佐々木ゆうき議員の一般質問



2016.3.15

1.国民健康保険制度について
写真  国民健康保険は、他の健康保険に入れない自営業者、農業者、非正規労働者、低所得者などが多く加入する制度であり、被用者保険のように事業主負担がなく、財政基盤が弱く、国や自治体が国保財政に大きく関与しなければ運営ができません。かつて国は総医療費の58%を負担していましたが、千葉市では2014年度決算で23%まで下がっており、国庫負担減と反比例する形で国保料が高くなっています。また、加入する世帯の所得は、2014年度で所得200万円以下の世帯が66%を占めています。
 厚生労働省の資料によれば、2012年度の市町村国保、協会けんぽ、組合健保、共済組合、後期高齢者医療の加入者の一人当たりの平均保険料では、国保料が8.3万円で、所得に占める負担割合は9.9%と、最も高い負担となっています。
 2016年度の所得に対する保険料は、所得100万円の2人世帯で医療分・支援金分で12万3,590円、負担割合は12.4%。所得200万円では、22万5,170円、負担割合は11.3%となります。これに40歳から64歳まで支払う介護分を加えると、さらに負担割合が高くなることがわかると思います。
 1月26日に行われた、千葉市国保を考える会と健康保険課との懇談に私も同席しましたが、国が「保険者支援制度」として、今年度総額1,700億円の財政措置をおこなったものの、市は、「国・県から6億4,800万円の交付金は法定外繰入に入れた」として、新年度予算では法定外繰入を減額することを明らかにしました。
 窓口10割負担となる資格証明書の交付については、2015年8月現在で、1,855世帯と、これまで1,500世帯程度であったのが増加に転じています。医療機関にかかれず、全国的にも手遅れで死亡する事例が報告されており、改善が求められます。
 さらに、滞納世帯に差押えが2009年度14件であったのが2014年度には1,511件と108倍にも増加しています。そこで伺います。
 1つに、あらためてお聞きしますが、低所得者であっても所得の1割以上となる国保料について「高すぎる保険料」という認識はありますか。
 2つに、低所得者対策として国が行った「保険者支援制度」は、本来であれば保険料の引き下げに充てるべきではなかったのか。お答え下さい。
 3つに、短期保険証や資格証明書の交付については、「納付相談の機会を確保する」という理由で滞納世帯へ交付されていますが、交付することによって収納率の向上にはつながらないと考えますが、お答え下さい。
 4つに、滞納世帯への差押えの件数の内訳、増加した背景についてお示し下さい。また、強権的な取り立てになっていないか、お答え下さい。

2.保育について
 公立保育所における完全給食の実施について伺います。給食が子どもの心と体を育てる保育の一環であるという基本は、子ども子育て支援新制度の下でも変わりません。
 市では、公立保育所では3歳以上児については、主食を持参することになっています。
 さかのぼれば、昭和50年4月7日の「児童福祉法による保育所措置費国庫負担金について」の廃止がされ、事業費の中の一般生活費・入所児童の給食に要する材料費で、「3歳以上児については副食給食費とする」ということが示され、このことに基づいて、現在実施されているものと理解しています。
 他市から引っ越してきた子育て世帯からは、「何で千葉市の公立保育所は主食である白飯やパンを持参しなくてはならないのか」という声があります。また、梅雨の時期における衛生上のことについても心配する保護者もいます。そこで、伺います。
 1つに、これまで千葉市で3歳以上児の完全給食について、実施している他市の研究・調査、課題の抽出などを行なってきましたか。また課題は何であったのか。実態調査等は行なわれてきたのか。伺います。
 2つに、公立保育所における季節ごとの3歳以上児の主食の保管・管理状況について伺います。
 3つに、公立保育所における地産地消、子どもたちへの食育の取り組みについて伺います。

3.美浜区の諸問題について
(1)稲毛海岸5丁目南地区について

 美浜区の稲毛海岸5丁目の公務員宿舎跡地の残地3.4haについては、今後開発が想定されます。地区計画決定では、周辺環境と調和した開発計画を確実に誘導するため、建築物の高さ最高限度を北側10mと南側31mの制限を設けています。
 跡地のあり方について、市がまちづくりを考え、乱開発とならないように主導する立場を明確にする必要があります。近隣の稲毛海岸保育所は、2月1日現在で定員140名に対し188名が入所し、稲毛第二小の低学年子どもルームは、空きがありません。そこで、伺います。
 1つに、稲毛海岸5丁目南地区は、現在も国・財務省の土地です。当面は処分を行なわず公有地として存続するよう財務省に求めるべきと考えますが、国有地の処分予定はどうなっているのか、お示しください。
 2つに、近隣の保育所や子どもルームの状況からも、これら施設の整備を行うべきではないですか。

(2)液状化対策について
 東日本大震災から5年が経過しました。先月3日、美浜区磯辺4丁目地区の約7.1ヘクタールで、地下水位低下工法による本格的な液状化対策工事が開始されました。地域のみなさまのご苦労は計り知れないものがあります。今後も着実に工事が進むよう望むものです。
 私は、震災の直後から液状化対策を求めてきました。その当時の質問を振り返ると、被災された住民へのケア、国や県の研究機関との連携・協力、有識者を交えた液状化対策に関するプロジェクトチーム設置の提案、震災復興期間の延長を国に求めてきました。
 その後、液状化対策推進委員会が設置されて、学識経験者の方々による対策に向けた議論が行なわれ、復興期間についても延長されることになりました。
 安心して住み続けられるようにしていくためにも、引き続き取り上げていきます。
 新聞報道等によれば、市長は「住民の皆さんの合意に至るまでの努力に感謝したい。ようやく復興が本当の意味で始まった。今後も少しでも範囲を広げられるよう努力したい」と話されています。
 しかし、2014年3月26日に開催された液状化対策推進委員会での「委員会のまとめ」と「費用負担」が発表された後に、市は『市街地液状化対策事業の実施にむけて(お願い)』という通知文を出し、復興事業の期間の残りが少ないことを理由に、「地下水位低下工法の検討を進める」「格子状地中壁工法の検討を進める」「街区単位での格子状地中壁工法を実施する」「実施しない」の4案を提示して、町内自治会に判断していただくという内容でした。この判断を求められた地区では断念したところもあります。
 こうした中で、磯辺3丁目地区から手が挙がり、地下水位低下工法の検討が進められ、現在に至っています。
 そこで伺います。
 1つに、市長が言う「今後も少しでも範囲を広げられるよう努力したい」というのは、地下水位や格子状の液状化対策を実施する地区を広げたいということなのか。
 2つに、復興期間が延長されたもとで、2014年時点で手を挙げられなかった地区について、磯辺地区での取り組みを踏まえて、再度説明会を開くことを求めます。お答え下さい。

<2回目>

1.国民健康保険制度について
 高すぎる国民健康保険料への認識を質しましたが、「医療費が増加するなか歳出に見合った保険料改定を実施することはやむを得ない」とのことです。
 週刊誌サンデー毎日に、国保料についての特集記事が掲載されていました。その中で、市内で理髪店を営む方が紹介され、4人家族で所得120万円、国保料は18万円。生活はぎりぎりで切り詰め、毎朝スーパーに行き、安売りの冷凍食品を買いだめしているものの、家賃やその他諸経費を払うと家計は毎月マイナスになるということでした。「好き好んで滞納しているわけではない。払えるものなら払いたいが、普通の生活をしていてはとても払えない」。
 この他にも、美浜区で子どもがいる40代の建築関係の自営業者は、「仕事がなくなった2014年度に保険料47万円、その今年度は17万円に下がったが、融資を受けるために、税金は滞納できず納めてきた。国保料は高く払いきれない」ということです。「払いたくても払えない」世帯の実態を示しています。
(5)このような、ぎりぎりの中で生活している方や、子育て世帯に対して、高すぎる保険料を強いていると考えないのですか。一般会計からの繰り入れを行なって、国保料を引き上げではなく、引き下げすべきであることを求めます。

 「被用者保険に比較して本人の保険料負担が重い」と認識しているのであれば、国庫負担増額を求めることと同時に、市の繰入を充てて、引き下げるよう求めておきます。
 次に、子育て世代を支援するという観点からも質問します。昨年5月19日の参院厚生労働委員会で、我が党の小池晃参院議員が「応益割、特に均等割が子どもの数が増えていくほど増えていく、子どもが増えるほど保険料が上がっていく。子育てに対する逆行ではないか」と質しました。国も検討課題の一つと認識しているようです。
 子どもの均等割の減免制度として、愛知県一宮市では、法定減額の対象外であっても、18歳未満の児童については、全員均等割を3割減免する制度を申請不要の制度として施行しています。
(6)国の国保制度改革で検討課題に挙がっている子どもの均等割に対する制度を進めるためにも千葉市でもまず実施してはどうか。これは少子化対策としても実効性のあるものだと考えますが、見解を伺います。

(7)所得200万円以下には市独自の1割減免を実施しているとの理由もありますが、そうであるならば、市民の負担軽減のために、千葉市は努力している。子どもの均等割の減免についても取り組もうという姿勢を示して、国や千葉県に働きかけるべきではないですか。

 「議論の行方を注視」だけでなく、国に働きかけていただきたい。次に、短期保険証と資格証明書の交付についてです。「納付相談の機会を確保し、収納率の向上に結び付ける」との答弁です。千葉市は2007年度、滞納世帯の44.6%に対し資格証明書を交付していた時と比較すれば減っていますが、それでも未だに保険証がない世帯が存在しています。
(8)市は、資格証明書の交付を抑制してきましたが、国民健康保険は「国民皆保険」の要であり、誰もが安心して医療を受けられるようにするためにも、資格証明書をゼロにすべきではないのか。

 保険証がなくて、全国でも「手遅れ死」に至っている状況は重大と言わざるをえません。市民の命と健康を守る国保制度が、保険料が高すぎるために「払いたくても払えない」方を増やしてしまい、保険証の取り上げで命を奪ってしまうことは、絶対に許されるものではありません。そのことを指摘しておきたいと思います。

 横浜市では、「収納率の向上には効率的ではない」として、資格証明書は昨年10月1日現在で大幅に減らしています。あわせて短期保険証についても、通年の保険証に拡大し、「交付も原則郵送」に改善し、千葉市のように交付にあたって「窓口での納付相談」などは条件としていないとのことです。
(9)資格証明書世帯が、1,855世帯と増加傾向にありますが、この世帯を訪問調査などで把握して、実態をつかむべきではないですか。また、資格証明書から短期保険証に切り替える際に、医療を必要としている方を把握したのであれば、通年で使える保険証を交付すべきではありませんか、お答え下さい。

 次に、滞納世帯に対する差押えについてです。
(10)先ほどの答弁では、「預貯金、生命保険、給与等」の件数が示されましたが、子どものための学資保険や児童手当など国からの手当等についての差押えについて把握していますか。

 差押え増加の背景については、「被保険者間の負担の公平性を確保するため、アクションプランに基づいて、徴収対策を進めた結果」としています。
(11)差押えの内訳では、預貯金、生命保険、給与等が大幅に増加しています。被保険者の生活を脅かすことを行政が行なってはなりません。児童手当は、2013年11月の広島高裁判決で、預金口座に振り込まれた児童手当を差し押さえ禁止財産と認め、鳥取県による差押えを違法としています。それを確認させていただきました。
 預貯金や給与を差押えて、生活困窮にさせてはなりませんが、そもそも収納率向上が目的になっているのではないですか。収納率を向上することによる千葉県からの交付金の配分がありますか。

(12)分納誓約しても納付不履行の世帯に対して、差押えが実施されます。生活実態が変わらないのに区役所窓口では分納の金額を増やすよう求められるケースがあります。千葉県商工団体連合会が会員の生活実態調査を行なった中で、滞納している項目で最も多いのが国保で会員の6割を超え、滞納がない会員でも「無理して払っている」が6割。「借金して払っている」方もいることが明らかになっています。
 収納率向上のために、分納の金額を増やすことによって市民、被保険者の生活を脅かすことにつながる対応はすべきではありません。お答え下さい。

 「収納率向上」のために、市民の生活、命と健康を犠牲にしてはなりません。社会保障制度としての国民健康保険制度を運営すべきです。

2.保育について
 埼玉県飯能市が公立保育所の完全給食について、「児童による主食の持参は親と子の絆を深めるためのせめてもの親の責務」として、提供していませんでしたが、3歳以上児の主食の持参状況等について調査し、容器の不衛生、味付けご飯を持参、主食を忘れるなどの事例があったという調査結果に基づいて、「保育所は、保育に欠ける児童を預かる施設として、保育をする中で児童に正しい生活習慣を身に付けさせる場としての役割を果たすとともに、市において安全な食事を提供すべき責務を負うものと考え」て、2013年4月から順次施設を改修し完全給食を実施しました。
 千葉市の公立保育所で働いてきた元保育士の方からは、「保護者の中には前日に炊いたご飯を弁当箱に詰めていたり、保護者が弁当箱を洗わないため、保育所で洗浄した」「冬季よりも梅雨の時期の管理に注意を払っている」と伺いました。
(4)施設や人員面での課題が答弁されましたが、お弁当の持参状況や衛生上の問題が、保育士を通じて調査・把握されたことはありますか。

(5)過去に保育士を通じて、持参状況や衛生上の問題が出されたことはあったようですが、現場の実態をまず調査し、公立保育所に通う子どもの保護者に、完全給食についてのアンケートを実施するよう提案しますが、お答え下さい。

 完全給食を望む保護者が少ないことを理由に、主食提供をモデル的に実施することを断念されていますが、「子どもたちに温かいご飯」を提供できるよう設備の改修や人員の配置などを調査・検討していただくことを求めておきます。

3.美浜区の諸問題について
(1)稲毛海岸5丁目南地区について
 売却スケジュールが示されていませんが、開発によって稲毛海岸5丁目とその周辺への悪影響があってはなりません。財務省に市がまちづくり全体を考えて提案、対応していただきたい。

(2)液状化対策について
(3)磯辺4丁目63地区で工事の着工が実現した市街地液状化対策事業について、もう一度、液状化対策事業対象区域の自治会や住民に、事業への参画を検討できる機会をつくることが求められていると考えます。
 復興期間が5年延長になった機会を捉えて、市長の言う「範囲を広げられるよう努力したい」ということを踏まえれば、各自治会役員への説明が必要です。答弁では、「格子状地中壁工法で対策を進める真砂5丁目地区での個人負担の状況が分かり次第、再検討いただく」として、格子状の検討が対象です。地下水位低下工法についても、自治会から説明会の開催希望や「相談したい」との声があれば、対応するのか伺います。

(4)市はこれまで、磯辺4丁目のモデル地区以外では、「地盤が複雑であり、一様な粘土層は概況的な調査では確認されなかった」「詳細な地盤調査で確認する必要があるが格子状地中壁工法が考えられる」ということを報告されていました。
 しかし、磯辺3丁目64地区は今回、地下水位低下工法の事業実施地区となりました。
 結果として、地下水位低下工法が採用できないという判断となったとしても「地下水位低下工法の可能性を探りたい」という自治会に対しては、学識経験者を相談者として派遣するなどの対応が必要ではないですか。

(5)美浜区の安全なまちづくり、将来にわたって住み続けられるまちづくりを、市は住民とともにつくっていくことが求められているのではないでしょうか。

 美浜区における液状化被害からの復興の基本は、住み続けられるまちにしていくことであり、液状化対策の範囲を広げられるよう求めて、私の一般質問を終わります。