中村きみえ議員の「議員定数及び各選挙区選出議員数に
関する条例の一部改正」に反対し、「修正案」に賛成する討論



2014.6.25

写真 発議第13号千葉市議会議員定数及び各選挙区選出議員数に関する条例の一部改正について反対し、修正案に賛成する討論を行います。
 発議第13号は、議員定数を54人から50人とし、中央区、花見川区、稲毛区、若葉区をそれぞれ1削減しようとするものです。議会改革推進協議会で、議員定数について議論してきました。自民、民主、公明、未来創造、日本維新の会・結いの党、無所属の議員3人は共同提案していますが、日本共産党と市民ネットワークは、この定数削減の問題について議会制民主主義を形骸化させるもので、反対の立場を主張してきました。
 今回、削減しようとする発議案に反対するだけでなく、対案として、議員定数を削減せず、花見川区は1減、緑区で1増とする修正案を市民ネットワークと共同で提案しました。発議での4減では、議員1人当たりの人口と1票の較差が、1.123ですが、私どもの修正案は、1.109とその差を縮める提案となっています。
 そもそも、議員の定数を考えるにあたって念頭に置くべきことが7点考えられます。
 1つは、国民主権のもとに、物事を決定し権力を行使する直接民主主義が大前提であるということです。住民全員が話し合いをして物事を決定していくことが重要ですが、事実上は、市民全員が集まり重要な決定をすることが、不可能です。そのため、市民の意思を代表して権力を行使する機関が議会です。
 2つは、主権者の意思を代表して、権力を行使する際に、代表としての多様性を反映できることが必要です。1で述べたことをふまえれば、たくさんの市民の声を代表していることを肝に銘じて、多様な意見を反映する機関、定数でなければなりません。
 3つは、地方自治法の改正によって、議席増は可能だと示されていることです。平成23年5月に地方自治法の一部が改正され、議会制度の充実に関する事項の中で、議員定数の上限数の制限の廃止に関する事項が明記されました。千葉市は、人口が増え続けている中で、定数をむしろ増やすことが住民の声を反映しやすくなるという根拠があります。
 4つは、定数減は、大政党に有利に働き、民意よりも議席を増やし、少数政党では過小に評価される状況が見受けられるということです。
 政令市は県議会ほどではありませんが、比例代表制を採用しているわけではないため、大政党に有利な傾向が否定できず、少数政党に不利になる状況が識者から指摘されています。
 5つは定数削減が、議会での首長や行政監視機能の低下が懸念されるということです。二元代表制のもと、議会は首長と対等に地方行政の公正な運営を図るためのチェック機関でなければなりません。議会での条例、予算決算の審議、議員自らの条例提案など首長の市政運営に対して、多方面からチェックできる政策立案能力が問われます。多くは野党の立場で、行政を監視する機能は、少数政党に期待される傾向も、あり定数削減では、チェック機能が果たせるのか、はなはだ疑問です。
 6つは、定数削減は、地方自治の弱体化を招き、住民の代表性が薄れ、議員が身近な存在から遠くなり、地方自治への参加を縮小することになります。
 経済効率を過度に重視し、いたずらに議員定数の削減を行なえば、住民の声が届きにくくなり、住民の意思を議会に反映しにくくなり、地方自治への参加が縮小してしまいます。
 7つは、政令市で議員1人当たり人口規模を2万人とする目安で、削減するのではなく、千葉市の人口増に合った定数を検討すべきだということです。
 政令市平均や緑区選出の現職議員が議員1人当たり人口2万人でも自分たちは行えていると言った発言などから、削減ありきで提案されていることはきわめて安直であり、人口が増えている緑区では、むしろ1増すべきです。
 以上の様に、定数削減は議会や行政を住民から遠ざけ、多様な意見を反映できず地方自治の弱体化につながります。住民の地方自治への参加を縮小するばかりか、議会の主要な機能である行政の管理機能の低下を招く恐れもあります。
 この間、議会改革推進協議会で、定数の問題についても議論を重ね、幹事長会議でも議論を重ねてきました。議会改革で招いた廣瀬克哉法政大学教授は、議員の定数についても第三者機関の答申を受けて客観性のある場で議論すべきと指摘、財政状況から身を削るとの質問に対して、単年度や自分の任期だけ削減するという考えは望ましくない。政治的な判断として報酬カットの考えはあると指摘しています。また、定数を検討する上で何が優先するのかとの問いには、大幅に定数変更する場合にはしっかり議論したうえで、市民に投げかける必要があると言われていながら、市民には説明すらしていません。明治大学の廣瀬和彦講師は、現状の定数は下げすぎである。定数を下げる際にはその根拠を明確にする必要がある)と発言。定数削減を政治の材料とすることについての見解については、「削減を公約とした候補者を、一時的に市民が選び、当選したとしても、市民は選ぶだけで議員を育てる責任が抜け落ちている」などとの見解が示されています。
 ところが、なぜ4削減なのか、その根拠をきちんと示さず、審議不十分で、市民への説明責任も情報公開も果たさずに、今議会で提案することは、住民軽視だと言わざるをえません。今後少子高齢化、格差と貧困が生じていく中で、市民の悩みも複雑多岐にわたり、専門性継続性が求められており、市財政の調査分析も2元代表制を担っていかれるように議員が独自にチェックできる機能を身につけることが欠かせません。
 この間の議会改革推進協議会では、自民党は、政令市で、1〜4万人に1人の状況と、緑区の議員が住民要望を吸い上げるのに何ら問題がないことを指摘し、5定数を減らすところを4と歩み寄ったと正当化し、議員の定数は結局、議会で決めることと主張しています。
 公明党は、職員の削減を例に、議会の行政改革をすべきと主張し幹事長会議で進めてきた、議論は十分してきたと主張しています。
 民主党は、少数精鋭化を図るべきだと主張、議論は十分尽くすべき、一致しなければ多数決だ。とし、定数削減について、学識経験者の講演は参考にする程度だと主張しました。
 未来創造は、幹事長会議で十分議論してきた。民意の把握の手段は情報処理が進んでいる、意向を把握することが大切と主張しています。
 定数削減が議会改革だと主張していますが、財政が厳しいから議員も身を削ると経済効率を主張する議員もいます。
 どうしても、実を削るというのであれば、議員の歳費10%政務活動費20%の削減で、財政的には十分可能です。
 1票の較差を是正し、住民の声を引き続き代表できるように住民自治の立場から定数の改善を図るよう求めています。ぜひともご賛同いただきますようお願い申し上げ、討論といたします。