日本共産党が提出した意見書

平成27年第3回定例会
No.1

 (提出年月日)平成27年8月27日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

千葉市内への指定廃棄物処分場設置計画の白紙撤回を求める意見書(案)

 環境省は、千葉市中央区にある東京電力千葉火力発電所敷地内を指定廃棄物処分場の候補地に選定し、本市において説明会を開催している。
 しかし、なぜ人口が集中する千葉市なのか。なぜ最も地震に脆弱と言われる埋立地なのか。東京湾沿岸部の風評被害は考えないのか。知事や市長、住民が反対しても建設するつもりなのか、多くの市民が抱いている不安や疑念が解決されることはなく、「初めから東京電力の敷地ありきではないのか」、「千葉市でも『安全神話』を繰り返すのか」、「説明のとおり安全なら、どこにでも作れることになる」など、不信感が一層強まっている。
 「安全だ」、「心配ない」の説明が、いかに、無意味だったのかは東京電力福島第一原子力発電所事故が示している。「安全性の説明を十分にしたい」、「丁寧に説明を続けたい」と言いながら、説明内容には発展性が見られず、参加者からは「本気で説得しようと考えているのか疑問だ」、「説明会はアリバイづくりで、最後は押しつけになる危険を感じる」との声さえ出ている。
 本年7月20日に実施された市民説明会では、参加者から白紙撤回を求める声が多く出され、「批判相次ぐ」、「住民理解得られず」などと一斉に報道された。
 そもそも、国による指定廃棄物処分場候補地の選定が一方的であり、行政にも住民にも意見を聞くことなく選定したことが不信を招いているのである。このような計画は直ちに白紙に戻し、国と東京電力の責任を明確にしながら、公開を大原則に、検討し直すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、千葉市内への指定廃棄物処分場設置計画を白紙撤回するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.2

 (提出年月日)平成27年8月27日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「安全保障法制案」の廃案を求める意見書(案)

 安倍政権による「安全保障法制案」の衆議院での強行採決は、大変遺憾である。党首討論、安保法制特別委員会や憲法審査会での質疑、参考人質疑などを通じて浮び上ったのは、「安全保障法制案」は立憲主義を否定する「憲法違反」の「戦争法案」としての姿である。「他国の武力行使と一体でない後方支援は合憲」「攻撃に反撃のための『武器の使用』は武力行使ではない」などの主張は、「国際的な概念ではない」として、世界には通用しないことを自ら認めるに至った。また、「日本を取り巻く安全保障環境が根本的に変容した」から「集団的自衛権は認められる」との言い分も、「根本的に変容した」内容を問われ、具体的事例を示せないなど、審議すればするほど「安全保障法制案」の「違憲性」と法案提出根拠が問われるものとなっている。
 新聞各社の世論調査でも、法案に対する「反対」意見が半数を超えている。審議が進み、「火災の消火」に例えた意味不明の説明や、政権の判断で「どうにでも拡大できる」法案内容が明らかになることで、国民の怒りと危機感は強まるばかりである。このような「安全保障法制案」を与党が問答無用で強行することは、絶対に許されるものではない。
 この間、「憲法を法律に合わせた」(中谷元・防衛大臣)、「マスコミを懲らしめる」(大西英男衆院議員)、「法的安定性は関係ない」(磯崎陽輔首相補佐官)などの発言が大問題になっている。2年前には、麻生太郎副総理の「ワイマール憲法がいつの間にかナチス憲法に変わった、あの手口を学んだらどうか」との発言もあり、安倍政権の深刻で根深い立憲主義否定体質は極まっている。
 いま、「若者の未来を潰すな」「子どもを戦場には送らない」「憲法9条を守れ」「平和を次世代に手渡そう」「アベ政治を許さない」と、あらゆる立場の人々が抗議の声を上げ、全国津々浦々から行動が起こっている。これら国民の強い怒りを安倍政権は直視すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、「安全保障法制案」の廃案を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.3

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「マイナンバー制度」の運用中止を求める意見書(案)

 日本国内に住民票を持つ全ての人に、生涯不変の12桁の番号を割り振る「社会保障・税番号制度」(マイナンバー制度)は、本年10月より市区町村からの番号通知が行われ、来年1月から一部運用が開始される予定である。
 2013年に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)では、利用範囲が「税・社会保障・災害対策」に限られていたが、運用開始前から、預金口座・健康診断・予防接種などの情報まで拡大されることになっている。
 実施に向けて企業も、アルバイトも含めた全従業員の膨大な番号の厳格な管理が求められるため、システムの更新や整備、人員配置などで重い負担を強いられることになる。しかし、政府が「国民の利便性向上」を強調しても、企業にも国民にもマイナンバーによる恩恵はほとんどなく、マイナンバーを活用して手続きする機会は年に一度あるかどうかである。さらに、内閣府の調査でも「内容まで知っている」国民は28.3%のみであり、「マイナンバー制度」の周知は進んでいない。
 それでも、拙速な運用を開始する理由は、国民の所得・資産を掌握し、徴税を強化するとともに、社会保障給付の厳格なチェックが狙いとされている。富裕層の資産隠しを追跡する仕組みなどは整備されず、専ら一般の国民を監視するための制度と言わざるを得ない。
 その一方で、不正アクセスによる日本年金機構の年金情報流失問題や東京商工会議所での会員等の個人情報流出が続いており、「対策を強化する」、「万全を期す」などと強調しても、現在の技術では防ぐことが困難とされ、不正アクセスを避けることはできないと言われている。重要な個人情報が集約されているマイナンバーが、万一流出するようなことになれば、極めて深刻な事態となることは、制度を導入しているアメリカや韓国の例からも明らかである。
 よって、本市議会は国に対し、「マイナンバー制度」の運用を中止するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.4

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

労働者派遣法改正案の廃案を求める意見書(案)

 今国会で審議中の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)改正案は、これまで派遣先企業が、同じ業務に3年以上同一の派遣労働者を受け入れ続けた場合は、直接雇用が義務づけられていたものが、今後は過半数労働組合等の意見聴取だけで、反対されても派遣期間を延長できることになる。また、3年で派遣労働者を入れかえれば、いつまでも派遣労働者により業務を続けることが可能になるのである。
 これでは、派遣労働者は3年を超えても、同じ企業の職場を転々とさせられるだけで、直接雇用の道はなくなり、文字通り「生涯派遣」の身となるのである。そればかりか、低賃金の派遣労働者を無期限で受け入れ可能になれば、コストの高い正社員との「常用雇用の代替」が進むのは明らかである。
 企業にすれば、派遣労働者に置きかえることで直接の雇用責任がなくなり、社会保険料の負担を回避でき、賃上げや労働時間など待遇改善の交渉に応ずる義務はなくなる。また、景気次第では簡単に「派遣切り」が可能になるのである。
 これは、労働者派遣法で「臨時的・一時的業務に限る」、「常用雇用の代替であってはならない」と禁止した大原則の廃止であり、戦後の日本の雇用形態を根本的に変えることになる。
 労働基準法は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」、「労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの」として、労働者が人材派遣会社から公然と「ピンハネ」される間接雇用を禁止してきたのである。
 企業が労働者を雇用する場合は、ハローワーク等を利用して募集し、応募した労働者との間で直接雇用契約を交わし、採用するのが職業安定法や労働基準法の本来の姿である。
 よって、本市議会は国に対し、労働者派遣法改正案を廃案するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.5

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

空襲被害者等援護法(仮称)の早期制定を求める意見書(案)

 本市は、70年前の1945年6月10日と7月7日に、米軍による2度の空襲により、中心市街地の約7割が焦土と化し、死傷者1,595人、被災戸数8,904戸、被災者4万1,212人に及ぶ甚大な被害を受けている。
 太平洋戦争での空襲被害は、1945年3月10日の東京大空襲による10万人以上を初め、全国200以上の中小都市でも無差別爆撃を受け、50万人を超える人々がとうとい命を奪われ、多くの人が罹災したとされている。
 空襲被害者の中には障害者となり、入退院を繰り返す人、親族を亡くして天涯孤独になった人など、この70年を語り尽くせぬ苦労と悲しみを抱えながら生き抜いてきたのである。しかし、民間人の被害者に対する救済や補償が全くないのが日本の現実である。
 イギリスやドイツ、フランスなどには第二次世界大戦中の空襲被害者への補償制度がある。日本でも、軍人・軍属には恩給法があり、不十分ながらも原爆被爆者には被爆者援護法があり、中国残留孤児には支援法があるにもかかわらず、空襲被害者には、今も何ら補償がないのは極めて不平等と言わなければならない。
 既に70年が経過し、空襲被害者の高齢化を考えるなら、一刻も早い法的支援が必要である。
 よって、本市議会は国に対し、空襲被害者等援護法(仮称)を早期に制定するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.6

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

環太平洋連携協定(TPP)交渉撤退を求める意見書(案)

 本年7月31日に終了したハワイでの環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が、「大筋合意」に至らなかったのは、各国で「TPPでは国益を守れない」とする国民の批判が広がっていることのあらわれである。一部の多国籍大企業の利益にはなっても、関係国の国民生活向上には結びつかないことが明らかにされてきている。
 アメリカが新薬の開発データ保護期間について12年を譲らないことに対し、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の製造を切望する大半の国々が、アメリカに反発したことが「合意」見送りの理由とされている。つまり、アメリカも自国企業の利益のために強硬な姿勢を示したのである。
 ところが、日本政府は、主食米の輸入枠を5万トン拡大するなど、農産物重要5品目を含めた農業分野で、アメリカに大幅な譲歩が行われたと報道されていることは重大である。
 2013年4月19日の第183回国会農林水産委員会決議では、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの重要品目は、「除外又は再協議の対象とする」としており、「国会決議を守るのは民主主義の根幹だ」、「国民への背信行為」と、農業関係者からの強い怒りの声が上がっている。
 今必要なことは、交渉経過や合意内容を国民に明らかにするとともに、自由民主党の「TPP交渉参加に反対」との公約や国会決議との整合性を検証することが重要である。アメリカの要求に従い「早期妥結」に突き進むことは、絶対に許されるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、国民の暮らしと地域経済が脅かされるTPP交渉から、直ちに撤退するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.7

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

川内原発の稼働を停止し「原発ゼロの日本」を求める意見書(案)

 安倍政権は、またも国民多数の民意を踏みにじり、九州電力川内原子力発電所(川内原発)1号機の再稼動を強行したことは、断じて許されるものではない。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、多くの国民は「原発は人類と共存できない」ことを知ったのである。一たび大事故が起きれば、空間的にも時間的にも被害を制御できず、膨大な費用が必要になる。使用済み核燃料の処分方法が確立されていない中、放射性廃棄物が増加し続けるという避けられない現実がある。
 これまで、政府や電力会社は「最高水準の技術で事故は未然に防止できる」との「安全神話」を振りまき、利益を優先させ必要な安全対策を放置してきたことが、深刻な事故を引き起こしたのである。
 福島第一原発事故は、いまだ収束できずにいる。正確な原因の究明、原子炉の実態掌握、汚染水対策など解決すべき課題が多く残されている。今も福島県では約11万人もの住民が避難生活を余儀なくされている。これらに目をつむり、「新規制基準に適合」したからと再稼動を進めることは、「安全神話」の復活であり、絶対に認めることはできない。しかも、川内原発では、日本火山学会が大規模火山噴火は「予知できない」としているにもかかわらず、九州電力は「予知できる」として火山の危険を過小評価し、住民避難の計画や体制が不十分なまま再稼動を強行したことは、福島の教訓を忘れた暴挙と言わざるを得ないものである。
 原発が稼働していなくても、日本の電力は足りているのは明白な事実である。さらなる省エネの徹底と再生可能エネルギーの計画的かつ大量導入で、「原発ゼロの日本」を実現することにより、日本社会と経済の持続可能な発展がある。
 よって、本市議会は国に対し、川内原発の稼動を停止し「原発ゼロの日本」を目指すよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.8

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

農業委員の公選制維持と機能充実を求める意見書(案)

 政府は、農業委員の公選制廃止などを内容とする「農業委員会等に関する法律の改正案」を今国会に提出し、来年度からの実施を目指すとしている。
 農業委員会は、独立した行政委員会として、地域の「人」や「農地」の実情に即しながら、地域農業の維持・発展と環境を守る大切な役割を担ってきている。さらに、後継者不足や高齢化などでふえている耕作できない農地の対策や農業振興策など、農業委員会が果たすべき役割は一層大きなものとなっている。しかし、農業委員の公選制を廃止し、地域農業振興の建議機能を奪うようなことになれば、農地管理や農業振興に対する農業者の意見表明の場を奪うことになりかねないのである。
 今後、日本農業の維持・発展のために検討すべきなのは、農業委員の定数をふやすこと、女性や青年を農業委員に積極的に登用し、農業振興策の強化に役立てること、市町村農業委員会・都道府県農業会議・全国農業会議所の3段階のネットワークを確保し、強化することなど、農業委員会機能を強化することである。
 よって、本市議会は国に対し、農業委員の公選制を維持し、農業委員会の担う建議などの機能を充実させるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第3回定例会
No.9

 (提出年月日)平成27年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

緊急に介護報酬の再改定を求める意見書(案)

 本年4月に改定された介護報酬は、ほぼ全てのサービスで基本報酬が引き下げとなった。改定では、重点化された中重度の要介護者や認知症高齢者に対応する0.56%の加算や介護職員の処遇を改善するための1.65%の加算については設けられたが、これらを除けばマイナス4.48%で、かつてない大幅なマイナスとなっている。とりわけ、デイサービスや特別養護老人ホームでは、マイナスによる影響は大きく、「採算」の合わない事業所の閉鎖や撤退といった事態が発生している。今回の介護報酬の改定は、国民から介護サービスを奪う事態になりかねないのである。
 政府は、今回の改定で「保険料の上昇を抑えた」としているが、それは同時に、介護サービスを縮小させ、サービスを利用できない「介護難民」を生むことを意味している。
 「社会保障の充実のため」と消費税を引き上げながら、「制度の持続可能性」を理由に介護報酬を引き下げ、介護保障を後退させるようなことは、とても納得できるものではない。
 地域の介護資源を維持し、安全・安心の介護を守るためには、介護事業の維持及び介護労働者の処遇改善につながる介護報酬の大幅なプラス改定が必要不可欠である。また、保険料や利用料の負担増とならない措置もあわせて必要である。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項を強く求めるものである。

1 介護事業者と介護労働者が充実したサービスを提供できるよう、緊急に介護報酬を大幅に引き上げること。
2 介護報酬の引き上げが、保険料や利用料の負担増につながらないよう措置すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会