中村きみえ議員の代表質問に対する答弁(要旨)



2014.12.9

【熊谷市長】
○ 市長の政治姿勢について
 はじめに、消費税増税をやめるよう国に求めるべきだとのことだが、今回の税率引き上げの見送りは、昨今の経済状況に鑑み、やむを得ないと考えるが、少子・高齢化が進展する中、社会保障の充実及び安定化を図るには財源確保は重要であり、将来にわたり安心できる社会保障制度の維持に最小限の負担はやむを得ないとか案が得ている。
 次に、本年4月からの消費税8%への増税と来年10月からの増税見送りで、市経済と市民への影響については、8%への増税で引き上げ分を財源に、待機児童解消加速化プランの推進に加え、国民健康保険料の低所得者減免の拡充など、社会保障制度の充実に寄与していると考える。一方で、各種経済指標では個人消費や企業収益は、税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動で回復基調にあるものの、持ち直しの動きに足踏みがみられるのが現状だ。また、税率引き上げ先送りで、消費者マインドが好転し、雇用・所得環境が改善されることが期待されるが、一方で、財源確保が先送りされたことで、医療・福祉施策など社会保障制度への影響が懸念されるところだ。
 次に、憲法9条を生かして市民の平和を守るべきとのことだが、憲法9条は集団的自衛権を含め、さまざまな議論となっているが、それらは日本国憲法の根幹にかかわるものだ。憲法改正は、議論した上で国民の判断を仰ぐべきものと考える。
 次に、国は新基地建設を強行しようとしているが、地方自治体の長としてどう考えるかについてだが、基地問題は住民の生活に大きな影響を及ぼす極めて重要な問題であり、地方自治体の長としては、住民の理解と協力を得るため最善を尽くすよう、国に求める必要があると考えている。
 次に、オスプレイの飛行については、現時点では本市上空を飛来する可能性は明らかにされておらず、本市への影響は把握できず、意見を述べる状況にはない。
 次に、慰安婦問題についてだが、河野談話を継承するとの政府の立場と同様に考えている。
 次に、先般成立した「地方創生」関連法に係る市の対応についてだが、同法は人口減少・超高齢社会を迎える我が国の状況に的確に対応し、人口減少に歯止めをかけ、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、初来にわたり活力ある日本社会を維持していくことが目的で、本市の都市経営にも取り組むべき重要な課題だと認識している。同法の成立に際し、地方創生担当大臣は「地方が自ら考え、責任を持って取り組むことが重要」で「地域の特性を踏まえた」対応が求められる旨を述べており、本市としても十分念頭に置きつつ、国策定の「長期ビジョン」や「総合戦略」を踏まえ、県等の動向なども注視しながら取り組んでいく。

○ 新年度予算について
 まず、大型開発の見直しについてだが、これまでも緊急性・必要性などの観点から、蘇我スポーツ公園の整備縮小など可能な限り見直しを実施してきた。今後も市民生活の向上や街の魅力を高めるため、必要な事業を厳選していく。
 次に、市民のくらしを守る立場での予算編成をとのことだが、本年度も健康づくりで成人用肺炎球菌ワクチン接種の対象年齢を拡大し、高齢者施策は新たに認知症初期集中支援チームを設置した。子育て支援では子ども医療費助成の拡充や保育所待機児童対策を推進するなど、必要な分野に重点的に予算配分した。新年度予算編成でも施策の選択と集中で、限られた予算を効率的に配分し、市民生活・市民福祉の向上に努めていく。

○ 第2次実施計画について
 次に、第2次実施計画についてだが、千葉中央港地区まちづくりなど大型開発や学校適正配置、新庁舎建設、社会保障・税番号制度導入に伴うサービスの実現などを盛り込んだ第2次実施計画は、見直し・縮小すべきではないかとのことだが、第2次実施計画の策定では、市民視点・納税者視点から事業の成果を重視し、「選択と集中」で事業を厳選した。介護や福祉、子育て、教育、地域経済の活性化などの施策に取り組む。防災・減災対策、市民の安全・安心を確保する取り組みを積極的に計画事業案に位置づけている。また、市民のくらしや福祉向上をはかるため、将来に持続可能なまちづくりを支える、安定した行財政の基盤作りが必要不可欠であり、行財政改革への取り組みや本市の特性・魅力を高める取り組みに配慮した計画作りに意を用いているところだ。

○ エアコン設置について
 来年度予算でのエアコン設置の早急な実施についてだが、近隣への配慮から窓を閉め切りにして授業や部活動を行う音楽室や特別支援学級、特別支援学校に優先的に設置し、子どもたちの教育環境向上に努めていく。

○ 庁舎建設について
 まず、基本構想案のパブリックコメントへの意見についてだが、基本構想案に対しては41人から意見を頂いた。主な内容は、コージェネレーションシステムなど環境負荷を低減するエネルギー設備導入に関する意見や、本庁舎整備は耐震補強で対応すべき、新庁舎は建設費が高騰している時期を避け東京オリンピック後とすべき、などの意見があった。
 次に、市民意見を聞きながら事業を進めるとあるが、どう聞くのかについてだが、パブリックコメントへの意見は、本市での震度5弱以上の地震発生確率が高いことを示す資料の追加や、市再生可能エネルギー等導入計画の取り組みを踏まえた記述にするなど、基本構想に反映させた。今後の基本計画の作成にあたり、付属機関や市議会で審議しながら、適宜検討状況を公表し、計画案を取りまとめ、再度パブリックコメント手続きを実施していく。
 次に、最低限、耐震補強を実施し、庁舎建設の先送りが最善策ではないかとのことだが、現庁舎を耐震補強した場合、分散化・狭隘化・老朽化の課題は解消されず、年間約6億円の賃貸料や築44年経過したことで、今後多額の維持管理費が見込まれるため、市役所機能を最も高められ、長い目で見れば一番経費が少なくなるのが、新庁舎建設である。

○ カジノ誘致について
 衆議院解散に伴い、カジノ解禁推進法案が廃案になった以上、直ちに誘致は中止すべきとのことだが、カジノを含む統合型リゾート(IR)は、幕張新都心のアーバンリゾートとしての魅力を高め、多様な楽しみを提供する一つの手法として導入可能性調査を実施し、現在、結果を取りまとめている。まずはその内容を市民に報告し、意見を聞くことにしている。なお、引き続きIR推進法案に係る国の動向を注視し、対応していきたい。

○ 子ども・子育て支援制度について
 まず、保育所などで説明すべきではないかとのことだが、保育所等を継続利用する保護者には、各施設を通じて詳しい利用案内を配布するとともに、市ホームページ、市政だより、リーフレット等あらゆる媒体を通じて周知を図っている。また、新たに保育所等を利用する保護者には、各区で説明会を開催し、参加できなかった方には市ホームページで説明会と同内容の動画を配信するほか、本年10月から全区に配置した子育て支援コンシェルジュを活用して、情報提供に万全を期していく。
 次に、保育の必要量を確保するうえで、子どもの保育に格差を付けず対応すべきだとのことだが、今後ますます増加する見込みの保育ニーズに対応するため、現在実施している認可外保育施設、グループ型小規模保育、事業所内保育事業などの認可化を促進し、保育の量を確保することが重要だと考えている。また、これら施設を地域型保育事業として認可することが、保育士の配置基準の改善など、本市全体の保育の質向上につながるものと考えている。今後も、我々の責務を果たすべく、最低基準を超えてより良い保育を行うよう努めていく。
 次に、消費税10%の先送りでも、質の確保は実施すべきとのことだが、現在、国が「公定価格」水準を議論しているが、その内容を精査し、保育の質に直結する保育士の配置基準改善を市独自に前倒しするなど検討していく。

○ 都市マスタープランについて
 まず、都心開発は進めるべきではないとのことだが、本市もH32年をピークに人口減少に転じ、65才以上の高齢化率は、現在4人に1人に対し、H37年には3人に1人になると推計されている。今後10年間で、人口減少の急激な変化はないと思うが、先を見据え街をコンパクトに抑えた集約型都市構造を目指すことは重要である。集約型都市構造は、財政負担の軽減や行政の効率化が期待でき、公共交通機関の利用促進と歩いて暮らせる環境負荷が少ない「低炭素なまち」にも寄与すると考えている。特に、今後到来する人口減少社会に、少しでも人口減少を食い止めるには、街の魅力が必要であり、3都心や拠点の商業・業務・居住・観光レクリエーション機能などを、民間活力により強化することが重要と考え、今回のマスタープラン素案に拠点として位置づけたものだ。

○ 全国学力・学習状況調査の公表について
 今回の公表は市長の判断なのかについてだが、本市ではこれまでも「全国学力・学習状況調査」の結果を概要版で公表してきた。本年度は特に児童生徒の学力・学習状況を詳細に分析し、市民への説明責任を果たすとともに、各学校の自主的な授業改善を促す目的で、結果を独自の方法で教育委員会が公表したものだ。
 学校名を公表することは学校間で競争させることになり、教育的に問題ではないかについてだが、学校名を公表した「全国平均正答率の差異からみる各学校の経年推移」は、絶対評価として学校ごとに示したもので、公表は学校の序列化や過度な競争が生じないよう教育上の効果や影響等十分配慮して行われてものだ。

<2回目>

○ 消費税の増税について
 8%への消費税増税で市民は厳しい生活を強いられている実態は把握しているかとのことだが、税率引き上げで市民の方々に影響が生じているのは認識している。そのため、低所得者や子育て世代に対する支援を通じて影響を極力抑える努力に努めている。
 大企業との間の不公平感についてだが、法人税ゼロの要因は、主に欠損金の繰り入れ控除によるものと思われるが、これは大企業だけでなく青色申告する中小企業でも適用される制度だ。現在、国は法人税見直しと代替財源の確保を検討しており、その動向を注視したい。
 消費税増税を注視し、富裕層・大企業に応分の負担を求めることについてだが、少子・高齢化で現役世代に社会保障費の負担が高まる中、社会保障の充実・安定化と安定財源確保は重要だ。特定の者に負担が集中せず経済動向に左右されにくい消費税を財源に、広く公平に負担を求めるのはやむを得ないと考える。

○ 平和の問題について
 平和市長として平和を守る立場で主張すべきではないかとのことだが、憲法を尊重し遵守するのは公人として当然のことだ。憲法の在り方については、国民的議論に委ねるべきだ。
 オスプレイの飛行についてだが、現時点では本市上空を飛来する可能性は明らかにされておらず、市への影響は把握できないが、今後の動向を注視していく。

○ 新年度予算について
 大型開発を見直して市民本位の市政への転換をとのことだが、全ての市民サービスをこれまでと同様に行うことは中長期的に困難であり、新年度予算編成でも市民生活への影響を考慮しながら、公共料金の適正化や施策の選択と集中を行い。真に支えが必要な人たちのために予算を配分するよう努める。

○ エアコン設置について
 普通教室へのエアコン設置を来年度予算に盛り込むことについてだが、本市の教育環境は様々な課題がある。先送りになっている老朽化対策やトイレ便器の様式化などを優先しており、エアコン設置は音楽室や特別支援学級、特別支援学校に設置していく。普通教室へのエアコン設置は、国に補助制度の改正を要望していく。

○ 庁舎建設について
 パブリックコメントは形式的・手続き的なものなのかとのことだが、今回のパブリックコメント手続きは、新庁舎建設の基本構想策定にあたり、その決定過程で市民から意見を聞くために実施したもので、修正すべきものは修正している。
 財政上の説明責任が果たされないまま進めるべきではないとのことだが、新庁舎建設に必要な概算費用は今後作成する基本計画で算定することになる。算定にあたり、検討状況を適宜公表し、まとめた基本計画に対するパブリックコメントを実施していく。算定した概算費用は、その後予定している基本設計、実施計画で精査することになり、各段階で市民や市議会に説明して理解を求めながら新庁舎建設を進めていく。
 財政が厳しい中で耐震補強にとどめることが、市民や職員を守ることになるとのことだが、現庁舎は防災面、分散化・狭隘化、老朽化の課題があり、耐震補強では分散化・狭隘化、老朽化に対応できない。だから、市民・職員を守るためにも防災面も含めた市役所機能を高めることができ、長期的に一番負担が少なくなる新庁舎建設を進めることにした。

○ 全国学力・学習状況調査の公表について
 市民への説明責任を果たすとともに各学校の自主的な授業改善を促す方策を議論する中で、私も意見を言ったが、教育委員会が公表の内容を検討し主体的に公表したものだ。

【藤代副市長】
○ 国保について
 国民健康保険料引き上げの見送りをとのことだが、高齢化や医療技術の高度化などで医療費が増加する中で、将来にわたり安定的に事業を運営するには、歳出に見合った保険料の改定はやむを得ないと考える。今後も、被保険者の負担増に配慮しながら、適切な実質収支の目安を設定し、条例の規定に基づいて保険料を改定していく。
 次に、国庫負担と繰り入れの増額で保険料の引き下げをとのことだが、本市の1人当たりの年間保険料は政令市平均を下回っており、現在も収支不足を補うため一般会計から繰り入れている状況だ。保険料引き下げのため繰り入れを増やすことは考えていない。なお、国庫負担の増額は引き続き強く要望していく。

○ 防災対策について
 地震ハザードマップの更新についてだが、現在公表しているハザードマップは、国の中央防災会議がH16年度に実施した「首都直下地震被害想定調査」と、千葉県がH19年度の実施した「千葉県地震被害想定調査」の結果を踏まえ、東京湾北部地震と千葉市直下地震を想定地震にし、揺れやすさ、地域の危険度、液状化危険度などを予測し、市民に地震への備えへの注意喚起を図るため、H20年度に作成したものだ。しかし、東日本大震災を踏まえ、中央防災会議が昨年12月に、首都直下地震の被害想定を見直したので、千葉県でも県内の地震被害想定調査を実施している。27年度末には、その被害想定が公表される予定だ。本市としても、県の被害想定を基に更に詳細な被害想定調査を実施して、新たな地震ハザードマップを作成していきたい。
 次に、避難所施設の充実と災害弱者対策についてだが、避難所開設時の初動対応で必要な食料・ペットボトル飲料水・毛布の備蓄、高齢者や乳幼児用の紙おむつなどを全ての避難所に配備した。今後、発災から3日間を目標に食料や飲料水、女性に配慮した備蓄品の配備も増強していく。トイレ対策も重要であり、非常用井戸がある小学校等にマンホールトイレを計画的に整備し、更に簡易トイレの備蓄増強で、想定避難者の60人に1基を目標に増強に努める。災害弱者対策では、本年7月施行の「避難行動要支援者名簿に関する条例」に基づき、10月から町内自治会等へ支援が必要な方の名簿提供を始めている。各地域で支援に必要な情報を記載した支え合いカードや、マップの作成など地域の実情に応じた取り組みを進めている。本市では、災害対策本部設置時には、要配慮者支援班を立ち上げ、庁内横断的な避難支援体制を構築し、民生委員・町内自治会等と連携し、要配慮者に関する情報の集約や福祉避難所との調整を行うなど、災害時の支援体制づくりを進めている。

○ 職員の時間外勤務について
 新仕事ダイエットの効果は、新対策実施後の平均時間外勤務時間数が11.8時間と、昨年同時期と比較し0.3時間減少しており、月に1回実施している完全消灯日も緊急の要務の職員を除き、ほぼ退庁しているので、一定の効果が出ていると考えている。また、今後の時間外勤務の縮減見通しは、国政選挙など突発的な対応もあり、一概には言えないが、引き続き職員の健康管理やワーク・ライフ・バランスの観点から、新仕事ダイエットを根付かせることで、時間外勤務減少に努めたい。

○ 公契約条例について
 公契約条例については、他自治体の条例制定状況や適用範囲・実績件数などを適宜情報収集を行っている。公契約条例を制定した自治体の状況を見ると、多くの契約が条例の適用範囲から除外され、効果は限定的になっている。昨年、札幌市では継続審議になっていた公契約条例が、同一労働同一賃金の原則に反するとして、業界団体等の理解が得られず撤回された。様々な課題があるものと考えている。
 次に、条例の制定についてだが、効果が限定的なため考えてはいないが、国では本年6月に建設業法等の一部を改正し、建設工事の担い手確保などを目的に、技能労働者等への適切な賃金支払いや社会保険加入の徹底など就労環境の整備への取り組みを開始しており、本市でもその対応を検討しているところだ。

○ 医療介護総合法について
 まず、法の施行が本市に与える影響とその対策についてだが、医療介護総合確保法は、高齢化の進展に伴い、慢性的な疾患を抱える患者や介護を必要とする方の増加が見込まれる中、効率的かつ質の高い医療提供体制や地域包括ケアシステムを構築することで、患者の早期社会復帰を進め、住み慣れた地域での継続的な生活を可能にすることを目的にしている。このため、高度な急性期医療が必要な患者に対し、質の高い医療の提供や退院後の生活を支える在宅医療や介護サービス充実とともに、在宅生活を支援する新たなサービスの実施など、地域で医療・介護を総合的に提供する体制を確保する必要がある。本市では、次期「高齢者保健福祉推進計画」で、あんしんセンターの増設や訪問診療を行う医師の育成など、在宅医療・介護連携の推進、地域での生活支援・介護予防サービスの提供体制整備などの取り組みを行い、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた自宅や地域で、自分らしい暮らしを人生最後まで続けられるよう地域包括ケアシステム構築を積極的に進めていく。

○ 敬老について
 まず、敬老会補助金についてだが、補助金は敬老会の開催を通じて世代間交流や地域コミュニティの活性化、高齢者の外出促進を目的にしているものだ。見直しにあたり、開催団体などの意見を踏まえて、基本的な考え方を維持しつつ、より多くの地域で敬老会を開催できるよう、現在不均衡の是正のため補助基準見直しを検討している。
 次に、敬老祝金についてだが、この事業の在り方を検討する際、本年4月から6月、民生委員・町内自治会長・老人クラブ会長・65歳以上の方に対しアンケート調査を実施した。今後、このアンケート調査の結果や他政令市の実施状況を参考に、本市の財政状況を考慮して、高齢者施策全体として総合的に事業の在り方を検討していきたい。

○ 障害者・高齢福祉施策について
 千葉県に対し、「一部負担金の導入中止」と「制度の対象年齢制限の中止」を求めることについてだが、県ではH24年の県議会での請願採択を受け、窓口無料化の検討を進め、県内の市町村、関係団体と協議した結果、窓口無料化と県内市町村への補助基準、一部負担金導入方針を決定したと承知している。本市の心身障害者医療助成制度の改正内容を検討し、県から交付要綱の詳細を示された際に、市として必要に応じて要望を行っていく。
 次に、65歳からの障害者への対応についてだが、障害者総合支援法に基づくサービスを利用する障害者が65歳に到達した場合、同法の規定で介護保険制度のサービスを優先して利用することになる。ただし、介護保険制度で支給されるサービス量が不足する場合や、利用するサービスが介護保険にない場合は、引き続き障害者総合支援法のサービスを利用できるようになっている。現在、国が介護保険制度を優先して適用することを「介護保険制度における負担と給付の考え方、障害者とそれ以外の方との公平性、給付に係る財源のあり方などを含め、総合的かつ慎重な検討が必要」としており、その動向を注視していく。
 次に、特別養護老人ホームなどの整備についてだが、県企業庁からは「事業終結となるH27年度末までに、医療施設や高齢者福祉施設等の整備を条件として、当該地における事業者の募集を行う計画」だと聞いている。本市では、企業庁との情報交換で、当該地の面積や周辺地域の状況を踏まえ、定期巡回・随時対応サービスなど地域密着型サービスを併設したサービス付き高齢者向け住宅の整備などが考えられる旨、情報交換したところだ。

○ 子どもの貧困対策について
 まず、本市の子どもの貧困率についてだが、国民生活基礎調査は全国ベースでの調査であり、市の貧困率は把握していない。
 どう対策を講じるのかとのことだが、貧困は子どもたちの生活や成長に様々な形で影響を及ぼすため、成育環境を整えるとともに、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、(1)教育支援として、生活困窮世帯等への学習支援、(2)生活支援として、ひとり親家庭対象に土日夜間の電話生活相談、(3)保護者の就労支援として、母子・父子の自立に向けた支援プログラム策定、(4)経済的支援として、12月から児童扶養手当支給対象を公的年金受給者まで拡大、などの事業を実施、今後も総合的に取り組んでいく。
 次に、子どもの血色状態解消の対策が必要ではないかとのことだが、子どもの望ましい食習慣や生活習慣の形成は、子どもの健やかな発育・発達のために重要であり、個々の家庭の事情で左右されないよう取り組む必要がある。子どもの現状を把握し、スクールソーシャルワーカーや家庭児童相談員等を活用した教育と福祉の連携を組織的に行い、学校・家庭等の協力で対策を検討していきたい。
 次に、学習するための支援についてだが、現在、生活保護受給世帯及び生活困窮世帯の中学2年生と3年生を対象に実施している学習支援事業は、H27年度以降、国庫補助が2分の1になる見込みだが、貧困の連鎖からの脱却に重要な事業だと認識しており、国の予算編成の動向を注視しつつ必要な対応を図っていく。また、大学等の進学機会の保障、貧困世帯への経済的支援は、ひとり親家庭には、子どもの進学のための資金貸付事業や医療費助成等を実施しており、今後も子どもの成長や家庭状況に応じた支援を行っていく。

○ ごみの減量化について 
 まず、焼却ごみ量25万4千トン以下が達成できるのかについてだが、事業系ごみは増加傾向だが、家庭ごみを合わせた焼却ごみ量では、H26年4月から11月までは前年同期比で9千トン、率で5.2%の削減だった。今後もこのペースで維持できれば、今年度の焼却ごみ量は25万4千トン以下にできると考えている。
 次に、ごみ出し支援事業の拡大についてだが、本年2月の制度開始以降も障害者団体や老人クラブ等を通じてごみ出し事業の周知を行い、登録団体の増加や利用世帯の拡大するよう、事業についての問い合わせや相談があった町内自治会に対し、個別に説明するなど働きかけを行っている。また、10月に開催した廃棄物適正化推進員研修会で、実際に活動している団体の事例を紹介している。登録団体及び利用世帯は徐々に増加している。ごみ出し支援が必要な方が、本制度を利用できるよう、市政だよりやホームページ等でごみ出し支援制度を周知し、福祉団体等と連携して様々な機会に説明会開催のチラシを配布するなど、事業の周知徹底に努めていく。
 次に、志布志市から何を学ぶのかについてだが、志布志市は、ごみ焼却場を持たず「協働」と「面倒くさいのススメ」をキーワードに、徹底した分別・資源化で埋め立てごみの減量化に努めていることは承知している。本市でも5種19分別と古紙・布類の集団回収、生ごみ分別収集特別地区事業、使用済小型家電の拠点回収、今年8月からは廃食油回収、再資源化支援事業を開始し、分別徹底に取り組んでいる。焼却ごみ削減は、市の取り組みだけでは実現できず、市民・事業者と一体での取り組みが必要だと考えている。今後も市民・事業者との協力・連携で徹底した分別に取り組み、焼却ごみ削減を図っていく。
 次に、粗大ごみの再利用・生ごみ・プラスチックの分別などにより、最終処分場の延命化を図ることについてだが、粗大ごみを含めた不用品は、各区役所にあるリサイクル情報コーナーや市のホームページのリサイクルショップガイドなどで、再使用を推進している。また、生ごみでは、家庭用生ごみ減量処理機購入補助制度の拡大、段ボールコンポストの普及などで、生ごみの減量・再資源化に努めている。プラスチック製容器包装は、法改正の内容を見極め、焼却ごみ削減状況と費用対効果を勘案し、総合的な視点から検討していく必要がある。本市ではちばルール協定店と連携したキャンペーン等で、食品トレー等の店頭回収への協力を呼びかけている。今後も、市民との協力・連携を深め、分別徹底・再資源化を推進し、本市唯一の新内陸最終処分場の延命に取り組む。

<2回目>

○ 子ども・子育て支援制度について
 まず、保護者の疑問に答える説明会の開催についてだが、今後もホームページなどを活用し、広く情報提供していく。保護者からの個別の問い合わせには的確に分かりやすく対応し、疑問の解消に努めていく。また、幼稚園・保育所・保育園等から保護者への説明を求められたら、内容に応じて説明会開催など対応方法を検討していく。
 次に、整った環境で保育する重要性についてだが、本市では保育の環境を整えるため保育所や地域型保育事業についても国基準に上乗せした認可基準を定め、現状にとどまることなく保育環境の向上に努めていく。
 庭のある保育所で子どもたちが過ごせる環境の保障をとのことだが、園庭のない保育所は自然環境豊かな近隣の公園を利用し、季節の変化や豊かな感性を育むなど状況に応じた創意工夫で、保育の質確保に努めている。

○ 国保、医療・介護について
 国保料の引き下げについてだが、医療費が増加する中で、将来にわたり事業を持続可能なものにするには、歳出に見合った保険料確保が必要であり、改定はやむを得ない。本市は、法定軽減の外、一定の所得以下には独自に減免も行っており、被保険者の負担増に配慮しながら、条例に基づき改定していく。
 医療介護総合法改正での問題点の改善を国に求めるべきとのことだが、この法改正は持続可能な社会保障制度の確立へ地域包括ケアシステムの構築などで、地域の医療や介護の総合的に確保するものだ。本市は、医療・介護サービスの需要が急増すると見込まれる中、ニーズに合わせた必要なサービスを提供できるよう体制を整備する。
 本市では、H28年度から現行の訪問介護と通所介護に相当するサービスは維持しつつ、総合事業で新たなサービスを段階的に開始し、H29年度に総合事業へ全面移行する方向で検討している。サービスの変更内容や総合事業移行スケジュールは、市民説明会などで丁寧に説明し、理解を得るよう周知に努める。

○ 敬老について
 敬老会は長年社会に尽くされた高齢者を敬愛し、長寿を祝うため高齢者が一堂に会し、地域で楽しんでもらう大切な行事だ。可能な限り多くの高齢者に参加してもらえるよう補助基準の見直しを検討しているところだ。
 敬老金については、アンケート調査で65才以上の高齢者や民生委員、町内会長、老人クラブ会長、インターネットモニターなど様々な方に行ったので、市民の意見を幅広く聞いたものだ。アンケート結果を参考にするなど、今後の高齢者施策の中で事業の在り方を総合的に検討していく。

【鈴木副市長】
○ 第2次実施計画について
 検見川・稲毛土地区画整理事業地内の多目的ホールの設置を計画に盛り込むことについてだが、第2次実施計画事業では、「検見川稲毛土地区画整理」の中で、「事業区域内未利用地の有効活用の検討を進める」としており、地域の意見も勘案しつつ当該地域に貢献できる活用方法を庁内で検討・調整していく。

○ 家庭ごみ有料化について
 小規模事業者の支援についてだが、小規模企業振興基本法に基づき、今月10月3日に閣議決定された「小規模企業振興基本計画」で、(1)需要を見据えた経営の促進、(2)新陳代謝の促進、(3)地域経済に資する事業活動の推進、(4)地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備の目標を設定し、10の重点施策を実施することにしている。特に、地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備を重点施策とし、地域経済団体の商工会・商工会議所は、特徴である伴奏型支援を活かして、小規模企業の目線できめ細かな支援が必要となっている。また、高度で専門性の高い経営課題に対する支援体制を各都道府県に1か所設置し、千葉県では県産業振興センターが受託する「よろず支援拠点」の知見を活用する。

○ 農業問題について
 国にコメの直接支払交付金を元通り支払うよう求め、市として農家への支援策を講じるべきについてだが、国はコメの直接支払交付金の現行制度を見直し、日本の生産資源である水田を最大限有効活用するのは重要だ。需要に即した主食用米の生産を進めつつ、資料米や加工米など多様な米生産振興を図り、小麦・大豆など多くを海外からの輸入に依存する品目の作付けを拡大する取り組みを進めることにしている。この状況から千葉県のH26年産コシヒカリの概算金は60kg当り、前年比で2,700円下落、過去最低の水準となっている。よって、県市長会と町村会ではH26年11月28日付で、農林水産大臣に「米の重要と価格安定対策に関する緊急要望」を提出し、稲作経営の安定と体質強化に向け、早急な対応を要望している。市は、経営所得安定対策の効果的な活用で、水田農家の支援に取り組んでいく。

○ デマンドタクシーについて
 まず、新年度予算にデマンドタクシーの計上をとのことだが、デマンドタクシーは超高齢化社会が進む中で、公共交通手段の1つと認識しているが、導入には地域の特性や利用者の目的、利用頻度、先進事例での採算性など調査が必要だ。また、地域住民自らがこの交通手段を積極的に利用し、維持していく意識づくりが重要であり、十分な検討のうえでの判断になる。
 次に、行政負担での実施をとのことだが、千葉市の交通政策の基本は「市総合交通政策」の中で、都市内交通での公共交通の維持負担については検討しており、運行経費は地域住民が公共交通への意義や重要性を十分認識してもらうため、地域住民の負担を前提に行政の補助を位置付けている。

○ 住宅リフォーム助成制度について
 住宅リフォーム制度の実施を県に求めつつ市独自にも整備をとのことだが、本市では安全・安心など公益性の観点で、住宅の耐震化などに助成しているが、一般的な住宅リフォームは本来、所有者の責任で実施すべきであり、本市での住宅リフォーム制度や県への働き掛けは考えていない。

○ 区画整理事業について
 移転補償のため予算を増額すべきでは都のことだが、市施行の土地区画整理事業は、各地区の整備進捗を勘案し、都市計画道路など重要な公共施設整備を優先し、地区の実情を踏まえて効果的な事業推進に必要な家屋移転などの事業予算の確保は、引き続き努力していく。

○ 冠水しやすい場所への対策について
 現在、大雨が予想された時には、過去に道路冠水が発生した地区を事前にパトロールし、側溝や集水桝の詰まりを点検し、落ち葉などの除去や集水桝のごみ除去への協力を地域住民に依頼するシールや集水桝の位置を示すポールを設置している。その他の地区でも、落ち葉などで集水桝の閉塞の恐れがあり、市政だより等で、住民にごみ清掃の協力を呼びかけている。今後も、自動車の水没事故など冠水被害軽減につながる側溝清掃に対応できるよう、予算や体制の確保に努めていく。

<2回目>

○ 環境問題について
 区役所のリサイクル情報コーナーはネットなどで写真を入れるなど工夫すべきとのことだが、各区役所に設置している情報コーナーに、譲ってもらえる品物の写真を掲載できるよう改善方策を検討していく。
 次に、3Rの徹底で更なる減量をとのことだが、3Rの実践はごみ減量に大きな効果が期待できるので、本市でも今年度から市民説明会「ごみ減量講習会」を開催している。また、生ごみ資源化アドバイザー派遣事業やちばルール協定店との合同キャンペーンを開催した。さらに、ごみ減量ボランティアグループやNPOなどとも連携し、イベント・キャンペーンなどを開催し、多くの市民や団体に3Rの考え方を普及啓発していく。
 市民との協力で減量を進めるべきだとのことだが、焼却ごみ削減のためには市民と事業者の理解と協力は不可欠だ。市民と事業者の協力・協働を深め徹底した分別で焼却ごみ削減を図っていく。

○ デマンドタクシーについて
 地域住民に負担させず行政が実施すべきとのことだが、「千葉市総合交通政策」では、地域住民が地域の交通を支えるとの視点にたっている。まず、アドバイザー制度を活用し、意識醸成や採算性などを分析して、地域住民と一緒に検討していきたい。

【斉藤病院事業管理者】
○ 青葉病院の病床閉鎖の解消について
 H21年12月から夜勤可能な看護師不足で、1病棟45床を休止していたが、既卒者を対象に採用試験を毎月実施し、本年10月1日より個室を中心に休止病床の一部を再開した。また、新卒者対象の定期試験を年度内に5回予定しているが、11月末までに4回実施した結果、採用予定者数は67人で、既卒者と合せて今年度採用目標の80人を超え83人確保している。なお、今年4月採用予定の新卒者が病院内の教育研修期間を経て、夜勤可能となる7月以降に休止病棟の全面的再開が可能となる。
 次に、がん末期の患者が安心して入院できる対応をとのことだが、現在の医療制度での緩和ケア病棟は、がん患者などを対象に病気や治療での苦痛を和らげることと、精神的不安の解消や生活上の課題解決などをサポートするもので、この中には治療困難ないわゆる「ホスピス」もある。青葉病院や千葉大病院などの緩和ケア病床を設けている病院もあるが、青葉病院の場合は緩和ケア病棟として医療制度上に位置づけられたものではなく、あくまで一般病床を活用するもので、苦痛症状の緩和などの医療的なケアが目的で、症状が落ち着いた場合は在宅へ移行することになっている。また、緩和ケア病棟には患者1人当たり床面積・患者専用の台所、家族控室の設置など施設の基準があり、両市立病院の既存の病棟の転換は困難だ。なお、私は終末期の医療については人間としての尊厳を考慮すことが大切だと考えているが、がん患者に限らず死生観・終末期医療について、社会的な議論が必要だと考えている。

【志村教育長】
○ 中学校の教科書採択について
 千葉県教育委員会から考慮すべき事項として、判断基準への介入はあってはならないとのことだが、本市では文部科学大臣の検定を経た教科用図書の中から独自の観点を設定し、本市の児童生徒に最も相応しい教科用図書を教育委員会会議で公平・公正に採択している。義務教育諸学校でも関連法に基づき採択している。
 次に、教科用図書採択にあたり、過去の歴史について正しい歴史認識の育成へ、現場の声を反省させるべきとのことだが、本市では教科指導に関して豊富な経験を有し、教科用図書への識見を有する校長や教員からなる専門調査員会で、対象の教科用図書を調査研究し、その結果を選定委員会に報告し教科用図書の採択にあたっている。この調査研究過程で、教員の意見は十分に反映されていると考える。

○ トイレの様式化と温水洗浄便座の導入について
 トイレの様式化と温水洗浄便座の導入についてだが、本市では温水洗浄便座が必要な障がいがある児童生徒の在籍または入学予定がある場合に設置している。

○ 道徳の教科化について
 教科書を作成し特定の価値観を教え込むこと、国家が定める愛国心などの価値観を押し付けることになるとのことだが、本年10月21日に中央教育審議会が答申した「道徳に係る教育課程の改善等について」では、道徳教育では、人として生きる上で重要な様々な道徳的価値を、発達段階に応じて学び理解すること、複雑な具体的事象に多角的に考え、判断し行動するための資質・能力を養う、などと示されている。また、検定教科書が供給された後も、内容を一方的に教え込むのは不適切であり、教科書だけを使用せず、教材の開発・活用に努めることなどが示されている。
 今後、中央教育侵害で検討されている道徳教育の目標や内容を注視していく。

<2回目>

○ 全国学力・学習状況調査の公表について
 結果の公表を教育委員会は学校現場にどんな説明をしたかについてだが、公表にあたり、学校の序列化や過度な競争が生じないよう教育上の効果や影響に配慮するため、事前に全校に資料を配布した。(1)全国学力・学習状況調査で測定できるのは学力の特定の一部である。(2)学校の経年推移は、出題問題が毎年異なり調査母体が異なることから単なる傾向を表したものであることを明記した。同時に事前に千葉市校長会で趣旨を説明し、校長を通じて各学校の共通理解を図っている。
 学校現場と保護者に混乱を招いていないかとのことだが、今回の公表で保護者・市民への説明責任を果たし、各学校で自主的なPDCAサイクルの確率で、保護者からも理解を得られていると捉えている。今後も、学習指導を核にした研修の充実で、分かる授業の推進を図り、学校・家庭・地域連携で児童生徒の生きる力を育んでいく。