佐々木ゆうき議員の決算に対する討論


2014.10.3

写真 日本共産党千葉市議団の佐々木友樹です。会派を代表して、2013年度決算議案19件中8件について不認定の立場から討論を行ないます。
 不認定の第1の理由は、市民には公共料金値上げなど負担を強いながら、引き続き大型開発を進めた決算になっていることです。
 一般会計では実質収支27億8,400万円となりましたが、財政の健全化を示す指数は依然として政令市ワースト1です。
 日本共産党市議団が求めてきた商店街街路灯電灯料補助率が50%から75%への引き上げ、私立幼稚園就園奨励費補助の単価引き上げ、太陽光発電設置補助件数が701件へ拡充されたことは評価します。
 しかし、市民サービスのカットでは、高齢者・障害世帯住替家賃費助成制度や「いきいき子育て」誌発行事業廃止など9事業で4,473万円、公共料金の改定では国民健康保険料介護納付金分や家庭ごみ有料化による市民負担増は、10億7,621万円となります。
 これらの負担増とともに市税などの徴収対策が強化されています。市税の差押え件数は2013年度5,848件、2005年度135件との比較では43倍、国民健康保険料の滞納世帯への差押えは09年度14件から2013年度1,301件と差押え件数が増えています。収入が得られず、生活が厳しい市民に対し、徴収率の目標に向け、限度を超えた差押えによる徴収対策を強引に押し付けてはなりません。
 一方で、大型公共事業継続の決算は、千葉駅西口再開発27億4,500万円、蘇我特定地区整備5億9,700万円など、合計で45億4,800万円となり、財政健全化のもとで市民サービスカットと公共料金の値上げを行ない、大型開発継続の市政であることは明らかです。
 住民福祉の増進を図るという地方自治法の本旨に則り、その実践をすべきですが、公共料金の値上げ、事務事業の見直しなど4年間で153件80億5,574万円、一般職員の4年間の給与カット62億円、合計142億5,574万円で、熊谷市長の財政健全化は、市民福祉と職員を犠牲にしたものであり、安易な改革と言わざるをえません。大型開発は5事業、4カ年の合計は204億9千万円であり、本庁舎の新築建て替えなど新たな大型開発に多額の費用の投入を計画しています。
 財政危機の危機的状況の脱却に協力していただいた市民に還元すべきであり、国民健康保険料の値上げ中止、敬老会補助金を元に戻すこと、難病見舞金の復活などをただちに行なうべきです。

 不認定の第2の理由は、市民生活・福祉を考慮していない決算であることです。
 今年2月の家庭ごみ有料化で、家庭ごみ手数料について2013年度だけでも4億8,814万円の市民負担増です。
 分別の徹底とプラスチック製容器包装の分別で、さらなるごみの減量を求めましたが、「法改正内容を見極めるとともに、本市で実施する場合、分別・再資源化の費用を約8億円と試算していることから、焼却ごみの削減状況及び費用対効果等を勘案したうえで、総合的な視点から、検討していく必要がある」として、プラスチック製容器包装の分別に踏み切ろうとしていません。拡大生産者責任の強化が必要です。事業系生ごみ・紙ごみの分別資源化で年間3,300トン、プラスチック製容器包装の分別処理で年間9,500トン、合計で12,800トンの削減が可能です。特にプラスチック容器包装の分別で削減を実施し、拡大生産者責任を市内に流通する商品の製造元に対し、協力を求めていくべきです。
 国民健康保険事業について、2013年度は国民健康保険料介護分の値上げ等で、3億9千万円の市民負担増です。2013年度単年度収支では17億3,200万円の黒字となったものの、累積赤字が約98億9千万円。1984年以来、減らされ続けてきた国庫負担金の削減が国保財政を脆弱なものとしてきました。「病気になっても3割の窓口負担が重くて医療にかかれない」「高すぎる保険料を払いたくても払えない」などの実態が広がっています。「課税標準額・段階別・市民税納税義務者数調べ」では、所得100万円以下が32%、300万円以下では75.9%という状況となっています。所得100万円の市民にかかる国民健康保険料は、介護分を合わせると15万4,300万円となり、所得の1割以上が国保料となっています。他の光熱水費や家賃、食費等を合わせれば、市民生活は厳しい状況にあります。「市民への影響を配慮しつつ、事務事業を見直した」「市民負担の公平性の観点や受益者負担の原則を踏まえ、必要最小限の見直しを行なってきた」としていますが、こうした市民生活を考慮せずに、予算を執行してきたことについて到底認めることはできません。
 保育所の待機児童を解消するために、市は、園庭のない保育園や高架下の保育園を認めてきました。さらに、株式会社の参入などを進めていることは問題です。公立保育所の整備、庭のある保育園の整備を進めることを位置付けて取り組むべきです。
 さらに、子ども子育て支援新制度について、新制度の最大の特徴は介護保険をモデルに利用者と事業者の直接契約を基点にする仕組みに切り替え、「保育の市場化」に道を開くものです。
 千葉市の保育は、児童福祉法第24条1項に基づき、行政の責任よって保育を実施すべきです。同法24条2項が適用される認定こども園、小規模保育等の地域型保育は、事業者と保護者の直接契約の仕組みとなるため、子どもの権利とそれを保障する公的責任が曖昧となり、当事者任せとなります。保育に格差を持ち込んではなりません。

 不認定の第3の理由は、国政に対する評価です。
 集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」への抗議について、「日本国憲法の根幹に関わることでもあるから、憲法の改正の議論をした上で、国民の判断を仰ぐべき」「外交・防衛に関わる問題であることから、国の専管事項と考える」との答弁です。「閣議決定」をめぐっては、どの世論調査でも5〜6割が「反対」、「説明不足」は8割から9割近くとなっています。核兵器廃絶や軍縮など世界恒久平和の実現に寄与することを目的とする平和首長会議に加盟する千葉市として、安倍政権に対し強く抗議すべきです。
 消費税増税について、アベノミクスによる円安のもとでの物価上昇に加え、消費税増税で、内需が冷え込んでいます。9月8日に発表された4月から6月期の国内総生産の改定値では、GDPの約6割を占める「個人消費」は5.0%減から5.1%減に下方修正されました。年率換算では、19.0%減でした。前回の消費税増税直後の97年4月から6月期の13.2%減を超え、過去20年の中で最大の落ち込みです。
 日本共産党千葉市議団が実施したアンケートでも、「景気回復を実感していますか」との問いに、「変わらない、実感がない」「収入が減少している」を合わせて9割を超えています。世論調査でも、来年10月からの再増税に「反対」という答えが6割、7割を占めます。
 消費税増税について、市長は、「市民や市内事業者の方々へ影響があることは認識」しつつも、「将来にわたり安心できる社会保障制度を維持するための最小限の負担増は、やむを得ない」との答弁を繰り返しています。
 消費税増税が福祉の向上にも財政再建にも結びつかないのは明白です。来年10月の消費税増税は中止するよう国に求めるべきです。

 次に各局について指摘を述べさせていただきます。
 総務局についてです。
 職員の給与カットについてです。今年度末で退職する職員について、平成22年度以降5年間の給与の減額措置と人事委員会勧告、退職手当引き下げによる影響額は、全職員平均で約356万円の減、係長級で約423万円の減、課長級で約606万円の減と見込まれています。
 人事院勧告と同様に、本日、千葉市人事委員会から給与と手当の引き上げ勧告が出されました。市の積極的な対応を求めます。熊谷市長の職員に対する独自カットについても今年度をもって終了します。来年度からは独自カットはやめて、職員給与を元に戻すべきであります。

 総合政策局についてです。
 IR・カジノについてです。ギャンブル依存症患者が増え、多重債務者が増える、青少年への悪影響など承知していながら、「経済効果が期待できるもの」とIRの導入可能性について、調査を継続するとのことです。日本共産党千葉市議団がおこなったアンケートでは、市民からは「環境が悪くなることは必至であり、こんなことで経済効果をはからなくても他に方法があるはず」「儲かる人がいる半面、お金を使いはたして苦しむ人も出る。賭けごとは国や市がやるべきことではない」「どんなギャンブルも良くない。青少年への影響は計り知れない」など、「反対」の声が圧倒的多数となっています。
 アメリカなどに見られるカジノの繁栄は周辺地域の犠牲にしたものです。IRはカジノの収益で宿泊・飲食などを格安で提供するため、既存の商店街や宿泊業に大きな影響を与えます。紹介した市民の声や、都知事の「優先課題ではない」「日本経済はそんなものがなくてもよみがえる」の発言にもあるように、IR・カジノに頼らず、千葉市経済の健全な発展とともに、住宅リフォーム助成や商店街への支援など地域経済の活性化に向けた取り組みこそ必要です。刑法の賭博禁止の規定について確定した最高裁判決も踏まえ、IR・カジノ誘致のための調査を断念し、冷静な議論を国に求めるべきです。

 財政局についてです。
 本庁舎の新築建て替えについてです。
 「長い目で見て一番費用負担が少なくなる方策で進める」を根拠に、基礎調査報告の中で「新築集約方式」を示し、建設費用275億円と市民に対し説明してきました。
 当局は「より正確な建設費を算出する必要がある」として、基本計画・基本設計、実施設計の各段階で市民、市議会に対して説明していくとのことです。275億円という数字について、「基礎調査であり、実際に建設する費用ではなく、建設資材の高騰、消費税10%などを想定すると、実際の建設費用は平成30年にならないと示せない」ことについて、市民に対して、建設費の高騰を当初想定できなかったことや建設費総額が膨らむことについて釈明し、市政だよりなどで示すべきです。その都度、建設費を示すことは、市民に「建て替えありき」で押しつけながら、進めることになります。
 決算審査で、Is値が低いところについて耐震工事を行ない、市役所職員の命を守るべきと求めても、「対策を行なわない」との答弁は、市職員のことを考えていないと言わざるをえません。
 他市でも資材の高騰や入札不調により、オリンピック以降に先延ばししているところがあります。財政が厳しい中、耐震補強にとどめて対応すべきです。

 市民局についてです。
 商店街街路灯設置・電灯料助成についてです。商店街は「住民生活に必要な社会的存在」です。商店街街路灯は街を明るくし、防犯に役立っていることは認めているわけですから、現在の75%の補助率を防犯街灯と同様の90%へ引き上げるよう引き続き求めるものです。
 消費生活センターの充実について、県の基金事業を活用して職員が増員されたことは評価しますが、振り込め詐欺被害がさらに広がっている現状があります。金融機関や関係機関との連携を進め、被害防止と消費者への啓発を積極的に進めるべきです。

 保健福祉局についてです。
 特別養護老人ホームの待機者は、今年の7月1日現在で2,061人を数え、多くの方が利用を待っています。市民要望に応えて、美浜区稲毛海岸や、花見川区畑町の国有地を活用して、特養ホームの建設が進むことは、評価できるものです。次期介護保険事業計画で、必要な特養老人ホームの整備計画が盛り込まれるよう求めておきます。
 危険ドラッグについては、製造・販売などの状況を把握することに努め、消防局とも連携して市内での搬送例などの実態をつかみ緊急の対応を図るべきです。また、薬物依存等の治療や指導援助を行っている団体への支援を行うよう求めておきます。
 一人暮らしの高齢者世帯が増加するもと、安否確認のための緊急通報システムの必要性は高まっています。24時間365日対応で安否確認や火災対応などサービス向上を図れるものに変更したとのことですが、内容説明が不十分で有料になったと誤解し利用を中止した方もいるため、わかりやすく丁寧な説明を行うよう求めます。

 こども未来局についてです。
 保育所の待機児解消を掲げていますが、9月1日現在776人を超える児童が入所待ちです。国は、子ども子育て支援新制度を来年から実施しようとしていますが、株式会社の参入に拍車をかけ質の低下が懸念されます。庭のある保育所で、保育士の労働条件も改善した上で、質の高い保育の提供が求められます。
 また、児童相談所の一時保護所の入所期間が長くなるほど、子どもの健全育成の環境としてはふさわしくありません。職員の専門性を高め、人員配置を大幅に増員し、里親や児童養護施設の増設、充実が求められます。

 環境局についてです。
 再生可能エネルギー導入について、この間の報道では、電力会社による買い取りが中断され、太陽光発電に制限を設けています。専門家は、「国が再生可能エネルギー導入の目標を持って、送電網の整備や運営に責任を持つべき」と指摘しています。国に本格導入に向けた取り組みを求めるとともに、市内の再生可能エネルギー導入を計画通り進めるよう、市民ファンドによる普及もあわせて取り組むことを求めておきます。
 PM2.5対策について、速やかな成分分析調査の報告を行なうことと、子どもや高齢者への影響が考えられることから、市民への正確な情報発信と対応、排出源の特定を進め、原因物質を取り除くために、行政としての規制、国への規制の働きかけを行なうことを求めます。

 経済農政局についてです。
 雇用対策について、若者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業・ブラックバイトへの対策が求められます。若者向け、アルバイト向けのリーフレット作成と、市ホームページの充実が必要です。
 地域を支えている商店街などへの支援を充実することが必要です。企業立地については、地域内循環による地域経済活性化、地元企業育成のために、誘致企業に安定した雇用の確保と市内企業への発注など求めるべきです。
 千葉市農業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。農業後継者の育成や資金援助、販路拡大など、農政センターの機能強化と合わせ支援の強化を求めておきます。
 地方卸売市場については取引高が減少する中でも、市民に安定した価格で生鮮食料品を提供する役割を担っています。地方への移行を契機に、市民、場内事業者の声や要望を受け止め、市場の活性化に向け取り組むことを求めます。

 都市局についてです。
 地域参画型コミュニティバス運行のアドバイザー派遣が行われましたが、派遣が1回しかなく、十分な取り組みとはなっていません。住民グループがコミュニティバスを運行させる方式は、ハードルの高い取り組みです。住民の要望に基づき、コミュニティバスやデマンドタクシーなどの運行を検討すべきです。
 木造耐震診断改修助成制度による耐震化は、予算規模の半分、50戸の実績です。「千葉市耐震改修促進計画」では、来年度までに耐震化率9割をめざしていますが、達成の見通しはありません。制度のPRを強めるとともに、耐震改修と合わせて行う住宅リフォームについても、補助が出るよう、住宅リフォーム助成制度の創設を求めます。

 建設局についてです。
土木事務所の主な予算は、ここ数年、57億円前後で推移しています。一方で土木事務所への要望は増える傾向にあり、とくに「ちばレポ」の実証実験では、道路関係が72%となっており、先月16日からの本格運用で、さらに要望が増えることが予想されます。この住民の要望に応えるためにも、土木予算を増やし、職員体制も強化すべきです。
水害対策では、10年に1度の大雨、つまり1時間53.4mmの雨量に対応する下水道整備を行っています。しかし、広島での豪雨土砂災害などに見られるように、1時間100mmの豪雨が各地を襲っています。千葉市でも、現実的な脅威となっており、1時間100mmへの対応を検討すべきです。防水板設置補助制度については、さらにPRも強め、普及する必要があります。

 消防局についてです。
 消防団の充実強化のため、県知事名で「団員報酬の引き上げや加入促進などに早急に取り組む」よう要請もされています。千葉市の消防団員の報酬及び費用弁償は、国の交付税基準額を大きく下回っており、待遇改善が急がれます。近隣の政令市の低い報酬額に合わせるのでなく、消防団活動に応じた適正な支給に改めるよう求めておきます。

 水道局についてです。
 2013年度の一般会計補助金は8億963万8千円で、前年度より2,536万円減ったものの、過大な水需要に基づく水源の確保による経営の矛盾は解消されていません。県水との統合を含め、水需要の計画を抜本的に見直すことを引き続き求めておきます。

 病院局についてです。
 地方公営企業法の全部適用へ移行し、新千葉市立病院改革プランを策定しましたが、全体として財政が改善していません。看護師不足による病床の休止の影響は厳しいものの、自治体病院としての役割を引き続き果たせるよう求めておきます。

 教育委員会についてです。
 子どもたちが快適に学習や部活動をするために学校にエアコン設置が求められています。30度以上の教室での温度の実態調査を行い、熱中症で倒れるお子さんが出ないように一刻も早く実施すべきです。
 就学援助については、2013年度の受給率は8.48%経済的困難な場合を掲げた割合は、2012年度25.3%から2013年度24.5%と少なくなっています。必要な援助を必要な時に必要な対象にきちんとできるよう工夫すべきです。
 学校給食では、他の政令市ではセンター方式であってもアレルギーの生徒への提供などきめ細かく行われています。千葉市でも先進市に学んで行うべきです。

 農業委員会についてです。
 農家の声を農政に届ける役割を持つ農家の代表機関である農業委員会の権限を縮小する安倍政権の「農政改革」に反対し、千葉市農業、食料、地域を守るべきです。

 以上で、討論を終わります。