野本信正議員の一般質問および答弁(要旨)



2015.6.22

写真1.千葉市水道事業について
【野本信正議員】

 千葉市内の給水人口のうち94.7%の市民は、県営水道によって供給されていてそれ以外の、緑区及び若葉区泉地区は千葉市水道局によって供給されている。
 千葉市水道事業は、S44年土気町合併に伴い、土気町の簡易水道を千葉市が引き継いだことから始まり、当時千葉市は県営水道への編入を求めていたが千葉県から断られて千葉市水道として出発して今日にいたっている。
 土気地区の開発による人口増や、若葉区泉地区への給水などへと第3次拡張工事まで事業を広げてきているが、事業経営は極めて困難であり、累積赤字と、企業債未償還残高は増え続けている。
 水道は市民生活に欠かせない事業であり、給水に責任を持つことは市の責任であるが、このような経営が続いていけば水道事業は、多額の赤字と借金を抱え、千葉市財政健全化の足を引っ張る事業になってしまうと思われる。
 質問するが、一般会計から水道事業への繰り入れが続き、赤字が増え続けている原因はなにか。千葉県水道局から水を買い取る費用を含めた給水原価と、市民に供給する供給単価の差がある。それぞれいくらか。税込みで示されたい。

【水道局長答弁】
 水道事業会計の収支は、一般会計からの繰入金により、収支均衡となっています。このうち、収益的収支に係る補助金がいわゆる赤字補てん分となっていますが、これは、千葉県水道局からの分水料金である受水費などを含めた給水原価と市民負担の公平を図る観点から、県水道局の料金と同一としている供給単価の乖離が主な要因となっているものと考えています。平成25年度決算における実績では1立方メートルあたりの給水原価は税込みで404円、供給単価は、同じく税込みで214円です。

【野本信正議員】
 千葉市民の水道料金は、どこに住んでいても同額であるべきで、水道局は、千葉県水道局から水を買い取る費用を含め、1立方メートル約400円の給水原価に対して、市民に約200円で供給している。当然毎年赤字が出る。H25年度決算赤字はいくらか。また、当初からH25年度までの繰入金の合計はいくらか。

【水道局長答弁】
 平成25年度決算における一般会計補助金は、8億900万円です。また、昭和44年度の旧土気町との合併から、平成25年度まで、45年間の一般会計補助金の累計額は、168億500万円となっています。

【野本信正議員】
 累積赤字と企業債未償還残高の合計について、現在の、企業債未償還残高とその理由について示されたい。また企業債未償還残高と累積赤字の合計金額は幾らか。

【水道局長答弁】
 平成25年度末における企業債未償還残高は、203億1,100万円で、これは、給水エリアを拡大するための施設整備や、水利権等の取得の財源として活用したものです。
 なお、赤字の累積額についてですが、昭和44年度の旧土気町との合併から平成25年度まで、45年間の一般会計補助金の累計額と、企業債未償還残高を合わせますと、371億1,600万円となっています。

【野本信正議員】
 累積赤字における30年後の推計、合計額は。

【水道局長答弁】
 千葉県水道局からの受水を継続するものとして、平成26年度から30年後の平成55年度までを推計してみると、昭和44年度の旧土気町との合併から平成55年度までの一般会計補助金の累計額は、約385億円となるものと見込んでいます。

【野本信正議員】
 厳しい経営を続ける原因の一つは、指摘した給水原価と、市民に供給する供給単価の差である。改革がされない限りこのまま続き30年後には385億円に膨れあがる。原因の二つは、第3次拡張事業の認可に伴う人口推計が過大であったことである。計画給水人口と、実際の給水人口について示されたい。

【水道局長答弁】
 平成11年3月に策定された、千葉市新総合ビジョンで示された人口フレームに基づいて、第3次拡張事業における計画給水人口を78,100人としました。平成25年度末の給水人口は46,886人です。

【野本信正議員】
 計画給水人口78,100人に対して、実際の給水人口46,886人、31,214人の乖離があり、土気地区の開発も落ち着き、若葉区泉地区は市街化調整区域である。今後人口増の見込みは全く無いと思うがどうか。

【水道局長答弁】
 計画給水人口ほどの伸びは、厳しいものと考えています。

【野本信正議員】
 「計画人口ほどの伸びは厳しい」の答弁。厳しいのではなく見込みが全くないない地域に、3万1千人も多い計画をつくり投資してきた責任はどこにあるのか。 設備・事業費の中で、実態と乖離した人口推計により、過大な設備・事業が実施されていると思う。設備・事業費の総額は幾らで、計画の60%である実際の給水人口で計算するといくらで、差し引いた金額は幾らか。

【水道局長答弁】
 単純に人口比による事業費の比較は難しいと考えますが、第3次拡張認可時の総事業費は460億円で、計画の60%相当額仮定した場合、そのは、差引額184億円となります。

【野本信正議員】
 水道局は、経営改善にどんな努力をしてきたのか。千葉県水道局に、水を買い取る費用である分水料金値下げ要請はしているのか。 市内94.7%の市民は、県営水道で供給されていて、1立方メートル約200円で供給を受けている。千葉市水道区域にも、94.7%の市民と同じ給水原価にして、赤字が出ないように、千葉県水道局に値下げするように、強く求めるべきではないのか。今まで何回求めているのか。直近ではいつで、市からだれが申し入れているのか。市と県の担当部署はどこか。

【水道局長答弁】
 千葉県水道局からの分水料金について、毎年度協定を締結しており、締結協議の中でなるべく低減化されるよう、事務レベルで交渉を行っています。なお、担当部署は本市が水道事業事務所で、県水道局は技術部計画課となっています。

【野本信正議員】
 県からの分水料金について、「毎年協定を締結していて、低減化を事務レベルで交渉している」の答弁だが、給水単価404円を、供給単価214円まで引き下げて、水道会計の赤字の解消を目指すには、事務レベルの交渉では解決出来ない。 「千葉市の最重要の改革を目指す事務事業」に位置付け、「副市長をトップにしたチーム」を立ち上げ、「県・市間協議の重点項目に位置付け」交渉するなど提案するが、鈴木副市長の答弁を求める。

【水道局長答弁】
 千葉県からの分水料金につきましては、平成28年度以降の「分水に関する協定書」を締結するための協議にあたり、私が5月1日に県水道局長を訪問しました。
 その際、千葉市の水道事業の現状などを伝えたところであり、今後も、あらゆる機会をとらえ、粘り強く交渉を行って参りたいと考えています。

【野本信正議員】
 この問題は、兼務の水道局だけでは解決しない。市は県の重要な立場の人と話し合わないといけない。その部署は副市長ではないのか。この間の取り組みなどを明らかにしてほしい。

【水道局長答弁】
 千葉市の水道事業の現状をしっかり伝え、熟度を高めた上で、県との協議に臨みたいと考えています。

【野本信正議員】
 副市長が県との協議に責任を持つべきだ。副市長がしっかり答弁すべきだ。

【鈴木副市長答弁】
 私どもも重要な課題だと考えている。ようやく県と市の水道局長の話し合いの場ができた。交渉の端緒ができたので、今後の交渉経過を検討して臨んでいきたい。

【野本信正議員】
 やっと交渉の窓口ができたようだ。45年間何もしてこなかったのは問題だが、これからを期待している。
 確保されている水源の実態と市民への供給について、水源確保に必要に今まで投資して金額はいくらか。また、確保した千葉市分の水源は、1日何トン、年間何トンか。

【水道局長答弁】
 水源の取得に要した費用については、いわゆる水利権と施設使用権の費用ですが、合計で202億5,900万円です。そのうち、平成25年度末の未償還残額は14億9,200万円です。確保した水量ですが、1日当たり33,700トンで、年間で1,230万500トンです。

【野本信正議員】
 千葉市水道が約202億5,900万円の、莫大な資金を投じて確保した水源は、浄化施設がないために、ただの一滴も市民のために使われていない。
 千葉市水道が、赤字と借金合計371億1,600万円も抱えた3つめの原因は、ここにもあると思う。源水浄化の施設整備は簡単ではないが、例えば使っていない水源を県水道局に買ってもらい、その分給水原価を引き下げて、1〜200円で供給しても赤字が出ないように、あらゆる可能性を追求すべきではないのか。

【水道局長答弁】
 水道事業の経営の健全化のため、引き続き、給水原価の低減に努めるほか、現在、未活用になっている水利権などの活用方策など、様々な対策について、検討していきたいと考えています。

【野本信正議員】
 改善の提案を行いたいと思うが、千葉市水道事業は、多額の赤字と借金を抱え、千葉市財政健全化の足を引っ張る事業になってしまうと思わないか。そこで、改善提案は、(1)給水原価と、供給原価の乖離を是正するため市長が知事と交渉を、(2)拡張工事の給水人口を実態に見合った人口に変える、(3)多額の投資をして確保した源水を浄化して有効に使う、(4)未給水地域への水道布設を進める条件を整備して普及をはかり使用料収入を増やすことについて、市長の答弁を求める。

【熊谷市長答弁】
 市の水道事業は、私が就任当初から大きな問題だと考えてきた。経営状況を担当から説明を受け、過剰な見積もりをしてきた人口の見直しに着手し水需要予測を精査してきた。水源事業・導水事業の撤退を指示し実現した。その中で、既に確保している水源の有効活用のため他都市での使用などを関係機関と協議してきている。水源事業には難しい問題もあり、提案されている給水原価の引き下げも、県からすればただの値下げでしかない。他の部分では、私も前の副市長もトップレベルでの意見交換はしてきた。県との事務的な話し合いの場ができたことから、今後は水道事業の経営安定化へ努力していきたい。

2.デマンドタクシーについて
【野本信正議員】
 高齢者の外出・移動を応援するデマンドタクシーの実現に、市民の関心が高まっている。市民の声を紹介するが「北大宮台に住み静かで住みやすい街だと思っていましたが、病院も余りなく老いた身で病院に行くことが負担になり、この先を心配していました。デマンドタクシーが実現できるようよろしくお願い致します。」「このたびデマンドタクシーの件を初めて知りました。私だけでなく高齢者の方々の、身体の不自由な方々がどんなにか願っている事と思います。略 デマンドタクシーが実現すれば外出を気にせず行動範囲が広がり、余生が明るくなると思います。実現を心から願っています。」 まだまだたくさんありますが、市民の声をどう受け止めるのか。

【都市局長答弁】
 今後、本格的な超高齢社会を迎えるにあたり、高齢者の移動手段を確保していくことは重要な課題であると考えています。なお、地域の特性に適した移動手段を構築していくためには、地域住民が主体となった取り組みが必要であり、このような取り組みに対し、本市は支援していきたいと考えています。

【野本信正議員】
 千葉市社会福祉協議会は若葉区の一部地域を対象にして、自宅とスーパーの間を送迎する、お年寄りの買い物支援が始まったがどのような状況なのか。千葉市のデマンドタクシーの実現に、これらの事業も参考にすることが多いと思うがどうか。

【都市局長答弁】
 市社会福祉協議会では、市老人福祉施設協議会と連携して、今年2月から、市内でも高齢率が高く、小売店の撤退などにより、高齢者が日常生活用品の購入に困難をきたしている若葉区大宮台、北大宮台、多部田町において、買い物支援モデル事業を開始しています。現在、近隣の特別養護老人ホームのデイサービス送迎用のワゴン車5台を、火曜日、木曜日及び金曜日の週3日運行しており、25人の方が利用しています。

【野本信正議員】
 デマンドタクシーの必要性の第一は、高齢化した市民が外出するためにバス停まで遠かったり、バス路線そのものが廃止されたりしている場合や、医療機関、公共施設、買い物などに対応する交通手段の確保と、外出支援によって生活に気力が向上し、趣味を生かし、友人知人などとの交流が広がり、引きこもりの解消や、元気で長生きする高齢者への大きな支援となる。第二は、高齢者だけが対象ではなく、交通空白地域を解消して、市民が安心して暮らすことが出来るようにするため、行政の交通政策整備の重大な課題であると思う。それは、人口減少と少子、高齢化、バス路線の廃止、車社会の成熟などの変化と進化に対応した交通政策の見直しが求められているなかでの一つの対策であると思う。以上、デマンドタクシーの必要性要について当局の見解を問うがどうか。

【都市局長答弁】
 デマンドタクシーの検討においては、これらの事例を参考にしたいと考えています。

【野本信正議員】
 以上、デマンドタクシーへの対応は、高齢者対策と交通政策に拘わるものであり、行政としては都市局交通政策と、保健福祉局高齢福祉政策が共同して取り組むことが求められていると思うがどうか。

【都市局長答弁】
 今後、急激に進む人口減少や少子・高齢化社会に対応した公共交通の在り方の検討は重要であり、交通不便地域における公共交通の確保については、基本的には、地域の負担を前提として、デマンドタクシーも含め、様々な方策の検討が必要であると考えています

【野本信正議員】
 先発自治体の調査研究はどこまで進んでいるのか。そのうち、高齢者や交通空白地域住民の利便向上に貢献している事例はあるか。

【都市局長答弁】
 高齢者の外出支援対策と地域の公共交通の確保では、対象範囲が異なってくるものと考えています。なお、取り組みの共通点もあると考えられますので、必要な情報について共有していきます。

【野本信正議員】
 千葉県内で実施している14自治体のなかで、利用者が計画どおりに乗車している自治体と、利用者が伸びずに苦戦している自治体について、何が原因だと把握しているのか。ちなみに、山武市の登録者数は6,136人で14自治体中2番目に多い。さらに、1番多い酒々井町は登録者数は6,461人で、人口21,306人の30.32%にもなり、収支率も高い。何が原因と把握しているのか。

【都市局長答弁】
 千葉県内及び県外の事例については調査中です。なお、千葉県内におけるデマンドタクシーの14事例については、利便性の向上につながっている事例もありましたが、利用者の低迷により行政負担が多い事例もあります。

【野本信正議員】
 14自治体の利用対象者をみると、70歳以上など年齢制限を付けている自治体もあるが、市内在住で登録された方、だれでも可など制限を付けてない自治体が多いようだ。高齢者の外出支援を基本としながら、運行するエリア内の希望者も利用できる運行が良いとの感想を持ったが、当局の考えはどうか。

【都市局長答弁】
 既存のバス路線との競合やタクシーとの兼ね合いなどが一因ではないかと考えています。なお、酒々井町については、朝夕の通学時間帯は小学生の送迎を実施し、さらに、交通不便地域内を大きくカバーしていることで、安定した需要があるものと考えています。

【野本信正議員】
 デマンドタクシーは国土交通省の認可が必要になる。過日視察した成田市は実証実験のまま運航を続けておりこの方式は参考になると思うがどうか。

【都市局長答弁】
 高齢者の外出支援と公共交通の確保では、目的や必要とされる運行ルートなどが異なると考えています。公共交通の確保という目的でデマンドタクシーを運行する場合は、年齢制限は付さないものと考えています。成田市の事例は参考にさせていただきたいと考えています。

【野本信正議員】
 千葉市もデマンドタクシーの実現を目指して、市民の声を幅広く聞くこと、庁内・交通関係、福祉関係、や市民参加のプロジェクトを立ち揚げていくことを求めるがどうか。

【都市局長答弁】
 路線バスの撤退などにより、公共交通が利用できない交通不便地域の移動手段の確保に関し、市民の意見などを聞いていきたいと考えています。プロジェクトの立ち上げについては、有識者などの意見を参考に検討していきたいと考えています。