中村きみえ議員の反対討論

2014.9.19

写真 党市議団を代表して議案第101号平成26年度千葉市一般会計補正予算、議案第106号から112号、115号、116号、118号から120号に反対し、発議第21号、22号は否決されたこと、請願第11号が不採択になったことに対して討論を行います。

 まずはじめに、補正予算についてです。
 高学年向けの子どもルームの整備事業費28カ所実施は前進しますが、指導員が有資格者と補助員で、保育の専門性を維持できるのか、チームワークを保てるのか疑問が残ります。今後、有資格者のみでの対応を求めます。

 さて、今回の補正では、LEDの道路照明灯の賃借料が債務負担行為で、6億8600万円が計上されている問題があります。道路台帳の不備をはじめ、市の予算計上時のずさんさが明らかになりました。あらかじめ、設置する前に、費用と設置個所の状況がどうなっているのか個々に確認し、積算すべきです。

 一般廃棄物処理施設基本計画作成事業費1700万円についてです。
 新港清掃工場を稼働から23年で停止し200億円かけてリニューアルすることは問題があります。新港と同じスーパーゴミ発電工場を有する堺市では43年使うとされています。これに比べても新港清掃工場のリニューアルは時期尚早であり、もっと大切に使うべきであり認められません。市長はH24年6月家庭ゴミを有料化すれば北谷津の代替施設の整備は不要となり建設事業費180億円は節約できると市政だよりで述べました。しかし今日に至って、自治会等で回覧された文章に、「新港及び北清掃工場の2工場で永遠にごみ量が可能である」かのような、誤解を招いたと言い訳をしています。代替施設の費用は説明していた180億円ではなく約312億円であり、市民に説明がつきません。
 清掃工場のあり方については、市民にも大きく影響するだけに市民参加、市民の理解が求められますが、プラスチック製容器包装などに拡大しようとしません。経済の停滞で消費も低迷したこともごみ減量の原因であり、清掃工場建設ありきで進めるのではなく、分別、3Rの徹底こそ進めるべきです。市民には家庭ごみ有料化をしながら清掃工場には多額な費用がつぎ込まれており、説明責任が果たせていないため、賛成しかねます。

 また、社会保障・税番号制度への対応として、システム整備額と費用対効果を質問しましたが、税部門は約3億7千万円ですが、社会保障・福祉の生活保護・国保・介護・医療などのシステム整備額は不明であり、費用対効果についても分からないとの答弁です。税額を特定して市民個人の所得が分かる税情報は厳密に管理されているし、社会保障と合わせて個人情報が漏れる危険性は避けられません。市は万全を尽くすと言いますが、ベネッセのシステムエンジニア職員による2895万件に及ぶ情報漏れなど、人が行うものであり、漏えいを防げないことは進めるべきではありません。
 政府は税と社会保障を一体管理して、国民の所得状況を把握し社会保障費削減を狙っています。個人情報の漏えいや国民監視の道具として使われかねないものであり、認められません。

 議案第106号千葉市衛生関係手数料条例、及び千葉市指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について
 薬事法等改正については、一般用医薬品のインターネット販売をほぼ全面解禁するものです。インターネット販売では、医薬品の対面販売という原則が崩れ、専門家による情報提供、相談や受診勧奨などが行えなくなり、安全性のリスクが高まる恐れがあること。また、無届けやにせ薬の販売など悪質な業者を排除する仕組みに限界があること。インターネット販売で他の商品と同列に売られることによる弊害が危惧されること。などの理由から、いのちと健康を守る薬事行政を後退させることは認められないため反対です。

 議案第107号から112号までは子ども子育て支援新制度による千葉市の条例によるものです。
 保育関係者等の粘り強い運動の中で、児童福祉法第24条の1項が復活し、自治体としての保育における公的責任が明記されました。児童福祉法1条2項には、「すべて児童は、等しくその生活の権利を保障され、愛護されなければならない」とうたわれています。千葉市の実態はどうでしょうか。
 (1)認定こども園について
 認定こども園を千葉市では公立保育所2か所実施予定で、保護者への説明会が行われています。質の高い保育を提供すると言う中味は、いまだに決まっておらず、幼稚園で行ってきた教育と保育所で行ってきた養護、教育について、認定こども園で独自にカリキュラムを作成するようですが、専門家の間からも、わざわざ認定こども園として、実施しなければならない優位性が見当たらないとしています。わずか数人の子どもを1号認定し、教育時間を4時間も受けて子どもたちの一日の過ごし方まで様変わりさせ、現場に混乱をもたらす認定こども園を急いで実施する必要性はどこにも見当たりません。
 (2)人員配置の問題についてです。
 認定こども園では、3歳児では20人に1人保育士ですが、1クラスは30名とし、1.5名という配置では、現場が混乱します。
 認定こども園は、1、2才児は5人に1人の保育士配置ですが、小規模は「おおむね6人」と、7人でも8人でも良いという緩いものであり、格差をつけるのは問題です。小規模保育では保育士が全員配置のA型、半数が保育士のB型、保育士1人のみのC型について、定めています。事業所内保育では半数以上が保育士と国基準のままです。すべてA型とするか、神戸市の様にB、Cは認めないように自治体として、規制すべきです。
 人員配置では、3歳児は10人に4、5歳児は20人に保育士1人の基準に引き上げるべきです。
 (3)面積について
 乳児1人の広さも3.3平方メートルが国基準の1.65平方メートルより多いだけでなく、さいたま市では、1人5平方メートルとし、2才児以上も1人あたり3.3平方メートル程度に引き上げるなど努力すべきです。事業所保育は乳児も1.65平方メートルと国基準のままです。自治体として、社員以外に市民を受け入れるというなら、基準の引き上げを求めながら財政支援を行うべきです。
 (4)食事の外部搬入について
 認定こども園、家庭的保育など3歳以上の園児への食事提供は外部搬入も可能だとしています。事前協議でアレルギー児も受け入れられるとの答弁でしたが、実際の受け入れについて現状では把握すらしていません。儲け主体で、調理員を配置せず、子どもの食育を果たせるのか疑問が残ります。自園調理を実施すべきです。
 (5)避難について
 そもそも、子どもたちが通う施設は、原則2階建てまでと限定すべきです。千葉市では、認可保育所が、5階にあります。保育園に32名が入所し、3歳未満児が16名、保育士が8名体制で2人ずつ抱えていたら、他の16人を誘導する人もいません。毎月の避難訓練も5〜6分を要し、地震、火事では逃げ遅れてしまいます。高層階での保育所を設置すること自体、条例に定めるべきではありません。
 (6)所得格差を持ち込む懸念について
 新制度では、施設を保護者が選択できると言われていますが、施設にとって都合の良い保護者を設置者の理念で選考できるとされます。障害児や所得の低い家庭は、排除されかねません。
 利用者負担額についても、引き上げを提示されて拒否できる保護者がどれだけいるか、不明です。所得の格差が保育の格差を生み出してはなりません。
 保護者への新制度は、資料配布のみで説明を終えようとしています。保育所ごとに説明会を開いて知らせるべきです。
 子ども子育て支援新制度は、安倍政権のもと介護保険をモデルにしたもので、市町村の責任によって保育を提供する制度を改め、利用者と事業者の直接契約にすることで、市町村が契約に介入できず責任が後退し、保育の市場化に道が開かれることになります。企業参入を自由にし、保育料の設定を自由にし、事業者が利用者と直接契約し、儲けを自由に使っていい仕組みに変えようとしているのです。施設の認可を個人の認定に変えることで、今までは運営費の使い道には制限がかかっていましたが、公費が事業者に渡されれば、使途制限がかからず、自由に設けてよい仕組みに変わります。個人の認定によって、公費の流れを事業者から利用者に変えることで、公費負担の継続と自由に儲けることができる仕組みになっているのです。
 株式会社の参入を進め、保育に格差を持ち込み、質の保障を保てず、消費税増税を前提に財源をあてにしながらすすめており、子ども子育て支援新制度は、等しく平等に保育を受ける権利を損なうもので、実施するべきではありません。現状を後退させずに質も量も、引き上げをすべきです。

 議案第112号千葉市放課後健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について
 児童の面積が小学生で1.65平方メートルの国基準のままでは狭く、子どもの体格、生活の場を考慮して、5平方メートルくらい整備すべきです。
 また、資格者以外に補助員とペアとの考えは運営上も、待遇面でも問題であり、資格者2人で実施すべきです。

 議案115号は、蘇我副都心臨海地区A3ゾーンと千葉駅西口地区における地区計画を設定する条例改正です。
 蘇我特定地区開発は総事業費1601億円で、千葉市が財政危機に陥る大きな要因の一つです。蘇我スポーツ公園はさらに拡充されます。「財政が厳しい」と言っているのであれば、今からでも抜本的に見直すべきです。
 千葉駅西口再開発事業の総事業費は735億円で、20年以上もかけて、入居が埋まらない現状です。この西口再開発も、財政危機をつくった大きな要因の一つ。現在、B棟建設を急いですすめていますが、ここも抜本的に見直すべきです。
 そういう抜本的な見直しをせずに、既定通りの開発計画をすすめるための地区計画には、賛成できません。

 116号千葉市ほか10市18町一部事務組合消防指令事務協議会規約の一部を改正する規約の制定に関する協議について
 事務組合が連携することには反対はしませんが、「連携協約」の創設が盛り込まれた趣旨が、地方自治法の一部改正に伴い、道州制の導入、定住自立圏構想を踏まえた広域連携制度を改正目的とするものであり賛成できません。

 議案118号〜120号はLED道路照明の賃貸借契約にかかわる和解についてです。
 この問題は、道路照明灯の台帳が正確でなかったことに原因があります。一刻も早く正確な台帳にすることを求めます。
 同時に、今回の事態で、道路照明灯がさらに廃棄されました。まだ使えるものを大量に廃棄することは環境への大きな負荷です。日進月歩が目覚ましいLEDの交換については、一気に交換するよりも、順次、段階的に交換する方が、10年など長い期間を考えた場合、環境への負荷や経済性から言ってもベターです。また、地元業者でも仕事を請け負うことができます。そうした立場から、今回の議案については賛成しかねます。

 発議第21号千葉市学校教育環境検討委員会設置条例の制定についてです。
 この条例は、学校の教育環境を検討する委員会を設置しようとするものです。学校の老朽化、トレイの洋式化、エアコン設置、校庭の芝生化など検討しようとするものです。自民党は、委員会の設置は必要ない。たくさん委員会つくっても的外れ。賛成しかねる。公明は、教育委員会で環境検討の取り組みをしているなら必要ないと反対。民主は、有識者の意見を聞いて反映を。新たな委員会、賛同しかねる。未来は、学校教育環境は屋上屋になると反対し、共産党以外のすべての会派が反対したことで、否決されたことは、議員としての主体性、いかにして教育環境を改善させ、実現させていくかという立場になっていません。

 発議第22号「千葉市葬祭場等の設置の調整に関する条例」については、委員会で必要性を認める意見があったものの、否決されたことは残念です。
 いま、遺体保管所の設置をめぐって東京都大田区や川崎市などで、紛争が起こっています。今後、千葉市でも起こることが予想されます。ところが、この施設を規制する法律はなく、国は一刻も早く制定すべきです。
 大田区では突然、遺体保管所問題が急浮上し、設置された後に、まちづくり条例の中に紛争防止の条項を追加しました。
 国に法律の制定を求めることは当然ですが、急ぐ課題でもあります。法律ができるのを待つのでなく、条例をつくることが必要なことを強調しておきます。

 請願第11号小中学校・特別支援学校のすべての教室にエアコン設置を求める請願は、議長あて、市長・教育長あてで1万5千筆を超える方が、共感し賛同してくださいました。
 意見陳述者から、猛暑で子どもたちが35度の教室で、熱中症、ぐったりする、吐き気を催すなどの実態が示され、授業に集中できない、体力の消耗が厳しい、学校環境衛生基準を指摘し千葉市が周辺自治体から遅れていること。老朽化とトイレの整備と併せてすすめてほしい旨が話されました。
 請願の審査で明らかになったのは、千葉市では、30度以上という気象庁が示すデータ以外に、教室では何度だったのか、その実態調査をしていないことが明らかになりました。それなのに、教育委員会は「昨年度は、登校日で30度以上だったのは15日だけ」だったといいます。実際の教室では、それ以上あった可能性があるのに、自ら検証することもなく、気象庁のデータだけを示したことは問題です。実態調査をふまえた上で、日数が少ないなどと過小評価すべきではありません。
 また、熱中症にかかった子どもは今年度14人と報告がありましたが、ある小学生のお母さんは、「子どもの具合が悪い」と学校から呼び出しを受けた。意識がもうろうとしていた。熱中症で翌日休むほどだったと訴えていました。このような実態は、件数には含まれておらず、現場の報告件数の信ぴょう性も問われています。教育委員会は、実態をきちんと示す必要があります。
 学校の老朽化やトイレの改修が最優先だといいますが、熱中症で手遅れにならないよう、子どもの健康を最優先させて、市全体の予算を検討しなおしてでも実施を迫ることが議員としての務めです。
 公明は、陳述わかるが、一気に進めるというのであれば反対。民主は、理解できるとしながら一気に入れないと理解得られないからと反対。未来は、優先順位をふまえていくべき。採択しかねる。無所属の方は、意見陳述分かるが特別支援教室の設置がまだであり、主旨賛同するが計画的に整備すべきで反対。
 共産党以外のすべての会派が反対したことで不採択となったのは、極めて遺憾です。