佐々木ゆうき議員の一般質問



2015.3.3

写真1.カジノを含む統合型リゾート(IR)について
 代表質疑で、IR誘致中止も求めても、「幕張新都心のアーバンリゾートとしての魅力を高め、多様な楽しみを提供する手法」として、「国の動向を注視する」との答弁を変えようとはしません。報道では、政府方針として、横浜市と大阪市を候補地として誘致をめざそうというものです。
 安倍首相が言う「日本の成長戦略の目玉になる」、「世界から人を呼ぶための競争力を上げるためにどうするべきかという観点から検討を進めてもらいたい」などと首相先頭に推進に意欲を示しています。ギャンブル依存症を住民に広げ、家庭も地域社会も壊すことが、地域振興の名に値するものでないことは明瞭です。
 さらに、米国企業などでつくる「在日米国商工会議所」が昨年10月に公表したカジノ合法化法案の「早急な成立」を要求する「意見書」です。日本進出をねらうラスベガスなどのカジノ企業が、日本のカジノで最大限の利益を上げるため、税制上の優遇、賭博場内でのクレジット利用など、要求を突きつけています。カジノは、税収効果や地域経済活性化のためではありません。
 千葉市の幕張新都心におけるIR導入可能性調査報告書は、2つの成功パターンを示していますが、失敗パターンについては何ら触れられていないのは問題です。さらに報告書では、導入に向けた課題について、既存施設活用型では「建築基準法の制約」、新規開発型では「都市公園法により建築不可」など現実的に不可能です。
 党市議団のアンケートでは、市民の反応は7割が「反対」しています。反対の理由として「地域の風紀・治安が乱れる」「ギャンブル依存症が増える」「青少年の健全育成に障害」「犯罪の温床になる」「勤労の意欲が阻害される」「拝金主義がまかり通る」「千葉市のイメージダウン」「新たな利権を生む」「新たな賭博施設に手を出すのは自治体の理念に反する」などの声とともに、「他の健全な経済活性化策を考える」よう望む声が多数ありました。そこで、伺います。
 1つに、日本共産党市議団のアンケートでも7割の市民が「反対」の声をあげています。先日行われた報告会でも導入に反対や批判の声があがっています。そうした市民の声を市はどう受け止めたのか。
 2つに、4,400億円の経済波及効果とプラス効果を示していますが、所得の減少となる側の雇用、税収の減少などマイナス効果についても検証されたのか。お答え下さい。
 3つに、市長は「IRがすべてではない」としつつも、「経済波及効果が大きなポイント」「投資を呼び込むひとつの起爆剤という意味ではIRという要素は大きなもの」とある団体のインタビューに答えています。カジノではなく、市内の中小零細企業への支援を抜本的に拡充するなどの道を探るべきです。お答え下さい。
 4つに、調査報告書にはスイスのカジノとシンガポールのIRの2つの事例を紹介していますが、1978年にオープンしたアメリカのアトランティックシティ・カジノタウンのIR閉鎖の事例など、調査はしなかったのか。
 5つに、千葉県は生活環境悪化を指摘し、カジノ誘致の検討を休止し、市町村への報告書を配布するに留まっています。東京都は「優先課題ではない」とし、沖縄県もカジノ誘致計画を断念しています。千葉市でも調査報告書にあるように、「ギャンブル依存症などの社会コスト」のデメリットが大きいカジノ導入は断念すべきです。お答え下さい。
 6つに、カジノを含む統合リゾートを合法化する法案の再提出をすることのないよう政府、関係政党に断念するよう求めるべきです。お答え下さい。

2.訪問介護及び訪問看護車両の駐車対策について
 いま高齢化が進む中で、都市部の介護や看護が必要な利用者を訪問する際に、使用する車両の駐車が問題となっています。長時間の駐車の場合もあり、駐車違反を取られるケースも少なくありません。ある事業所の方にお聞きしたところ、「警察署に申請した時刻通りに看護を終えることは少なく、長時間かかるケースもある」「今後、在宅医療や介護が広がる中で、駐車対策を進めるべき」「分譲の集合住宅についても管理組合の理解が得られないケースもある」と聞いています。
 昨年の6月末に公表された厚生労働省アフターサービス推進室の活動報告書の「関係者からの主なご意見等」にも、「近くの有料駐車場をいつでも使えれば良いが、そんなケースばかりではない」などの同様の意見が寄せられています。
 また、警察署への駐車許可申請についても煩雑で、申請の許可に時間がかかるなどの問題もあります。訪問介護・訪問看護事業所からそうした声が寄せられています。これから在宅での介護や看護の増加が見込まれます。事業所が介護を必要とする方や患者さんが緊急を要する場合などへの対応ができるように、市としてもこの課題に今後取り組むべきです。
 千葉県警の駐車除外および駐車許可制度の運用についてでは、緊急の事態等に対応するため、駐車をすることがやむを得ない場合に、電話又はファクシミリにより駐車許可申請を受理することができることとしています。
 緊急やむを得ない場合の駐車許可証については、自分で作成し、許可証として用いる用紙には、警察署名、許可番号、駐車場所、緊急の連絡先及び取扱者氏名等の必要事項が記載されていない場合については、正規に申請手続が完了しているか分からないため、許可車として認められない場合があるとのことです。
 2009年1月13日付の厚生労働省の事務連絡の「訪問介護及び訪問看護車両に係る駐車許可への対応について」では、緊急にサービスを提供した場合であっても駐車許可の申請が弾力化されない等の声があり、円滑な駐車許可制度の運用にかかる連携を図ることが述べられ、神奈川県では交番であっても口頭による許可申請が認められています。
 UR都市再生機構では、高洲3丁目の賃貸住宅団地内に駐車スペースを設けて対応されています。行政としても公共の駐車場の提供や、駐車禁止の除外措置、駐車料金の助成などの改善策が必要です。そこで伺います。
 1つに、訪問介護及び訪問看護事業所から駐車に関する相談や要望は把握されているのか。またどのような相談、要望が寄せられているのか、伺います。
 2つに、千葉県警察本部と駐車許可に関して、提出書類の簡素化や許可された時間を超えて駐車せざるを得ない場合の手続きについて協議すべきではないですか。
 3つに、空き地や小中学校などの公共用地を活用して駐車場の提供を行うべきではないのか。
 4つに、市内にあるUR賃貸住宅敷地内の駐車場に、訪問介護及び訪問看護車両への駐車スペースを拡充するよう要請すべきではないですか。
 5つに、分譲マンション、集合住宅の管理組合への駐車スペース確保の要請とともに、整備にあたっての助成制度を設けてはどうか。
 6つに、有料駐車場を利用した場合の駐車料金の助成の考えについて伺います。

3.国道14号・357号周辺における雨水対策について
 2013年10月16日の台風26号の大雨によって、千葉市内で累積雨量が300ミリを超えました。国道14号・357号が冠水し、稲毛区、美浜区幸町2丁目の分譲マンションにも影響し、膝ぐらいまで冠水したとのことでした。
 国道14号は過去にも大雨によって冠水し、通行止めや住居、事業所の冠水被害が出ました。そこで、幸町2丁目20、21番付近の浸水対策について、伺います。
 1つに、あらためて、近年の台風の大雨による国道14号・357号沿線の浸水被害について伺います。
 2つに、国道14号・357号の雨水対策はどのように図られているのか。
 3つに、幸町団地と国道沿いの分譲マンション間の雨水対策に取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 以上で、1回目の質問を終わります。

<2回目>

1.カジノを含む統合型リゾート(IR)について
 安倍政権は地方に「特区」と称して規制緩和を広げることを地域振興の柱にしようとしています。その中で、カジノの解禁で賭博場を開設するという新たな「呼び込み」を推進し、ギャンブル依存症を住民に広げ、家庭も地域社会も壊し、疲弊をさせるようなことは、地域振興の名に値しません。
 日本で、ギャンブル依存症の疑いのある人は、男性8.8%、女性1.8%、全体で4.8%、推計536万人にも達します。ギャンブル依存症の有病率が1%前後の諸外国と比べ、日本は異常に高いという実態です。シンガポールのカジノへの立ち入り制限者が、2010年の183人から14年6月には21万5,000人を超えた事実もあり、そこには借金や自己破産、家族と青少年、その周辺への悪影響があったのは当然のことと考えるべきです。カジノによる需要、雇用、税収の増加は「共食い」と呼ばれる所得の移転であり、所得を失う側での雇用、税収の減少が必ず発生します。
 市民報告会でのアンケートでも「デメリットをもっと説明してほしかった」「他国の事例より、社会風紀の乱れ等から犯罪が増えるので反対」などの意見が記入されています。市民報告会や市議団のアンケートでのカジノに関して、反対や批判の声の受け止めについて質しても、「引き続き、意見交換や情報提供に努める」とのことです。
 そこで、伺います。
 1つに、IR導入についての意見交換と情報提供に努めるということは、IR導入の可能性があれば推進していくという立場なのか。市民の理解は得られない。
 2つに、カジノを含むIRリゾートは、ギャンブル依存症、青少年への悪影響の問題など百害あって一利なしです。経済対策・地域振興として、カジノは何かを生み出すものではありません。富を奪い取る、カジノで負けた人の犠牲や不幸の上に成り立つ商売です。それを「投資を呼び込む一つの起爆剤」などと言う市長の見識が問われるのではないですか。
 3つに、先ほど示した厚生労働省の数値にあるように、日本は世界から見ても異常なギャンブル大国です。カジノ合法化は病的賭博患者をさらにひろげることと考えないのですか。
 4つに、「幕張新都心におけるIR導入可能性調査報告書」では、経済効果・税収があがるという「繁栄」ばかりの評価であり一面的です。カジノは地域経済を疲弊させ、貧困と格差を拡大するものに他なりません。
 日本のどこにも千葉市にもカジノを含むIRを導入する必要性はありません。カジノで税収を上げるなど地方公共団体がやるべきことではありません。お答え下さい。

2.訪問介護及び訪問看護車両の駐車対策について
 厚労省の報告書でも、私がお聞きしたところでも「所轄警察署に駐車プランを提出しても、いつも記載した予定時刻に利用者を訪問し、看護を終えて駐車場所に戻れるとは限らない」と言います。所轄の警察署に駐車許可を提出するのは年2回ですが、2回とも同様の書類を書かなければなりません。担当によっては数十枚書かなければなりません。そこで、伺います。
 1つに、こうした実態からも、訪問介護・訪問看護車両に対する駐車許可の煩雑さを解消するための対応を県警に求めてはどうか。
 2つに、訪問介護・訪問看護事業者の関係者から自動車で訪問する場合の駐車場の確保、駐車許可の交付申請状況など実態を市としてもつかむべきではないですか。
 分譲マンション、集合住宅の管理組合への駐車スペースの確保の要請についてですが、UR賃貸住宅敷地内への「介護等支援駐車スペース」の設置に関して、「UR団地では、今後、高齢化の進展に伴い、訪問介護等のサービス利用の増加が見込まれるとのことから、UR都市再生機構との協議において検討する」の答弁にあるように、美浜区の分譲の集合団地でも同様に高齢化が進みます。
 「駐車スペースの確保を要請することは考えていない」というのは冷たい答弁と言わざるをえません。事業者だけの努力では改善されません。利用者宅から離れた場所にあるコインパーキングを利用した場合には、移動によって、介護サービスの時間も削られることになりかねません。
 分譲の集合住宅でも自動車を手放す方が増えて、駐車の空きがあります。駐車できるスペースが確保できれば、訪問介護・訪問看護事業者だけでなく、今後の介護サービス等の利用者にとっても助かります。
 駐車スペース確保のための取り組みを行うべきです。お答え下さい。

3.国道14号・357号周辺における雨水対策について
 1つに、国道14号・357号の中央分離帯部分に2箇所の調整池が築造されましたが、その対応能力について千葉国道事務所から示されているのか。
 2つに、先ほどの答弁で、「市民の生命・財産に深刻な影響を与える浸水被害については、できる限り軽減する必要があると認識し、今後、既存施設の能力検証を行なって新たな施設の必要性に着手する」とのことですが、浸水・冠水した幸町団地と国道沿いの分譲マンション間の地域は、早急に能力検証を行い、対策を検討すべきです。