日本共産党が提出した意見書

平成27年第4回定例会
No.1

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

空襲被害者等援護法(仮称)の早期制定を求める意見書(案)

 終戦から70年が経過したが、今日まで空襲等による民間人の被害者に対する救済・補償は全くされずに放置されている。太平洋戦争では、東京、名古屋、大阪、沖縄を初め200以上の中小都市が焼夷弾等による無差別爆撃を受け、さらには原子爆弾の投下により、全国で甚大な被害を受けたのである。死者は50万人を超えるなど、多くの人が罹災し、都市の大半が廃墟となった。本市でも1,595人が死傷し、中心市街地の約7割が破壊された。
 空襲により亡くなられた方の家族、傷害を負って日々不自由な生活を強いられた人、幼くして孤児になった人などは、何の救済・補償も得られず、無念な思いと悲惨な体験を引きずり70年間を生きてきた。一方、国は、軍人・軍属には総額約50兆円の国費を投じて年金や補償を行っている。
 第二次世界大戦の敗戦国であるドイツ・イタリアなど、主要先進国では軍人、民間人、外国人も等しく救済しているが、日本の戦後補償制度は国際的にも異質であり、不条理である。
 戦後70年の間に、引揚者や中国残留孤児、強制抑留者、原爆被害者など、不十分ながら法律や政令等により援護が拡大されてきたが、空襲等による民間人の被害者に対する援護だけが取り残されているのである。
 空襲被害者への補償を求めた東京大空襲訴訟、大阪空襲訴訟では、ともに原告の請求は棄却されたが、判決文には「被害が甚大であった」、「軍人軍属との不公平を感じ、民間戦争被害者にも救済援助を与えるのが国の責務であるとの主張は、心情的に理解できる」、「国会が立法を通じて解決すべき」と述べられている。
 戦後70年が経過し、空襲被害者は高齢化しているため、戦後処理問題の一刻も早い解決が必要である。
 よって、本市議会は国に対し、空襲被害者等援護法(仮称)を早期に制定するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.2

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

環太平洋連携協定(TPP)からの撤退を求める意見書(案)

 安倍政権が「大筋合意」したとする環太平洋連携協定(TPP)は、アメリカ型の市場原理主義を「国際ルール」として押しつけ、農業や食品安全、医療、中小企業支援、環境保全など広範な分野での日本の経済主権を脅かすものであり、協定書の作成作業から直ちに撤退し、調印を中止すべきである。
 自由民主党、公明党も含めての国会決議(2013年4月19日第183回国会農林水産委員会決議)では、「10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」、「農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること」と明記しながら、聖域とされていた米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源の「重要品目」も約3割で関税を撤廃、その他も段階的に削減、輸入枠の新設などが示されている。
 関税の撤廃・削減で輸入品価格が下がり、消費者が恩恵を受けるとしているが、輸入食料品が増加すれば、国内の農業生産者は深刻な打撃となる。また、消費者にとっても遺伝子組み換え、ポストハーベスト農薬(収穫後農薬)など食の安全に対する懸念が格段に強まることになる。
 一方、日本車に対するアメリカの関税は、乗用車については15年目から削減し、20年目で半減、撤廃は25年後である。トラックについては29年間維持するとしている。さらに、各国に対し外資の規制緩和・撤廃を求めるとともに、投資に関しては、進出先の国の政策や制度の変更で損害を受けた外国企業は進出先の政府に対し損害賠償訴訟を起こすことができる「ISDS条項」が含まれることから、「TPP」は大国の多国籍企業の利益を追求する仕組みであることは明らかである。
 交渉の経過、合意内容を国民に知らせることなく、「国益を守る」、「国会決議を尊重する」との政権公約に反し、日本の食料主権を売り渡すことになる「TPP」協定に調印することは許されない。
 よって、本市議会は国に対し、国益に反する環太平洋連携協定(TPP)からの撤退を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.3

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「安全保障法制」(戦争法)の廃止を求める意見書(案)

 本年9月19日、新聞社による世論調査において国民の約8割が「説明不足」を指摘し、約6割が「今国会での成立に反対」していたにもかかわらず、安倍政権が「安全保障法制」(戦争法)を強行成立させたことは、民主主義国家として許されない暴挙であり、自公連立政権の責任は重大である。
 この法律は、歴代の自民党政権が「憲法上認められない」としてきた集団的自衛権の行使、戦闘地域での兵たん活動、戦闘状態にある地域での治安活動などが盛り込まれており、憲法学者や法律家、元内閣法制局長官が違憲と指摘している。さらには元最高裁判所判事までが「憲法と法の秩序を全く無視している」と表明するなど、憲法違反が明らかな法律である。また、国会審議の中で、米軍との「軍軍間の調整所設置」や「南スーダンでの駆けつけ警護の実施」などといった、国会と国民に隠れてひそかに計画されている事実が自衛隊の内部文書で暴露されながらも、それについて説明することなく強行採決したのである。
 安倍政権は、「安全保障法制」(戦争法)の成立後、「丁寧に説明していく」などと言い続けている。ところが、憲法第53条の規定に基づき、野党議員が「臨時国会召集」を要求しても応じようとはせず、ここにも憲法を無視する自公連立政権の姿勢があらわれていると言わざるを得ない。
 「安全保障法制」(戦争法)は、日本の立憲主義、平和主義、民主主義を根底から覆すものであり、一刻も放置できないものである。さらに、世界からの信頼が失墜しかねない重大事態なのである。
 よって、本市議会は国に対し、「安全保障法制」(戦争法)の廃止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.4

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設の即時中止を求める意見書(案)

 沖縄県の翁長雄志知事は、本年10月13日、仲井真弘多前知事の埋め立て承認を検証する第三者委員会(普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会)が、前知事の埋め立て承認には「法律的瑕疵がある」と報告したことを受けて、正式に「埋め立て承認」を取り消した。
 第三者委員会は、「沖縄県名護市辺野古に新基地建設を必要とする実質的な根拠に乏しい」、「辺野古沿岸部の貴重な自然環境が埋め立てによりほぼ回復不可能になる」、「騒音被害の増大は、住民の生活や健康に大きな被害を与える可能性がある」、「新基地建設で沖縄県の過重負担が固定化されることになる」と指摘している。
 これらの指摘に対し、政府は、「普天間基地の危険性除去」には辺野古新基地建設が「唯一の解決策」だと主張するが、「沖縄の土地を強制的に奪って作った基地が危険になったから、新たな土地を差し出せと迫るのは理不尽のきわみ」である。政府は、圧倒的多数の県民の願いを背にした翁長雄志知事の決定を真摯に受けとめ、新基地建設を潔く断念すべきである。
 ところが、防衛省沖縄防衛局は石井啓一国土交通大臣に対し、行政不服審査法に基づく不服審査を請求するとともに、執行停止の申し立てを行い、石井啓一国土交通大臣から執行停止の決定を出させた。また、政府は、知事にかわって埋め立て承認の取り消しを撤回する「代執行」を行う方針である。これに対し、沖縄県民はもとより多くの国民から、自公連立政権による「自作自演」、「出来レース」だと批判の声が出ている。アメリカ国内でも「沖縄県民の意思を否定している」、「日本政府が翁長知事を無視している」、「沖縄の人たちが憤っているその核心は権利の大侵害だ」と報道するほどである。
 新基地建設へ向けた安倍政権の強権ぶりは常軌を逸しており、野党が憲法に基づき要求している臨時国会を速やかに召集して、国会の場で辺野古の米軍新基地建設問題を議論すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設の即時中止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.5

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

国立大学人文社会科学系の再編・縮小をやめるよう求める意見書(案)

 安倍政権の成長戦略の一環である「国立大学改革プラン」の具体化として、文部科学省が各国立大学法人に出した、人文社会科学系や教員養成系の学部・大学院の廃止や社会的要請の高い分野への転換を求める「通知」が、財務省による大学予算削減のための大学法人運営費交付金の大幅削減と一体となっての押しつけとなっており、各分野から強い反発や批判の声が起きている。
 すでに、人文社会科学系の縮小は進行しており、地方の国立大学では来年度の入学定員が、12大学で306人削減されることになっている。
 国立大学協会会長は「人材育成の議論が近視眼的で短期の成果を上げることに性急になりすぎている」と批判し、京都大学総長も「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てるためには人文社会系を失ってはならない」と声を上げている。国立大学法人17大学人文系学部長会議は「共同声明」で、「人文社会学科の学問は社会の基盤形成に寄与するもので」、「人文社会科学の軽視は、わが国における人的基盤を根底から揺るがしかねない」、「全国的な高等教育の機会均等の観点からも、地方国立大学の存在は大きい」、「文部科学省の見解に対して」「強く抗議する」とし、「人文社会科学の存在意義を踏まえ」、「それぞれの大学の特性に応じて柔軟に支援していくことを強く要望する」としている。
 また、日本学術会議は「人間と社会のあり方を相対化し批判的に省察する人文・社会科学の独自の役割」を強調し、文科省の「通知」に「大きな疑問」との声明を発表している。
 今、政府がやるべきことは、「ミッションの再定義」を口実に、人文社会科学系の定員削減を迫ることではなく、文系にも理系にも多様な基礎的学問の場を保障する基盤的予算の充実である。
 よって、本市議会は国に対し、国立大学人文社会科学系の再編・縮小をやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.6

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

国民の意思に反する原子力発電所再稼動をやめるよう求める意見書(案)

 九州電力川内原子力発電所1号機・2号機の再稼働に続き、四国電力伊方原子力発電所も再稼動に向けて動き出している。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故では、現在も故郷に戻れず避難生活を余儀なくされている人々が10万人を超えているが、被害者・避難者に対する支援策は極めて不十分なままである。また、事故原因は解明できず、原子炉内部の把握も困難な状況である。地下水も含めた大量の汚染水が雨水とともに海へ流出しており、安倍首相が言う「アンダーコントロール」の状況にはなく、事故は収束していないのである。「世界一厳しい基準に合格した」から「絶対に安全」などとする根拠はどこにもない。
 原子力発電所は、一たび重大事故が起これば、放射性物質による被害は空間的にどこまでも広がり、時間的にも将来にわたって危害を及ぼし、社会的にも地域社会の存続を危うくするものである。そして、現在の技術では核廃棄物の処理方法は確立されておらず、使用済み核燃料の保管場所が不足しつつある事態に至っている。国民にとって、危険この上ない原子力発電所の再稼動を「なぜ急ぐ必要があるのか」との多くの疑問は当然である。
 しかも、川内原子力発電所、伊方原子力発電所のいずれも重大事故の際の具体的な避難体制が不十分であるにもかかわらず再稼動を認めることは、福島第一原子力発電所での事故を無視するものと言わざるを得ない。
 原子力発電所に依存しなくても日本の電力は十分足りている。再生可能エネルギーへの転換は世界の流れである。原子力発電所につながり莫大な利益を得ようとする企業のために、日本の未来を危険にさらしてはならない。
 よって、本市議会は国に対し、国民の意思に反する原子力発電所再稼動をやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会


平成27年第4回定例会
No.7

 (提出年月日)平成27年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

子ども・子育て支援新制度の改善を求める意見書(案)

 本年4月、子ども・子育て支援新制度が施行された。新制度では、消費税を財源に保育の「量的拡大」及び「質の改善」を目指しているが、財源確保も含めていまだ十分とは言えない現状である。
 新制度の実施主体である地方自治体が十分に役割を果たすとともに、国は「すべての子ども・子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図る」とする、新制度の趣旨を踏まえた改善が必要である。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項を強く要望するものである。

1 新制度の実施に当たっては、子どもの健やかな育ちが等しく保障されるよう、必要な財源を早急に確保し、関連予算を大幅に増額すること。
2 希望する保育施設に入れるよう、施設をふやすとともに、保育の質を確保すること。
3 保育施設の開所日数、開所時間に見合う単価設定など、実態を踏まえて公定価格を改善すること。
4 保育の質を確保し、向上させるために職員の処遇、配置基準を抜本的に改善すること。
5 保育料など、保護者負担額を引き下げること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年  月  日

千 葉 市 議 会