日本共産党市議団が提出した予算組替動議



 「議案第1号平成26年度千葉市一般会計補正予算(第6号)」、「議案第8号平成27年度千葉市一般会計予算」、「議案第9号平成27年度千葉市国民健康保険事業特別会計予算」、「議案第10号平成27年度千葉市介護保険事業特別会計予算」、「議案第18号平成27年度千葉市市街地再開発事業特別会計予算」、「議案第21号千葉市学校給食センター事業特別会計予算」、「議案第22号平成27年度千葉市公債管理特別会計予算」、「議案第23号千葉市病院事業会計予算」、「議案第24号平成27年度千葉市下水道事業会計予算」、「議案第25号平成27年度千葉市水道事業会計予算」について、市長は、下記により速やかに組み替えを行い、再提出することを要求する。

1 組み替えを求める理由
(1)安倍政権の暴走政治から、住民の暮らしと福祉、命を守る地方自治体の役割を果たす予算にすること。
 今、地方では、消費税増税と円安誘導による物価高が、暮らしと地域経済を直撃している。福祉・介護・医療への国庫負担の削減は、「人手不足」や「介護難民」、「医療崩壊」を深刻化させ、保険料などの重い負担を強いている。輸入自由化政策が農業に打撃を与え、大規模小売店舗法の廃止が身近な商店を潰すなど大企業優先の政治が地方経済を破壊してきた。「国際競争力の強化」、「国土強靭化」の名のもとに推進している大企業優先の大型開発が、地方自治体の必要な事業での入札不調や、人手不足などの深刻な問題も招いている。
 安倍政権はこの事態の反省もなく、「地方創生」、「アベノミクスの地方への波及」を進め、地方の衰退をさらに加速させようとしている。
 以上のような安倍政権の暴走に伴う市民生活への影響は深刻であり、こういう時こそ地方自治体が悪政の防波堤となって、市民生活擁護と向上の新年度予算とすることが求められている。
(2)市民生活優先の予算にすること。
 特別会計を含む新年度予算は8,561億円となっている。一般会計では3,902億円と過去最大であり、地方消費税交付金による約57億円の増額を含め、前年度比149億円増となっており、この増額した予算を市民生活福祉に配分することが求められている。また、約57億円のうち地方税法で、社会保障関連事業への使途が義務付けられている51億6,200万円は全額社会保障関連事業の充実に充てること。
 ア 予算の特徴の一つは、市民の暮らしを直撃する多額の負担増と福祉の切り下げである。
 負担増は、国民健康保険料9億5,380万円と介護保険料8億298万円の公共料金を引き上げた2事業の影響額合計は17億5,678万円になる。
 福祉の切り下げは、敬老祝金を長寿祝い金にして、77歳への1万円の支給を廃止し、88歳への支給額を3万円から1万円へ切り下げることであり、影響額は1億4,413万円になる。また、平成28年度から88歳への1万円の支給を廃止し、最後には99歳への支給しか残らない、敬老の心と福祉を切り捨てるものである。
 「市民生活福祉の増進」が使命である地方自治法の本旨に沿って、19億91万円の負担増や福祉の切り下げは中止すべきである。
 イ 予算の特徴の二つは、高齢福祉や市民生活を削っていることである。
 マニフェストやグランドデザインに関する取り組みは、合計約89億となっている。また、新規事業約7億5,000万円中、高齢福祉事業は約8,000万円と、新規事業総額の約11%となっている。
 マニフェストやグランドデザインに関する取り組みに少なくない予算を使い、高齢福祉や市民生活を犠牲にして進めるものではない。
 ウ 予算の特徴の三つは、急がなくてよい大型開発や新庁舎整備等と、市の負担義務のない国・県事業負担金等が改善されていないことである。
 千葉駅西口地区市街地再開発1億3,057万円、千葉駅東口地区市街地再開発1億1,500万円、蘇我特定地区整備7億7,228万円、新庁舎整備2,000万円は、緊急性や必要性が乏しい予算である。
 国道直轄事業負担金7億円、幕張メッセ建設事業負担金2億2,000万円、千葉港整備事業負担金3億3,983万円の負担は義務のない予算である。
 その他、問題ある事業も含めて、急がなくてよい事業や、予算計上自体が問われる事業の予算を見直して、市民生活で緊急に必要な事業などに振り向けることが必要である。

2 組み替えの基本方針
(1)住民の福祉の増進を図ることを基本とする地方自治法の本旨に沿って、市民生活を向上させる。
(2)新年度予算は一般会計で前年度比149億円増となっており、そのうち社会保障関連事業への使途が義務付けられている51億6,200万円の地方消費税交付金中、他に使われている約30億円を全額社会保障関連事業の充実に充てる。
(3)国道直割事業負担金及び県事業負担金の早期解消を図る。不公平な扱いを受けている県単独事業補助金が本市に公平に支出されるまでの間、県事業負担金の負担を中止する。
(4)マニフェストやグランドデザインに関する取り組みなどの予算を見直して高齢福祉や市民生活向上を同時に図る。
(5)急がなくてよい大型開発(千葉駅西口地区市街地再開発、千葉駅東口地区市街地再開発、蘇我特定地区整備等)、新庁舎整備等を見直す。
(6)企業立地予算を見直し、地元の中小企業・商店を応援する。
(7)予算を市民生活の安定に資するため次の項目に重点を置く。
 ア 福祉の維持向上
 イ 防災・減災対策等、安心・安全・便利な街づくり
 ウ 行き届いた教育
 エ 生活密着・循環型事業で元気な千葉市
 オ 情報公開・説明責任・市民参画の徹底

3 組み替えの内容
(1)急がなくてよい事業などへの歳出を削減するとともに、自主財源の確保を図る。
 ア 急がなくてよい大型開発や新庁舎整備等を見直して財源を確保する確保する。(前年度繰越明許及び当初予算額)
 (ア)千葉駅西口地区市街地再開発(1億3,057万円)
 (イ)千葉駅東口地区市街地再開発(1億1,500万円)
 (ウ)蘇我特定地区整備(7億7,228万円)
 (エ)新庁舎整備(2,000万円)
 (オ)水道事業 
    霞ヶ浦開発事業負担金(210万円)
    房総導水路開発事業負担金(4億3,247万円)
 (カ)マニフェスト関連事業、グランドデザイン関連事業を、緊急性、必要性の視点から見直し、事業費総額約89億円を80%に縮小する。(17億8,000万円)
 イ 国や県からの事業負担を見直し、財源を確保する。
 (ア)国道直割事業負担金(7億円)
 (イ)県事業負担金
    幕張メッセ建設事業負担金(2億2,000万円)
    千葉港整備事業負担金(3億3,983万円)
 ウ 中止か凍結する事業
 (ア)国民保護協議会開催(4万円)
 (イ)住民基本台帳ネットワークシステム維持管理(8,228万円)
 (ウ)社会保障・税番号制度 (8億2,949万円)
 エ 自主財源を確保する。
 (ア)資本金10億円以上の法人に、法人市民税均等割制限税率を適用する。(2億8,400万円)
 (イ)東日本高速道路株式会社、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する固定資産税又は都市計画税の応分の負担を求める。
 オ 基金からの繰入を10億円増やす。
 ただし、アからエまでの財源確保がされた場合は繰入額を減額する。
 以上、総額約67億円中、補助金等を差し引いた金額を以下の施策に組み替える。
 (2)市民の暮らしや福祉を応援し、地域経済活性化と雇用機会を増やす。
 ア 国民健康保険料9億5,380万円と介護保険料8億298万円の合計17億5,678万円の負担増を中止する。
 イ 平成27年度の主な見直し7事業中、敬老祝金を現行どおり77歳、88歳へ支給する。
 ウ 平成22年度から26年度までに見直した事業中、次の事業を復活させる。
 (ア)難病疾患見舞金支給
 (イ)はり・きゅう・マッサージ施設利用助成
 (ウ)ひとり親家庭等高校就学扶助
 (エ)母子家庭等児童入学及び就職祝金支給
 (オ)敬老会等経費の一部助成 75歳以上一人650円の復活
 (カ)私立高等学校等教育設備整備補助
 (キ)被保護児童生徒修学旅行支度費支給
 (ク)東京フィル提携事業
 (ケ)舞台芸術鑑賞事業補助金
 エ 福祉の維持向上
 (ア)敬老乗車券の復活
 (イ)高校3年生までの医療費無料化
 (ウ)高学年子どもルームの補助員を正規支援員にする。小学校6年生まで入所可能とする。
 (エ)国民健康保険料告示方式の撤回、支払い可能な料金への引き下げ
 オ 防災・減災対策の充実
 (ア)防災無線の充実・戸別受信機設置
 (イ)液状化対策の拡充
 (ウ)避難所予定施設へのマンホールトイレ・非常用井戸設置を増やす。
 (エ)家具転倒防止金具設置の促進、世帯の80%設置5か年計画推進
 (オ)一般住宅・マンションへの耐震診断・改修事業を拡充する。
 カ 地域密着・循環型公共事業の促進、雇用の増大
 (ア)住宅リフォーム助成制度をスタートさせる。
 (イ)特別養護老人ホームを毎年5か所建設
 (ウ)小規模修繕の発注件数を大幅に増やす。
 (エ)子どもルームの増設、大規模ルームの解消
 (オ)老朽化した木造保育所の建て替えをリース方式で推進
 (カ)雇用の創出に向けた取り組みをスタートさせる。非正規雇用者を正規雇用者にする取り組みを応援する。
 キ 安全・安心・便利な街づくり、行き届いた教育
 (ア)生活道路の整備
 (イ)危険な交差点の改良
 (ウ)デマンドタクシーの導入調査
 (エ)農産物の価格保障充実、後継者対策の重視
 (オ)少人数学級の推進、いじめをなくす取り組みを強める。
 (カ)普通教室へのエアコン設置実施計画策定
 (キ)給付型奨学金制度の創設へ向け、基金を設立する。
 (ク)就学援助制度を改善して利用の拡大
(3)不急不要の大型公共事業で、当初予算に計上した以下の事業に係る市債・債務負担行為を抑制する。
 ア 千葉駅西口地区市街地再開発事業 
 イ 千葉駅東口地区市街地再開発事業 
 ウ 蘇我特定地区整備事業  
 エ 水道事業