もりた真弓議員の反対討論



2015.6.23

写真 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。会派を代表して、議案第77号・平成27年度千葉市一般会計補正予算中、個人番号カード交付等事務費について、心身障害者医療費助成事業について、千葉中央港地区まちづくり推進事業について、議案81号・心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正について、議案第82号・千葉市福祉作業所設置管理条例の廃止について、議案第89号・千葉市証明等手数料条例の一部改正について、議案第101号・千葉市都市公園条例の一部改正について反対し、発議第3号・千葉市福祉奨学基金条例の制定が否決されたことについて、請願第2号・千葉市中央区の東京電力千葉火力発電所内を千葉県指定廃棄物最終処分場候補地として調査、建設の受け入れを判断しないよう求める請願、請願第3号・小中学校の老朽校舎改修、トイレ改善とともにすべての教室にエアコンの設置を求める請願が不採択になったことについて、討論を行います。

 はじめに、議案第77号・平成27年度千葉市一般会計補正予算中、個人番号カード交付等事務費と、議案第89号・千葉市証明等手数料条例の一部改正については、いわゆるマイナンバー制度の実施に向けたものです。
 マイナンバーは市民の中での理解が進んでいません。マイナンバーの目的は、「国民の利便性向上」ではなく、国が「行政の効率化」を目的に、国民・市民の所得や資産状況を掌握して、徴税の強化や「社会保障給付」を削減するためのものです。個人番号の管理のために多額の費用や労力をかける一方で、個人情報の流出によってもたらされる被害の方が大きいです。現行法の利用対象は、税・社会保障、災害対策にしていたものが、いま国会で審議中の改定法案の中には、健康診断や銀行預金口座に使えるという方針も盛り込んでいます。5月29日に開かれた産業競争力会議で、安倍首相は医療分野への利用拡大や、民間分野での利用の加速化を指示しています。
 マイナンバーは個人情報の固まりです。他人に知らせてはならないマイナンバーの利用範囲を広げることは、情報流出のリスクを高め、国民・市民のプライバシーを危険にさらすものとなります。年金の個人情報が漏えいし、それに伴う詐欺事件も起きるなど、大問題となっています。制度の廃止が必要であり、両議案には賛成できません。

 議案第77号・平成27年度千葉市一般会計補正予算中、千葉中央港まちづくり推進事業についてです。
 国庫補助の対象外となった桟橋の階段デッキを、千葉市が1億円の補正を組んで負担し整備を行うとのことです。そもそも港湾整備事業は県事業であり、維持管理費含めて5年後からは年間30万円の支出が見込まれ、25年経つと大規模改修で3000万円かかるとのことです。今、中央港地区はマンションや老人施設、パチンコ屋が立ち並び、桟橋整備の必要性は乏しく、整備効果の見通しもありません。その上、階段デッキを設置することはムダ遣いというべきで認められません。

 つぎに、議案第81号・心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正についてです。
 これは、心身障害者医療費助成制度について、助成の方法をこれまでの「償還払い」から「現物給付方式」へ変更するものです。現物給付は関係者の永年の悲願であり大変喜ばしいものです。しかし「現物給付方式」にする代わりに、一部負担額、通院・入院1回につき300円を徴収することはあまりにもひどい仕打ちではないでしょうか。一部負担には反対するものです。障害を抱える人は、好んで障害を持ったわけではありません。ノーマライゼーションの視点から考えても、一部負担を求めることは認められません。年間約1億円の一部負担金こそ千葉市が負担することを求めるものです。

 つぎに、議案第82号・千葉市福祉作業所設置管理条例の廃止についてです。
 千葉市の福祉作業所の亥鼻福祉作業所は昭和57年、鎌取福祉作業所は昭和63年に関係者の強い願いで整備されたものです。当時は養護学校卒業生の日中の活動の場として建設され、民間の施設がない中で障害者へ夢と希望を与えました。その後は、行き場のない障害者の受け皿として大きな役割を亥鼻・鎌取作業所は果たしてきました。千葉市の障害者福祉の黎明期を切り開いてきたのであり、今日でもその役割を果たしています。公の施設として引き続き障害者福祉を支えるべきです。そもそも赤字だからとして福祉施設廃止をすることは認められません。

 つぎに、議案第101号・千葉市都市公園条例の一部改正についてです。
 今議案では、リスタート構想に基づいて、必要な投資を行いながら持続可能な経営を続けるため、入園料の改定を行い、集客を図るため、休園日を月曜日から水曜日に変更するものです。動物公園の入園料改定ですが、年間パスポートについて大人は据え置き、子どもは500円かかるところを無料にしたことには配慮があるといえますが、家族4人(大人2人、子ども2人)だと200円の負担増、駐車場も200円の負担増となります。集客を図るとしながら、一方で入園料の負担を増やすのは客足を遠のかせることにならないのでしょうか。利用者の負担増には賛成できません。
 動物公園の基本理念は、市民に身近で楽しい雰囲気の中で、動物を見たり触れたりしながら動物への理解を深めてもらうとともに、幼児から高齢者、障害のある人たちまで、ゆったりと憩えるような空間があることです。同時に、絶滅の恐れのある野生動物の繁殖の手助けをすることなどをとしています。基本理念に基づき、教育施設として市民に喜ばれる動物公園として運営することを求めておきます。

 つぎに、発議第3号・千葉市福祉奨学基金条例の制定が否決されたことについてです。
 この発議は、大学・専門学校へ進学したいと願う生保家庭・児童養護家庭の子どもに対して市が基金条例をつくり、市民の基金で進学の夢を少しでも叶えるためのものです。経済的理由で学びたくても進学することを諦めてしまう生保受給世帯の子どもや児童養護施設の児童がいる中「給付型の奨学金があれば、どれだけ助かるか」と強い期待が寄せられています。貧困の連鎖を断ち切るためにも必要な基金です。審査をした保健消防委員会では「理念は素晴らしいが継続性の担保があきらかでない」「時期尚早」などが反対の理由でした。継続性について指摘がありますが、市長がPRの先頭に立ってあらゆる情報手段で訴えかければ、賛同してくれる市民は必ずいるはずです。進学の夢を叶え、将来の生きる希望としての大きな支援策として、一刻も早く事業をスタートすることが求められます。発議が市民ネットワーク以外の反対で否決されたことは極めて残念です。

 つぎに、請願第2号・千葉市中央区の東京電力千葉火力発電所内を千葉県指定廃棄物最終処分場候補地として調査、建設の受け入れを判断しないよう求める請願が不採択になったことについてです。この請願は、市民の声を十分に考慮することなく調査、建設の受け入れをしないよう求めています。
 この請願に反対した委員からは、「市議会が国に対して提出した再協議を求める決議をしている以上は、請願者の連携する団体が処分場に反対の立場から募った請願については、心情は理解するものの考えが異なる」「排出自治体での保管の再協議を求めた決議に対する国の動向を確認する」などの理由で、不採択となりました。
 市民は、処分場の選定の経緯も知らされないまま、突然の報道で知りました。環境省が情報公開も住民自治も無視して場所の選定進め、結論を押し付ける非民主的なやり方に対して、市民は、処分場設置に対し「反対」や「白紙撤回」の声をあげています。いま必要なのは、排出自治体での保管の再協議を求めるのではなく、市民と議会、千葉市が一体となって、候補地の選定に「反対」「白紙撤回」を求めていくことであり、共産党と市民ネットワーク以外の会派の反対で、請願が不採択になったことは遺憾です。

 最後に、請願第3号・小中学校の老朽校舎改修、トイレ改善とともにすべての教室にエアコンの設置を求める請願についてです。
 請願者による意見陳述では、千葉市でも今年すでに、5月から外気温25度を超える日が24日もあり、子ども達の健康被害についても「5・6時間目になると頭が痛い」「気分が悪い」と訴える子や、「ものすごくばてた状態で家に帰ってくる」「4月は帰ってきてから遊びに行けたが、気温が上がった今は遊びに行く元気がない」などの熱中症手前の、健康を害している実態が多数あると報告されました。「特別予算を組んで、老朽校舎改修、トイレ改善とともにすべての教室にエアコンの設置を早急に実施してほしい」と話されました。
 千葉市が6月から、統一基準のもと小中学校温度実態調査を12箇所の学校で行うことは一歩前進です。しかし、老朽化対策には今後30年間で約740億円、トイレ等改修には20年間で約105億円という予算がかかることを理由に、あくまでもエアコン設置以外の事業を優先する姿勢を示しました。27年度予算では老朽化対策に34億円、トイレ改修に4600万円をかけ、エアコンは音楽室・特別支援教室の設置のみ10億円をかけて進めていく計画です。普通教室へのエアコン設置計画は、音楽室・特別支援教室の設置が終わった4〜5年後で76億円かかるなど、財政的な負担が強調され、子どもたちの置かれた深刻な状況も受け止めず、普通教室のエアコン設置は先送りする姿勢です。千葉市は、熱中症など具合が悪くなる前の対処をすることで、あくまで普通教室へのエアコン設置を進めるとは言及しませんでした。
 他の政令市では老朽化対策やトイレ改修など同時に進め、13市が設置に踏み切り、千葉県でも四街道市も含めて7市でエアコンを設置します。そうしたなか千葉市だけが費用対効果や優先度で数年も先延ばしにするのは許されません。これ以上、子どもたちの健康被害を拡大させぬよう、熱中症で手遅れにならないよう、子どもの健康を最優先させて、市全体の予算を見直し教育予算を大幅に増やす努力が今求められます。
 未来民主ちばは、特別支援教室の現場に行き、まずはこちらのエアコン設置を進めるべきで順番の優先度があり請願には反対。公明はトイレや老朽化優先。エアコン設置は十分理解しているし、早急な計画策定を求めるものの、トイレや老朽化優先すべきということで請願には反対。自民は、トイレも大事だがエアコン設置の早期実現は必要。目途をつけて対応してほしいが現状は財源的な問題で請願には反対。
 共産党と市民ネットワーク以外の会派が反対したことで不採択となったのは、極めて遺憾です。これから本格的な夏を迎えるにあたって、子どもたちの教育環境の整備に欠くことのできない普通教室のエアコン設置について、引き続き実現をめざして取り組むことを申し上げて、討論を終わります。