佐々木議員の一般質問(一括質問)



2015.6.22

写真1.保育について
 保育要求は切実さを増しています。若い世代の中での年収300万円以下の低賃金、非正規労働、奨学金返済などで二重三重にも状態が悪化している中で、共働き世帯が急増しています。
 まず、待機児童の定義についてです。「子ども子育て支援新制度」では給付対象となる施設に入所すれば待機児童ではなくなり、また、特定の保育所を希望していると待機児童の数に入らないということです。
 千葉市も同様に基準も厚生労働省が改悪した定義を用いて、「自宅から徒歩20分から30分以内に空きのある保育所があるにも関わらず辞退された場合などは待機児童のカウントから除外します」としています。市は「2年連続、待機児童ゼロ達成」としましたが、実際は342人が希望する保育所に入れていません。市立保育所への入所を希望していた人数は、このうち33人でした。
 認可外施設を利用している世帯のうち65.5%が認可保育所を希望しているという統計もあります。そこで、伺います。
 1つに、新制度でも、児童福祉法24条1項で市町村の「保育実施義務」が明記されています。市町村は、保護者に保育所入所を保障しなければなりません。「保育実施義務」の点からも「待機児童ゼロ」は撤回し、希望する保育所に入れない児童数を明らかにすべきではないですか。
 2つに、「自宅から徒歩で20分から30分以内に空きの保育所を辞退した場合に待機児童にカウントしない」とは、親とすれば自転車や自家用車での送迎にならざるをえなくなります。保護者の実態と乖離した基準ではないですか。送迎時間の基準を設けるべきではありません。お答え下さい。
 3つに、千葉市における認可外保育施設を利用している世帯における認可保育所を希望している世帯は把握されているのか。把握すべきと考えますが、お答えください。

 保育所・保育園の待機児解消のために認可外施設の認可化により、保育施設の増設が急速に進んでいます。
 千葉市では認可外施設の認可化が、増大する保育需要に対応するため、2012年2月から「千葉市先取りプロジェクト認定保育施設」を。同年3月「千葉市グループ型小規模保育事業」の2事業を実施してきました。
 それ以前からも、庭のない保育所や鉄道高架下での小規模保育事業が実施されています。こうした事業は、実施以来45箇所増えて、このうち庭のない保育園で公園などを代用しているところは28箇所にもなっています。
 こうした小規模保育事業が進められてきた背景には、公立保育所の整備と運営に対する国庫補助金が一般財源化されたことにあります。整備費については、事業費の半額を地方債で賄うため、市町村の負担は大きく、公立保育所の整備が進んでいません。
 4つに、保育所の入所を希望する保護者から入所できずに、何件の異議申し立てが出されていますか。その主な理由について明らかにして下さい。
 5つに、ビルの一室や高架下など庭のない小規模保育所、公園を代用している保育所については、子どもの成長にとっても問題です。「園庭を確保する」などのガイドラインを設けるべきではないですか。
 6つに、庭のある保育所の整備では、市有地など公有地を確保して対応することが必要です。千葉市内でそうした用地を確保できる箇所は何箇所あるのか、お示しください。
 7つに、「公立保育所の施設改善に関する基本方針」で、建替え対象である築30年以上の木造保育所5か所については、公設公営を求めますが、どうですか。
 8つに、待機児解消につながる保育所の整備に市町村が果たす役割は非常に重く、定員増に直結する公立保育所の増設こそ必要です。国に公立保育所増設計画をつくらせるよう求めるべきですが、お答えください。

2.子どもルームについて
 厚労省において07年に策定された「放課後児童クラブガイドライン」の見直しがされ、4月に「放課後児童クラブ運営指針」を策定し、各自治体に通知を出されました。
 この「運営指針」でも、放課後児童健全育成事業は児童福祉法に基づき、「児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、子どもの発達段階を踏まえながら、その健全な育成を図る事業」、「児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもに最善の利益を考慮して育成支援を推進する」「学校や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、保護者と連携して育成支援を行うとともに、その家庭の子育てを支援する役割を担う」とされています。
 この「運営指針」に基づいて、市の放課後児童健全育成事業について検証しなければならない幾つかの問題があります。
(1)高学年ルームについて
 昨年、高学年ルームの施設や運営について質問をしました。高学年ルームは専用室なし、おやつなし、遊具なしの状態です。多くのルームでは延長保育の時間には部屋を移動しなければなりません。そこで伺います。
 1つに、厚生労働省の「運営指針」第6章「施設及び設備」では、「生活の場としての機能と遊び等の活動拠点としての機能を備え専用区画が必要である」とされていますが、高学年ルームは間借りであり、「専用区画」とは言えないのではないですか。
 2つに、エアコンのない高学年ルームについては早急にエアコンの設置が求められますが、どうですか。
 3つに、「子どもの所持品を収納するロッカーや生活に必要な備品、遊びを豊かにするための遊具や図書を備える」「放課後児童支援員等が事務作業や更衣ができるスペース等も求められる」としていますが、高学年ルームにはそうした配慮が欠けているのではないですか。
 4つに、「運営指針」では、「子どもにとって放課後の時間帯に栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する」としています。高学年ルームについては、「おやつの提供はありません」として、土曜・長期休業は持参としています。持参する、しないで差が出るのではないですか。おやつの提供をすべきではないですか。
 5つに、高学年ルームの状況を見ながらの判断とされていると思いますが、運営要領については作成されるのか、伺います。
 6つに、4月に高学年ルームに入所せざるを得なかった3年生の退所人数や休んでいる人数の状況について示していただきたい。低学年のルームとの比較ではどうか。
(2)待機児童について
 4月1日現在の子どもルームの待機児童数は、1年生82名、2年生74名、3年生54名、4年生から6年生まで170名、合計380名となっています。低学年ルーム入れず、高学年ルームを利用する3年生126名をあわせると、506名となります。それにもかかわらず、今年度は子どもルームの新設、増設の予算は組まれていません。そこで、伺います。
 1つに、低学年ルームに入れなかった3年生、高学年ルームを利用せざるをえない3年生を把握しているのであれば、早急に低学年ルームの新設・増設を行なって待機児童を解消すべきではないですか。そのための予算計上をすべきです。お答えください。
 2つに、その学年を子どもルームで生活するというのは一生に一度しかありません。3年生をおやつや遊具もない高学年ルームでの生活を送らせるというのは、「子どもの最善の利益を考慮して育成支援する」という観点から、外れているのではないですか。
 3つに、「新制度」では小学校6年生までを対象児童としています。施設と設備の整った子どもルームの新設・増設を行ない、対象学年を早期に6年生まで広げるべきではないですか。
 4つに、100名を超える大規模ルームへの対応ですが、美浜区では幕張西小子どもルームは120名であり、これまで保護者から出されているルームの増設に応えるべきです。お答えください。
(3)指導員の待遇改善ついて
 待遇改善については、これまでも何度も求めてきました。4月当初の職員の6区合計の基本配置数は、指導員440名、補助指導員365名に対し、現行配置数は指導員430名、補助指導員391名となっていて、指導員の慢性的な不足が続いている状況です。
 指導員の給与は、月額14万6千円です。指導員は、学校の授業時間に合わせたり、延長保育で帰宅時間が定まっていませんが、子どもたちの最善の利益のために育成支援をしているわけです。待遇改善について市は、「指導員の待遇改善の要望があった場合は、社会福祉協議会に伝えます」としていますが、委託をしたのは市であり、市の責任において待遇改善しなければなりません。そこで伺います。
 1つに、4月当初の指導員不足については解消されたのか。市として慢性的な指導員不足をどう捉えているのか。また解消しようとしているのか、伺います。
 2つに、社会福祉協議会の自助努力だけでは待遇は改善されません。指導員不足の解消には、給与月額の引き上げとともに経験給の導入が必要です。あらためて求めますが、お答えください。
(4)子どもルームの運営について
 1つに、開所後に台風や災害が起こった場合には、閉所とすることとなっていますが、共働きの世帯では、すぐにお迎えできない状況もあるだけに、子どもルームで預かる体制については改善されるのか。
 2つに、インフルエンザの場合の対応について、どのように対応されるのか。

3.全国学力・学習状況調査について
 文部科学省は4月21日、いわゆる「全国学力テスト」を実施しました。学校の通常のテストは、授業内容を子どもたちが理解しているかを確かめ、それぞれの子どもがつまずいている点などを発見し、その後の学習指導に役立てられます。全国学力テストの結果が返ってくるのは実施から数カ月後となります。答案用紙そのものは返されず、渡されるのは各問題ができたかどうかを示す表だけです。何をどう間違えたのかも子どもには分からないものとなっています。これは千葉市でも同様です。
 学力を確かなものにするには、じっくり考えたり、話し合ったりすることが重要です。文科省も全国学力テストの結果について「学力の特定の一部分」「学校における教育活動の一側面」を示すだけだとしています。ところが現状は「どうやって学力テストの平均点を上げるか」が至上命題になり、学力テストに関係しない学習や行事などが削られて、一人ひとりに確かな学力をつけることに逆行していると言わざるをえません。また文科省は、学校別平均点の公表を各教育委員会の判断でできるように変更し、市も公表しました。学校の序列化や競争を加速させるものとなります。昨年の第4回定例会で、わが党の中村きみえ市議が、「小学6年生と中学3年生の昨年度との結果の違いを公表されても、昨年度テストを受けた子どもたちではないため、学力も比較検討ができないので、結果について判断が難しい」と、結果公表の問題点を指摘しました。
 そこで伺います。
 1つに、「全国学力・学習状況調査」は直ちに廃止すべきです。毎年約60億円が使われている予算を少人数学級の実施などに回し、学習が遅れがちな子どもへの丁寧な支援ができるようにするなど、一人ひとりの子どもに目が行き届く教育条件の整備にこそお金をかけるべきと教育委員会は考えないのか、伺います。
 2つに、千葉市においては、昨年の答弁では「市民への説明責任を果たす」としていましたが、保護者に対して、どのような説明を行なったのか、お示し下さい。
 3つに、昨年度の学校名の公表については、「教育上の効果や影響等に十分配慮した」とは言え、平均点を上げるために、本来の千葉市も掲げる「確かな学力を育成・定着する」と逆行するのではないですか。今年度からは公表すべきではありません。お答え下さい。
 以上で、1回目を終わります。

(2回目)

1.保育について
 千葉市は、国が示す待機児童数に含めない定義、「第1希望の保育所でない等により転園希望が出ている場合」「特定の保育所等を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合」をそのままに活用し、「特定の保育所1か所のみ希望した」など、国と同様に、あたかも保護者に責任があるかの答弁です。「自宅から20分から30分未満で登園可能とする基準」は、自動車を保有する世帯であれば可能かもしれませんが、自転車の送迎で、保護者の中には2人の子どもが別々の保育所に通ったり、公立保育所に預けるために自転車で花見川区から美浜区の公立保育所まで送迎している保護者などの気持ちを考えていない答弁と指摘せざるをえません。
 また、認可外保育施設を利用している世帯における認可保育所を希望する世帯の把握については、「保育ルームの利用など児童ごとの状況もすべて把握しており、継続して認可施設等への入所の支援を行っている」ことや、1回目の質問の際に、示した入所待ち児童のうちの公立保育所を希望する33人、4月入所の申し込みに対する異議申し立てや苦情の電話などを加えれば、公立保育所を望む世帯が多いのではないでしょうか。
 園庭のない認可保育所については、中村きみえ市議の質問の際にも、「市の所有する土地で小規模でも庭付きの保育所の設置」を求め、私も公有地の調査を求めましたが、「保育需要の高い地域に未利用の公有地等があった際に、その都度、保育所等の設置の可否について検討」とのことです。庭のない施設整備や認可化は、子どもたちの生活環境、保育環境が不十分です。
 園庭は遊ぶためにありますが、園庭があるからこそ自然を感じて季節を感じることができます。園庭がなければ、8時間から10時間も壁に囲まれたビルの一室等で過ごすわけです、駅周辺への小規模保育事業の整備を進めるために、庭のある保育所の整備は困難というのは理由になりません。学校跡地や公有地での整備が必要です。
 子どもたちの安全面でも、園庭があれば、道路を渡って公園に行く必要もなく、災害時にはすぐに外に出ることができます。そこで伺いますが、
 1つに、「待機児童ゼロ達成」ではなく、認可外保育施設を利用せざるを得ず、認可保育施設を希望している児童数等を国の待機児童の定義をそのまま当てはめることはせず、「待機児童ゼロ」は撤回すべきではないですか。 
 2つに、市の「保育実施義務」を果たし、庭付きの認可保育所の増設を再度求めます。お答え下さい。

2.子どもルームについて
 3年生を高学年ルームに入所させるのは、子どもの最善の利益を考慮して育成支援するという観点から外れているのではないかと質したのに対し、「低学年ルームとの違いを理解した上で入所していただいている」との答弁です。
 ある方からは、「昨年度まで低学年ルームを利用していた2年生の子どもが3年生になって、今年度は高学年ルームを利用せざるをえなくなりました。この高学年ルームは家庭科室でエアコンがない、遊具もほんの少ししかない、2年生の時にやっていた工作もできない、おやつもないために帰る頃にはお腹をすかせて、家まで我慢できないために、お菓子を食べさせている。夕方に食べるために夕飯をまともに食べられない」や、学校施設を使用するため、セキュリティ上、「お迎えの時にはインターホンで呼び出す形で、高学年ルームの中の様子が伺えない。どんな遊びをしているのか、わからない」などの声が寄せられています。そこで伺います。
 1つに、高学年ルームの実態と、市の把握、考えに乖離があるのではないですか。子どもや保護者の声をつかむべきではないですか。
 2つに、エアコン設置について、「夏季休業中はエアコンが設置されている図書室で過ごす」とされていますが、夏季休業中の前後も暑い日が続きます。「児童の健康に配慮する」というのであれば、高学年ルームとして使用する特別教室には、エアコンの予算をつけて設置すべきではないですか。
 3つに、実態が示すように「子どもの最善の利益のため」になっていると考えられません。高学年ルームについて、市は今後も特別教室を活用していくのであれば、寄せられた実態の改善は図れません。子どもルームの新・増設を求めます。お答え下さい。

 子どもルームの指導員は、保育士や教員等の有資格者が要件となっています。長く携わってきた指導員も、短い方も同じ給与であるならば、指導員か正規の保育士や教員として働くかを選ぶとしたら、14万6千円と年3回のボーナスだけの指導員への待遇で判断せざるを得ないわけです。そうした条件であるにも関わらず、子どもたちのためにと熱心に指導員として働いている方はいます。
 実際には年度当初に指導員不足が慢性的に発生しているのですから、給与等を抜本的に引き上げて、指導員不足を解消する対策こそ必要ではないですか。そうした認識はありますか。

3.全国学力・学習状況調査について
 文部科学省が全国学力テストを行なう建前として、「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析」という調査を目的としたものですが、学校別の平均点の公表は市町村教育委員会の判断ででき、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の同意を得て、市町村別や学校別の結果の公表が可能とされました。
 調査の結果について、大阪府では4月に中学校3年生の結果を府立高校入試の内申点に反映させることを決定するなど、調査の目的から外れて使用されるところも出ています。子どもの中での競争を激化することになりかねません。
 千葉市では、どの子にも「確かな学力を育成・定着させる」という目的があるのであれば、結果によらず、教育予算を増やし、教育条件をいかに充実させるかという視点で、力を尽くすべきだということを求めておきたいと思います。

(3回目)

 保育を必要とするすべての子どもに公的責任で保育を保障し、どのような保育形態であっても保育に格差をつくらず、支援をおこなうことが基本です。本来、国が果たさなければならない保育や子育て支援策は、誰もが子育てしながら安心して働き続けられる社会めざすべきものでなければなりません。「子どもの最善の利益」の見地からも保育所の整備とともに、安心安全で子どもたちが健やかに育つ豊かな保育環境の保障が不可欠となっています。
 しかし、国は保育の「規制緩和」と詰め込み、株式会社など営利企業の参入促進のもとで、新たにつくられた施設のなかには、園庭ない保育所や、高架下やビルの一室に設置された施設が増加しています。保育の質の低下、子どもの発達への影響や安全を心配する声がひろがっています。
 児童福祉法第24条1項の「保育実施義務」に基づいて、千葉市の公的責任において庭のある保育所を整備するよう強く求めるものです。

 子どもルームについて、特別教室の活用をすべきでないと質したのに対して、「児童の安全確保や資産の有効活用等の観点から行っていくものであり、今後も同様の手法で開設していく」とのことです。現状でも保護者や関係者から、4月からスタートした高学年ルームに対して、何度も申し上げますが、エアコンの設置、おやつの提供、生活に必要な備品や遊具の必要性などの意見や課題が出されているのですから、千葉市は真摯に向き合うべきです。
 保護者が就労等により、昼間家庭にいない児童を対象に、授業が終わった後の遊び及び生活の場を提供し、指導員が保育する子どもルーム。「子どもの最善の利益」のために施設整備、運営を行なわなければならないのにもかかわらず、資産の有効活用の観点を持ち出すことはしてはなりません。いまを生きる子どもたち、将来の子どもたちに我慢を強いることは決して許せません。
 安心して子どもを生み育てることのできる社会をつくることは、未来にかかわる大問題です。子どもルームに対し、社会福祉協議会に委託しているからだけではなく、市としての公的責任を果たし、子どもルームの予算を増やして施設の整備と充実をすることが必要です。
 指導員の待遇改善についても、「指導員の給与等は社会福祉協議会において決定している」としていますが、委託しているのは千葉市なのですから、給与等の改善が図られれば、指導員不足の解消につなげることが可能になるのではないですか。改善は待ったなしの課題です。
 施設整備・充実と、指導員の待遇改善は、子どもたちのためにも必要であることを繰り返し強く求めていきます。
 以上で、私の一般質問を終わります。