部を育てているとのことです。
 つまり、飯田市は、公民館を住民自治の拠点に位置づけ、公民館活動を通して、職員も住民も、ともに学び、活動し、住民自治をすすめているといことです。
 そこで伺います。
 (1)こうした飯田市における公民館の位置づけや取り組みについて、どのように評価しているのでしょうか。お答えください。

【教育次長答弁】
 飯田市の取り組みについては、公民館の専門委員会の委員を地域自治組織のまちづくり委員会の委員としても位置付け、実生活に根差した課題、地域課題等への組織横断的・積極的な取組みが行われているとともに、館ごとの独自性を保障し、住民自治に基づいた社会教育活動が活発に行われている先進例と評価しております。
 公民館の位置付けや取組み、運営については、どのような方法が地域への定着により適しているのかは、都市環境や地域性により大きく異なりますので、本市の現状を十分に鑑みながら、参考としていきたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 「先進例として評価し、参考にする」とのことなので、大いに理念を生かしてほしいと思います。
 (3)スクリーンをご覧ください。飯田市の公民館には、「4つの運営原則」があります。これが公民館を住民自治の拠点に位置づける土台になっていると思います。
 1つは、「地域中心の原則」です。地域ごとに設置された公民館は、常に地域を中心とした学びの場であるべきだということです。
 2つは、「並立配置の原則」です。地域の規模や特徴は異なっても、公民館は対等に配置され、それぞれの活動が等しく尊重されるということです。
 3つは、「住民参加の原則」です。公民館に職員を配置することは行政の役割ですが、公民館の事業の企画運営は地域住民によって組織された専門委員会などで、それぞれの事業が自発的な住民の意志に基づいて行われることが大切であるということです。
 4つは、「機関自立の原則」です。教育行政が一般行政から一定の独立性、中立性を保っているように、公民館が地域の社会教育機関として自立し、住民の主体的な学習活動を保証することが大切だということです。
 そこで、お聞きします。
 (2)千葉市は、飯田市とは都市の規模や地域性などが大きく異なりますが、「4つの運営原則」は大いに参考になると思います。お答えください。

【教育次長答弁】
 飯田市の運営原則は、基本的に本市の公民館運営の理念と共通する部分も多いと考えております。
 今後の公民館のあり方を検討していく中で、本市の実情を踏まえながら、参考にしていきたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 この「4つの運営原則」は1973年にまとめられたもので、飯田市の公民館が全国的に評価されるきっかけとなったものです。千葉市の理念と共通部分が多いというのであれば、指定管理者制度や受益者負担主義を市民に提案するようなことはできないと思います。
 本当に「共通部分が多い」と言うのであれば、今後の公民館のあり方に、しっかりと生かすべきです。その視点から、質問して行きたいと思います。
 (3)まず、昨年10月に実施したアンケートの目的は、何だったのでしょうか。

【教育次長答弁】
 近年、価値観の変化や核家族化、情報化の進展等のよりライフスタイルが多様化するとともに、新たな地域づくりが求められている中、無作為に抽出した市民のみなさまの公民館に対する考え方や、求める機能等についての意識を明らかにすることで、「学びを通した地域づくりの拠点施設」としての役割を、さらに拡大・充実するための取組みに生かしていくことを目的として実施しました。

【あぐい武夫議員】
 その目的は、重要な視点だと思います。
 (4)ところで、アンケートには自由に記入する欄もありますが、ここに書き込まれた意見も含め、アンケートの結果について、どのように評価しているのでしょうか。

【教育次長答弁】
 「地域密着型で運営してほしい」「公民館をもっとPRすべき」「魅力的な講座を実施する必要がある」など、公民館のあり方検討に結びつく貴重なご意見をいただいております。

【あぐい武夫議員】
 私も、アンケート結果を読ませていただきました。(4)スクリーンをご覧下さい。先ほどの答弁にあった貴重な意見とともに、「公民館に期待することについて」の欄では、「講座の参加者が交流する機会を積極的に設ける」が第1位、「相談窓口を設け、資料やボランティア情報を提供する」が第2位、講座で、地域課題解決に取り組む実践事例や活動団体を紹介する」が第3位です。
 たいへん建設的な内容だと思います。
 (5)この建設的なアンケート結果を、「今後の公民館のあり方」に生かすべきですが、どのように生かしたのでしょうか。

【教育次長答弁】
 「今後の公民館のあり方」については現在検討中であり、主に公民館の運営内容の改善や施設に求められる役割などの面で、アンケート結果を斟酌・反映させながら、考察を進めているところです。

【あぐい武夫議員】
 「考察中」とのことですが、生かすべき具体的な内容はたくさんあります。できるところから具体的に実施していくことを求めておきます。
 ところが、「今後の公民館のあり方」では、教育委員会の直営方式を見直すとしています。
 (6)教育委員会は、直営方式を見直す理由として、「人事異動等により継続的な取り組みに限界がある」ことを取り上げていますが、人事異動は市役所のどこの部署でもあります。なぜ、公民館の人事異動だけを特別に問題視するのでしょうか。

【教育次長答弁】
 公民館が「地域の学習拠点」としての役割を果たしていくためには、組織的に生涯学習や社会教育に係る専門性を有する職員を配置していくことが、安定的な事業運営を担保していく上で望ましいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 たとえ人事異動があったとしても、専門性を有する職員を配置することは当然のことです。同時に、人事異動にも意味があるわけですから、公民館の人事異動を特別に問題視するべきではありません。
 (7)次に、教育委員会の直営方式を見直す方向としては、指定管理者制度を導入し、教育振興財団による管理運営を行う提案があるとしていますが、その根拠を明らかにして下さい。

【教育次長答弁】
 本市の教育振興のために設置された千葉市教育振興財団は、教育に関する専門性を有する組織であり、公民館の役割と機能を高める上で、指定管理者として管理運営を担うことは、安定的かつ条理にかなった手段の一つと考えております。

【あぐい武夫議員】
 (8)「教育振興財団が専門性を有する組織だから、条理にかなっている」と見るのは問題です。
 教育振興財団は、公民館を管理運営するためにつくられた組織ではありません。社会教育主事は正職員で7人、契約職員で5人しかいません。しかも、現在の職員数では、47の公民館の管理運営を担えません。すぐに、経験のある専門職員を増やせるわけでもありません。
 このような状況の中で、教育振興財団が指定管理者となったからと言って、公民館を管理運営する専門性が向上するとは思えません。お答えください。

【教育次長答弁】
 教育振興財団は、組織内研修や外部派遣研修等により内部職員の資質向上に努めているほか、現在も、講座の開催や地域人材の育成において公民館と連携して事業を実施しており、組織として公民館を管理運営するための専門性を有しているものと考えております。

【あぐい武夫議員】
 47の公民館を管理運営するうで、職員も社会教育主事も少ないわけですから、現時点で、「公民館を管理運営するための専門性を有している」と断言することこそ、大問題です。
 この問題は、原理・原則から解決すべきです。
 (9)つまり、教育委員会は、地方教育行政法で地方自治体に設置が義務付けられている教育分野の公的機関です。教育基本法や社会教育法に基づき、学校教育や社会教育・生涯学習に責任をもち、実際に、小中学校や公民館を運営してきました。その立場で、公民館の職員のみなさんもがんばっているわけです。
 だからこそ、社会教育法に位置づけられた公民館の運営については、引き続き教育の公的専門機関である教育委員会が直営で行うことが、公民館の役割と機能を高める上で、安定的かつ条理にかなった手段ではないでしょうか。お答えください。

【教育次長答弁】
 指定管理者制度は、民間のノウハウや専門性を取り入れることで市民サービスの向上を図れる管理運営形態として、有力な手法の一つと考えております。

【あぐい武夫議員】
 指定管理者制度の意義を聞いているのではありません。法律に立ち返って見れば、「教育委員会が条理にかなった手段ではないのか」と聞いているんです。
 明確な答弁ができないということは、「教育委員会が条理にかなった手段」だということを否定できないということです。
 (10)現在の教育委員会直営の下で、アンケートに寄せられた市民の要望に応え、公民館が学習活動や地域づくりの拠点としての役割を発揮するためには、社会教育施設としての公民館の位置づけを高め、予算を抜本的に増やし、施設の改善や社会教育主事を含む職員体制を強化することこそ必要だと思います。
 そこで伺いますが、公民館1館あたりの管理運営費、そのうちの講座開催費について、5年間の推移をお示し下さい。また、47公民館全体の社会教育主事の人数も5年間の推移でお示し下さい。

【教育次長答弁】
 公民館1館あたりの管理運営費は約9百万円、そのうち講座開催に伴う講師謝金と消耗品費は約14万円で、ほぼ横ばいで推移しております。
 次に、公民館全体の社会教育主事の配置ですが、
平成22年度が12人
   23年度が14人
   24年度が14人
   25年度が8人
   26年度が7人
となっております。

【あぐい武夫議員】
 講座開催費は月にすれば1万1千円程度、社会教育主事は14人から7人に半減されています。講座を充実し、職員体制を強化するためには、予算の増額が切実に求められています。そこで、伺います。
 (11)一般的に言われていることですが、指定管理者制度を導入する大きな目的の一つに、経費の削減があります。利用者から公民館に指定管理者制度を導入し、教育振興財団が管理運営を行った場合、予算が削減され、社会教育主事など職員体制も弱まるのではないかとの心配の声が出ています。指定管理者の下で、予算の増額や職員体制の強化が保障されるのでしょうか。

【教育次長答弁】
 指定管理者制度を導入した場合、民間のノウハウや専門性を取り入れることにより、市民サービスの向上を図ることが期待されます。

【あぐい武夫議員】
 先ほどと、同じ答弁ではないですか。結局、予算の増額や職員体制の強化が保障されるわけではないということです。これでは、公民館の役割と機能を高める方向には行きません。
 もし今のままで、公民館の予算を増やすといことになると、気になるのが受益者負担主義、有料化の問題です。
 (12)現在、公民館は条例によって無料です。その根拠は、公民館が社会教育法に基づく施設であることから、「教育の機会均等」を保障するためです。ところが、有料化されれば、市民の経済的事情から公民館の利用に影響がでることは明らかです。いま、市民の暮らしは、所得の低迷と同時に、消費税増税や公共料金値上げなどで、いっそう厳しくなっています。
 ところが「今後の公民館のあり方について」は、「受益者負担」の導入を検討するとして、公民館の有料化をめざしています。これでは、「教育の機会均等」が脅かされ、公民館の役割を十分に発揮できないと思います。お答えください。

【教育次長答弁】
 現在、社会教育施設としてのあり方など様々な視点から総合的に研究を進めており、その導入については慎重に判断していくべきものと考えております。

【あぐい武夫議員】
 慎重にということですが、有料化を検討していることには変わりありません。
 公民館は社会教育や生涯学習を推進する施設であり、「教育の機会均等」を保障する立場に立たなければなりません。この立場を放棄することは、社会教育施設としての公民館の役割を放棄し、ただの貸館業にすることです。これは、指定管理者制度導入と合わせ、重大問題です。
 現在、検討中の素案とは言え、「今後の公民館のあり方について」の中では、指定管理者制度導入と受益者負担主義、有料化が提案されています。
 (13)すでに、各区の公民館運営審議会で、「今後の公民館のあり方について」の説明が行われました。指定管理者制度や受益者負担主義に対して疑問や異論が出されたのでしょうか。お答えください。

【教育次長答弁】
 公民館運営審議会において、公民館のあり方について広く意見を求めたものであり、様々な視点からの疑問や意見が出されております。その主なものとして、
 指定管理者制度導入については、
・移行した場合の事業展開拡充の担保について
・避難所として市職員が必要では、
などの意見が出されております。
 また受益者負担については、
・どのような場合に料金が発生するのか、
・いつから有料化するのか、
などの疑問や意見が出されております。

【あぐい武夫議員】
 私も全区の公民館運営審議会の議事録を読みましたが、疑問や異論はたくさんでています。例えば、「指定管理者で、よくなるとは思えない」「根拠が説明されていない」「予算が少ないのが問題」「人事異動がないと新たな発想が出ない」「教育委員会は専門家ではないのか」などです。私も同感です。
 このような疑問や異論がでるのは、指定管理者制度や受益者負担主義を導入することに、明確な道理がないからです。
 これまでの議論を踏まえて、お聞きします。
 (14)公民館は社会教育施設であり、住民と職員が長年育て上げてきた歴史をもっています。この公民館に対して、指定管理者制度による教育振興財団の管理運営と、受益者負担主義による有料化を導入することは、公民館の意義と役割を大きく後退させることになります。
 今後も教育委員会の直営を続け、その上で予算の増額と職員の体制強化をはかるべきではないのか。お答えください。

【教育次長答弁】
 講座等のソフト事業や快適な施設設備の整備等により、利用者サービスを拡充し、幅広い世代の方に利用していただける公民館にするために、現在、公民館のあり方を考察しており、あるべき管理運営形態に向けた検討を進めて参ります。

【あぐい武夫議員】
 (15)「あるべき管理形態を検討する」とのことですが、(5)スクリーンをご覧ください。冒頭でも紹介しましたが、「今後の公民館のあり方について」は、2011年度の「外郭団体の事務事業の見直し結果」の中で、「公民館に指定管理者制度を導入し、公募によらずに、教育振興財団を指定管理予定候補者として選定する」と明記されています。この内容が公民館関係者に伝わり、広がりました。さらに、今年3月の「今後の公民館のあり方について」の説明で、検討中の素案とは言え、教育振興財団が公民館の指定管理者になることが報告されました。
 これでは、「公民館に指定管理者制度が導入され、教育振興財団が管理運営する」との提案が市民に決定事項のように思われてしまうのは当然です。
 そこで伺います。2011年度(H23)の「外郭団体の事務事業の見直し結果」の中で明記されている方針を撤回すべきです。お答えください。

【教育次長答弁】
 「外郭団体の事務事業の見直し結果」において、「本市における生涯学習活動の中核施設である生涯学習センターと、地域拠点施設である公民館との連携・協力体制を構築することにより、更に充実した学習機会・環境を提供するとともに、効率的な施設運営を図るため、公民館に指定管理者制度を導入する」とされていることから、現在、検討しているところでございます。

【あぐい武夫議員】
 結局、市長部局が決めた指定管理者導入の方針を、教育委員会は引き続き踏まえて、検討していくということです。
 これでは、教育委員会が、一般行政からの独立性も、公民館の「機関自立の原則」も、自ら放棄するようなものです。教育への政治介入に道をひらく地方教育行政法の改悪の先取りとも言えます。
 教育委員会は、社会教育に責任をもつ公的教育機関として、住民の声に真摯に向き合い、独自に判断をすべきです。
 (16)本気で「あるべき管理形態を検討する」と言うのであれば、全公民館での意見聴取会を開き、多くの市民を交えた議論を行うべきです。お答え下さい。

【教育次長答弁】
 多くの市民意見を聴取することは重要と認識しており、これまでも市民アンケートや公民館運営審議会で意見を聴取してきております。
 今後も様々な方法により、意見聴取をしてまいりたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 昨年10月のアンケートや公民館運営審議会での意見聴取は、一部の市民の方からの意見ですが、それでも建設的な意見とともに、疑問や異論が出ているわけですから、多くの方から意見を聴取することが必要です。少なくとも全公民館での意見聴取会を行うことを求めておきます。
 今日の議論でも、公民館に指定管理者制度と受益者負担主義を導入する道理ある、納得できる答弁はなかったと思います。ところが、引き続き検討事項に入れるとの表明は、「外郭団体の事務事業の見直し結果」の指定管理者制度導入の方針に縛られているからではないでしょうか。これでは、「公民館への指定管理者制度と受益者負担主義導入ありき」の立場に立っていると言わざるを得ません。
 社会教育施設である公民館への指定管理者制度と受益者負担主義の導入は、きっぱり断念することを強く求めておきます。

2、特別養護老人ホームの整備について
【あぐい武夫議員】

 次に、特別養護老人ホームの整備について質問します。
老々介護など、高齢者をめぐる介護問題は依然として重大な社会問題となっています。「特養ホームに入りたいのに入れない」との声は、引き続き広がっています。
稲毛区でも、轟町5丁目の機動隊跡地に特養ホームを整備してほしいとの声があがっています。(6)スクリーンをご覧下さい。ここが機動隊跡地です。この市民要望については、私はこれまでに2回、一般質問で取り上げました。1回目は2012年第2回定例会で、特養ホームの待機者の実態を踏まえ、特養ホームの整備をさらに推進するよう求めた中で、2回目は2013年第2回定例会で、利用されていない国有地の活用を求めた中で質問しました。そうしたことも踏まえ質問します。
(1)まず、特別養護老人ホームの待機者数は、この3年間、どのように推移していますか。区ごとにお答え下さい。

【保健福祉局長】
 平成24年から順に26年までの各年4月1日時点での待機者で申し上げますと、
 中央区は  429人、403人、437人、
 花見川区は 377人、328人、332人、
 稲毛区は  330人、287人、296人、
 若葉区は  314人、288人、327人、
 緑区は   314人、328人、380人、
 美浜区は  183人、196人、271人、

 合計は1,947人、1,830人、2,043人であります。

【あぐい武夫議員】
 全体では、2,000人前後で推移していますが、今後、高齢者が増えてくることを考えれば、ますます特養ホームの必要性が増してきます。
 (2)現時点での区ごとの特別養護ホームの数と定員数をお答え下さい。

【保健福祉局長】
 本年4月1日時点、
 中央区は  7施設、452人、
 花見川区は 7施設、438人、
 稲毛区は  5施設、330人、
 若葉区は 12施設、810人、
 緑区は   7施設、580人、
 美浜区は  3施設、230人、

 合計で 41施設、2,840人であります。

【あぐい武夫議員】
 今の定員数から考えると、市内の待機者を解消するだけでも、今の施設数を倍加するくらい、整備しなければなりません。だからこそ、市民の切実な要望に応え、積極的に特養ホームを整備していくことが求められています。
 (3)来年度から3年間の計画となる次期「千葉市高齢者保健福祉推進計画」(介護保険事業計画)では、特養ホームの整備について、どのような内容で検討しているのでしょうか。

【保健福祉局長】
 一昨日、国会において可決した介護保険制度の改正点では、特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支援する機能に重点化することとされております。
 このことを踏まえ、次期計画においても、真に施設入所を必要とする待機者数の状況や介護保険料への影響を見極めながら、整備量を検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 国会で可決した医療介護総合法案は、要介護1、2の方を特養ホームから排除するなど、介護保険制度の根幹を破壊するもので、決して容認できるものではありません。
 介護保険制度が改悪されても、待機者の実態が変わるわけではありません。介護を求める市民の実態を直視して、特養ホームの整備をすすめていただきたいと思います。
 (4)次に、今後の介護保険事業計画の作成スケジュールは、どのような流れになっているのか。また、切実な市民の声を積極的に踏まえることが必要ですが、市民の声をどのように反映しようとしているのか。お答え下さい。

【保健福祉局長】
 策定にあたっては、千葉市社会福祉審議会高齢者福祉・介護保険専門分科会で審議されることになっており、委員のご意見を伺いながら、11月を目途に計画の原案を作成いたします。
 その後、12月に予定しているパブリックコメントと市民説明会を通じて、市民のご意見を直接伺ったうえで、今年度末までに計画を策定する予定であります。

【あぐい武夫議員】
 介護を切実に求めているのは、待機者とその家族です。また、多くの市民は将来を考えると、介護に不安をもっています。こういう方々の声をしっかり聴いて、次期介護保険事業計画に反映していただきたいと思います。
 (5)稲毛区では、「特養ホームをもっとつくってほしい」「国有地である機動隊跡地を住民のために生かしてほしい」との切実な思いをもった人たちが中心となって「稲毛区に特養など福祉施設をつくる会」を結成し、署名運動が行われています。約3か月半の取り組みで、3,117人分の署名が集まり、4月23日、市長に提出しました。署名は、地域住民の関心の高さ、期待の高さを示していると思いますが、市の受け止めはどうでしょうか。お答え下さい。

【保健福祉局長】
 署名については、多くの地域住民の要望として重く受け止めております。
 今後、国から照会があった場合、市の各種施設の整備に関する個別計画に照らして、利活用の有無を回答することとなりますが、特別養護老人ホームについても、その中で整備の必要性について検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 重く受け止めていただいているとのことなので、ぜひ、市民の切実な思いに応えていただきたいと思います。
 (6)この住民の要望については、以前の質問で、「国には伝えている」とのことでした。その後、署名が提出されたわけですから、この新たな状況について、国に伝えているのでしょうか。

【保健福祉局長】
 署名受領後に、その旨を国に伝えました。

【あぐい武夫議員】
 伝えていただいたということなので、国にも“市民の要望の切実さ”が、以前よりも伝わったのではないかと思います。
 (7)次に、以前の私の質問で、「定期借地などの手法が取り入れられれば、特別養護老人ホームも整備の対象になり得ると考えている」との答弁がありました。その後、国では、機動隊跡地の定期借地について検討はしているのでしょうか。

【保健福祉局長】
 国においては、「新成長戦略における国有財産の有効活用について」の中で、未利用国有地に保育所や介護施設、障害者福祉施設等の整備を行う場合における定期借地権の利用が示されていることから、当該地で、そのような利活用の要望がある場合には、検討されるものと考えております。

【あぐい武夫議員】
 つまり、千葉市が国に正式に特養ホームの整備を要望すれば、機動隊跡地の定期借地権について、検討するとのことだと思います。だからこそ、千葉市が、積極的に動くべきです。
 (8)活用されていない国の用地があり、住民から特養ホーム整備の要望が大きく広がり、しかも、特養ホームの待機者が引き続き増えているわけですから、住民の思いを受け止め、国に積極的に働きかけるべきではないでしょうか。お答えください。

【保健福祉局長】
 国との情報交換は行っておりますが、仮にこの土地を活用するとなると来年度以降になるので、次期介護保険事業計画を策定する中で、特別養護老人ホームの整備の必要性について検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 次期介護保険事業計画に位置づけることが必要なことはわかります。だからこそ、今から位置づけるように取り組んでいただきたいと思います。
 (9)次に、機動隊跡地への特養ホームが整備されるとすれば、どのような流れになるのでしょうか。お答え下さい。

【保健福祉局長】
 本市が特別養護老人ホームの敷地として活用を要望した場合、財政省関東財務局では、「国有財産関東地方審議会」の答申を踏まえ、当該跡地を社会福祉法人に定期借地することの適否を決定することとなります。
 定期借地が適当とされた場合、本議会に提案している議案第84号千葉市社会福祉審議会条例の一部改正において、新たに設置しようとしている「社会福祉法人・施設専門分科会」の審議を経て、整備法人を選定し、当該法人が施設を整備することとなります。

【あぐい武夫議員】
 流れについては、了解しました。その方向になるように、取り組みを強めていただきたいと思います。
 特養ホームの待機者とその家族は、在宅での介護が困難なために、入所を求めているわけです。ところが、その入所を閉ざされ、日々在宅での介護を余儀なくされています。肉体的にも、精神的にも、大きな負担です。
 この実態を一日も早く解消するためにも、特養ホームの整備を強く求めて、一般質問を終わります。

以上