もりた真弓議員の条例提案説明



2016.6.9

写真 発議第6号、千葉市都市景観条例の一部を改正する条例について、提案理由の説明をおこないます。
 この条例は、太陽光発電設備を設置しようとする事業者に市長への事前協議と近隣住民への説明を求め、地域環境の調和を図り、住民の利益となることを千葉市景観条例中におりこむものです。
 この間全国では、再生可能エネルギーの普及・活用が広がる中で、メガソーラー(大規模太陽光発電施設)の設置に伴う森林伐採などの大規模開発が問題になっています。山梨県では、富士山麓の国立公園敷地内の自然林が大きく切り開かれ、福岡県飯塚市の白幡山では、土砂流出による災害発生の原因となるなど、傾斜地での開発が住民への説明のないまま民間事業者によって行われている例などが指摘されています。
 2012年から2015年までの間に起きたメガソーラー設置に関するトラブル事例は50件にのぼるとの報告もあり、自治体として適切に対応できる仕組みを検討することが求められています。
 太陽光発電設備の設置から地域環境を保護するとの視点なら、環境局の所管となるところですが、あえて、都市景観条例の一部改正による対応としました。

 宮崎県西都市では、2014年7月の景観審議会での意見をもとに「西都市景観基本条例施行規則の改正」を行いました。そこでは、届出が必要な工作物として「太陽光発電設備その他これに類するもの」を追加し、届出対象に「設置面積の合計が1000uを超え、または最大出力50kW以上のもの」を追加しています。太陽光発電設備を届け出対象とした結果、規則改正以降の届出は1件のみで、しかも景観計画区域外の設置とのことです。
 また、大分県由布市では「由布市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」を制定しています。「由布市の自然環境、景観および生活環境に十分配慮し、事業を行う区域の周辺の住民との良好な関係を保つよう努める」ことなどを事業者の責務としており、近隣住民と地域環境との調和を重視した取り組みが進められています。
 景観法施行令で「建築物又は工作物の利用を不当に制限するものではないように定めること」となっているからと言って、周辺住民や環境を無視した無秩序な設置を見過ごせば、近隣住民とのトラブルを引き起こしかねません。紛争を未然に防止するためにも、他自治体での例を参考にし、千葉市としても何らかの可能な処置を講ずることが必要ではないでしょうか。

 実際に千葉市でも、花見川区、若葉区、緑区などを中心として、太陽光発電施設が次々に設置されています。H24年度以降、昨年度までの4年間に44施設が農地転用による太陽光発電施設へと姿を変えています。そのうち、面積1000u以上が26施設、最大出力50kW以上が23施設、中には2000kW以上の大規模な計画も含まれています。
 今回の都市景観条例の一部改正によって、事業者に事前協議を求めることで、まち全体の「地域を守っていこう」という機運も働き、事前に近隣住民への説明会を実施することで、近隣住民とのトラブルの発生を抑える効果が期待できると考えます。
 千葉市全体を景観計画区域として設定している千葉市都市景観条例であれば、よりスピーディーな対応が可能です。住民の利益を守る、また、地域環境の調和を図ることを考慮した提案です。ご賛同いただきますようお願いいたします。
 以上、提案理由の説明といたします。