ふくなが洋議員の代表質疑に対する答弁



2015.2.20

【市長答弁】
○ 市長の基本姿勢(国政との関係)について

 過激武装組織「イスラム国」による日本人人質事件についての見解についてお答えします。
 千葉市民を含む2人の日本人が殺害されたと見られる映像が公開されたことについては、どのような主張があるにしろ、このような犯行グループの行為は到底許されるものではなく、強い憤りを覚えます。ご家族の心痛を思うと言葉もありません。
 市としましては、関係機関と協議しながら、必要に応じ、ご家族のケアに配慮して参ります。
 次に、総選挙の結果と国政についてお答えします。
 まず、総選挙の結果と安倍政権の評価についてですが、与党が公示前と同じ3分の2を超える議席を維持したものであり、これが国民の判断であったと認識しております。このことにより、引き続き、安定した国政運営が可能となりましたが、消費増税を先送りしたことによる社会保障制度などへの影響を最小限にするなど、諸課題の解決の全力で取り組むことを期待しております。
 次に、沖縄県の選挙結果については、一括してお答えします。
 沖縄の基地問題は、我が国における重大な安全保障問題である一方で、住民の生活に極めて大きな影響を及ぼす問題であることから、国には住民の理解と協力を得るため、地方自治体と十分連携して取り組んでいただきたいと考えております。
 次に、安倍政権が進める政策について、まず、国民の意思に背くのではないかとのことですが、選挙で有権者がそれぞれの判断基準に基づいて投票行為を行った結果だと思いますので、政府においては、今回の選挙結果を受けて、経済再生、社会保障制度など諸課題に全力で取り組んでいただきたいと考えております。
 次に、増えたのは非正規のみで市民の暮らしは良くならないのではないか、貧困と格差の拡大が広がっていると考えないのかとのことですが、貧困と格差の拡大は、市民の皆様の暮らしにとって大きな影響を及ぼすものと認識しております。私は、今後も市民生活の向上に全力で努めて参ります。
 次に、政党助成金については、一括してお答えします。
 政党助成金制度は、議会制民主政治における重要な課題として、国政の場で議論がなされるべきと考えております。
 次に、市長の説明責任を果たすべき内容について、まず、収支報告書における寄附についてですが、法人・団体から寄附を受けたものではなく、個人から受けたものであり、違法なものとは考えておりません。
 次に、自らの政治団体に寄付をする必要性についてですが、人件費、事務所費などの経常経費や政治活動費に充てるため、寄付したものです。
 次に、政府予算と千葉市政についてお答えします。
 まず、所得の再配分こそ政府予算の本来の役割では、とのことですが、所得格差を是正するため、個人については所得税の累進課税を実施しているほか、法人税については平成27年度税制改正において、地域経済を支える中小法人への影響に配慮し、大法人を中心に課税ベースを拡大するなどの法人税改革がされております。こうした措置を講じた上で、社会保障の充実や低所得者への支援など所得の再分配を実施することは、政府予算の重要な役割の一つであるものと承知しております。
 次に、消費増税分が社会保障財源と言えないのではないか、とのことですが、国の新年度当初予算においては、消費税率引き上げによる増収分8.2兆円について、子育て支援や医療・介護をはじめとした社会保障のさらなる充実のほか、高齢者等の自然増により増加する既存の社会保障費へ全額を充当することとしており、社会保障の充実・安定化に活用されているものと考えております。
 次に、生活保護で「住宅扶助」「冬季加算」を削ることへの見解についてですが、今般、国においては、社会保障審議会生活保護基準部会の報告を踏まえ、最低生活の維持に支障が生じないよう必要な配慮をしつつ、住宅扶助基準、及び冬季加算の見直しを行う予定であります。なお、現時点では具体的な基準額等の詳細は示されておりませんので、今後も国の動向を注視し、適切に対応して参りたいと考えております。
○ 新年度予算について
 まず、敬老祝金についてですが、制度の見直しにあたっては、今後、見込まれる対象者の増加や、医療・介護などの財政需要への対応、平均寿命の延伸による長寿の概念の変化等を考慮するとともに、民生委員、町内自治会長、老人クラブ会長、65歳以上の高齢者等へアンケート調査を実施し、各政令指定都市の実施状況なども参考としたところです。今後、高齢化が更に進展し、医療・介護などの関連する施策への財政需要が大きく増加する中で、敬老祝金制度の見直しはやむを得ないものと考えており、今後ともすべての高齢者の方が、住み慣れた地域で安心して住み続けることができるよう、必要な施策の充実に努めて参ります。
 次に、市民の願いが反映された事業のうち、成人用肺炎球菌予防接種費用の助成額の引き上げについてですが、接種費用7,972円のうち、自己負担額について、これまでの4,700円から、新年度には3,000円に引き下げ、接種の一層の推進につとめることとしております。この助成は、政令市では横浜市と並んで最も手厚いものとなることから、現段階では自己負担額のこれ以上の引き下げは考えておりません。
 次に、心身障害者医療助成の制度改正についてですが、千葉県では、平成27年8月からの現物給付化とともに、県内市町村への助成基準に一部負担金等を導入する方向で、今後速やかに交付要綱を決定する予定となっております。
 本市といたしましては、県の動向に留意しながら心身障害者医療費助成の制度改正に向けた検討を行っており、今後正式に決定される県の交付要綱を踏まえ、本市としての方向性を定めて参ります。
○ 本庁舎建設について
 まず、建設費用や計画が出されたが、かなりの増額となるのではないかについてですが、新庁舎の建設に向けた本格的な検討は今年度から始めたところであり、昨年11月に策定した基本構想に基づき、現在、基本計画(案)を作成しております。
 建設費用につきましては、基本計画(案)において整理しております「新庁舎に必要となる機能や規模」に基づき、建物配置により3つのモデルプランごとに算定したもので、現時点で298億円前後を見込んでおります。平成24年度の基礎調査における新築した場合の事業費は本庁舎の整備手法を比較・検討するため算定したものであり、その後、規模の変更や地盤改良工事の追加、建設資材の上昇、消費税率の改定など、算定にあたっての前提条件や社会経済情勢に変化があったことから、一概に比較することはできませんが、単純に差し引きしますと約64億円の差となっております。
 次に、市民の暮らしを優先し、耐震補強にとどめ、庁舎建設はオリンピック以降にすべきではないかについてですが、現庁舎を耐震補強した場合では、分散化・狭隘、老朽化の課題は解消されず、年間約6億円もの賃貸料負担や、築44年を経過したことによる多額の維持管理経費の負担が今後も見込まれます。このため、市役所の機能が最も高められ、かつ長い目で見て一番費用負担が少なくなる方策である新庁舎建設を進めることとしたものです。事業を進めるにあたっては、社会経済情勢の変化等を留意しながら適切に対応して参ります。
○ 大型開発について
 次に、人口減少の具体的な見通しと本市の進むべき方向性について、質の高い地域づくりを目指すべきとのことですが、本市の総人口は、平成32年をピークに減少し、人口構成では少子超高齢化がさらに進行する見通しとなっております。そうした中、新基本計画において、人口減少・少子超高齢化を迎える社会にあっても、持続可能な都市運営を進めるため、都市構造のあり方として、中長期的な展望のもと「集約型都市構造」への転換を示したところであり、この方向性を踏まえ、現在、本市の具体的な将来像を示す「都市計画マスタープラン」の見直しを進めているところであります。
 また、新基本計画に示す3つの「実現すべきまちの個性」の実現のため、重点的・優先的に取り組む具体的な事業を示す「第2次実施計画(案)」を策定し、人口減少・少子超高齢化など社会環境の変化を踏まえたうえで「『まちづくりを支える力』を高める」「行財政改革への取り組み」「特性や魅力を高め、未来へつなぐ」「安全・安心のまちづくり」という4つの視点から、的確に事業を位置付け、これらの事業を推進することにより、持続可能な都市づくり、質の高い地域づくりに取り組んでまいります。
 次に、大型開発を見直し、地域密着、防災・維持管理優先の公共投資を行う時ではないかとのことですが、大型開発につきましては、これまでも緊急性・必要性の観点から、可能な限りの見直しを実施する一方、道路の新設・改良など地域に密着した公共事業や、耐震補強・老朽化対策など、公共施設の防災対策や保全改修について、必要な予算を配分してきたところであり、これらの事業につきましては、今後も事業費の確保に努めてまいります。特に雇用の確保については、若い世代が安心して働くことが出来るよう、本市の地域資源を活用しながら、地域経済に新たな付加価値をもたらす産業・事業の育成や、さらなる企業誘致の推進などに取り組むとともに、企業ニーズに合わせた人材供給を促進するよう、市内大学や企業との連携など、人材確保・育成に係る取り組みを強化してまいります。また、本市を含む大都市圏では、急速な高齢化が進行し、医療・介護ニーズの増大が想定されるため、在宅医療を含む医療・介護連携体制を整備するなど、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みや、健康寿命延伸のための施策を推進し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。
 次に、見通しのない大型開発にかかわる問題についてのうち、所管についてお答えします。
 まず、蘇我スポーツ公園第2多目的グラウンドの整備についてですが、蘇我スポーツ公園は市民のスポーツ振興と健康づくりの拠点として、多くの市民が利用できるよう、多目的グラウンドや広場を整備しており、全国的な大会から地域のスポーツイベントを通じ、幅広い世代の多くの人々に利用され、市民の健康増進やレクリエーションに寄与しております。また、平成25年度には、9都市県市合同防災訓練の主会場として周辺自治体との連携を図るなど、大規模災害時の広域防災拠点としての重要な位置づけとなっております。平成26年度の進捗率は施設整備、用地買戻し共に約7割に達する見込みであり、平成33年度末の事業完了に向け、引き続き事業を計画的に進める必要があると考えております。
 次に、A棟の現在の経営状況についてですが、A棟の内、権利者ビルであるA3棟の千葉市所有床の経営状況については、平成27年3月末見込みで、賃料収入が約7,500万円、ビルの維持管理費などの支出が約6,500万円で、年間の収支は約1,000万円の黒字となります。なお、平成27年2月末現在のA棟の入居状況については、A1棟(現ウエストリオ3、フコク生命ビル)が90%、A2棟(現ウエストリオ1、ホテルサンルート)が100%、A3棟(現ウエストリオ2、権利者ビル)が81%で、そのうち千葉市所有床は66%の入居率となっております。
 次に、B棟については市民の願いに応えたまちづくりになるのかについてですが、今回の計画は事業協力者からの提案であり、健康・福祉を実現するまちづくりをコンセプトに、高齢者でも利用しやすい駅前という利便性を活かして、駅に直結した総合病院を中核に、医療関連施設や周辺住民の利便施設等を複合的に計画しており、西口駅前の更なる賑わいづくりに期待できるものと考えております。
 次に、千葉駅東口開発についてお答えします。
 まず、総事業費、再開発事業の目的についてですが、総事業費については、現段階においては約153億円を予定しております。
 再開発事業の目的についてですが、当該事業は、県都千葉市の中心市街地への玄関口の整備であり、老朽化した既存建築物を再編することにより、防災性を向上させると共に細分化された街区を一体利用し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図り、賑わいを創出することで、駅前の活性化や市民の利便性の向上、良好な都市環境の形成をはかることを目標としております。
 次に、駐輪場の廃止についてですが、当該再開発事業とあわせて、駐輪場の再編や駅前広場の改修を行うことで、駅前広場の歩行者空間の改善や、駅前地下歩道の更なる有効活用、並びに、土地の有効利用を図るものであります。なお、駐輪場については、駐車台数を増やして駅前地下歩道内に移設することとしております。
 次に、市の負担額についてですが、国庫補助金を活用し、再開発組合へ事業費の一部を助成することとしており、補助対象額は約24億円を予定しております。また、この内訳としては、国、市、組合の3者で3分の1ずつ負担するため、本市の負担は約8億円を予定しております。
 次に、市民の意見・要望にもっと耳を傾けることについてですが、現在まで、事業計画の作成にあたっての説明会の開催や隣接する商店街との意見交換を行ってきております。今後、都市計画法に基づく手続きの中で、計画案の縦覧を通して、市民の意見を聞いてまいりますが、現在、JR千葉駅の建替え工事などが進められている中、駅周辺にリニューアルが求められており、本地区は本市の顔となる再開発であるとともに、駅前に更なる賑わいを創出し、後背地への波及が期待される、市としても必要な事業であると考えております。
○ カジノ誘致について
 次に、IR問題についてお答えします。
 はじめに、千葉県が総合リゾートの誘致検討を今年度限りで中止する方向に対する見解についてですが、千葉県では、本年1月、今年度実施した「IR導入検討基礎調査」の結果について、各市町村に対する説明会を開催し、その中では直接、誘致検討を中止する旨の説明はありませんでした。同説明会では、各市町村がIRの導入について検討する際の一助となることを念頭に、世界のIR先進事例を踏まえ、IR導入の経済効果やギャンブル依存症リスクなどの負の影響と対応状況、また、千葉県の特性を活かした具体的なIRパターンなどと共に、地域住民との合意形成の重要性や、調査報告書を有効に活用してほしいとの説明があったところであり、本市として、この調査報告書も参考にしてまいりたいと考えております。
 次に、市の報告書の経済効果と、その根拠の正当性についてですが、本市が、昨年12月に公表いたしました「幕張新都心におけるIR導入可能性調査」の調査報告書における経済効果については、参考となり得る海外事例や各種調査結果などから、想定されるIR施設の規模や来場者数、利用単価など、一定の条件設定の下で試算したものであります。
 次に、千葉市はカジノについて規制するべきであり、誘致は止めるべきではないかについてですが、本市では、今年度の調査結果について、本年1月、市民報告会を開催すると共に、アンケート調査も実施し、幕張新都心におけるIR導入について、賛否も含めて様々なご意見を頂いたところであります。今後は、市民報告会でのご意見などを踏まえ、引き続き、地域住民の皆様などと意見交換や情報共有などに努めるとともに、IR推進法案に係る国の動向を注視してまいりたいと考えております。
○ 地方創生について
 まず、道州制は地方向け予算削減を目的とするものではないかについてですが、昨年5月の第31次地方制度調査会に対する諮問は、個性を活かし自立した地方を作る観点から、人口減少社会に的確に対応する三大都市圏及び地方圏の地方行政体制のあり方等について、調査審議を求めたものであり、その議論の中では、人口減少社会への的確な対応のために必要な施策及びそのために見直しが必要な地方行政体制などが審議項目案となっております。
 次に、行政コストを引き下げるためにコンパクトシティを考えているのではないか、とのことですが、本市においては、人口減少や少子超高齢化などの社会構造の変化やこれに伴う課題などを背景に、中長期的な展望のもと、居住や商業・医療・福祉など都市機能を集中し、公共交通ネットワークで結ばれた複数の「機能を集約する拠点」が適切な分担のもとで連携する、多心型都市構造など、「広がりをコンパクトにした都市づくり」を目指しており、これにより、市民生活に必要な諸機能が近接した、市民がより安全で快適に住み続けることのできる「まち」と効率的な都市経営の両立を図ってまいりたいと考えております。
 次に、人口減少の原因をどう捉え、それを踏まえ、雇用や医療介護、地方創生にどう向き合うのかについてですが、将来人口推計においては、人口減少の原因は少子超高齢化を背景とした自然動態の減少によるところが大きく、今後、更なる減少幅の拡大が懸念されており、これに歯止めをかけることが、特に重要であると共に、引き続き人口構成バランスを考慮し、若年世代の流入を即寸する必要があると考えております。そのため、若い世代が安心して就労し、結婚し、妊娠・出産・子育てができる社会経済環境の整備が求められており、これまで、子育て支援策や雇用の創出につながる企業誘致等の取り組みを積極的に推進してきたところでありますが、「地方創生」の取り組みを進める中で、より一層これらの施策を推進してまいります。
 次に、国の緊急経済対策に基づく「地域消費喚起、生活支援型」の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」についてですが、同交付金につきましては、国から示された考え方において、地域における消費喚起効果のある事業に的を絞る観点から、原則として主に個人への直接給付となる、プレミアム付商品券等の消費喚起効果の高いものが推奨されており、低所得者向け商品やサービス購入費への助成は、プレミアム付商品券の発行が困難な場合のみとするなど、事業の実施手法が制限されているところであります。これを踏まえた本市の具体的取り組みについてですが、一つに、広く一般的な消費を喚起することを目的として、プレミアム率を20%とする地域経済活性化商品券を総額30億円発行いたします。二つに、人づくりや健康づくり、さらに本市の各種施策の推進にも資するために、商品・サービスを公募・選定のうえカタログに掲載し、そのサービス等を50%の割引率で購入できる、ひとづくり応援カタログ商品券を、総額6億円発行することとしております。
○ マイナンバー制度について
 医療等番号制度についてですが、国においては、昨年12月に「医療分野における番号制度の活用等に関する研究会」の中間まとめが発表され、番号のあり方について、個人情報保護を含めた安全性と、効率性・利便性の両面が確保された仕組みについて検討がなされております。本市としては、医療保険制度を安定的に運営していくために、国民健康保険料などの徴収対策の強化や、検診結果を活用した医療費の適正化を進めているところであり、今後とも、マイナンバー制度等の動向を注視しながら、必要な施策を実施して参ります。
 マイナンバー制度は、市民の利益に反する制度ではないのかについてですが、本制度は、複数の機関に存在する個人情報を同一人の情報であるということを確認するための基盤として、行政手続きの簡素化などによる国民の利便性の向上が図られるようにするとともに、行政運営の効率化、社会保障及び税制度の公平な給付と負担を実現するために、国が制度設計を行い導入するものです。このため、本市としては、マイナンバー法に規定されたマイナンバーの利用範囲内で、市民にとってのメリットを最大限活かせるよう、市民サービスの向上に努めて参ります。
 次に、マイナンバー制度において国が直接国民の個人情報を把握することになれば、市町村の役割は何が残るのかについてですが、本制度において個人情報の管理は、従来どおり核市町村が行なうことになります。また、ほかの行政機関等の個人情報が必要となった場合には、マイナンバー法で定められた情報に限り、その都度照合・提供を行うことができる仕組みとなっております。このため市町村は、住民の暮らしを支える対人サービスを持続可能な形で提供していく役割を引き続き担うとともに、個人情報の取扱いにおいて、住民が不安を感じないように情報を取り扱う仕組みを自ら評価をし、外部の有識者による点検を受け、適正な管理を行う役割も担うこととなります。

<2回目>

○ 選挙結果と安倍政権の評価について
アベノミクスの評価についてですが、
 アベノミクスは、いわゆる「3本の矢」と呼ばれる経済政策により進められておりますが、まず、「金融政策」には一定の効果は認められるものの、大規模な金融緩和の「出口問題」は大きな課題であり、また、「財政政策」については経済の成長力底上げと、持続可能な経済成長を志向した一連の取組みを評価するものの、投じた金額に見合う効果が出にくくなりつつあり、財政赤字の拡大という副作用を生じさせた面もあるものと考えております。そして、「成長戦略」については、地方にその効果を波及させるべく「地方創生」の取組みを、今まさに進めている最中にあると認識しており、本市としても、国の緊急経済対策の活用や「地方創生」の取組みと呼応・連携するなどにより、地域に景気回復、好循環を根付かせることができるよう努めて参ります。
 次に、トリクルダウンの考えについてですが、先日の参議院予算委員会において、安倍首相も、いわゆるアベノミクスが「トリクルダウン理論」とは異なる旨の答弁しているところではありますが、私自身もこの理論に積極的に賛同するものではありません。本定例会に提案した補正予算にもありますように、子育て世帯や若年層を中心としつつ、生涯にわたる「ひと」への投資を積極的に行うとともに、本市の特性を生かした都市、持続的な都市、持続的な地域社会を目指して参ります。
 次に、沖縄の総選挙結果についてですが、首相と沖縄県知事の間で、どのような日程調整がされたのかを把握しておりませんので、コメントする立場にはありませんが、国には、地方自治体と十分連携して取り組んでいただきたいと考えております。
○ 市長の政治姿勢について
 次に、具体的に貧困と格差解消にどう取り組むのかについてですが、平成27年度を初年度とする第2次実施計画では、高齢者が地域で安心して暮らせる仕組みづくりや、子育て支援や教育などの未来の人材を育成する取組みなど、市民福祉の向上のつながる事業などを実施することとしております。また、地方創生の取組みとして、平成27年度中には、本市の実情・課題を踏まえ、地域経済活性化や雇用創出、出産・子育て等に関する具体的施策を盛り込んだ「地方版総合戦略」を策定することとしております。今後は、これらの戦略や計画に基づく各種事業を着実に推進することにより、市民福祉の向上と地域経済活性化を図り、市民の皆様の暮らしを守って参ります。
 次に、収支報告書における寄附についてですが、寄附は個人から受けたものであり、収支報告書において、その内容を適切に記載し、公開することで透明性を図っており、条例の目的や政治倫理基準に反するものではないと考えております。
 次に、敬老祝金についてお答えします。
 いくつかのが質問をいただいておりますが、関連がありますのであわせてお答えします。敬老祝金制度は高齢者の長寿を祝うものとして、これまで行ってきた事業です。長年にわたり社会に貢献されてきた高齢者を敬う気持ちが変わることはありませんが、今後、医療、介護などの関連する施策の財政需要が大きく増加する中で、支援が必要な高齢者とその家族を支える施策、及び健康寿命の延伸や、社会参加を促す支援等に予算を重点化することは避けられないと考えております。今後、高齢化が一層加速する中で、見直しによる財源を活用し、高齢者関連の事業の充実を図って参ります。
○ 大型開発について
 次に、大型開発についてお答えします。
 まず、千葉駅西口A棟における千葉市所有床の収支見込みと入居率についてですが、入居率が100%の場合で、年間賃料収入が約1億900万円、平成27年3月末見込みのビル維持管理費などの支出が約6,500万円となることから、年間収支は約4,400万円の黒字を見込んでおりました。平成20年4月に認可を得た管理処分計画では、従前借家権者など、多くの入居希望者があったことから、100%の入居を計画しておりました。しかし、様々な社会経済情勢の変化から、大半の従前借家権者が撤退したことから、現在は、統括管理会社を通したテナント誘致活動など入居率の向上に努めております。
 次に、千葉駅東口開発にお答えします。
 まず、地下道建設、地下街構想についてですが、地下道建設は、千葉駅前の激しい交通混雑緩和のため、新町交差点から弁天地下道までの延長約580mにおいて、地下2階が車道、地下1階が歩行者通路となっている2層構造の地下道を昭和62年から平成7年にかけて、街路事業と新町地区の再開発事業により整備したものです。
 地下街構想は千葉駅前大通りの地下空間の効率的かつ有効な利用により、東口周辺の活性化を図ろうとしたもので、東口駅前交差点から中央公園の地下に、歩行者通路及び店舗を整備し、地下駐車場を設置するとともに、沿道の建築物と連結するというものでしたが、静岡市の地下街で発生したガス爆発事故により、地下街の関する保安基準が厳しくなったことや、沿道の建築物との接続にあたっては、費用などの面で権利者の皆様の理解が必要であったこと、建設には多額の費用が掛かることなどから、具体的取り組みにはいたりませんでした。なお、地下の歩行者通路については、現在、あまり利用されない状況となっていることから、今回の東口再開発事業とあわせ、駐輪場として有効活用を図ることとしております。
 次に、東口再開発事業へ組合員として参加するのか。また、千葉市が参加しなければ事業が成り立たないのかについてですが、当該事業は千葉駅周辺の商業ビル等が建替えられず、活性化が進まない中、千葉駅東口駅前に面した本市の顔となる再開発事業であり、グランドモールの設置により西銀座地区への来街者の誘引やクリスタルドーム撤去など、駅前広場の改修による歩行者空間の充実等により、駅前の賑わいを創出し、活性化を図るべく計画した事業であります。市としては、駅前広場にある自転車駐車場用地を、高度利用や駅前の賑わい創出のために最大限、有効活用するとともに、市街地再開発事業に含めることにより、一体的に土地利用できるなど、更なる整備効果の発揮が期待されると判断したことから、組合員として参加し、積極的に事業を促進するものです。
 次に、大型開発による新規建設を見直し、生活密着・地域循環型や維持・更新に公共投資を転換すべきではないかとのことですが、大型開発につきましては、これまでも緊急性・必要性の観点から、可能な限りの見直しを実施する一方、生活に密着した公共事業に加え、防災対策や老朽化に対応するための保全改修に必要な予算を配備してきたところであり、今後も市民生活の向上に資する事業費の確保に努めて参ります。
○ カジノ誘致について
 次に、IR問題についてお答えします。
 はじめに、市の報告書による経済効果と雇用創出について、委託先はどこか、目論見が外れた場合の責任及び、市はこの効果を信じているのかについてですが、
 委託先は、日本経営システム株式会社であり、IR導入可能性調査における経済波及効果と雇用創出の結果につきましては、海外事例などから、ひとつのモデルケースを想定し、一定の条件設定のもとで試算した参考資料として、市民説明会等で活用しているものであります。
○ 競輪場の廃止について
 次に、千葉競輪を廃止する方向のなか、幕張新都心にカジノ誘致を進めるのかとのことですが、千葉競輪につきましては、平成30年度以降は単年度赤字が継続することや、中長期的な事業継続に必要となる大規模修繕等についての多大な支出が必要となることから、30年度以降の事業継続は極めて困難と判断し、29年度末をもって事業を廃止する方向で、関係機関との調整作業に着手することとしたものでございます。
 また、IRにつきましては、幕張新都心のアーバンリゾートとしての魅力を高め、多様な楽しみを提供する一つの手法として、その導入可能性調査を実施したものであり、調査結果等により、今後も引き続き、市民との意見交換や情報共有などに努めるとともに、まずは、IR推進法案に係る国の動向を注視して参ります。
○ 地域経済活性化について
 次に、本市の地域資源や地域経済に新たな付加価値をもたらす産業・事業の育成の具体的実現策と地域の中小企業、産業を応援して地域の資源を活かした魅力ある事業を支援することにつきましては、あわせてお答えします。
 本市にとりまして、臨海地域に集積する製造業や、亥鼻イノベーションプラザに入居するヘルスケア関連企業は、対外的な競争力を有する、本市にとって欠くことのできない重要な産業資源であります。今後は、臨海地域における規制緩和や、ヘルスケア関連産業の研究開発環境確保、更には販路開拓支援などにより、これら産業のさらなる競争力強化を図り、地域経済の活性化や雇用の拡大などを図って参ります。
 また、一方で、本市の地域経済を支える役割を担う中小企業・小規模事業者を支援することも極めて重要であります。地元に密着したこれらの企業の中には、本市の地域資源などを活用した高品質で魅力ある産品の開発に取り組んだり、高齢者や子育て世帯などを支える新たなサービス事業に取り組むなど、魅力ある事業展開を図っている事例も多く見られます。今後は、地域創生先行型交付金を活用し、新たに市産業振興財団が実施する中小・小規模事業者ニーズ対応型支援事業や、中小企業資金融資制度、経営相談、販路開拓などの各種支援事業により、意欲ある中小・小規模事業者取り組みを支援して参ります。
 次に、地産地消を進めることで地元を潤し、雇用の拡大などで地域の好循環を作り出すべきなのではないかとのことですが、今後、市内ホテル・レストランと生産者との交流や産地見学会を開催することなどを通じて、消費者の地産地消への意識を高めるとともに、地元産品の販路の開拓を進め、市内農畜産物やそれらを用いた加工食品の需要拡大を図り、地産地消による生産者・事業者の所得向上に取り組んで参ります。
 雇用の拡大につきましては、国・県と連携しながら、就職支援、相談業務及びふるさとハローワークにおける職業紹介等を行うとともに、新たに実施するインターンシップ促進事業や就業ポータルサイトの構築などの取組みを進めて参ります。
 次に、地域にある力を元気にする振興策を進めてこそ、地域経済と地域社会の持続可能な成長に導くと考えないのかについてですが、此度の「地方創生」の取組みは、自治体自らが地域目線で客観的な分析に基づいて課題を把握し、地域ごとの「処方箋」を示していこうとするものであり、その中で見出した「地域資源」を活用し、また、「磨き上げ」本市固有の、独自のまちづくりにつなげていく必要があると考えております。
 そうしたまちづくりを行っていく中で、これまでの「企業立地の促進」や「雇用の創出」をはじめとする地域経済活性化策とともに、女性の就業支援や生産年齢人口の誘導につながる「子育て支援」そして、急速な高齢化の問題への対応としての「地域包括ケアシステムの構築」などの取組みを進め、住んでみたい、住み続けたいと感じてもらえる、持続可能な地域社会、地域経済の実現を目指して参ります。
 次に、中小企業振興条例、公契約条例を制定して非正規から正規雇用の転換への支援についてですが、中小企業振興条例に関しましては、本市では中小企業振興を柱の一つとする地域経済活性化戦略をすでに策定していることから、条例策定は考えておりませんが、この戦略に基づき策定する経済成長アクションプランにおいて、雇用の拡大を図るための成長産業の育成などについて、具体的な方策を示して参ります。
 さらには、地域創生先行型交付金を活用し、市内企業への安定的な就職と産業人材の育成をめざし、大学生の市内企業への就職につなげる「インターンシップ促進事業」や、求職者と市内企業のマッチングを促進する「就労ポータルサイト」の構築などにも取り組んで参ります。また、公契約条例につきましては、効果が限定的であること、同一労働者同一賃金の原則に反することなど、様々な課題があることから制定については現在のところ考えておりません。
 次に、住宅リフォーム制度への助成や介護用品・ホームヘルプなどへ使えるように拡充すべきではないのかについてですが、今回の地方創生による地域消費喚起・生活支援型の交付金事業では、国の補助や保険制度との重複がないことや、購入金額の上限などの条件はありますが、住宅リフォーム工事や介護用品の購入、ホームヘルプなどにプレミアム商品券を利用することは可能であるとされております。
 また、本市独自のカタログ商品券事業におきましては、対象となるサービス・商品券の選定について、今後、関係部局やサービス提供事業者と、実施の可能性を検討して参ります。

【藤代副市長答弁】
○ 性的マイノリティについて

 性的マイノリティについてお答えします。
 まず、公的な書類における不必要な性別記載欄の廃止についてですが、本市では、平成18年度から21年度までに「個人情報の保護、性的マイノリティの方への人権保護、その他の市民視点による行政サービスの実施の観点から、申請、届け出等の書式に記載のある「性別」「生年月日」「本籍及び国籍」の3項目について全ての申請書等の見直しを行い、性別欄については、73種類の申請書類等で削除しました。また、昨年度には、性的マイノリティ支援の取り組みの一つとして「公的証明書類における性別欄の廃止等見直しに係る調査」を行い、今年度末で4種類の証明書類から、性別欄の削除を行う予定です。今後とも、廃止可能なものから実施してまいります。
 次に、治療の出来るクリニックの拡充についてですが、全国的にも性同一性障害のカウンセリングや治療を受けられる医療機関は少ないと言われており県内では数ヶ所という状況であります。本市で相談を受けた場合は、その相談内容によって、関係機関と連携を取りながら、医療機関の情報提供に努めております。また、性同一性障害の方への支援は、医療機関受診以外に自助支援グループの存在も重要であり、自分と同じような悩みを持つ多くの人たちと語り合うことにより、実生活における色々な問題への対処の仕方を学ぶことが出来るとされていることから、民間の相談機関をホームページで紹介しています。
 次に、市営住宅の入居における不利益の解消についてですが、市営住宅では、同居親族がいることが入居要件の一つとなっております。配偶者については、事実上婚姻関係にある場合もその確認ができれば同居親族として入居を認めております。
 同性間における場合については、現状では想定しておりませんが、性的マイノリティに対する社会的な意識の変化もありますので、今後も他都市の動向などを注視していきたいと考えております。
 次に、あらゆる差別をなくすことを宣言して多様性を認める地域社会を目指すべきとのことですが、本市では、性的マイノリティに対する差別は、人権問題に一つであると認識しております。千葉市男女共同参画ハーモニー条例では「性別に関わりなく個人として尊重され個性と能力が十分に発揮できる社会を形成する」という理念を掲げていることから、ハーモニー条例は多様性を認める地域社会の形成に関する理念を包含していると考えております。
○ 成年後見制度について
 まず、成年後見制度の市長申し立ての件数と、専門職の後見人の割合についてですが、市長の申立件数は、平成24年度が14件、25年度が12件、26年度は12月末時点で13件となっております。また、後見開始等の審判がおりた件数は、平成24年度が17件、25年度が12件、26年度は12月末時点で13件となっており、そのうち、弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門職による後見人は約6割、社会福祉協議会やNPOなどの法人後見は約4割となっております。
 次に、市民後見人についてですが、認知症高齢者は1人暮らし高齢者の増加に伴い、成年後見制度の必要性は一層高まっているところです。今後、成年後見制度において、後見人等が高齢者の介護サービスの利用契約等を中心に後見業務を担うことが、多くなると想定されているところであり、専門職による後見人に加え、社会貢献に意欲を持つ市民の方に、地域で暮らす同じ市民の目線から後見活動を担っていただく必要があると認識しています。本市としては、市民後見人の活動を支援するため、千葉市社会福祉協議会に成年後見支援センターを設置しているところであり、社会福祉協議会の法人後見支援員として活躍いただきながら、今後は、千葉家庭裁判所との連携を図り、更なる活動の場を確保したいと考えております。
 次に、成年後見制度の信頼される制度に向けての取組みについてですが、後見人による財産の不正流用などを防ぐため、家庭裁判所による監視・監督体制が図られており、いつでも後見人に対して後見の事務報告、財産目録の提出を求めるとともに調査できるとされております。また、家庭裁判所が必要と認めた場合には、後見人の権限をコントロールするため、後見人に監督人を選任することができることとなっております。本市としては、高齢者や障害者の権利を擁護するため、千葉市成年後見支援センターを設置しており、後見制度に関する市民からの相談に対して、弁護士などの専門家が応じるほか、適切な後見人を探している市民に対して、弁護士や社会福祉士などの法律や福祉の専門家、後見活動を行う法人等の情報を提供しております。今後とも、市民へ成人後見制度を周知し、利用促進を図るとともに、適正な情報提供に努めて参ります。
○ 医療・介護総合法について
 まず、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」へ移行後のサービス等については、関連がありますので合わせてお答えします。国のガイドラインによると、総合事業の実施にあたっては、既にサービスを利用されているケースで、サービスの利用継続が必要であると、ケアマネジメントにより認められる場合は、これまでの訪問介護や通所介護相当のサービスに配慮する必要があるとされています。また、新しく総合事業の対象となる要支援者等については、自らの能力を最大限活用しながら、住民主体による支援等をはじめとする多様なサービスの利用を促していくこととされています。本市としては、平成29年度の総合事業の本格実施に向けて、要支援1及び2の方が必要なサービスを受けられるように、適切なサービスの提供基準と利用料金の設定に取り組むとともに、サービスを提供する事業者の参入を促して参ります。
 次に、特別養護老人ホームの多床室利用者の部屋代の負担増についてですが、多床室については、事実上、生活の場となっていることを踏まえ、在宅で生活する方との負担均衡を図るため、室料相当分の負担を求めることとされました。新たに負担を求める対象者は、一定の所得を有する方であり、低所得者については、居住費の自己負担を軽減する補足給付を支給することにより、利用者負担を増加させない配慮がされているため、市独自の支援を行うことは予定しておりません。
 次に、介護報酬の引き上げを撤回させるべきとのことですが、今回の報酬改定は、物価の動向や介護事業者の経営状況等を踏まえ、全体としてはマイナス改定となりますが、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応を強化するとともに、職員1人当たり月額1万2千円相当の介護職員処遇改善加算を新設して介護人材の確保を図るなど、2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築のための取組みを進めるものと認識しておりますので、撤回を求めることは考えておりません。
 次に、独自に一般財源の繰り入れを伴う介護保険の減免を実施すべきではとのことですが、本市では、災害などを理由とした法定減免のほけ、既に個別の事情に応じた独自の減免制度を設けていること、また、公費を投入した低所得者に対する保険料の軽減強化が本年4月から一部実施されること、さらには、平成29年度からは、軽減強化の完全実施が予定されていることから、一般財源の繰入を伴う市独自の減免を行うことは考えてはおりません。
 次に、障害者の福祉サービスの問題についてお答えします。
 介護保険制度との適用関係についての4点のご質問は関連がありますので、併せてお答えします。障害者総合支援制度に基づくサービスを利用している障害者が65歳に到達した場合は、同法の規定により、介護保険制度によるサービスを優先して利用することとなります。ただし、介護保険制度により、支給されるサービス量が不足する場合や、利用するサービスが介護保険制度にない場合には、その不足する部分等について引き続き、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できることとなっております。したがいまして、介護保険制度の要介護認定の申請がない場合には、この不足する部分等の判断ができないため、障害福祉サービスの支給決定も行うことができません。現在、国において、介護保険制度を優先して適用することについて「介護保険制度における負担と給付の考え方、障害者とそれ以外の方との公平性、給付に係る財源のあり方等を含め、総合的かつ慎重な検討が必要である」としておりますので、引き続きその動向を注視して参ります。
 次に、国保の問題についてお答えします。
 まず、広域化の問題点についてですが、制度改正の趣旨に測り、都道府県が確実に財政責任を担うこと、及び持続可能な制度となるよう、国が必要な財源を確保することが不可欠と考えており、これらについ、指定都市市長会などを通じて、引き続き国に強く要望して参ります。加えて、都道府県と市町村の役割分担については、国と地方の協議の場の議論を注視しつつ、広域化後の円滑な事務運営のため、県との連携にも努めて参ります。
 次に、保険料の引き下げについてですが、国民健康保険の安定運営のためには、高齢化等により増加し続ける歳出に見合った歳入を確保する必要があり、条例の規定に基づいて保険料を改定するのはやむを得ないものと考えております。本市は法定軽減のほかにも独自の減免制度を導入しており、今後も被保険者の負担にも配慮しながら、必要な改定を行って参ります。
 次に、子宮頸がんの検診受診率を上げることこそ優先すべきではないかとのことですが、現在、子宮頸がんワクチンの接種については、積極的推奨を差し控えるよう勧告が出されており、本市でも協力医療機関に対して、ワクチンの有効性と安全性について十分に説明を行ったうえで接種するようお願いしております。がんの早期発見のためには、検診が重要であることは言うまでもなく、これまでも検診日の拡充など様々な受診率の向上の努めて参りました。新年度には、子宮頸がん及び乳がんの検診の実施にあたり、会場での子どもの見守り体制を拡充する等、更なる受診率の向上に努めて参ります。
 次に、不妊治療費の助成を男性にも拡大して出産・子育て応援事業の支援をすべきではないかとのことですが、現在、本市では、国の制度に準じて、女性を対象に不妊治療費の助成を実施しており、厳しい財政状況の中、新年度は助成費の予算を2割増額することを予定しております。一方、男性への助成は現在行っておりませんが、不妊の原因の3割近くは男性側のみにあるという調査結果もあることから、市民の方のニーズや実施している自治体の状況を勘案し、実施の必要性について、今後、更に調査研究して参ります。加えて、市民一般における男性不妊についての理解が十分でない現状を踏まえ、まずは、その周知に努めて参ります。
 次に、認知症対策についてですが、地域で認知症の方を支えるための施策について、本市では、認知症サポーター養成講座や出前講座に力を入れ、市民や職域に対して認知症に関する正しい知識を広めるとともに「認知症こども力プロジェクト」として、学校での認知症サポーター養成講座や、親子で学べるワークショップなどを開催しております。また、徘徊により行方不明となっている方を、市民の協力のもと、早期に発見できるよう「ちばし安全・安心メール」などで情報を配信しております。
 この他、あんしんケアセンターを中心に「地域ケア会議」や「多職種連携会議」を開催し、関係者が顔の見える関係の中で、認知症の方の個別具体的な支援内容や、地域活動の実施手法の検討・共有などを行っております。今後は、地域における認知症の方の居場所づくりのため、「認知カフェ」の早期設置に努めて参ります。
○ 子どもの貧困について
 次に、子どもの貧困についてお答えします。
 まず、生活保護世帯の中学生らを対象とした学習塾について、国に対して十分な財源措置を求め、千葉市も事業を継続すべきではないかとのことですが、本市においても、貧困の連鎖を防止するためには、生活保護世帯等に属する生徒の学習環境の充実は大変重要であると認識しており、それら世帯の中学2年生・3年生を対象とした学習支援事業を実施しているところです。この事業は、新年度より、生活困窮者自立支援法に基づく任意事業となり、国の補助率が2分の1となることにより、本市も事業費の負担を求められることとなりますが、新年度も継続して実施して参ります。
 なお、国に対しましては、地方負担の増加に対し、所要の財源について特段の措置を講じるよう要望いたしております。
 次に、児童養護施設の子どもに大学進学を保障することについてですが、現在、大学進学を希望する子どもへの支援として、施設に対し、進学に必要な支度金として大学進学等自立生活支度費を支出しております。また、施設を退所した児童の援助のあり方については、今後、児童の置かれている実情を把握し、国や大学等からの情報収集と周知を行うとともに、関係機関と協議、検討して参ります。
 次に、実態調査を行い、計画的な支援対策を求めることについてですが、貧困の連鎖を解消し、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、国の大綱を元に、県が今後策定する「子どもの貧困対策計画」を踏まえ、実態調査など本市としての対応を検討して参ります。
○ 子ども・子育て支援新制度について
 次に、子ども・子育て支援新制度についてお答えします。
 まず、保育料の値上げは止めるべきではないかとのことですが、今回の改定に伴い、概ね年収600万円以上の階層については若干の引き上げを行っておりますが、その分引き下げを行っている階層もあり、全体としてはこれまでと同様、国基準と比較して25%以上、本市独自の軽減を図っております。
 次に、家庭的保育事業、小規模保育事業においては、自園調理にて給食を提供すべきとのことですが、家庭的保育事業等における給食の外部搬入につきましては、きめ細かな協力・支援が期待できる、連携施設や同一法人が運営する社会福祉施設等からのみ可能としており、また、事前協議により、栄養面、衛生面、アレルギー児の対応方法を確認することとしております。さらに、新年度からは、新たに配置する栄養士が巡回等の方法により指導を行うなど、適切な給食提供が行えるよう努めて参ります。
 次に、子どもの安全の観点から、小規模保育事業に従事する職員は、保育資格を有していることを基本とすべきとのことですが、小規模保育事業B型につきましては、保育士等有資格者の割合を、現行の認可外保育施設の基準である3分の1から2分の1に引上げており、また、C型につきましては、市独自の上乗せにより保育士1名以上の配置を必須とするなど、質の向上を図っております。また、小規模保育事業につきましては、連携施設の確保や、自己評価が義務付けられ、きめ細かな指導が可能となるなど、より一層の保育の質の確保に努めて参ります。
 次に、「4階以上に保育室の設置を認めるべきではない」と考えないのかとのことですが、本市におきましては、保育ニーズの高い駅近くなど、限られた条件のもとでも、保育所等の設置が可能となるよう、国と同様に、4階以上の保育室を認めない基準は設けておりませんが、避難訓練の実施状況等に留意して監査・巡回指導を行うなど、児童の安全対策に配慮して参ります。
○ 環境問題について
 次に、環境行政のうち、はじめに航空機騒音対策についてお答えします。
 まず、抜本的な対策はどのように改善されたのかについてですが、これまで国に対し、海上ルートへの移行や首都圏全体での騒音の分担をはじめ騒音軽減対策等の検討・実施を求めており、南ルートに続き北ルートの飛行高度の引き上げなどが実施されてきております。また、首都圏全体での騒音の分担については、国において、首都圏航空機能強化の具体化に向け、昨年8月に関係自治体や航空会社などで構成する協議会が設置され、飛行経路の見直しなどについて協議がおこなわれているところです。
 これまで協議会において、本市は、新たな運用では課題も残されているため、あらゆる観点から騒音軽減策を講じることや、海上ルートへの移行など羽田再拡張以来の長期的な検討事項について、その実現に向けて取り組むことなどを求めているところです。今後も、抜本的な騒音軽減対策が早期に実現されるよう、あらゆる機会を捉えて、国に強く要望してまいります。
 次に、エコキュートの健康被害問題についてお答えします。
 千葉市の実態と対応・解決についてですが、家庭用ヒートポンプ給湯器いわゆる「エコキュート」については、省エネ性能が優れていることから、近年、環境意識の高まりを受け急速に普及しております。一方で、エコキュートから生じる運転音・振動による不眠等の健康症状の発生について、消費者安全調査委員会は、昨年12月に、経済産業省、環境省、消費者庁、公害等調査委員会に対し、健康症状発生リスクの低減や再発防止の検討等をもとめております。本市においても、エコキュートから生じる運転音・振動による不眠等の相談は、平成24年度には1件、平成25年度には0件、本年度は3件寄せられております。本事案については、全国的課題になっており、関係省庁、業界団体等での検討が進められていることから、検討状況を注視し、その結果を踏まえ対応していきたいと考えております。
 次に、地球温暖化対策についてお答えします。
 まず、石炭火力発電所の設置による、CO2排出量と市内環境への影響についてですが、CO2排出量は、事業者において、3月末までの応札に向け、計画の詳細について検討中であり、今後、落札決定後の環境影響評価手続きにおいて明らかにしたいとのことです。また、温室効果ガスの増加に伴う環境影響については、施設を設置する地域ではなく、地球規模で評価することとなっております。
 次に、自然エネルギーを基本にする地域にすることで原発ゼロを目指すべきについてですが、自然エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、災害時の非常用電源としても活用できる、地域の重要な自立・分散型エネルギーであります。
 このため、再生可能エネルギー等導入計画に基づき、本市の地理的条件の特性ヲ踏まえた太陽光、太陽熱など再生可能エネルギーの導入を積極的に進めて参ります。
○ 消防行政について
 消防力充実強化についてお答えします。
 はじめに、消防職員数を十分増やすことについてですが、本市における消防職員の充足率は、平成26年4月1日冤罪、88.7%であります。東日本大震災やその後頻発する局地的な豪雨、土砂災害等の自然災害、また、首都直下地震等の大規模地震の発生予測がされている中で、市民の消防に対する期待はさらに高まっているものと認識しておりますが、本市の消防職員の充足率は、他の政令指定都市と比較しても遜色ない状況であることから、引き続き現在の人員を維持しながら、災害対応などの消防業務に適切に対応してまいります。
 次に、定年退職者のピークに伴う消防力の低下防止策と、その充実並びにベテラン消防士退職後の技術の伝承についてお答えいたします。
 まず、災害対応部門では、職員の消防技術の向上を図るため、消防技能管理基準や、消防活動基準等のマニュアルを整備し、職員個々に対する個人訓練と部隊訓練を併せて実施しているほか、消防学校や外部機関での教育・研修等を通じて、能力の向上や消防業務に必要な資格の取得に努めております。また、ベテランの職員や再任用職員が中心となり、実災害を想定した消防活動訓練を通じて若年層職員を指導するとともに、災害活動終了後には、必要に応じて、指揮命令の伝達や活動内容の検証を行う検討会を開催しております。一方、火災原因調査や立入検査などの災害対応以外の部門では、画一的業務が遂行できるよう火災調査書類の記載要領や火災予防条例運用指針等のマニュアルを整備するとともに、OJTのほか災害対応部門同様に教育・研修等を通じて、職員個々の知識の向上や技術の習得に努めることなどにより、消防力の更なる充実強化を図っております。
 次に、消防団員の報酬等の単価引き上げについてどのような検討がなされたのかについてですが、平成25年12月に公布された「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」では、消防団を地域防災力の中核と位置づけ、消防団への加入促進や施設・装備の充実のほか、消防団員の処遇や教育・訓練内容の改善など、消防団の充実強化をより一層推進することとされております。本市ではこの法律の趣旨を踏まえ、消防団員が厳しい状況の下で地域の様々な災害に即時対応すること、また、消防団員の年齢構成、勤続年数や活動実態、さらに他の政令指定都市の状況などを基に検討したところであります。
 交付税単価に見合う改善と団員募集広報費の充実についてですが、消防団員の年額報酬や費用弁償等の地方交付税上の単価については、それをもって報酬額を決定しなければならないものではなく、実際の報酬額は、各地方公共団体の判断により定められているものであります。また、消防団員募集広報費の充実については、国から配布される啓蒙パンフレットやポスターなどのほか、市のホームページを活用して、一人でも多くの市民の方々に地域の絆の大切さや、消防団の必要性について理解していただけるよう広報するとともに、消防フェア等の各種イベント時に広報活動を展開してきた結果、本年2月1日時点では、消防団員の充足率が90%台に回復するなど一定の効果が認められたところであります。今後も、国の啓蒙パンフレットやポスターなど引き続き活用するとともに、ホームページや各種マスメディアなどの広報媒体を利用し、消防団活動の魅力発信に努めてまいります。
○ 平和事業について
 最後に、戦後70年の記念すべき平和事業を推進することについてですが、本市は、平成元年に核兵器などによる戦争への脅威をなくし、市民共通の願いである世界の恒久平和を求め「平和都市宣言」を行っております。また、世界の都市が、国境を越えて連帯して、ともに核兵器廃絶への道を切り開こうとする趣旨に賛同する都市で構成されている平和首長会議に加盟しております。これまでも、平和啓発事業として、広島・長崎への原爆投下に関する資料を織り交ぜた冊子「考えよう平和の大切さ」の配布、戦時中の写真や原爆・被爆のパネルを展示形式で公開する「千葉空襲写真パネル展」を行うほか、「市内の戦跡めぐりウォーキング」等を実施して参りました。
 戦後70年を迎えるにあたり、節目の年として、平和の尊さを伝えて行くことは、大変意義あることと考えており、市民の皆さんと改めて平和の意義を考える機会となるよう、事業内容や広報を工夫して参りたいと考えております。

<2回目>

○ 地球温暖化対策について
 地球温暖化対策についてお答えします。
 石炭火力発電所の設置と温室効果ガスの削減との説明は矛盾するのではないかについてですが事業者は、利用可能な最良の技術の採用等により、可能な限り環境負荷の低減に努めるとともに、国は、石炭火力発電所の設置に係る環境影響評価において、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減や、将来に向けて二酸化炭素分離回収設備など、長期的な二酸化炭素排出削減対策を求めておりますので、本市におきましても実効性ある地球温暖化対策が図られるよう指導してまいります。

【鈴木副市長答弁】
○ 県単独事業補助金の改善について

 千葉県単独事業補助金の改善についてですが、子供医療費の補助率改善以降は、改善に関する協議は行っておりませんが、県市間には、他にも課題があることから、時期を捉えて総合的に県との協議を進めたいと考えております。
○ デマンドタクシーについて
 デマンドタクシーについてですが、超高齢化社会が進展する中で、地域住民の移動手段を確保するための施策の一つであると認識しておりますが、実施にあたっては、地域の特性や利用者の目的、利用頻度などのほか、先進事例など十分に調査する必要があります。まずは、地域住民の自主的な取り組みとしてアドバイザー制度を活用して、地域の意識醸成や採算性についての分析などを行う必要があると考えております。
○ 雇用の問題について
 次に、雇用の問題についてお答えいたします。
 非正規雇用についてどのような見解を持っているかについてですが、労働者の価値観や生活様式が多様化しており、ワーク・ライフ・バランスの観点から、派遣労働者やパートタイム勤務をはじめとした、非正規雇用による働き方が有効な場合もあります。一方で非正規雇用労働者の中には「正社員として働ける会社がなかった」などの消極的な理由による、いわゆる「不本意非正規就業者」の増加が近年の傾向として挙げられます。また、企業においては、需要変動への弾力的対応や人件費抑制のために非正規雇用を充てるケースや、人的資源の蓄積を前提とした事業運営の安定化のために非正規雇用労働者の雇用期間を長期化させる傾向も見られるとごろです。その結果、労働者にとっては、雇用が不安定であること、経済的自立が困難であることや、能力を開発する機会の不足により職業キャリアの形成が十分にできないこと等の課題があるものと認識しております。
 次に、非正規雇用の正規化を進める市内の中小企業、及び、若者を雇用する市内中小企業への支援についてですが、国の施策としましては、有期契約労働者の正規雇用への転換や派遣労働者の直接雇用化を行う事業主に支給される、キャリアアップ助成制度がございます。あわせて、平成25年の労働契約法改正により、有期労働契約期間が反復更新により通算年を超えた場合には労働者の申し出により無期契約への転換が可能となったこと、契約が有期であることを理由とした有期契約労働者にとって不合理な労働条件の設定が禁止されたこと等について周知を図ってまいります。
 また、市内中小業者を対象にしたインターンシップ受入セミナーの開催や、受入企業情報の大学等への提供により、企業と大学等が連携して、正規雇用に向けたキャリア教育を学生に対して実施できる体制づくりを目指した、インターンシップ促進事業に新たに取り組んで参ります。さらに、ウェブサイトを構築し、国、県、市、それぞれが取り組む施策について「若者」「高齢者」「女性」等といった、求職者の階層にマッチした情報を、求職者と企業双方が共有するとともに、インターンシップ受入れ等に意欲のある市内企業の情報提供やPRを行う、就業ポータルサイト事業に取り組んで参ります。
○ 農協改革とTPPについて
 次に、農協改革とTPPについてお答えします。
 まず、地域農協による販売や全農を通じての販売を守るべきではないのかについてですが、今国会に提出される農協改革案には、全国農業協同組連合会を株式会社に組織変更できる規定が盛り込まれておりますが、同連合会において、地域農協から集荷し、市場などに出荷する、いわゆる共同販売などについて課題を整理し、今後検討していくものと考えております。
 次に、TPP交渉からただちに撤退を国に求めるべきではないかについてですが、TPP交渉は、産業各分野における貿易拡大を図ることにより、経済成長と国民生活の質の向上を実現することを目的とするものであり、政府において農業分野を含め国益にかなう対応を図っていただけるものと考えております。
○ 空き家対策について
 次に、空き家対策についてお答えします。
 まず、本市における空き家の実態についてですが、総務省の平成25年住宅・土地統計調査の速報集計の結果によりますと、市内の空き家は5万2,700戸で、空き家率は11.5%となっております。
 次に、空き家バンクを設置して優良な住宅を有効活用し、地域の公民館的役割を持たせることについてですが、今年度、協働事業提案制度で「地域コミュニティ形式のための空き家有効活用に関する支援について」提案団体を募集しました。これを受けて採択した団体と、来年度よりモデル的に、海浜ニュータウンの一部の地域で、空き家活用の取組みを進める予定であります。取り組みの内容ですが、空き家所有者の活用に関する意向調査や、地域での要望などを調査し、空き家の様々な有効活用方策を検討して参ります。
 次に、空き家を活用して無料低額宿泊施設問題の改革を図ることについてですが、現在、市内において一戸建ての空き家を借り上げて、住居のない生活困窮者などを受け入れている民間団体があり、今後も当該団体と更に連携を深めるとともに、同様の事業を推進できるよう手法について検討して参ります。また、ホームレスの自立を促進する支援施設の在り方についても、今後、先進市の設置状況等を調査するなど検討して参ります。
○ 京葉線・りんかい線・総武線のアクセス問題について
 次に、京葉線・りんかい線・総武線のアクセス問題についてお答えします。
 直通運転の実現と総武快速線の増便についてですが、直通運転の実現については、昨年の5月に沿線自治体などで組織する「京葉線・りんかい線相互直通運転促進に関する協議会」を設立し、10月には乗り換え駅となる新木場駅、東京駅の両駅において、乗り継ぎ実態や利用者の動向について調査しました。今後は、この調査及び分析結果をもとに、鉄道事業者並びに東京都にたいし、説明及び要望活動を行う予定であります。また、利便性向上のための総武快速線の増便要望については、千葉県で組織します「千葉県JR線複線化等期成同盟」の活動の中で、引き続き国やJR東日本旅客鉄道株式会社へ要望を行ってまいります。
 次に、千原線の利便性向上についてお答えします。
 運賃の引き下げ、エレベーターの設置及び運転本数を増やすことについては関連がありますので、併せてお答えします。運賃の引き下げと運転本数を増やすことについては、沿線自治体や事業者等で構成する京成電鉄千原線整備促進検討会議を活用し、沿線住民からの改善要望について議論を行っております。しかしながら、実現に向けては、利用者の増加や施設の設備投資などが課題であるとされており「実現は難しい」と鉄道事業者から聞いております。また、おゆみ野駅を含む全線駅のバリアフリー化については、バリアフリー法の基本方針に基づき、順次整備を行っており、引き続き早期整備に向けて要請して参ります。
○ 遺体保管所の規制について
 次に、遺体保管所の規制についてお答えします。
 規制の具体化についてですが、現在、庁内関係部局で連携を図りながら、他都市の遺体保管所に関する要綱などの策定状況及び取り組み状況などについて、調査研究しているところであります。

【教育長答弁】
○ エアコン設置について

 エアコン設置についてお答えします。
 小中学校の普通教室へのエアコン設置についてですが、本市の教育環境については、様々な課題があり、これまでは学校施設の耐震化を最優先に取り組んで参りましたが、入札不調により残されていた1校も工事契約を締結し、すべて完了する見込みとなりました。今後は、先送りとなっておりました老朽化対策やトイレ便器の洋式化などを優先事業として推進して参ります。また、エアコンについても、近隣への配慮から窓をしめきりにして授業や部活動を行わなければならない音楽室のほか、特別支援学級や特別支援学校に優先的に設置し、子どもたちの教育環境の向上に努めて参ります。
○ 教育委員会制度について
 教育委員会制度についてお答えします。
 はじめに教育委員会の改革、条例改革の対応についてですが、このたびの教育委員会改革は、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制を構築するため、教育委員長と教育長を一本化した新たな責任者、いわゆる新教育長の創設するなどの改革を行うものであり、そのための地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が、昨年6月に成立し、本年4月に施行されます。これに伴い、特別職となる新教育長の勤務条件等を定めるなど、必要な関係条例の整備を図るための議案を今議会で審議いただくものです。
 次に、教育委員が住民等の不満や要求をつかみ自治体の教育施設をチェックし改善すべきとのことについてですが、本市の教育委員につきましても、保護者である委員を含めて幅広い人材が就いており、様々な意見が教育施策に反映できる環境にあると考えております。また、教育に関しては、市民の意向の反映が求められているところである事から、学校教育イベント「学校体感デー」を開催し、教育委員が市民と直接意見交換する場を設けたほか、保護者の代表との意見交換会の開催などにより、市民の声を教育行政に反映できるよう努めております。今後も、市民の意向が教育行政に反映できるよう、様々な機会を通じて積極的に市民の意見を取り入れて参ります。
 次に、教育委員会の役割が実際に果たせる体制を作るべきとのことについてですが本市では、教育行政における重要施策や基本方針を決定する教育委員会会議において、教育委員がそれぞれの経験・識見をもとに活発な議論がなされているものと認識しております。なお、今回の制度改革の趣旨を踏まえ、引き続き、開かれた教育委員会となるよう努めて参ります。
 次に、政治的介入から教育の自由と自主性を守るべきとのことについてですが、教育は、その内容が中立公正であることが極めて重要であることから、政治的中立性の確保が求められており、このことは今回の制度改革においても、教育委員会は引き続き独立した執行機関として、職務権限は従来通りとされていることから、政治的中立性が確保されているものと認識しております。
 次に、憲法と子どもの権利条約の立場に立って行政を行うべきとのことについてですが、日本国憲法の精神に則り、教育活動全体を通じて基本的人権が尊重されるよう、本市学校教育においては「人間尊重の教育」を基調として進めており、児童生徒の人権にも十分配慮し、一人一人を大切にした教育を実施しております。今回の制度改正にあたっても、このような役割を推進して参ります。
 次に、新教育長と教育委員会のどちらに根本的な権限があるのかについてですが、今回の改正により、新教育長が教育委員会会議の主宰者となり、教育行政の責任者としての教育長のリーダーシップは高まりますが、教育委員会は引き続き、重要施策や基本方針を決定する複数の委員による合議体の執行機関であり、教育長は教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場であることに変わりはありません。
 次に、大綱の策定における教育委員会と首長との関係についてですが、国からの通知では、大綱を策定するための協議・調整の場となる総合教育会議において、首長と教育委員会が十分に協議・調整を尽くすことが肝要であるとされております。
 また、教育の課題が地域によって様々であることを踏まえ、首長は地域の実情に応じて大綱を策定するものであり、首長にその策定を義務付けることにより、地域住民の意向のより一層の反映を図ることとされております。
○ 不登校対策について
 次に、不登校対策についてお答えします。
 まず、不登校の実態及び原因・対応と効果についてですが、不登校は心の問題や学校生活の問題、家庭の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こるものであり、本市の平成25年度の不登校児童生徒数は、小学生242人、中学生560人であり、小学校はやや増加傾向にあります。各学校では、不登校の兆しである登校しぶりや欠席がつづいたときは、早めの家庭訪問や保護者へのサポートをするとともに、学級担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど学校全体の相談体制で対応しております。
 学校だけでは解決が困難なケースが増えている状況であることから、教育センターでは、電話相談や来所相談により、児童生徒や保護者の悩みを積極的に受け止め、助言を行うとともに、学校からの要請に応じて家庭訪問相談員を派遣するなど、個々の実態に沿った支援を行っております。また、子どもの置かれた環境に働きかけることで問題の解消を図るスクールソーシャルワーカーの派遣や、早い時期からの学校不適応に対応するため、スクールカウンセラーを小学校へ配置することで、教育相談体制の充実に努めております。
 次に、在宅を含めて多様な学び方を保障する時代ではないのかについてですが、本市では、不登校児童生徒に対して、学校生活への適応を目指した系統的・段階的な指導支援を行うためのサポートプログラムに沿って、多様な学びの機会を設けております。具体的には、ひきこもりがちな児童生徒を支援するための家庭訪問相談員の派遣や、自宅から学習ソフトにログインして、個々のペースで学ぶことが出来る「IT等を活用した学習」を提供しております。また、適応指導教室ライトポートや教育センター内グループ活動及び真砂中学校教育相談指導教室での学びを通して、教科の学習を含め、子どもたちの興味・関心のある個々の活動から、集団での活動を徐々に取り入れることで、自立心を養い、社会性や協調性を育んでおります。
 されに、ジョイントキャンプ・ジョイントフェスタ・スポーツフェスタなどの自己肯定感を高める活動や、職場体験学習、進路面接相談を通して、子どもたちの社会的自立を支援することで、不登校生徒の多くは自らの進路を主体的にとらえ、高等学校等へ進学しており、これまでの取り組みの効果として、本市の不登校解消率は、全国平均を上回っており、一定の成果をあげているものと捉えております。
 今後とも、支える・見守る・つなげる・学ばせるという4つの段階に沿って、多様な学びの機会や居場所づくりに努め学校生活への適応を目指して参ります。
○ 給付型奨学金の創設について
 次に、給付型奨学金の創設についてお答えします。
 文部科学省より、平成27年度予算案において、無利子の奨学金事業の拡充や、より柔軟な「所得連動返還金制度」の導入に向けた制度設計、及び大学等の授業料減免等の充実に関する事業等の予算が計所されており、利用しやすい制度を目指していことと承知しております。本市としては、国の動向を注視するとともに、他県市の実施状況について引き続き調査してまいります。
○ 学校統廃合について
 次に、学校統廃合についてお答えします。
 国が示した案の通りに、統廃合を進めるべきではないと思うが見解を求めることについてですが、本市では、平成19年10月に、子どもたちのより良い教育環境の整備と教育の質の充実を目的に「千葉市学校適正配置実施方針」を策定し、学校の適正配置を推進してまいりましたが、少子化の更なる進展により、学校の小規模化に伴う教育上の諸課題が、これまで以上に顕在化することが懸念されております。今後も、「千葉市学校適正配置実施方針」の下、地域コミュニティとの整合性にも配慮し、地元との合意形成を前提に学校の適正配置を進めてまいりたいと考えております。
○ 公民館について
 次に、公民館についてお答えします。
 はじめに、方針決定後の利用者等への周知についてですが、方針が決定した際には、速やかに各館におけるサークル等の利用団体を対象とした説明会や館内での趣旨等の掲出を実施いたします。また、必要に応じて、自治会等を通じて地域全体へのお知らせに努めるとともに、市政だよりやホームページ等により、遺漏なく全市的な広報活動を展開し、新たな公民館のあり方や役割、使命について、混乱の無いように周知・啓発を図って参ります。
 次に、引き続き教育委員会が責任を持って運営すべきではとのことですが、公民館については、現在、そのあり方について「地域活動の充実」「多世代交流の場」生涯学習ニーズへの対応」「社会教育活動の活性化」などの役割を果たすとともに、多様な方々に幅広く利用される「地域の総合交流拠点」として、様々な視点から総合的に研究を進めております。その中で、管理運営形態については、民間のノウハウうを活用することで、市民サービスの向上を図ることができる指定管理者制度も有効な手法の一つと考えております。