野本信正議員の一般質問および答弁



2015.9.30

【野本信正議員】

1.清掃工場の整備計画について

写真 第1は、北谷津清掃工場敷地に新しく建てる清掃工場について
 新清掃工場の整備コンセプトは、(1)安全で安定稼働できる施設、(2)循環型社会に適応した施設、(3)環境に優しい施設、(4)災害に強い施設、(5)環境意識の充実を計った施設と述べている。
 一般廃棄物処理基本計画(案)には、施設について、ガス化溶融炉導入と施工方式はPFIにすることを示して、千葉市廃棄物減量等推進審議会にはかっただけで、議会にも市民にも知らせず、早々と決めようとしている。
 清掃工場建設は、千葉市にとって一大事業であるため、コンセプト通りの施設なのか、問題点がどこにあるのか、以下質問する。
 なお、コストなどについて、「ストーカ式灰溶融炉なし」と「ガス化溶融炉シャフト式」との比較について質問する。
 北谷清掃工場跡地に建設する新規施設は、規模585トン、整備事業費は旧工場の解体を含め約300〜350億円と計画されているが、トンあたりの建設費コスト及びランニングコストについて、また耐用年数についても示されたい。

【環境局長答弁】
 今後、プラントの仕様を設定し、庁内の塵芥焼却施設建設委員会において事業費を算定してくが、他市の調査結果によれば、トン当たりの建設コストは約5千万円程度、ランニングコストは、1万円程度と見込んでいる。また、耐用年数は、概ね20年から25年程度と考えている。なお、現在、新清掃工場の規模は日量585トンを想定している。

【野本信正議員】
 建設コストについてだが、ガス化溶融炉の問題点は、建設コストが高いことである。トン当たり単価は、ストーカ式を直近で建設した施設の川崎市玉禅寺処理場で、2,997万円。広島市安佐南工場で3,650円に対して、ガス化溶融炉は、三重県亀山市の8,900万円。習志野市の6,000万円。かずさクリーンシステム6,000万円とかなり割高である。北谷津用地に建設する新清掃工場は、585トンで計算すると約6千万円となる。北海道大学廃棄物処分工学研究室の分析によると、ガス化溶融炉シャフト式は、平均で5,610万円。ストーカ式焼却炉灰溶融炉なしは、平均4千万円台と報告している。財政危機の千葉市が、なぜこんなに割高の施設を選ぶのか。

【環境局長答弁】
 ストーカ方式単独の施設と比較すると建設費が高くなる傾向にあるが、新清掃工場を建設する際は、再資源化の向上や最終処分場の延命化を含めたごみ処理体系の全体を考慮しなければならず、焼却灰の処理が可能なストーカ方式に灰溶融炉を付帯した施設とガス化溶融方式を比較した結果、稼働実績のほか他工場の焼却主灰及び新浜リサイクルセンターからの不燃残滓を処理できること、建設費が低額となる見込みであることなどからガス化溶融方式を選定した。

【野本信正議員】
 ランニングコストについて、北海道大学廃棄物処分工学研究室の分析では、ストーカ式焼却灰溶融なしの場合、施設規模あたり年間70万1,500円、ガス化溶融炉シャフト式は164万6,400円で(2.4倍)、ごみ1トンあたりの燃料費は、ストーカ式167円、ガス化溶融炉シャフト式4,449円(26.6倍)で、ガス化溶融炉が格段に高い。このことを認めるか。
 ガス化溶融炉は、コークス多消費プラントであり、高温にするためごみと一緒にコークスを投入する。ごみ1トンに(5%)50キログラムのコークスを使い、ごみ質が悪ければコークス使用量は増え、その分経費はかさむ。また、石炭投入や羽口に酸素を送るため、コークス、石炭、酸素など、副資材の費用がコストを引き上げることになる。以上のことを承知して選定するのか。
 その結果、燃料費、定期補修整備費等がかさみ、ランニングコストは、ストーカ式に比べて大幅に高くなるがどうか。

【環境局長答弁】
 新清掃工場の建設は、再資源化の向上や最終処分場の延命化を含めたゴミ処理体制の全体を考慮しなければならず、焼却灰の処理が可能なストーカ方式に灰溶融炉を付帯した施設とガス化溶融方式を比較した結果、ガス化溶融方式が本市の計画に合致していることやストーカ方式単独の施設と比較するとランニングコストは高くなる傾向にあるが、灰溶融付き施設との比較では、ガス化溶融方式が安価になるため選定した。

【野本信正議員】
 耐用年数について、ガス化溶融炉は耐用年数が短い。ストーカ式炉は概ね30年。千葉市北谷津清掃工場は38年使用している。これに対して、ガス化溶融炉では、メーカーは20〜30年と宣伝しているが、高温処理するため耐火レンガなどの痛みが激しく、稼働から13年のかずさクリーンシステムは13億円の追加費で改修を行う。 稼働から12年の習志野市は、ガタがきていることを知っているのか。
 建設コストがストーカ炉の約1.5倍、耐用年数が3分の2か4分の3ということは、ランニングコストも勘案すると、ガス化溶融炉のコストは、ストーカ炉の約2倍近くなると思うがどうか。

【環境局長答弁】
 現在、長期運用が図られている施設は、ストーカ方式だが、本市は、最終処分場の延命化をあわせて考慮する必要があることから、ストーカ方式に灰溶融炉を付帯した施設とシャフト式ガス化溶融方式の建設費及び20年間の維持管理費の合計について、他市の調査の平均を基に想定して比較した。その結果、シャフト式ガス化溶融方式の方が低額となっている。

【野本信正議員】
 コンセプト安全で安定稼働できる施設について、市は、ガス化溶融炉導入のメリットをたくさん並べているが、そのうち安全で安定稼働できる施設といっていることに対して問いたい。全国各地でガス化溶融炉などが爆発、火災事故を起こしている実態を把握しているのか。私の手元にある資料だけでも、2002年から2005年の間に全国の自治体で11件の事故が起こっているが、当局の認識はどうか。

【環境局長答弁】
 ガス化溶融方式については、事故例に係る指摘があることを承知しているが、現在、他政令市の建設実績が7件あり、ヒアリングを実施した結果、特に、問題となる事案が発生していないことを確認しているが、今後も、他市の施設の稼働状況については、注視していく。

【野本信正議員】
 全国で最初に新日鐵のシャフト式ガス化溶融炉を導入した大阪茨木市は、千数百度の高温のしゅっさい口へ、防火服を着て酸素注入の作業。炉が安定的に稼働せず、ガス漏れ、炉圧の異常上昇、爆発、火災まで引き起こした。
 青森県むつ市下北地域広域行政事務組合のガス化溶融炉では、深夜煙突で爆発事故を起している。他の施設でも事故が多発し、1,300度以上の高温のトラブルは制御が困難と指摘されている。ガス化溶融炉をなぜ安全と言えるのか。市は、市職員は自らの技術力をもって検証したのか。メーカーの受け売りなのか。

【環境局長答弁】
 職員が実際に稼動している他市のガス化溶融方式の施設に赴き、過去の事故例、修繕や維持管理に係る課題などの調査結果を基に、プラントメーカーの提案について検証したほか、焼却方式選定の検討会において、学識経験者の意見も聞いている。

【野本信正議員】
 全国の事例で、爆発事故などがあり、危険性のある施設であることを、審議会や、北谷津など地元に説明しているのか。

【環境局長答弁】
 ガス化溶融方式の危険性の指摘があるが、他政令市の稼働状況等、特に問題となる事例が発生していないことから、説明は行っていない。

【野本信正議員】
 リスク評価について、従来のストーカ炉は普及してから50年以上経過している。それでも毎日大小のトラブルが発生しているが、リスク評価ができる十分な「時間と経験の積み重ね」でクリアしている。ガス化溶融炉はダイオキシン恒久対策が始まる2002年12月前後の着工が始まりで、その時が「ガス化溶融炉元年」になる。新日鐵は20数年以上の経験と言うが、釜石、茨木市以後14年間のブランクがある。ガス化溶融炉はリスク評価を行うだけのデータの蓄積が皆無に等しい。以上の指摘をどう受け止めるか。ガス化溶融炉が安全性は、メーカーの宣伝とは乖離していることを認めるべきではないのか。

【環境局長答弁】
 ストーカ方式の単独施設は、豊富なデータの蓄積はあるが、現在、シャフト式ガス化溶融方式についても全国的に多くの建設実績があり、本市と同規模の他政令市における稼動状況を確認した結果、比較検討が可能な処理技術と考えている。
 なお、業者選定にあたっては、稼動実績が重要な要因となるため、今後も、他市の稼働状況を注視していく。

【野本信正議員】
 新清掃工場のコンセプト環境に優しい施設になるのか。まず、ダイオキシン対策についてだが、ダイオキシンの完全分解は1,300度の高温で、滞留時間2秒以上を守ることである。しかし、炉全体が1,300度ではなくムラがあるため、完全分解は難しいといわれているがどうか。
 温度だけの分解が不可能なためバグフイルダーを取り付けるが、埔捉できるのは固体のダイオキシンだけで、溶融から出る排ガス中のダイオキシン類は大部分ガス状のためバグフイルダーをすり抜ける。それをカバーするために活性炭吸着剤をつけてダイオキシンを埔捉するがチタンなど触媒が高価で費用もかさむ。これだけ対策をしても発生量を抑えない限りダイオキシンは除去できないがどうか。
 バグフイルダーを通すためには、1,300度から300度以下に温度を下げる。ダイオキシンは、燃焼と排ガス処理過程で、2度合成されるといわれていて、排ガスの流れが速すぎる分解しきれず、逆に遅いとダイオキシンが再合成する懸念があるといわれているがどうか。また、最後に取り出す有価物も危険といわれている。以上の指摘のとおりダイオキシンの完全分解は無理と思うがどうか。

【環境局長答弁】
 環境省が定める「ゴミ処理に係るダイオキシン類発生防止ガイドライン」で、新設のごみ焼却炉の燃焼温度は850度以上とされており、基準に適合するものと考えているが、更に技術的な考察を続けていく。
 ダイオキシン類の除去を目的に、本市の北清掃工場及び新港清掃工場でもバグフィルターを設置しているが、稼働状況は法規制値以下であり、良好なため問題は生じないと考えている。
 現在、稼動しているシャフト式ガス化溶融方式はすべてダイオキシン類基準値に適合した施設として建設されており、また、施設の稼動は「ゴミ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」に準拠して行われることから、ダイオキシン類対策は問題ないと考えている。

【野本信正議員】
 二酸化炭素(CO2)の大量排出について、二酸化炭素の大量排出は、ストーカ炉より格段に大量である。化石燃料の権化のような、コークスや石炭を燃やすため、二酸化炭素を大量に排出する。排出量はストーカ炉に比べはるかに大量となることを認めるか。

【環境局長答弁】
 ストーカ方式に比べると、二酸化炭素の排出量は、シャフト式ガス化溶融方式の方が多いとされている。

【野本信正議員】
 ゴミ質によって溶融に変化が出て、二酸化炭素排出量の増加は避けられない。不純物などゴミ質が悪ければそれだけ、二酸化炭素排出量は増えることを認めるか。

【環境局長答弁】
 ごみ質の悪化については、各処理方式共に燃焼の安定化のためにシャフト式ガス化溶融方式の場合は副資材の投入量の増加、ストーカ方式とガス化溶融方式の流動床式の場合は助燃が必要とされていることから、各方式共に二酸化炭素排出量の増加が想定される。

【野本信正議員】
 メーカーは「コークスを入れて高温のガスが出るので、熱回収をして発電すれば出てくる電力は、他の発電所で発電すれば化石燃料を消費し、二酸化炭素が出るので、トータルに見れば相殺できる。といっているが、導入される千葉市のガス化溶融炉からCO2が大量に排出され、北谷津周辺のCO2濃度が高くなり、地球温暖化を進める原因をつくることになるがどうか。

【環境局長答弁】
 ストーカ方式に比べるとシャフト式ガス化溶融方式の場合は多く排出されるが、地球温暖化の影響については、地域的なものでなく、更に広範な地域で考えるべきであるため、予定している環境影響評価で検討していく。

【野本信正議員】
 溶融によって生ずる飛灰について、稼働中に発生する飛灰は、ダイオキシンや放射能物質なども含み、大変危険で処理に厄介なものと聞くが、新清掃工場の規模でどのくらいの量になるのか。月あたりと、年間で示されたい。

【環境局長答弁】
 月当たりでは、3用地2清掃工場運用体制の炉の稼動計画が未定であり試算できないが、年間では7,000トンから9,000トンと想定している。

【野本信正議員】
 飛灰の処理はどのように考えていて、費用はどのくらいかかるのか。

【環境局長答弁】
 飛灰は、キレート材を混合して重金属を溶出させないよう安定化させ、コンクリートで固化してから埋め立て処分を考えている。費用は、他市の調査で維持管理費全体に含まれており、その分だけを抽出することは困難な状況であり、更に、ヒアリングを行うなど把握に努めていく。

【野本信正議員】
 市が、ガス化溶融炉導入のメリットを、焼却主灰を100%溶融スラグ化することで、資源化率を約0.5%向上させる。最終処分量の削減、約1万1千トンとなると説明している。メーカーは、溶融スラグが路盤材として活用できることを前提としている。スラグは、灰溶融炉を実施している自治体で使い途がなく、山積になっているのが実情であることを千葉市も承知していると思うがどうか。
 日本はスラグに含まれる有害重金属類の規制が緩く、溶出試験の甘いことが国際的に批判されている。路盤材にした場合、重金属の溶出が懸念されるなどの指摘を承知していると思うがどうか。

【環境局長答弁】
 本市の平成26年度実績では、溶融スラグは約4,600トンが土木用資材として、また、約1,000トンが最終処分場の覆土材として全量を活用しているが、今後、更なる有効活用を検討していく。また、溶融スラグは、新港清掃工場の灰溶融から排出される水砕スラグと同様に、JIS規格の基準に適合させることで、重金属の溶出は、特に問題はないと考えている。

【野本信正議員】
 溶融スラグは、使い途がなく山積にされ、有害重金属類の流出の心配があれば、危険性の高い廃棄物となり、最終処分場に埋め立てすることになる。それでは資源化率向上効果は無く、「最終処分量の削減」にもつながらないと思うがどうか。

【環境局長答弁】
 新港清掃工場の溶融スラグの利用実績では、廃棄物として最終処分場に埋め立てした実績はないので、更に積極的な活用の拡大を図り、最終処分量の削減につなげていきたい。

【野本信正議員】
 新清掃工場のコンセプト、循環型社会に適応した施設になるのか。新日鐵のキャッチコピーは、「ガス化溶融炉は、一般廃棄物、産業廃棄物、消却不燃ゴミ、医療廃棄物、掘り起こしゴミなど何でも溶融は可能」といっている。何でも溶融することは、ゴミの分別、リサイクル、資源化、減量化に逆行することになるがどうか。

【環境局長答弁】
 新清掃工場は多様なごみ質に対応できる施設だが、市民が分別した可燃ごみ、他工場からの焼却灰、新浜リサイクルセンターからの不燃ごみ残滓を処理対象としており、ごみ分別、リサイクルを推進する本市のごみ処理体系の一翼を担う施設として位置付けている。

【野本信正議員】
 何でも溶融することは、千葉市が市民と共に懸命に取り組み、分別の徹底、3Rを推進してきたことにも逆行し、市民を裏切ることにならないのか。

【環境局長答弁】
 新清掃工場では、分別されたものを処理対象としており、引き続き、分別の徹底を周知するで、市民に理解いただけると考えている。

【野本信正議員】
 何でも溶融する過程で、大気中に重金属類などを撒き散らすことになるが、こんなことを進めていいのか。

【環境局長答弁】
 重金属類は、焼却時に煤塵や焼却灰などに移行するため、廃棄物処理法に定められたとおり、適切に処理を行う。

【野本信正議員】
 以上のようにガス化溶融炉導入は、環境に優しい施設とは反対に、循環型社会の成立に背を向けることになると思うがどうか。

【環境局長答弁】
 本市の懸案事項である最終処分場の延命化や再資源化の向上に資するものであり、環境型社会に合致した施設となると考えている。

【野本信正議員】
 PFI、運転・管理委託について、PFI方式は、市は初期費用無しでスタートできるが、メーカーは利益をガッチリ確保するので割高になる。高温の施設運転管理はメーカーに全面的に頼ることになる。このため市は、「メーカーいいなりにならざるを得ない」と言われているがどうか。 

【環境局長答弁】
 PFI方式の他市事例などの実績を広く調査し、プラントメーカーからの見積もりを査定することで、運転管理委託も適切に設定できると考えている。

【野本信正議員】
 指摘したようにス化溶融炉導入の問題点は、(1)コストが高く、建設費、維持管理費、燃料費など合計するとストーカ炉よりはるかに高額で、耐用年数が2/3程度のため2倍以上高額になる。(2)安全性に欠ける。他事自治体でおきている爆発事故などから見て、リスク評価ができるだけの経験がない。(3)ダイオキシン完全分解は理想論で現実的でない。メーカーの説明通りの複雑な運転は困難で、経費がベラボーにかさみ、活性炭の処理も困難。(4)二酸化炭素の大量排出で大気を汚染し、地球温暖化を進めてしまう。(5)焼却灰の再資源化、資源化効率向上は、スラグの利用が不安定。(6)循環型社会に逆行する。何でも溶融可能施設導入は分別リサイクル、3Rに反する。(7)PFI方式は「メーカーの言いなり」になる。以上の指摘は個人的見解ではなく、導入した各自治体で起こっている問題点であり、清掃工場、ガス化溶融炉について調査研究している、研究者や学者の意見でもある。
 市が提案したコンセプトに、ことごとく反する問題点が山積の「新清掃工場の整備」は、十分時間をかけて検証することが必要である。結論を急がず他自治体の調査、専門化、議会、市民の意見も十分聞いて検討していくことを求めるが。

【環境局長答弁】
 ガス化溶融方式の採用については、他市の施設の稼働状況を調査すると共に、焼却方式の検討会において、学識経験者の意見を聞き比較検討を行ったが、今後も他市の施設稼働状況や技術的動向を注視していく。今後は、新清掃工場建設に係る計画を、10月中旬からパブリックコメントの実施はじめ、広く市民の方の意見を頂き、決定する予定だ。

【野本信正議員】
 住民の間から「北谷津清掃工場の建て替えはしない」といったのになぜ実施するのかとの疑問がよせられている。H24年6月の市政便りで熊谷市長は、「ごみ袋を有料化して減量し、北谷津清掃工場を建て替えに必要な費用約180億円を節約して、他の市民サービスに回す」といったのに、なぜ、300〜350億円もかけて北谷津清掃工場の建て替えをするのか。の声である。
 市長は、「3工場から、2工場にする前提がある発言だ」と言い訳するだろうが、市民には理解できない。特に「180億円を節約して、他の市民サービスに回す」と言ったメッセージは不適切であったので取り消すことを求めるが。

【環境局長答弁】
 当時の説明は、3清掃工場体制を基に北谷津清掃工場建替えした場合、施設規模を日量300トン程度と想定して、新港清掃工場の建設価格を参考に約180億円としていた。現在、焼却ごみ量減少に伴い、3用地2清掃工場運用体制に基づく整備計画を進めることから、建設費の説明は誤解のないよう適切に行っていく。

【野本信正議員】
 第2は、新港清掃工場のリニューアルについてだ。
 H14年12月に竣工した新港清掃工場を使用期間22年で使用停止し、300億円もかけてリニューアルする問題点について、清掃工場の耐用年数は概ね同じなのに、北谷津清掃工場は39年使用する。三角町の北清掃工場は33年使用する。なぜ新港清掃工場は22年で停止するのか。

【環境局長答弁】
 新港清掃工場は、エネルギーセンターの位置付けがあり、現在の3つの清掃工場の中では、稼働率が一番高く、焼却炉の損傷が大きく、平成37年度末には老朽化が想定されること、また、3用地2清掃工場運用体制移行に伴う費用、さらには工場の定期修繕時の対応、清掃工場用地の有効活用など、各方面から検討した結果、計画的に新港清掃工場をリニューアル整備することが最適であると判断している。

【野本信正議員】
 新港清掃工場は稼働率が高かったからと言うが、直近5年間の稼働率は75.19%である。環境省の稼働基準74%をほぼクリアしていて、平均的な稼働率である。なぜ事実と違う説明をするのか。

【環境局長答弁】
 環境省では、焼却炉の安定稼働を目的に、1炉ごとに停止して行う点検・補修や全炉停止して行う定期修繕などを考慮し、1炉年間稼働日を約270日、年間の稼働率は約74%としている。これに対し、新港清掃工場の稼働率は5年平均で75.2%あり、また、北清掃工場の65.8%、北谷津清掃工場の46.4%を大きく上回っており、新港清掃工場は稼働率の高い施設だといる。

【野本信正議員】
 新港清掃工場と同じ、スーパーゴミ発電を併設している大阪堺市は43年間使う。23年間で停止する千葉市は、堺市に比べて20年も早いことになる。いままでの答弁では説明が付かない。まだ使える清掃工場を早く壊し、それだけ無駄遣いをすることの問題点と、その理由を明らかにされたい。

【環境局長答弁】
 3用地2清掃工場運用体制に向けて、焼却ごみの安定処理や整備費など様々な方面から検討したほか、建物の耐用年数は50年程度であることから、プラントを2世代使用することで、建物の建設費削減が図れると考えている。

【野本信正議員】
 無駄使いを中止して、市民の財産を有効に使うべきだがどうか。

【環境局長答弁】
 当市のごみ処理施設は、全体的に近い将来、耐用年数を迎えることから、ごみ処理に支障を来さないよう、整備計画に基づき、計画的に整備を行っていく。

【野本信正議員】

2.指定廃棄物長期管理施設について

 今議会6人が質問し、海岸の埋め立て地に管理施設を作る危険性が、多々指摘されてきている。環境省の押しつけは東電敷地先にありきが明白であり白紙撤回以外にない。環境省が6月2日市議会で行った説明会で、共産党佐々木議員は、東京電力千葉火力発電所の敷地は津波被害に耐えられたのか質した。環境省は「津波の高さは最大で東京湾平均海面より3メートル程度であり、東京電力千葉火力発電所の敷地は津波の影響を受けないと考えている」と答えた。
 質問するが、東京電力千葉火力発電所の敷地は、荒川基準面いわゆるAP何メートルなのか。

【環境局長答弁】
 千葉県に確認しましたところ、AP4.5メートルとのことだ。

【野本信正議員】
 都市局に確認するが、蘇我特定地区のスポーツゾーンや、ハーバーシティは敷地を1.5メートル嵩上しているが、その理由について伺う。また、嵩上げした結果AP何メートルから何メートルになったのか。

【環境局長答弁】
 高潮対策事業として、県の定める安全高さを確保するため、高潮想定潮位APプラス5.0メートルに余裕高プラス0.5メートルを加えた数値APプラス5.5メートルとして、地区全体を盛土造成している。
 結果、地盤高は、整備前のAPプラス2.8メートルから4.6メートルに対して、整備後は、APプラス5.5メートルとなっている。

【野本信正議員】
 環境省は2回にわたる議会への説明で、東電敷地は東京湾平均海面より4メートル高いので、津波や高波は全く心配ないと答えた。しかし中央港地区やハーバーシティは、高波から守るためAP4メートルから1.5メートル嵩上げしている。環境省のいい加減な説明を市はなぜ見過ごしてきたのか。

【環境局長答弁】
 本市は、津波・高潮などの災害の危険性を十分認識していることから、環境省から市事務方への説明の際に、現在想定している以上の災害が発生した場合や、地球温暖化、台風による高潮の可能性を市事務方より指摘している。

【野本信正議員】
 東電敷地は津波や高波に対応できない危険な用地だと認めるか。環境省に伝えるべきではないのか。

【環境局長答弁】
 本市は、津波・高潮などの災害の危険性を十分認識している。また、津波対策について、国は、護岸や土地の嵩上げなど、必要な対策工を含め検討すると説明をしている。ご指摘・ご懸念の点については、重ねて、国に伝えていく。

【野本信正議員】
 津波や高波に対応できない危険な場所に、指定廃棄物長期管理施設を選定する条件は皆無である。この視点からも市長は環境省に対して、白紙撤回を求めるべきではないのか。

【熊谷市長答弁】
 国からの詳細調査候補地の選択経緯や施設の安全性等に関する説明は不十分であり、納得できる状況になく、市民等からも懸念する意見が多数寄せられていることや、市議会の決議を尊重し、6月10日に国に対し、指定廃棄物排出自治体内で保管を行うための再協議の申し入れを行っている。
 これまでの市及び市民への説明内容や市民意見に鑑みると、指定廃棄物排出自治体で保管していくことが適切との認識がより広がってきていると感じている。
 国から再協議の申し入れに対する回答があった場合は、その内容を踏まえ議会と相談しながら、市民の安全性を第一に判断していく。