中村きみえ議員の一般質問および答弁(要旨)



2015.12.11

写真1.マイナンバー制度について
【中村きみえ議員】

 9月の議会に続いて質問します。来年一月に本格稼働するマイナンバーは、個人情報の漏えいのリスクが高く、憲法が保障するプライバシー権を侵害すると国に対して差し止めを求める民事訴訟も行われています。私どもは、初期費用に3千億円、稼働費用に年300億円かかり、IT関連の大企業が利益を受け、国民にとってメリットはなく、政府が、税の徴収強化や社会保障削減のために行う制度を批判し、中止を一貫して求めてきました。
 住民票を動かさずに高齢者の施設に入居している人、震災の避難者、家庭内暴力から逃れている被害者などで必要な手続きをしている人以外のところには届きません。住民票のない人には、そもそもこうした通知がいきませんが、そうした人たちへはどう対応するのですか。
【総務局長答弁】
 マイナンバー制度の導入に伴い、市政だよりやホームページなどで適正な住民登録のお願いをして参りましたが、住民票のない方については、住民登録をしていただくことで新たに個人番号を付番し、速やかに通知することとしています。

【中村きみえ議員】
 マイナンバー制度の問い合わせは、どのようなものがありますか。
【総務局長答弁】
 現時点では、通知カードの到達時期、到達後の扱いや個人番号カードの申請方法などの問い合わせが寄せられています。

【中村きみえ議員】
 マイナンバーの通知カードが、届いても一体どうしたらよいのか、不安や疑問の声も寄せられ、電話などで詐欺事件も発生するなど、丁寧な対応が求められます。どう対応していますか。
【総務局長答弁】
 国において、広報ポスターの掲示やテレビコマーシャル、新聞・雑誌への広告等により制度の周知に努めるとともに、制度全般の問い合わせ先としてコールセンターを設置し、制度に関する疑問や解消を図っています。
 また、市においても町内自治会を通した全世帯へのチラシ配布や市政出前講座の実施などにより制度に周知を図っているほか、詐欺事件の発生事例を市政だよりや市のホームページでお知らせすることにより、市民の意識啓発に努めています。

【中村きみえ議員】
 性別については、男性、女性と明記することが難しく、性同一性障害の方へのプライバシーの配慮はどうなっていますか。
【総務局長答弁】
 個人番号カードの券面には性別が記載されますが、同時に配布されるか―ケースにより、性別の表示が目隠しされることとなるため、プライバシーに対する一定の配慮がされるものと理解しております。

【中村きみえ議員】
 性同一性障害の方のプライバシーも含めて配慮することが必要です。性同一性障害の方が、事業所でのナンバー提示をされることで、職場にいられなくなるなど不安の声が出されているようです。明記することで、人権侵害とならないのか伺います。
【総務局長答弁】
 関係法令の規定に基づき、民間事業者など個人番号関連事務実施者は従業員に対して個人番号の提示を求めることが義務付けられており、その手法は通知カードや個人番号カードなどの提示にすることとされています。
 個人番号カード等の提示にあたっては、性別を隠しても法律に違反しないとされておりますので、通知カード等への性別の記載が人権侵害につながるものではないと認識しております。

【中村きみえ議員】
 性別を隠すか隠さないか、事業者に示すのは本人にとって、とてもナイーブな問題です。すでに国に当事者が民事訴訟で差し止め要求をしていることから言っても、プライバシーの侵害は明らかです。人権侵害につながらないという認識は、間違っていると思われます。
 一人暮らしの視覚障害者の方に、通知カードが送られています。封筒の裏には、点字の表示がありましたが、どう周知しますか。
【総務局長答弁】
 通知カードを送付する封筒の裏面に「まいなんばーつうち」と点字で表示されているほか、音声コードが印刷されており、活字文書読み上げ装置などでマイナンバーに関する簡単な案内を聴くことが出来るようになっています。また、同封されている交付申請書に附属する切取り部分にも音声コードが印刷されており、マイナンバーに関する簡単な案内、個人番号、コールセンターの電話番号が読み上げられる仕組みになっていることから、これらをご利用いただきたいと考えております。

【中村きみえ議員】
 視覚障害者の方が、封筒を開けても、自分がどんな番号か見ることもできません。音声コードが印刷されていても、誰かを介さないとみることもできないのではないですか。
 総務省がすべてスマホや携帯電話で読みとれる音声コードを付けると言っていますが、SPコードとは似て非なるものらしいと指摘があります。特定非営利活動法人日本視覚障害情報普及支援協会では、SPコードの携帯電話の読み取り保証はできませんと掲示され、携帯電話対応の音声コードは、特殊な技術で、今後発売予定の音声コード対応携帯電話については、SPコードの読み取りは中止する方向だとされています。今後、こうした中で視覚障害の方が正確な情報を取得できるのか不安です。
 視覚障害者の方は、第三者に番号を知らせてもらわなければ、自分の番号はわかりません。それこそ、一人一人に合った対応すらないのが、この制度の問題ではないでしょうか。
 マイナンバーの通知カードには点字と音声コードを付記することも行われず、弱者の不利益に配慮せず、国家管理の都合で作られようとしているシステムであり、視覚障害者の人権を無視し許されないと関係者が指摘するのは当然です。
 次は、市の体制について伺います。
 マイナンバーの通知カードは、郵便局員の方が、土日も含めて配達されていますが、返戻されたものは各区と市全体でいくつかお示しください。
【総務局長答弁】
 11月末時点の返戻数を申し上げますと、中央区が1万2,661通、花見川区が   6,324通、稲毛区が4,295通、若葉区が3,703通、緑区が1,256通、美浜区が4,030通、市全体で3万2,269通となっております。

【中村きみえ議員】
 11月末時点で32,269通もあり、この事務処理の体制はありますか。
【総務局長答弁】
 返還されたものについて、住民票の記載事項を確認し、区内転居の場合には新しい住所を通知カードに裏書きし、新しい住所に再送付します。
 区外や他市町村に転出されていた場合は、転出先の区又は市町村で新たに通知カードを作成・送付するなどの処理を行います。また、こうした返戻後の処理を行うため、10月から各区に2〜5人、計18人の非常勤職員を配置しております。

【中村きみえ議員】
3問目
 正規職員の増員をせず、各区で2名から5名の非常勤を配置しても、職員が土日の出勤や残業を強いる過重負担は、あってはなりませんが、実態はどうですか。
【総務局長答弁】
 区の市民課にあっては、平日の時間外勤務や休日の出勤で返戻された通知カードの処理を速やかに行い、できるだけ早く通知カードを市民にお渡しできるよう勤めております。

【中村きみえ議員】
 9月議会で、こうした事務量への職員の人員増を質しましたが、正規職員を増員せずに、業務を遂行しようとすれば、職員への過重負担は、深刻です。
 返戻されたものは、転居は死亡の確認、不明者など問い合わせし、対応を図るため、極めて事務的な手続きが煩雑で、複雑多岐にわたります。すでに通知カードの入口の時点で、現場は疲弊しているのではないですか。こうした事態に、他の部署から応援もあるようですが、そもそも膨大な業務量への対策が不十分だったのではありませんか。職員の過重負担の軽減を図り、必要な体制を確保して対策を講じるよう求めておきます。
 次は、情報流出についてです。
 特定個人情報保護評価では、特定個人情報ファイルを保有する前に、漏えいなどのリスク分析を行い、事前に保護措置を検討しようとするものですが千葉市では、特定個人情報保護評価の実施は済ませたのですか。
【総務局長答弁】
 当初の予定どおり実施しているところであり、現在、評価を実施中の事務についても、今年度中には評価を終える予定です。

【中村きみえ議員】
 利用拡大として、口座番号、年金、医療と健康情報、納税額、事業内容、家族の情報、顔写真、戸籍、不動産、車、渡航歴など様々な情報を寄せようとしています。ネットを通じて、個人情報が、いったん流出、漏えいすれば、拡散した情報をすべて消去、回収は困難であり、個人情報にマイナンバーがついていれば、名寄せをしてプライバシー侵害やなりすましなどの犯罪の恐れが高まり、情報流出につながりかねません。プライバシーの権利は憲法で保障された基本的人権の1つです。
 日弁連の情報問題対策委員会委員長の坂本団(まどか)弁護士は、プライバシーの権利は、自己に関する情報をコントロールする権利であり、マイナンバーは国家が一元管理し不十分な保護措置で、メリットは非常に限定的でまともな費用対効果の資産さえ示せない、違憲の制度であると批判しています。千葉市はこれをどう受け止めますか。
【総務局長答弁】
 マイナンバー制度導入後も、個人情報はこれまでと同様に各行政機関において分散して管理され、情報を保全するための措置が講じられることで、情報流出のリスクを低減させる仕組みになっていると認識しております。なお、同制度に関する違憲訴訟が提起されていることは認識しており、今後の経過を注視していきたいと考えております。

【中村きみえ議員】
 世界の流れは、イギリス、ドイツ、フランスなどでの廃止、アメリカ、韓国での成りすましの被害は深刻な社会問題であり、共通番号ではなく限定番号を使おうという動きもあるようです。世界の流れに逆行しているのではないですか。
【総務局長答弁】
 海外での成りすましや情報漏えい事案は、番号のみでの本人確認や、番号に利用制限がなく民間も含め汎用的に利用されていることなどが影響したものと認識しております。このため、マイナンバー制度の検討にあたっては、アメリカなどの先行事例が研究され、個人情報保護に関し、法律による利用範囲の明確化や、厳格な本人確認、罰則の強化などの制度面での保護措置が講じられるとともに、適切なアクセス権限の管理、各行政機関における情報の分散管理などのシステム面での保護措置が講じられ導入されるものと理解しております。

【中村きみえ議員】
 世界的にはマイナンバーは、廃止の流れになっており、マイナンバーを使わなくても限定した番号の対応で十分可能だということが証明されています。
 次に、マイナンバーの申請についてです。
 来年度の確定申告では、事業主が従業員の個人番号管理の問題が、経済的負担となっています。そもそも所得税の確定申告にマイナンバーの記載がなくても罰則はなく、不利益を受けることがないと国税庁でも示しています。
 千葉市でも、マイナンバーの記載がなくても各種手続きについては、受理しますか。
【総務局長答弁】
 関係法令により、マイナンバーの提示が義務付けられている場合には、制度の趣旨をご理解いただき、マイナンバーの記載をお願いすることとなります。なお、詳細は事務ごとの関係法令等を踏まえて整理することとなりますが、国からの支持が遅れているものもあるため、制度運用開始に向け、国の動向に注視しつつ、検討を進めて参りたいと考えております。

【中村きみえ議員】
 受理するのであれば、区役所をはじめ、窓口で統一の対応が求められますが、文書などで明確に示すべきではないですか。
【総務局長答弁】
 国において、「個人番号をお持ちでない場合は、個人番号の記載がないことをもって書類を受理しないことはない」との見解が一部の事務について示されていますが、多くの事務については、まだ見解が示されておりませんので、国の動向を注視しつつ検討を進めて参ります。なお、法令等の規定により手続きの方法が事務ごとに異なるため、統一的な取り扱いをすることは難しいものと考えておりますが、同一の手続きについては、各区役所等の窓口で統一的な取り扱いを行い、市民に混乱が生じないよう配慮することといたします。

【中村きみえ議員】
 記載がなくても不利益が生じないよう対応するべきですが、お答え下さい。
【総務局長答弁】
 一部の事務について、申請書に個人番号を記載しないことによる罰則はないという見解を国が示しており、個人番号の記載がないことをもって、マイナンバー関係法令における不利益は生じないものと認識しておりますが、今後も国の動向を注視しつつ、検討を進めて参ります。

【中村きみえ議員】
 介護事業関係者からは、マイナンバーの通知カードのコピーは禁止され、認知症など、本人に確認できない方への対応など苦慮されています。プライバシーを保護する番号記載を巡って、事業者と利用者との信頼関係に亀裂が入らないようにしなければなりません。確定申告を始め、今後番号の記載がなくても、スムーズに受理できるよう行政の対応を強く求めておきます。
 そもそも、このマイナンバー制度は、制度施行前から制度を巡る政官財の癒着や厚労省の担当職員の収賄での逮捕や、IT企業の利権・癒着まみれとなるなど開始前から、問題が噴出しています。プライバシー権を侵害する制度は、延期し、凍結中止をすべきです。

2.生活保護住宅扶助費について
 安倍政権のもとで、7月から住宅扶助費が削減され家賃更新の時期を待たずに転居するケースが見受けられます。6月議会で私は経過措置の最大限の活用を求めて質問し、9月議会でももりた市議が、転居指導の在り方を質して丁寧な対応を求めていました。6月議会では最低限度の生活の維持に支障が生じないよう経過措置の適用を検討すると市は、答弁していますが、対象世帯のどれくらいを、経過措置しましたか。
【保健福祉局次長答弁】
 生活保護法による住宅扶助の新基準が適用された本年7月時点のとりまとめでは、全1万5,685世帯のうち、8,518世帯が転居を要する世帯であり、このうち、通院や通学、自立の阻害などを防ぐための、期限に定めのない経過措置の適用を受けた世帯は235世帯となっております。なお、この経過措置の適用が困難な世帯であっても、本年7月1日以降に初めて到来する契約期間はの満了日まで、もしくは、契約期間の定めがないなどの場合には平成28年6月まで、新基準の適用が猶予される措置がとられております。

【中村きみえ議員】
 7月現在で、8,518世帯のうち、経過措置は235世帯です。開始1か月では、評価しにくいと思われます。この間、更新前に引き下げる額より高い家賃の方が、引っ越すケースが多く見受けられます。身近な所に転居できずに市内でも遠方に越すケースも生じていると思われますが、慣れ親しんだ地域から転居しなくてはならない事態をどう受け止めていますか。
【保健福祉局次長答弁】
 本市はこれまでも、家賃等が住宅扶助の新基準額を上回る世帯について、経過措置適用の可能性を検討するとともに、経過措置を受けられない世帯に対しても、その意思を確認しつつ、家賃等の引き下げにより当該住居に住み続けることを含めた検討を行ってきております。また、「千葉県宅地建物取引業協会」など、複数の不動産関係団体に、住宅扶助基準改定についての説明と、協力の依頼を行ってきたことなどにより、本年7月の時点で、家賃等引き下げを受けた世帯は、経過措置の適用を受けた235世帯を上回る617世帯となっており、多くの世帯が従前からの住居に住み続けることができております。中には、経過措置の適用や家賃等の引き下げが受けられず、転居に至る世帯もございますが、引き続き世帯の自立助成のための丁寧な対応に努めてまいります。

【中村きみえ議員】
 1か月で、不動産の方で家賃の減額は617世帯ですが、転居は121世帯あり、不動産で家賃の引き下げができずに、本人の生活費を削って家賃を支払い、転居せずにいる方は、カウントされていません。70代の男性は、引っ越してやっと落ち着いた環境で転居せずに済みましたが、家賃の引き下げられた分をご自身の生活費を削ってやりくりしているそうです。本来は、こうしたことがないよう経過措置すべきではないですか。
【保健福祉局次長答弁】
 住宅扶助費の基準額よりも家賃の方が高額な状況において、その差額を生活扶助費から補填することは、世帯の最低生活を維持する観点から望ましいことではないと考えており、そのようなことが極力生じないよう、適切な経過措置の適用に努めてまいります。

【中村きみえ議員】
 受給者の方が、慣れ親しんだ地域で住みつづけられる権利を保障するのが自治体の務めではないですか。生活保護費削減ありきで、国の求めに応じるのではなく、最大限経過措置を活用し従前の環境を保てるようにすべきですが見解を求めます。
【保健福祉局次長答弁】
 通院・通学への支障や、自立の阻害を防ぐための、期限に定めのない経過措置につきましては、これまでも、個々の世帯の実情を勘案した上で適用しております。今後も引き続き、適切な経過措置の適用に加え、家賃等の引き下げの可能性も検討するなど、世帯の自立助長のための丁寧な対応に努めてまいります。

【中村きみえ議員】
 ある男性は、在宅で酸素の吸入し、転居は困難でした。本来は、経過措置の適応される対象でした。ところが、同居する娘さんが一人残された時、下がった家賃でアパートを借りられるのか、保証人もなく将来不安から病の体をおして、50年来住んでいた地域を離れる選択をされました。また、精神の病の方は、引っ越した先で知り合いもいなく、なじめないと、病状が悪化していたり、不安が強くなり、毎日のように相談する方もいます。その度、現場のケースワーカーの方も連日対応に追われ大変な思いをされている状況もあります。こうした制度の改悪が、現場も当事者も振り回しているのです。本来は憲法25条にある健康で文化的な最低限度の生活を営むための権利を保障する義務があり、生存権すら脅かす事態を食い止めるよう自治体として取り組むことを強く求めておきます。

3.マンション建設について
 千葉市では、平成25年6月より、市街地の住環境整備のため高度地区の指定をし、国道より山側を20メートル、海側を30メートルと絶対高さを規制しました。その後、マンション建設の紛争は激減し、一定の効果はありましたが小規模なマンション建設の紛争は続いています。
 スクリーンをご覧ください。写真の建設中の建物の高さは何メートルに見えるでしょうか。これは、今議会で陳情が出たワンルームマンションで、9.8mです。これは第一種中高層住居専用地域で、建ぺい率59.65%と60%のぎりぎりで3階建て、高さも10メートルに満たないため千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の対象とはなりません。今後、こうした紛争をなくしていくことが必要です。
 まず、千葉市でのマンション紛争の10年間の推移を伺います。
【都市局次長答弁】
 マンションを含む中高層建築物の建築に関し、本市への苦情などの件数は、平成17年から23年度までは、年平均で79件でしたが、24年度は27件に減少し、高度地区による最高高さ制限を行った以降はされに減少となり、25年度は9件、26年度は14件となっております。

【中村きみえ議員】
 あっせんや調停についての10年間の推移をお示しください。
【都市局次長答弁】
 あっせんの実施件数は、平成17年度は13件、18年度から22年度までは、年1、2件となっており、近年は少なくなっております。
 調停については、平成17年度から20年度までは、2件から5件ありましたが、21年度から25年度までは、申し出がなく、26年度は1件となっております。

【中村きみえ議員】
 この10年間、マンションの紛争やあっせん、調停も激減しています。高さの規制後、どんな場合に紛争となっているのか、お示しください。
【都市局次長答弁】
 紛争の多くは、建物が近接することによりプライバシーが侵害される場合や、北側等の隣接地に日影を一定時間以上落とす場合であり、その他、ごみ置き場が隣接地に近い、工事の施工に伴う騒音や振動が著しい、そして、工事車両の通行上の安全対策が不十分な場合に紛争となっております。

【中村きみえ議員】
 プライバシーの侵害や日影の規制や騒音振動など様々な紛争は起こっています。千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の対象外のケースはどのくらいですか。
【都市局次長答弁】
 アパートを含めた共同住宅に関しましては、平成24年度は、203件中86%の175件、25年度は245件中92%の225件、26年度は227件中90%の205件が、条例の対象外となっております。

【中村きみえ議員】
 アパートを含めた共同住宅では、86〜92%も対象外です。今議会の陳情は、常任委員会で複数の委員から同様のケースの相談が指摘されましたが、どのくらいあり、千葉市の対応と課題は何ですか。
【都市局次長答弁】
 建築指導課建築相談室で相談を受けたもののうち、日照、電波障害、相燐関係に関する問題や工事に関する苦情等の件数は、平成24年度は113件、25年度は165件、26年度は151件ありました。
 これらの苦情等は、民事における相燐問題であるため、行政は基本的に介入できませんが、必要に応じて現場を確認するとともに、建築主に対して近隣住民と十分に話し合いを持つよう要請しております。

【中村きみえ議員】
 紛争の多くは建築主が工事着手前に説明しないことが原因であり課題だと示されました。千葉市では高さが10メートルにならなければ、千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の対象となりません。そもそも、こうした条例を改正すべきではないですか。
【都市局次長答弁】
 居住系地域において高さ10メートルを超える建築物を条例の対象としている理由は、第1種及び第2種低層住居専用地域では法律により高さ10メートルまで建築することが可能であること、また、建築基準法による日影規制の対象建築物が、中高層建築物の建築を想定した第一種中高層住居専用地域等の用途地域では高さが10メートルを超えるものであるためです。
 高度地区により最高高さ制限が設けられたこと等により、紛争の件数は減少していることもあり、条例を改正する必要性はないものと考えております。

【中村きみえ議員】
 政令市の中でも10メートル以下を対象とする自治体はどこか、何メートルとしていますか。
【都市局次長答弁】
 第1種及び第2種低層住居専用地域における軒の高さが7メートルを超える建築物、又は地階を除く回数が3以上の建築物を対象としている都市は7市あり、さいたま市、名古屋市、京都市、堺市、神戸市、岡山市及び熊本市であります。

【中村きみえ議員】
 さいたま市や名古屋市、京都市、堺市、熊本市、岡山市でも第一種及び第二種低層住居専用地域における軒の高さが7メートルを超える建築物でも対象であり、神戸市では3階以上の建築物も対象です。千葉も3階建てあるいは軒の高さが7メートル以上を対象として条例を改正し、紛争の解決に対策を講じるべきではないですか。
【都市局次長答弁】
 条例の趣旨は、周辺環境に影響範囲の大きい建築物に対しての紛争の予防と解決を図ることであり、住居系地域では高さ10メートルを超えるものを対象としておりますが、これ以下の建築物については、影響範囲が限定されるため、相燐関係の問題に対しては当事者同士の話し合いによる解決が望ましいものと考えております。
 高さ10メートル以下の建築物については、今後、調査・研究して参ります。

【中村きみえ議員】
 今回の陳情では、条例の対象外であり民間の検査機関で確認申請されたために、情報も後手に回っていたと経緯もあります。
 民間の確認検査機関での申請が平成11年から行われましたが当時の千葉市の確認件数と民間の実施件数をお示しください。そして、現在の千葉市と民間の件数をお示しください。
【都市局次長答弁】
 平成11年度の確認件数は、千葉市が5,285件で、民間の検査機関が3件です。また、平成26年度は千葉市が138件で、民間の検査機関が3,578件となっています。

【中村きみえ議員】
 平成11年度では、千葉市は5,285件実施し、民間ではたった3件でした。それが平成26年度では、千葉市が138件に対して、民間が3,578件と、千葉市では確認申請の全体のわずか3.7%しか実施していません。そのため、民間でほとんど審査され、千葉市でチェックできません。建築審査を担当する建築主事も9名から4名へと半減以下となっています。民間の確認申請は、市で申請するよりも短期間で行えるために申請されず、情報収集が困難ではありませんか。
【都市局次長答弁】
 民間の指定確認検査機関は、建築確認済証交付の日から7日以内に、建物の概要を、特定行政庁に報告することとなっており、本市は情報を得ております。

【中村きみえ議員】
11問目
 条例の対象とならなければ、掲示も説明もされません。その上、民間の検査機関で確認申請がされた場合、住民への情報提供は、確認図書も公開条例の対象とならないために、その検証もできません。
 日弁連では、建築基準法の改正で民間の検査機関が確認申請できることについて「営利を目的とする株式会社が公正中立な立場を保持できるとは到底考えられない。また手抜き工事などの欠陥住宅を生み出す建築業界の実態・体質、業者に依存せざるを得ない建築士の現状などをふまえれば、民間検査機関にどれほどの効果が期待できるかは、甚だ疑問であり、建築確認の民間開放は導入すべきでない」と強く反対しています。
 くい打ちの傾斜マンションに象徴されるように、建築確認の在り方も問われていると思われます。民間開放した建築基準法を改めるよう国に求めるべきと考えますが、見解を求めます。
【都市局次長答弁】
 建築基準法が、民間でできることは民間で、との趣旨で改正された結果、確認及び検査については民間が担当し、行政は主に違反指導や処分などを担当することとなったものであり、一定の役割分担ができているものと考えております。

【中村きみえ議員】
 民間の検査機関は、全国どこでも行えます。千葉市の建築物を北海道の検査機関でも実施されたら、現地を実際に見ずに図面との照合で可能となり、現地の様々な情報の調査をしない問題があります。こうした調整をする機能は民間には期待できません。また、民間は、施主からの審査手数料で成り立ち、民間同士の競争があり、どうしても施主よりの判断になるバイアスがかかります。建築審査会の取消事例は民間開放後増えていると関係者から指摘されています。また、2005年6月の最高裁の決定によって、指定確認検査機関の確認で生じた第三者に対する賠償責任は、地方自治体に帰する場合があると示されるなど、最終的な監督責任が自治体に求められています。現在の建築基準法の下での限界、課題があるのではないですか。
 ある日突然、更地にマンション建設され近隣住民は、手探りで大変な思いで対応しています。業者は、百戦錬磨ですが、市民のそうした思いに寄り添い対策を講じることが求められています。今回の陳情では、太陽光パネルを設置しオール家電にしましたがマンション建設で被害を受けました。神戸市の商店街ではアーケードに太陽光パネルを設置し、そのアーケードの南側に14階建ての分譲マンションが建設され発電量の低下し「景観形成市民協定」によって、商店街に面した敷地に建物を建築する建て主は、事前協議が義務付けられ、影響を受けた分の太陽光発電協力金を確保した報告もあります。民・民で話し合いをと言っても、住民側が泣き寝入りすることにつながりかねません。千葉市では、法や条例に基づいているからと市民の居住権を脅かす建設には、ただちに改善する改革が必要です。市が、市民の住環境を守るよう対応することを求めて私の質問を終わります。