佐々木議員の反対討論



2014.6.25

写真 議案第76号・平成26年度千葉市一般会計補正予算の専決処分について、議案77号・千葉市国民健康保険事業特別会計補正予算の専決処分について、議案第80号・平成26年度千葉市一般会計補正予算中、社会保障・税番号制度に係るシステム整備について、議案第83号・千葉市市税条例の一部改正、議案第87号・千葉市文化交流プラザ設置管理条例の一部改正、議案第89号・千葉市都市公園条例の一部改正について反対し、発議第12号・千葉市男女共同参画ハーモニー条例の一部改正が否決されたことについて、請願第6号・「医療・介護総合推進法案」の動向をふまえ、現行サービスが後退しないよう対策を求める請願、請願第7号・市民が納得できる市庁舎建設計画を求める請願、請願第8号・小中学校・特別支援学校のすべての教室にエアコンの設置を求める請願が不採択となったことについて、討論を行ないます。

 議案第76号・平成26年度千葉市一般会計補正予算・専決処分について
 今年2月から使用している家庭ごみ指定袋について不足が生じて緊急措置として追加製造を行なうための専決処分です。不足になった理由として事前の見通しの甘さがあったことを認めています。これによって予定外である製造委託料5億2,475万円、歳入の家庭ごみ手数料補正額18億5,100万円となります。今年度の予算説明では、家庭ごみ有料化に伴う市民負担は7億6,600万円としてきましたが、製造委託料及び家庭ごみ処理手数料の増加によって、さらに負担増となります。
 また指定袋の製造については、中国や東南アジアなど外国で製造され、配送・保管業務について大手企業に委託するなど、市内企業に何ら還元されず、地域経済の活性化にもつながっていません。ごみ行政について、プラスチック容器包装を含めさらなる分別と徹底、中間処理業者によるリサイクルを進めて、焼却ごみ、埋め立てごみを削減することこそ必要であり、市民に負担を強いることは認められません。

 議案第77号・平成26年度千葉市国民健康保険事業特別会計補正予算・専決処分について
 2013年度の国民健康保険事業特別会計において、99億円の累積収支不足が見込まれるため繰り上げ充用するというものです。これまでの累積赤字の原因は収支不足に対する法定外繰入金が、2009年度と2010年度の2年連続で繰り入れしてこなかったことにあります。一方、単年度収支が2011年度から黒字になってきた原因と滞納処分について、差し押え件数が2009年度14件に対して、2013年度は1,301件と100倍近く増加しています。差し押え対象は預貯金・生命保険・給与などに及んでいます。多くの市民は所得の1割を超える保険料であり、高すぎて「払いたくても払えない」実態があります。支払い可能な国保料にして、市民が医療を受ける権利を保障し、重症化を防ぎ、医療費を削減することができます。
 収入のない人も含め、所得の低い世帯が加入している国民健康保険制度は、国保法第1条にあるように、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」に基づき、運営されなければなりません。国が進めようとしている国保の広域化ではなく、減らされ続けてきた国庫負担を元に戻すよう国に求めるべきです。

 議案第80号・平成26年度千葉市一般会計補正予算中、社会保障・税番号制度に係るシステム整備について
 2013年度当初予算で設定した債務負担行為による複数年契約において実施するものとしていたものの、2月28日付の総務省大臣官房企画課個人番号企画室通知の補助金交付要件について単年度契約が必要となったため、契約変更を行ない、経費を予算措置するというものです。
 マイナンバー法案の国会審議で政府は、番号制のネットワーク構築に3,000億円、稼働費に年間300億円を見込んでいるとしていますが、千葉市では費用総額や費用対効果の見通しもないまま進めることになります。
 個人情報漏えいのリスクは払拭できず、共通番号は個人に配布されるカードに記載され、誰でも見れるようになっており、他人になりすまし、番号が悪用される危険性があります。また本人の承諾なしに、捜査機関が情報収集できることになっています。マイナンバー導入の一番の狙いは社会保障の給付削減・抑制のために利用するものであり、市民が不利益となる同システムの整備については認められません。

 議案第83号・千葉市市税条例の一部改正について
 法人市民税の税率改正について、地方消費税税率引き上げによる地方公共団体の格差を税源編成の是正策として法人市民税の一部が国税化されるため、法人市民税の引き下げを行なうものです。千葉市では2015年度16億円、2016年度以降は26億円の減収となり、これを財源とする地方法人税が創設されます。自治体間の税収格差の是正は、地方交付税の財源保障と財政調整の両機能の強化でなされるべきです。消費税増税と消費税を地方財政の主要財源に据えていく狙いと一体のものであり認められません。
 また、軽自動車税の税率改正について、2015年度に軽自動車新規取得の標準税率を1.5倍などに引き上げるものとなります。千葉市の自動車所有台数のうち軽自動車は約20%です。所得減少のもとで市民が軽自動車を使い、節約している努力に増税で負担を強いるものです。自動車業界の要望で自動車取得税を減税・廃止して、その減収のツケを軽自動車税の増税で市民に押し付けるものであり、賛成できません。

 議案第87号・千葉市文化交流プラザ設置管理条例の一部改正について
 文化交流プラザのスパ&フィットネスについて、収支見通しや施設の必要性などを理由に今年度末で廃止するというものです。利用者にお知らせしたのは議会開会3日前で、エレベーターフロアに貼り出され、利用者が新聞報道で知り、利用者同士の口コミなどで廃止の問題が広がったというのが実態です。貼り紙には議会に議案を提出していることだけしか書かれておらず、議会がいつまであって、どこで審議されるのかわからないというのも問題です。貼り出してから、たった9日間で環境経済委員会において可決され、この本会議にかかり採決となると、利用者・市民の意見が反映されません。議決してから利用者へ説明するという当局のやり方を議会は認めてしまうことになります。
 文化交流プラザのあり方まで問題となる議案だけに、利用者の声は聞かなければなりません。委員会では、住民自治と議会を軽視するものと指摘しました。同施設に伺った時は高齢者の利用者が多く、「健康増進につながっている」「この施設を利用して知り合いになり交流の場にもなっている」との利用者の声があります。
 また、千葉駅西口再開発B工区でフィットネスと同様の施設をつくる計画となっていることに、市民から疑問の声が寄せられています。新ホール建設も市庁舎整備と一体で検討することも説明され、その件で特別委員会での調査や議論を経ないで、説明することは議会軽視であり、賛成できるものではありません。

 議案第89号・千葉市都市公園条例の一部改正について
 この条例改定案は、蘇我スポーツ公園の庭球場及び第1多目的グラウンドについて、来年4月1日からの指定管理者を公募に変更することと、来年4月に供用開始予定の第2多目的グラウンド(北)について、新たに指定管理者が管理を行う有料公園施設とし、利用料金の上限の額を定めるための改正です。
 蘇我スポーツ公園の総事業費は327億円、昨年度までに222億円の事業費が使われ、残事業費は105億円もあります。
 市民には、「市の財政は厳しい」と言って、家庭ごみ有料化や国保料値上げなど、福祉や市民サービスを削り、一方で、急ぐ必要のない蘇我スポーツ公園に、引き続き莫大な税金をつぎ込む道理はなく、賛成することはできません。同公園の開発の抜本的な見直しこそすべきです。

 発議第12号・千葉市男女共同参画ハーモニー条例の一部改正が否決されたことについて
 条例改正の目的は、個人の尊重、LGBT・性的マイノリティーなど性の多様性を認め、社会として向き合い、差別的な取り扱いをなくそうという主旨です。この提案に対し、他の委員から「今回出された発議については重要であるが、発議の内容のとおり条例に記載した場合の影響を把握しきれていないことから継続審査を」などと、2つの会派から「継続審査」の意見が出されました。一方で、反対の立場からの意見では、「新ハーモニープランの次期計画の中で対策の拡充を」「あえて特別に追加して記載する必要がないのではないか」などの意見が出され、「継続審査」については賛成と反対が同数となったものの委員長裁決により否決され、再度採決になり、わが会派のみの賛成少数で否決となりました。
 性同一性障害などの市の相談窓口は専門の窓口ではなく、他の専門機関に紹介する対応に留まっています。性的マイノリティーについて、市が専門的に相談できる体制と、性の多様性を認め、差別しない社会を構築するためにも条例改正が必要であることを重ねて訴えるものです。

 請願第6号・「医療・介護総合推進法案」の動向をふまえ、現行サービスが後退しないよう対策を求める請願について
 請願の内容は、国会で審議中の法案について、参議院で十分な審議を期待しつつ、採択された場合でも必要な方が適当な支援を継続して受けられるよう、安心・安全の地域包括ケアの構築を求めるものでした。
 ところが「医療・介護総合推進法」は、参議院厚生労働委員会で、わが党の小池晃参議院議員が、介護保険導入後初めてとなる一定所得以上の人のサービス利用料を2割負担に引き上げる問題で、厚労省が示した数字が、高齢者の生活実態からかけ離れていたことの指摘で、厚生労働大臣が介護保険利用料2割負担の根拠を全面撤回した法案でした。こんな法案を採決にかけること自体許されるものではありません。その後、18日の参議院本会議で自民・公明の多数により可決・強行されました。
 わが会派は、委員会審査の際に、根拠の崩れた法案は廃案にすべきだが、厚生労働大臣が「法案の考え方は変えない」としていることから、請願への賛意を求めました。しかし、他の会派は、「請願の主旨や考え方は理解するが、タイミング的にどうか」などの理由で反対し、不採択となりました。この判断は、今後の社会保障のあり方に禍根を残すものであり、介護サービスの後退を許すことになることを厳しく指摘しておきます。

 請願第7号・市民が納得できる市庁舎建設計画を求める請願について
 この請願は、広く市民の意見、要望を聞く場を設けることなどを求めたものです。
現在、多くの市民は、厳しい財政状況の中での新庁舎建設について、状況を知らされておらず、納得もしていません。
 また、他都市では、公共事業の設計労務単価や工事資材の高騰の中で、総事業費が高額となり、延期するなどの問題が起っています。習志野市では、建設資材の高騰などで、当初の約76億円の建設費が大幅に上回り約109億円となり、市民から問題とする声が上がっています。木更津市では、入札参加者がなく、延期せざるを得ない状況となりました。その原因は、労務費や資材価格の急激な高騰により、事業者の見積額が市の予定価格を上回ったためです。
 こうした状況を踏まえれば、市民の声を広くつかむ取り組みがさらに必要となっていることは明らかです。
 ところが、他の会派は「議論を後戻りさせるもの」「この期(ご)に及んで、市民の声を聞く必要がない」などの理由で反対し、不採択としたことは遺憾です。

 請願第8号・小中学校・特別支援学校のすべての教室にエアコンの設置を求める請願について
 子どもたちが安心して勉強や部活動を行なうためにも、学校の教室にエアコンの整備を行なうことは急務の課題です。千葉市では、今後特別支援学校や学級についてのエアコン設置は行なうものの、学校の老朽化、トイレの改善、教員配置を優先させるとして、2,800ある普通教室へのエアコン設置は、難しいとの見解が示されました。わが会派は、学校へのエアコン設置について兼ねてから求め続けてきました。政令市では20市中10市で設置済み、または設置中であり、関東の政令市で設置計画さえないのは千葉市だけです。すでに政令市で設置しているところでのメリットについて、教育委員会からは、「集中力、学習意欲の向上がみられた」「夏季の補習授業で活用できる」「夏季において短縮授業を解消できる」「文化系の部活動も普通教室を活用して対応できる」「熱中症のリスクを軽減できる」「生徒が食べる完食率が向上した」と報告されました。デメリットでは、「温度の変化で体調を崩した児童がいた」とのことですが、これは、運用面で調整することで対応可能です。
 請願に対し、公明党は「重要なこと」と指摘しながら、「考えが異なる」と反対。自民党は、「エアコン設置を国が実施するよう求めている」と言いながらも、「願意はわかるがまだ先」と反対。また、「汗をかいたあとにエアコンで冷えて体調を崩した。ある程度耐える精神、鍛えることも必要」と主張し反対しています。民主党は、「必要性は認識している」と言いながらも、「財政面、緊急性から困難」と述べました。子どもの立場に立っているとは言い難いものがあります。
 すでに、エアコンを導入している政令市では、厳しい暑さが続く夏場においても子どもたちがしっかりと学べる快適な学習環境を整えるとの理由で、小・中学校の普通教室にエアコンを設置しています。「学ぶ環境を整えてほしい」と願う保護者の声に応えるべきであり、日本共産党以外の会派がすべて反対したことで、不採択というのは、極めて遺憾です。
 以上で討論を終わります。