もりた真弓議員の一般質問



2015.9.30

1、生活保護について

写真 安倍政権は、2012年末の政権復帰直後から、生活保護費の大幅な削減を続けています。2013年度から2015年度にかけて、食費などの生活扶助費総額740億円を段階的に削減する計画で、さらに今年度から住宅扶助費と暖房費などの冬季加算の減額をおこなうことを決めました。住宅扶助費は2015年度から2018年度まで、総額190億円削り、冬季加算は今年11月に約30億円削る計画です。
 生活扶助費削減では、利用世帯の9割以上が減額の対象になるなど、過去最大規模で、月2万円も削られる子育て世帯が出るなど深刻な被害を広げています。
 また、2万人以上の利用者が「消費税が増税され物価が上がっているのに、(扶助費を引き下げられたら)暮らしがなりたたない。」と行政審査を申し立てるなどの抗議も広がっています。先日、厚生労働省は、生活保護受給世帯はこの6月に過去最多になったと発表しました。貧困と格差が拡大するなか、生活困窮者の実態を無視し、生活保護費の削減を続けることは許されません。
 こうした中で、新たに困難を押し付けるのが住宅扶助費と冬季加算の削減です。住宅扶助費は、生活保護利用者にアパート家賃などの費用として支給されているものですが、現状でも、国が「健康で文化的な住生活」と決めた水準の住宅に入居できる利用者は多くありません。実態を無視して住宅扶助費削減を強行することは、生活保護世帯の生活の基盤を脅かすものです。
 また、冬季加算は11月から3月に限って暖房費を上乗せするものですが、加算がないと最低限の暖房すら確保できず厳冬下で暮らさなければなりません。今でも切り詰めた生活をしている利用者の命と健康に関わる大問題です。
 住宅扶助費削減で影響を受ける千葉市の生活保護受給世帯ですが、国はおよそ全体の3割と言っていますが、千葉市においてはすべての世帯区分で基準額が引き下げとなっており、3割相当の4,500世帯を大きく上回る懸念があるとのことです。
 そこでうかがいます。
 1つに、厚生労働省が保護費削減を狙い設置した審議会の議論でも、むしろ住宅扶助費の役割が強調され「削減は慎重に」との意見が大勢となり、報告書にも「削減すべきだ」と明記できませんでした。こうしたことを、千葉市はどう受け止めているのか、お答えください。
 2つに、審議会の指摘すら受け止めず「削減先にありき」で住宅扶助費などの削減を決めた厚労省のやり方には、道理がないと思うがどうか、うかがいます。
 3つに、貧困率が悪化し、生活保護利用者が増加しているなか、「最後の安全網」である生活保護の制度破壊を許さず、憲法25条にもとづく「人間らしい生活」を保障するべきではないのか、おたずねします。

2、発達障害について

 今回は、発達障害に限らず、特別支援教育全般を含めて質問させていただきます。わが国では障害のある子どもたちの教育のために、特別支援学校、小中学校の特別支援学級、通級指導教室という3つの特別な場が設けられています。この数年、こうした場で学ぶ子どもたちの数は急増し、1999年の約18万人から、15年間に約34万人に増え、年を追うごとに増加のペースも上がっています。現行の特別支援教育体制は、2007年に発達障害(LD=学習障害、ADHD=注意欠陥多動性障害、高機能自閉症=知的障害を伴わない自閉症など)の子どもを、新たに特別な教育の対象に加えて発足したものです。
 特別支援教育の場で学ぶ子どもたちが急増しているのは、子どもの条件にあった教育を願う保護者の期待にそった結果であると同時に、ゆきすぎた競争で子どもを追いたてる「教育改革」や、貧困の広がりなどによって精神的に不安定な子どもが増えていることも背景にはあります。こうした子どもたちをしっかり支えることこそ政治と社会の責任です。
 ところが、文部科学省が進めてきた「特別支援教育」の構想は「既存の人的・物的支援」で対応するなど、必要な予算と人員は確保されませんでした。
 このため、全国で深刻な問題が起きています。特別支援学校では、校庭をつぶして教室をつくる、音楽室や図書室を普通教室に転用する、さらには廊下にまで教室をつくる、それでも足りずに教室をカーテンで仕切って2つのクラスで使うなどの事態が広がっています。特別支援学級や通級指導教室でも「希望しても入れない」などの問題も起きています。しかも、こうした特別支援教育に携わる教職員の労働条件は劣悪であり、一般の学校に比べても多くの健康被害が起きています。そこでうかがいます。
 1つに、千葉市の特別支援教育の現状についてうかがいます。従来規模の障害児教育の予算・人員のまま、急速に増えている子どもたちの対応をすることは、十分な教育が保障できないばかりか、教育の質が大きく後退することにならないか、お答えください。
 2つに、国連の「障害者権利条約」(08年5月発行)は、障害のある人が障害のない人と平等に人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、教育の分野で「インクルーシブ教育」(障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育)を確立することを提唱しました。うかがいますが、「障害者権利条約」の批准を進める立場から、日本の教育制度全体が「インクルーシブ教育」にふさわしいものになるように、改善・発展させるべきではないのか。
 3つに、目の前の障害のある子どもたちの教育条件の改善を急ぐことが、障害者権利条約の立場から求められているのではないのか、おたずねします。

3、花見川区の諸問題について

 浸水対策についてです。
 全国各地では異常気象等の影響で、今年も集中的な豪雨による浸水被害がもたらされています。先日の関東・東北豪雨災害では、茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊して、甚大な被害をもたらすなど、いつどこにこうした被害が起こるのか予測を超える事態となっています。
 一昨年は10月半ばの台風26号による床上浸水で、被害を受けた住宅が市内に発生し、駐車場での車の水没などの被害も出ました。「台風シーズンに限らず、雨が降ると浸水が心配で寝られない」など、下水道施設の整備が待たれています。
 千葉市は、「浸水防除(雨水の排除)については、過去に浸水被害が発生している地域を対象として、10年に1回程度発生する大雨(1時間当たり53.4mm)に対し、床上浸水被害等の軽減を図ることを目標に整備を進める」とし、「整備にあたっては、建設費用を最小限にとどめ、早期に効果が得られるよう公園・学校などの公共施設に貯留施設の設置を行うなど、対策区域を限定し、施設の分散化や段階的整備を図っていく」としています。 
 そこで、花見川区の三角町・千種町の雨水貯留管に関連してうかがいます。
 1つに、平成21年3月に雨水貯留管が完成したあと、平成25年10月の大雨により床上浸水被害が発生したことを受けて、今後、検討を進めるとしていた被害軽減対策の検討状況はどうなっているのか、おたずねします。
 2つに、三角町と千種町の住民がこの7月27日付で、千葉市に損害賠償を求める訴えを起こしたことについて、千葉市はどう受け止めているのか、うかがいます。

<2回目>

浸水対策について
 はじめに、浸水対策についてです。
 一度でも浸水被害にあわれた方は、もう2度と同じ思いはしたくないと思い、雨の降る時は本当に心配しています。学校や公園など公共用地を活用した貯留・浸透施設の設置の協議が進められているとのことですので、早期の実現に向けて積極的に取り組んでいただくよう求めておきます。
 また、訴状がまだ届いていないとのことですが、浸水被害にあわれた住民の方々が、訴えを起こさざるを得なかった気持ちを踏まえて、より良い解決に向けて受け止めていただくよう要望いたします。

発達障害について
 つぎに、発達障害についてです。
 特別支援学級ですが、県内の袖ケ浦市では、小学校7校、中学校5校の12校すべてに知的・情緒の特別支援学級が、少なくても1つずつ設置されています。千葉市は、2014年度、知的障害学級は小学校71校、中学校28校に、自閉症・情緒障害学級は、小学校41校、中学校15校に設置され、65.7%です。
 「できるだけ児童生徒の居住地、または近隣で、必要な教育的サービスが受けられるようにする」との方針のもと、特別支援学級を設置する学校を増やすよう求めますがどうか、お答えください。

 先日、轟町の第二養護学校を見学させていただきました。1クラス6人までの学級には2人の担任が配置されるため、定員いっぱいの6人の学級では、一人の先生が3人の子どもを担当することになります。片方の手で一人の子ども、もう片方の手の親指で一人、小指で一人、手をつないで、いつ外へと飛び出すことがあるかもしれない子どもたちに対応しているとのお話でした。特別支援学校では、一クラス6人でもぎりぎりで大変だとのことでしたが、小中学校の特別支援学級では、児童生徒8人までは学級に1人の担任という体制です。
 特別支援学級でも、従来から多かった知的障害の子どもに加え、対人関係をうまく結べない情緒障害や発達障害の子ども、障害の重い子どもが通うなど障害の状態が多種多様で、一人ひとりみんな違う対応が求められるようになっています。しかも、1年生から6年生までの学年が一緒に生活をしています。うかがいますが、低学年と高学年を分けて学級を編成するなど教育条件を向上させることを求めるがどうか。

 第二養護学校では、週2回は放課後の時間を利用して校内で「こころのクリニック」や「体育」の専門研修、学校医による「歯科」「内科」などの講義を行なっているとうかがいました。多種多様な障害を持つ子どもたちの指導に携わる教員の質的強化に重きを置いた体制が図られています。
 特別支援学級の教員について、専門研修の参加を保証し、教員の専門性を高めることに力を入れるようもとめるがどうか。

 特別支援学級や通級指導教室などに通う子どもたちの指導には、専門性のある教員が安定して教育にあたれるよう配慮が必要です。
 教員の採用や異動などでの配慮はされているか、うかがいます。

 つぎに、通常学級に通う発達障害児童・生徒への支援についてうかがいます。現場からは、学級編成基準が変わらず「従来のようなていねいな教育ができなくなった。」「十分な指導ができない」との指摘がされています。
 千葉市の養護教育センターでは、今年度通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒93人に対して、特別支援教育指導員を35人配置しています。学校からの要望を受けて、緊急性が高く、学校にとっても必要度が高いと判断された上位35校に、前期・後期ごとに配置されています。指導員は、教員をリタイヤされた方や退職された方が、週3日14時間、1日当たり4〜5時間の勤務体制で指導にあたっているとのことです。
 特別支援教育指導員の配置を要望していた学校は何校あったのか。発達障害児に対して35人の指導員で十分なのか。

 指導員の配置を要望していた学校は、前期に57校、後期にも53校あるとのことですが、袖ヶ浦市では、小中学校12校を対象に、発達障害児の支援員は15人配置されているとのことです。一つの学校に必ず一人、学校によっては複数配置が可能です。
 申し出をしたうちの半分の学校にしか配置ができず、継続して配置できるのは2回だけです。トータルで1年間しか同じ学校に配置できないのでは、継続した一貫性のある指導は困難ではないでしょうか。

 特別支援教育指導員の配置は、直接対象となる子どもの支援はもちろん学級運営の環境を改善する効果もあります。その両面で充実させる努力が必要です。
 実際、この9月まで特別支援教育指導員が配置されている小学校1年生の男の子のお父さんは、「指導員の先生には本当に良く対応していただいた。10月からは配置換えで別の学校の別の子どもの担当でいなくなってしまう。10月からどうなるのか。高学年になったらどうなるのかと不安」と話されていました。週3日の午前中以外指導員不在の時は、お子さんは一人で対応できる人がいない状態とのことです。また、通級指導教室やデイケアを希望してもいっぱいで受け入れてもらえない状況とのお話でした。
 一方で、学級担任の先生は、学級全体を運営しながら特別な対応を必要とする子どもへのケアも求められる状況に置かれることになります。しかも、現実に対応の必要な子どもたちは1クラスに1人と限りません。複数在籍している学級もあります。「学級担任の先生が潰れてしまうのではないか」と心配する声が聞かれます。
 特別支援教育指導員を抜本的に増やして対応にあたることが緊急に求められているのではないですか。

 千葉市は校内支援体制として、H26年度から学校を巡回する学校訪問相談員をおいています。今年度は4名の校長職を務めた方などが、特別支援教育指導員の支援と合わせて、指導員が配置できなかった学校の相談にも応じているとのことです。
 学校訪問相談員に、教育学・心理学などの専門家を加え、系統的な巡回相談体制を確立してはどうか、うかがいます。

 H27年度からは特別支援学級または通常の学級に在籍する常時介助が必要な児童を対象に、特別支援教育介助員の配置がされています。現在の介助員は5人で、アンケートの結果でも介助員の配置がされている方の100%が満足とのことです。いかに効果が高く待たれている職種かがわかります。
 今後、介助員の増員はどのように進めるのか、うかがいます。

 2007年に発達障害の子どもを特別な支援の対象としてから10年目にあたる2017年度をめどに、都道府県が負担してきた小中学校、特別支援学校などの教職員給与が政令市に移譲されるとのことです。
 特別支援教育体制を強化するために予算と人の配置を求めるがどうか。
 財源不足を理由に、現場の教員、とりわけ非常勤講師の給与が引き下げられることなどあってはならないがどうか。

 今回、発達障害についての質問をしたのは「発達障害児に対しての認識の甘さ」と「発達障害児に対してのケアが全くない」との意見をいただいたからです。
 小学生のお子さんを通わせているお父さんは「発達障害というと診療してもらえない医者がある」「発達障害と判断する基準があいまい」「障害手帳の交付もハードルがある」など発達障害に対する理解がないために理不尽な思いをしたことを話されました。発達障害に対する理解を広めてほしいとの切実な思いです。
 また「療育と教育の所管の違いなのか、療育センターの担当が学校を訪問するときに依頼状や同意書がいる」など、千葉市の行政や支援体制に納得のいかない点もある。
 このお父さんにこう言われました。「発達障害の子どもを抱えた親は『見えない障害』のために社会の偏見に翻弄され、試行錯誤の毎日で悪戦苦闘しています。親は子どもより先に死ぬんです。わが子が社会で普通に暮らしていけるように成長することが一番の望みです」この声に応えて、発達支援教育の体制強化を強く求めておきます。

生活保護について
 住宅扶助費についてうかがいます。
 1回目の質問で、住宅扶助費の上限額の改定については、「地域差や近年の物価の動向を踏まえて見直されたもの」と、答弁されました。今月初めに「千葉市生活と健康を守る会」の方から、「この間、40件の相談があったが、そのうち30件は住宅扶助費の引き下げによる不安だった」との訴えがありました。
 6月定例議会で、中村きみえ議員が住宅扶助削減による不安の声を紹介し、経過措置の最大限活用を求めています。
 7月以降、現在までに転居した受給世帯、またはこれから転居する予定の受給世帯は何世帯か。住宅扶助費削減の例外規定が適用されたのは何件あるのか、うかがいます。

 転居した世帯数も経過措置の適用世帯も集計中とのことですが、援護課から転居指導があれば、次の住居を探さなければなりません。
 住宅扶助費削減に対する不安がたくさん寄せられているのは、4千円もの上限引き下げ額が大きすぎることと、家賃41,000円までの住居を探すのが容易でないことの表れではないのか、お答えください。

 転居指導を受けた中には、DV被害者で夫の暴力から逃れて、やっとのことで今の住宅に入居した。現在、心臓疾患を抱え電動車いすという状態でありながら転居することになった例があると聞きました。
 千葉市は病気や障害があっても、また個別の事情があっても転居指導を行なうのか、お答えください。

 限度額改正を適正、限度額までの住居も供給があるという認識では実態を見ない答弁と言わざるを得ません。
 一つ一つのケースへの対応を把握しているのでしょうか。むやみに転居指導をすることがあってはならないがどうか、うかがいます。

 「経過措置を適用するときに検討」しているということは、基本的にまず転居を求める立場です。
 流山市では「厚労省通知を携行させてでも個別の事情に即応し、例外措置が無理と判断した後に初めて家賃値下げ交渉に踏み込む」とのことです。ところが、千葉市では援護課で「契約更新時に家賃の引き下げをできないか大家さんに交渉するように。」といった指導がされています。
 この場合、家賃の引き下げをする代わりに共益費等を引き上げられる例もあり、住宅扶助費との差額を負担することになるが、どう対応しているのか、おたずねします。

 実際の転居指導は、この厚労省通知と矛盾しているのではないですか。

 生保受給世帯の中には「今でも、月末には一日1回だけの食事になる」という実態があります。今回の見直しは「これ以上引き下げてはいけないとしたレベルをさらに引き下げるものです。家賃の引き下げ分の差額が、共益費などにとって代わり、受給世帯の負担にならないよう求めておきます。
 大阪のある自治体は厚労省から「対象は高齢者、障害者に限らず柔軟に対応してよい」と説明を受けたそうです。担当者は「どんな世帯でも住み慣れたところを離れ、環境を変えることは自立が阻害される可能性があると考えている。転居を一律に求めることはしないと決めた。」とのことです。また、府内の別の担当者も「国の通知にそって、極力従来の家賃で対応するよう配慮している」とのことです。
 千葉市では、厚労省からどんな説明を受けたのか。自治体によって違いがあったのか。経過措置を柔軟にとらえて、「一律に転居を求めることはしない」という対応をするべきではないのかうかがいます。

 広島県福山市では、経過措置などを箇条書きにし、「70人近いケースワーカーが統一的な視点で取り組めるよう心がけ、一目でわかる「お知らせ」を作成して、主に訪問をして説明をしているとのことです。
 千葉市でも、こうした工夫をしてケースワーカーによる対応の違いが生じないようにすることを求めるがどうか、うかがいます。

 住宅扶助費の引き下げは、住民に何の瑕疵もないのに行われるものです。現実に居住の安定を脅かす「生活環境が変わること」に不安を感じ、精神的苦痛を強いられていることが、大問題です。生活保護受給世帯では、特に高齢の単身世帯の増加が顕著とのことです。転居による負担、「引っ越しはしたくない」という声を最大限くみ取って、利用者の生活悪化につながる対応をすることのないよう強く求めて、質問を終わります。