かばさわ洋平議員の一般質問



2015.12.11

写真1.甲状腺検査助成について
 2011年3月発生した東日本大震災において、東京電力福島原発事故という未曽有の被害が起きて、4年9カ月が経過しました。いまも収束できない原発からの汚染水による環境被害、さらには故郷を追われ避難生活を余儀なくされている方は福島県だけでも10万人もいるという状況です。
 そして、原発事故を受けて実施している福島県民健康調査において、11月末に新たな甲状腺がんデータなどを公表され、甲状腺がんと疑われる子どもは、検査対象の38万人のうち152人となったと公表されました。福島県民健康調査検討委員会は「現時点では原発事故の影響とは考えにくい」とし、理由としてスクリーニング検査による精度の向上や、治療の必要がないのに陽性と診断する「過剰診断」を挙げています。
 一方で、福島県の健康調査結果を受けて、10月に岡山大学大学院の津田敏秀教授らの研究グループがまとめた論文によると、100万人あたり3人程度といわれる、ほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの発症率と比較した場合、福島市と郡山市の間で約50倍、福島原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍となったと分析し、「福島県内において甲状腺がんの著しい多発が起きていて、チェルノブイリで4年以内に観察された甲状腺がんの多発と一緒であり、チェルノブイリ同様、5〜6年目以降の大きな多発は避けがたい状態だ」と指摘しています。
 千葉市においても、福島原発事故以後、市民からの要望で被ばく軽減と保護者不安軽減を図るため、放射能給食検査を実施してきたわけですが、依然として甲状腺検診を行う市民団体「甲状腺検診ちばの会」による甲状腺エコー検査には毎回定員が埋まるという状況で、2014年6月から5回の検診で231名が検診したということです。原発事故から4年経過してもなお、千葉市においても子ども達の健康を不安に思う市民がいるのも実態です。そこで伺います。
 1つに、原発事故を受けての福島県以外において甲状腺エコー検査助成などの健康調査支援の取組を実施している自治体の状況についてお示しください。
 2つに、原発事故直後、2011年3月15日に放射性物質の最大放出があり、関東にも流れ、甲状腺ガンの原因ともなるヨウ素131は千葉市にも拡散しました。当時千葉市における水道からヨウ素131が一番高く検出された日とベクレル数をお示しください。また、同日の福島県いわき市におけるベクレル数もお示しください。
 3つに、2010年度から2014年度まで、市立病院である青葉病院と海浜病院における甲状腺エコー検査件数の推移をお示しください。
 4つに、仮に年間100名程度の希望者に対して、他市のように3000円検査費を助成する場合の予算額をお示しください。

2.学校給食食物アレルギー対応について
 給食の時間は学校生活の中で楽しい時間のひとつであります。しかし、2012年に東京都調布市の小学校で食物アレルギーのある子どもがアナフィラキシーショックで亡くなるという痛ましい事故が起こりました。給食で出されたチーズ入りのチヂミを食べたことが原因でした。事故後の調査結果によると、ガイドラインの理解が十分になされておらず、対応が徹底されてないという実態です。
 千葉市でもこうした事故が起きないように、ガイドラインを作成して指導を進めていると思いますが、万が一の時における体制は万全なのか、また一方で増えるアレルギーのある子どもに対して除去食対応が徹底しているのかどうか、質していきたいと思います。
 1つに、千葉市の小・中学校におけるアレルギー児童生徒数とアドレナリン自己注射薬いわゆるエピペンの所持者数をH22年年度から昨年度までの人数をお示しください。
 2つに、中学校センター給食における、アレルギー生徒への対応はどうなっているか、伺います。
 3つに、小学校における除去食対応をしている児童数、代替持参や弁当持参をしている児童数の人数と割合をお示しください。

3.市営住宅エレベーター設置について
 「足腰が弱くなって買い物袋を持って5階まで上がるのが本当につらい」「介護事業者の送迎をしてもらうため、1階へ転居依頼しているが空きがないため転居できない」「ベビーカーをもって、子どもを抱っこして4階まであがるのが大変でエレベーターがあればどれだけ助かるか」など、市営住宅の住民よりエレベーター設置を求める声が多数寄せられています。
 公営住宅法の第1条では、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と規定しています。つまり、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備する責任が千葉市にはわるわけです。市内における3階建て以上の市営住宅が37団地あるなかでエレベーター設置がある団地は、9団地にとどまっております。バリアフリー化が進む社会にあって市営住宅だけ取り残すことはあってはならないと思います。そこで伺います。
 1つに、市営住宅に住む市民の年齢で、一番多い年齢層はどの年齢層か。いわゆる65歳以上の高齢化率についてお示しください。
 2つに、誉田1丁目市営団地の住民から、「失明してしまい2階に上がるのが介護者に援助いただくなかで本当に厳しい、早急に1階に住み替えさせてほしい」と相談されました。こうした住み替えを求める市民は現在、何世帯あるのかお示しください。
 3つに、政令市において市営住宅に後付けエレベーター設置を進めている状況はどうか。
 4つに、市営住宅において、エレベーター設置がなく、今後10年以上も建て替えの予定がない市営住宅はどれくらいあるのか。

【2回目】

1.甲状腺検査助成について
 厚生労働省の資料によると、2011年3月21日の水道水中のヨウ素ですが、福島県では最大492ベクレルでしたが、千葉県もあまり変わらない数値である370ベクレルが最大で検出されました。先ほどの答弁で千葉市における水道水のベクレル数が示されましたが、甲状腺検査において、甲状腺がんまたは疑いとして24名と多発している、いわき市が当時100ベクレルであり、それ以上の130ベクレルのヨウ素が千葉市で検出されていたわけであります。つまり千葉市民においても少なからず、2011年3月に起きた福島原発事故において、呼吸からと飲料や食物から内部被ばくしたという事実を全く否定することはできないわけです。そこで伺います。
 (5)水道水、または空間線量からヨウ素等の放射性物質による初期被ばくした可能性があるという事実を千葉市は認めますか?
 (6)11月3日付の東京新聞報道によると、花見川河口部の海底土が最大で、セシウム878ベクレルとありました。釣り等を楽しむ市民もいるなかで、魚等の影響は大丈夫なのか、不安の声が寄せられています。千葉市が独自に調査計測して市民に情報周知すべきではないか。

 市立病院における甲状腺エコー検査数をグラフにまとめました。原発事故以前の2010年、青葉病院と海浜病院の甲状腺エコー検査数は833件だったものが、事故発生後急増して2014年度1,039件まで増加しています。両市立病院以外でも当然、地域における医療機関において検査をしている人も増えていることが想定できます。これだけみても市民の検査費経済負担が増えています。そこで伺います。
 (7)検査数が増えている事実をどう受け止めますか。こうした市民への対策を千葉市は考えないのか伺います。

 答弁であったとおり、千葉県、茨城県、栃木県において既に15の自治体が独自で無料検査や検査費用の一部助成を実施しております。
 H26年から実施をした松戸市へ先日、私は視察しました。松戸市民病院において検査する体制を構築して、8,208円の検査費用総額に対し、3,000円を市が負担するということで、市民から申し込み受付したところ、96名の定員はすぐにいっぱいとなり、検査体制を2院に拡大したが、それでも全て受け入れることができず、205名の応募者に対して一部翌年度検査持ち越しにしたということでした。依然として、市民からのニーズが高いことが伺えました。
 先日、原発事故後に甲状腺エコー検査をした市民からこうした切実な声を寄せられました。「小学校低学年の息子の状況が心配で、2013年と昨年の2回検査して、経過観察のA2判定を受けた。福島県の健康調査では経過観察であるA判定後、二順目検査で甲状腺がんと診断されるケースもあるため、継続的に検査して観察していきたいが経済的にも苦しい。せめて他市のように費用を助成してほしい」と検査費用助成を求めています。現実に、私が深刻だと思うのは、福島健康管理調査において1巡目の検査においてA判定で異常なしと診断されていたにも関わらず、2年経過した2巡目調査において、甲状腺がんの疑いと診断された方が37名いるという事実です。千葉市民も少なからず初期被ばくしたことを考えると市民が不安に思うのも無理はありません。仮に100名分助成するとして、市の予算額はわずか30万円プラス別途事務費用です。そこで予算編成権のある市長に伺います。
 (8)市民の切実な要望に耳を傾け、他市のように甲状腺検査費助成を早期に実施すべきと思うが、検討を進めますか。

 北茨城市には自治体主導で甲状腺検査を実施して、4,777人の受診者の中から3人が甲状腺がんと診断されています。そして約3,700万円の検査費用のうち約3,500万円が震災復興特別交付金の原発事故関連「子どもの生活支援等」に該当し、国が予算措置したということです。そして、わが党の茨城県委員会が総務省と交渉した際に、北茨城市のように独自に甲状腺検査を実施した費用について他市町村でも申請があれば予算措置の対象となると明言しています。そこで伺います。
 (9)千葉市が甲状腺検査費用を助成した場合は国の支援制度適用になるのかどうか。また国に対して甲状腺検査を千葉市でも実施すること、同時に財政負担するよう積極的に求めるべきではないか。

 被ばく影響はチェルノブイリで示されている通り、晩発的に起きるリスクがあるものです。チェルノブイリ原発事故で小児甲状腺がんが多発したベラルーシでは、子どもらの甲状腺がん検査は半年に1回実施をする体制になっています。また、チェルノブイリ原発事故後にベラルーシに入って医療活動をされた医師であり、現長野県松本市長である菅谷市長は2012年9月27日付の中日新聞インタビューにおいて「ベラルーシでは、転移していたケースが非常に多い。将来にわたって、注意深く経過を追わなければならない。子どもが甲状腺がんになった場合、何年も治療や検診を続けねばならない家族の苦しみは深い。現地の往診で、そんな姿を見てきた。チェルノブイリの先例に真摯に学ぶべきだ」と検査体制充実が必要だと語られています。現実問題として今年3月まで福島健康管理調査で甲状腺がんと診断され手術した104例のうち、リンパ節転移が72例、肺への遠隔転移が3例あったと報告されています。福島県立医大そこで伺います。
 (9)独自に市民ニーズに応えようとボランティアで運営している「甲状腺検診ちばの会」のような市民団体に対して、千葉市が後援する、または会場を貸し出す等の支援を進めるなど、市民団体と連携したかたちで検診を進めることを求めるがどうか。

 本来は国や東電が責任を持ってフォローアップしていくべきだと思いますが、関東においても放射性物質が飛散し初期被ばくした事実がありながら、甲状腺検査や助成は自治体任せとなっています。しかしながら、内部被ばくにおける問題は閾値含め、未だ確かな定説がないなかにおいては、大事なことは予防原則の視点に立ち、検査を望む人にはしっかりとした支援体制をつくり、子ども達の健やかな健康を見守っていくことが求められます。千葉市の未来ある子ども達の命と健康を守るために、保護者の不安解消や経済負担軽減のためにも、まずは千葉市でできるフォローアップを早急に実施してほしいと強く要望します。

2.市営住宅エレベーター設置について
 高齢化率について、34%ということが示されました。いわば3人に1人は65歳以上ということです。これからさらに高齢化率は高まります。住み替えを求める世帯も70世帯もあり、これだけの住み替えを待つ人がおられるなか、希望が叶うのが5年先、10年先ということがあってはなりません。
 政令市において横浜市、大阪市はじめとして10政令市で後付けエレベーターを設置しています。横浜市を調べてみますと、横浜市中期4期計画で「市営住宅の改善棟の実施」を掲げ高齢化対応が緊急の課題とエレベーター設置取組を進め、後付けのエレベーター設置をこれまで382基も設置しております。写真は横浜市旭区にある、ひかりが丘住宅です。いわゆる階段型というタイプで階段ごとに複数エレベーターを設置しております。住民からは高齢化対応のニーズに応えてくれたことに感謝の声が上がっているということです。そこで伺います。
 (5)来年度に国土交通省から長寿命化再整備計画策定指針が新たに出されると聞いていますが、それに伴い市営住宅長寿命化再整備計画を横浜市のように高齢化対応の緊急の課題であるバリアフリー化やエレベーター設置を進めるよう計画を修正し、後付けエレベーター設置を進めるべきでないか。

 多くの市民が殆ど行かない本庁舎市役所建て替えには298億円という多額の税金は使うが、34%と高い高齢化率となる市営住宅にはエレベーター整備等の計画が進まないということに、住民から市政における税金の使い道に対して疑問の声が上がるのも無理ありません。超高齢化社会に向けて自治体の責任として老朽化した市営住宅のリメイクや改修事業にもっと予算を投入して、エレベーター設置やバリアフリー化を推進することを求めておきます。

3.学校給食食物アレルギー対応について
 答弁で示された通り、アレルギーのある小中学校の児童生徒数ですが、H19年に1.9%だった割合が、現在4.3%まで約2.2倍も増加しています。そして、エピペンの所持者は、H19年小中合わせて7人だったのが、H26年221人まで激増しています。ここでまず大事になるのが、万が一のときに注射するエピペンを学校現場で打つことが想定される教員が正しく対応できるかどうかです。そこで伺います。
 (4)学校の教員においてエピペンの使用について講習含めた指導は現在全学校・全教員に対して実施しているのかどうか伺います。

 教員も医者ではありませんから、注射をするということに抵抗があるのは当然です。だからこそ事前にどういったもので、どのように使用するか含めて指導しておくべきでありますので徹底をお願いしたいと思います。
 次に、中学校センター給食におけるアレルギー対応についてですが、答弁ではセンター方式のため食べられない場合除去食提供ではなく弁当持参とありました。しかしながら、生徒数はここ8年で2.2倍に増加しているなか、高まるニーズに応じて中学校給食においてもアレルギー除去食対応が求められると思います。先日、鎌ヶ谷市で平成26年から開業した学校給食センターを視察しました。
 保護者からの要望がかねてから強かったアレルギー対応食の提供ができるよう専用アレルギー調理室をつくって対応しているセンターです。施設を見ると専用調理室を設けて、調理台も柱を挟んだつくりとなっており、現時点では、卵、乳においての対応食をアレルギー対応班の専用人員を配置して対応しているとのことでした。増えるアレルギーのある生徒に対するケアをセンター方式でも、民間のノウハウを利用して応えようとする姿勢は千葉市も給食センター再整備するというなかにおいて、学ぶべきところがあると感じました。そこで伺います。
 (5)中学校給食センターにおいても保護者からの要望もあるアレルギー除去食が提供できる環境整備を検討すべきではありませんか。

 現在6政令市が給食センターでありながら除去食を提供しています。今後もアレルギーのある子どもの数は増えていくことが想定されますので千葉市も今後のセンター給食のあり方を検討し直すことを求めておきます。
 次に小学校の除去食対応についてですが、先日、市民からこうした相談がありました。「卵アレルギーを持つ子どもの除去食対応の希望があるが対応が進まない。近くの別の小学校では同じ卵アレルギー除去食対応が進んでいる。学校間格差なく除去食を対応してほしい」と切実な声が寄せられました。ある学校では除去食が適切に提供される一方で、除去食対応が進まない学校では保護者が6年間お弁当をつくるということになってしまっていいのかが問われるわけです。そこで伺います。
 (6)こうした市民からの切実な声があるなか、除去食対応が学校によって格差が生じている実態を教育委員会は把握していますか。その原因は何だと思うか。

 この根本的原因は栄養士や養護教員含めた学校の除去食対応に対する考え方にばらつきがあること、または施設・人員体制によって格差が生じていることです。先日、適切に除去食対応している市内の小学校に視察をしてお話を聞くと、卵を使った衣を上げる鍋は別に分けてアレルゲンの混入を防ぐように対応すること、またハムなどの加工品は極力アレルゲンを含まないものを仕入れるなど配慮していることが分かりました。千葉市のガイドラインでは除去食対応を基本とするとしています。加工品の仕入れや油を分けるなどの措置を徹底すべきであり、実態把握をして改善すべきです。再度伺います。
 (7)アレルギー除去食対応を格差なく進めるよう実態把握に努め、改善する手立てを取りますか。

 やはり、この給食食物アレルギー問題は、アレルギーのお子さんを抱える保護者にとっては切実な問題です。何かアレルギーが発生しないかという心配、同時にできる限り、皆と同じ給食メニューのお弁当を毎日つくろうと努力する保護者の大変な苦労があり、そして何よりも子ども自身が、皆と同じ給食を食べたいと心から望んでおります。また学校現場からの声として、児童生徒が増えていくなかで古くなった給食設備改修などを迅速に取り組んで頂きたいという声も寄せられました。ガイドラインをつくったから後は現場任せではなく、ソフト面が問題なのか、ハード面が問題なのか、人員不足が問題なのか、実態把握を進め、財政支援含めて改善の手立てを取る責任が教育委員会にはあります。どうか現場の声にしっかりと耳を傾け、除去食提供における学校間格差を是正するよう、一刻も早く改善へ踏み出すよう強く要望します。