党市議団が提出した「予算組替動議」



 「議案第1号平成27年度千葉市一般会計補正予算(第5号)」、「議案第8号平成28年度千葉市一般会計予算」、「議案第9号平成28年度千葉市国民健康保険事業特別会計予算」、「議案第10号平成28年度千葉市介護保険事業特別会計予算」、「議案第18号平成28年度千葉市市街地再開発事業特別会計予算」、「議案第22号平成28年度千葉市公債管理特別会計予算」、「議案第24号平成28年度千葉市下水道事業会計予算」、「議案第25号平成28年度千葉市水道事業会計予算」について、市長は、下記により速やかに組み替えを行い、再提出することを要求する。

1 組み替えを求める理由
(1)安倍政権の暴走から、住民の暮らしと福祉、命を守る地方自治体の役割を果たす予算にすること。
 日本の経済は、大企業に利益は集中するが国民の暮らしは悪化する一方であり、安倍政権による経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかである。大企業の内部留保が300兆円を超える一方で実質賃金は4年連続低下する中、消費税を増税しながらの社会保障連続改悪による年金引き下げ、福祉後退と負担増に国民は苦しめられている。
 また、立憲主義を破壊する、いわゆる「戦争法(安保法制)」の強行で、平和と民主主義が危機に立たされている。市民生活は国の悪政とこれまでの熊谷市政による福祉切り下げの影響で、今厳しい局面に立たされている。
 このような時こそ千葉市は、地方自治の本旨に沿って「福祉の増進」を目指す予算に転換する事が強く求められている。
(2)市民生活優先の予算にすること。
 新年度予算一般会計は、初めて4,000億円を超える過去最大4,004億円の大型予算であり、前年度比102億円増である。歳入増の主な内訳は、市税収入17億円、地方消費税交付金が28億3,000万円、地方交付税は21億5,000万円である。この増額した予算を市民生活福祉に配分することが求められている。
 ア 予算の特徴の一つは、市民の暮らしを直撃する負担増・福祉切り下げとなっていることである。
 国民健康保険料は5年連続の値上げとなり、新年度6億57万円の負担増である。福祉の切り下げでは、27年度に3万円から1万円に切り下げた88歳への長寿祝金を28年度は廃止し、99歳だけに限定した。敬老と福祉の心を切り捨てる削減額は、  2,822万円である。
 その他、ふれあい食事サービスに対する配食に係る補助金廃止により332万円、民間保育園等への補助金見直しにより1,010万円の削減を行うなど、合計額は6億4,643万円に上る。こうした市民の暮らしを直撃する負担増や福祉切り下げは中止すべきである。
 イ 予算の特徴の二つは、都心開発などハード面の事業を初めとして、緊急性・必要性に乏しい事業が目立つことである。
 千葉駅周辺活性化グランドデザイン及び千葉駅東口・西口地区市街地再開発2億3,500万円、千葉中央港地区まちづくり推進9,672万円、海辺の活性化1,760万円、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みのうちロンドン視察400万円、国家戦略特区の指定に伴う規制改革事項に関する事業計画の策定等1,358万円、MICE推進事業のうちドローン世界大会開催に伴う観光PR310万円、新庁舎整備基本設計等1億2,300万円、蘇我特定地区整備7億7,868万円、これらは緊急性・必要性の乏しい事業である。
 その他、マニフェスト関連事業や問題ある事業も含めて、急ぐ必要がない事業や、予算計上自体が問われる事業の予算を見直して、市民生活で緊急に必要な事業などに振り向けることが必要である。
 ウ 予算の特徴の三つは、市に支出義務のない国・県事業負担金等が改善されていないことである。
 道路直轄事業負担金3億5,000万円、幕張メッセ建設事業負担金1億8,627万円、旅客船桟橋建設等に係る千葉港整備事業負担金1億7,182万円、また、一向に改善されず不公平な扱いを受けている県単独事業補助金は、16億5,766万円である。

2 組み替えの基本方針
(1)住民の福祉の増進を図ることを基本とする地方自治法の本旨に 沿って、市民生活を向上させる。
(2)新年度予算一般会計前年度比102億円増の予算を福祉増進に活用する。民生費のうち、平成27年度から2年連続マイナスの老人福祉費を増額する。
(3)地域住民生活等緊急支援のための地方創生先行型交付金を活用して、子育て支援、地域経済活性化、買い物弱者や交通弱者への支援などの事業を推進する。
(4)道路直轄事業負担金、県事業負担金、子ども医療費助成の現物給付に伴う国民健康保険国庫負担金の減額調整措置の早期解消を図る。また、不公平な扱いを受けている県単独事業補助金が本市に公平に支出されるまでの間、県事業負担金の負担を中止する。
(5)マニフェストに関する取り組み事業の予算を見直して、高齢福祉や市民生活向上を同時に図る。
(6)都心開発などハード面の事業を初めとして、緊急性・必要性の乏しい事業を見直す。
(7)予算の重点を、市民生活向上のため次の項目に重点を置く。
 ア 福祉の維持向上
 イ 防災・減災対策等、安心・安全・便利な街づくり
 ウ 行き届いた教育
 エ 生活密着・循環型事業で元気な千葉市
 オ 情報公開・説明責任・市民参画の徹底

3 組み替えの内容
(1)緊急性のない事業などへの歳出を削減するとともに、自主財源の確保を図る。
 ア 急がなくてよい都心開発や新庁舎整備を見直して財源を確保する。(前年度繰越明許費、当初予算額)
 (ア)千葉駅周辺活性化グランドデザイン(1,600万円)
 (イ)千葉駅東口地区市街地再開発(1億8,500万円)
 (ウ)千葉駅西口地区市街地再開発(3,400万円)
 (エ)千葉中央港地区まちづくり推進(9,672万円)
 (オ)海辺の活性化(1,760万円)
 (カ)東京オリンピック・パラリンピック関連に向けた取り組みのうち、ロンドン視察(400万円)
 (キ)国家戦略特区の指定に伴う規制改革事項に関する事業計画の策定等(1,358万円)
 (ク)MICE推進事業のうち、ドローン世界大会開催に伴う観光PR(310万円)
 (ケ)新庁舎整備基本設計等(1億2,300万円)
 (コ)蘇我特定地区整備(7億7,868万円)
 (サ)水道事業
    霞ヶ浦開発事業負担金(210万円)
    房総導水路開発事業負担金(6,616万円)
 (シ)マニフェスト関連事業を、緊急性・必要性の視点から見直し、事業費総額約22億円を80%に縮小する。(4億4,000万円)
 イ 国や県からの事業負担等を見直し、財源を確保する。
 (ア)道路直轄事業負担金(3億5,000万円)
 (イ)県事業負担金
     幕張メッセ建設事業負担金(1億8,627万円)
     旅客船桟橋建設等に係る千葉港整備事業負担金(1億7,182万円)
 (ウ)子ども医療費助成の現物給付に伴う、国民健康保険国庫負担金の減額調整措置(7,000万円)
 ウ 中止か凍結する事業
 (ア)国民保護計画予算(4万円)
 (イ)住民基本台帳ネットワークシステム維持管理(8,205万円)
 (ウ)社会保障・税番号制度関連事業(4億6,189万円)
 エ 自主財源を確保する。
 (ア)資本金10億円を超える法人に、法人市民税均等割制限税率を適用する。(2億8,800万円)
 (イ)東日本高速道路株式会社、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する固定資産税又は都市計画税の応分の負担を求める。
 オ 基金からの繰入を10億円増やす。
 以上、総額約44億円中、補助金等を差し引いた金額を、緊急性・必要性の観点から以下の施策に組み替える。
(2)市民の暮らしや福祉を応援し、地域経済活性化と雇用機会を増やす。
 ア 国民健康保険料改定による合計6億57万円の負担増を中止する。
 イ 敬老祝金を、平成26年度水準どおりに77歳、88歳にも支給する。
 ウ 平成22年度から27年度までに見直した事業中、次の事業を復活させる。
 (ア)難病疾患見舞金支給
 (イ)ひとり親家庭等高校就学扶助
 (ウ)敬老会等経費の一部助成75歳以上一人650円の復活
 (エ)被保護児童生徒修学旅行支度費支給
 (オ)東京フィル提携事業
 エ 福祉の維持向上
 (ア)敬老乗車券の復活
 (イ)国民健康保険料告示方式の撤回、支払い可能な料金への引き下げ
 (ウ)子ども医療費の自己負担解消
 (エ)LGBT(性的少数者)への支援拡充
 (オ)障害者スポーツへの支援拡充
 オ 防災・減災対策の充実
 (ア)防災無線の充実・戸別無線機設置
 (イ)液状化対策の拡充
 カ 地域密着・循環型公共事業の促進、雇用の増大
 (ア)住宅リフォーム助成制度をスタートさせる。
 (イ)小規模修繕の発注件数を大幅に増やす。
 (ウ)子どもルームの増設及び待機児童の解消
 (エ)老朽化した木造保育所の建て替えをリース方式で推進
 (オ)雇用の創出に向けた取り組みの拡充
 (カ)保育所、介護施設、子どもルーム職員の待遇改善
 (キ)非正規雇用から正規雇用への転換支援
 キ 安全・安心・便利なまちづくり、行き届いた教育
 (ア)指定廃棄物長期管理施設の建設候補地選定の白紙撤回に向けた取り組みの推進
 (イ)生活道路の整備
 (ウ)デマンドタクシーの導入調査
 (エ)農業後継者対策の拡充
 (オ)普通教室へのエアコン設置実施計画策定
 (カ)就学援助制度の改善及び利用の拡大
 (キ)給付型奨学金制度の創設
(3)不要不急の大型公共事業で、当初予算等に計上した以下の事業に係る市債・債務負担行為を抑制する。
 ア 千葉駅西口地区市街地再開発
 イ 蘇我特定地区整備事業
 ウ 千葉中央港まちづくり推進事業
 エ 下水道事業・水道事業