佐々木ゆうき議員の一般質問



2016.6.17

写真1.災害対策について
 熊本地方を中心とする地震で犠牲になられた方々にご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 余震が続き、被災者は避難生活を強いられています。千葉市は職員を派遣し、下水道復旧や避難所運営、り災証明発行業務、廃棄物対策など様々な支援をしています。敬意を表するとともに、引き続き被災者の願いに沿った支援をお願いします。
 私も、5月18日から20日までの3日間、中村きみえ市議とともに現地でのボランティア活動に取り組みました。熊本市の公民館に伺った際に、避難された方から、「高齢でアパートは借りられず、家も直せず、先が見通せない」「家の配管を直すにも半年待ち」などの実態。公民館職員は「24時間体制・交代制で対応し、避難者への対応をしてきた」などの苦労が話されました。一方、小学校給食調理業務は民間委託であり、給食調理ができず、避難所ではパンやおにぎり、レトルト食品など栄養が偏る食事が中心でした。
 日本共産党は、被災者の命と健康を守る緊急対策、生活と住宅、生業の再建支援の抜本的強化を求めています。1日も早い生活と生業の再建を望むものです。
 また、業務の中心を担う益城町を含め熊本県内5自治体の本庁舎は、被災し使用できません。千葉市の庁舎は、東日本大震災を受け、庁舎のあり方を含め市議会で繰り返し議論が進められてきました。現在、庁舎建て替えの基本設計を進めています。これまで8階部分と搭屋部分の耐震性が劣るとされますが、庁舎を建て替えるまで、耐震補強など対策を進める姿勢にありません。そこで、伺います。
 1つに、同じ政令市として今回の熊本地震災害を通じての課題をどのように捉えていますか。また、余震が続き、避難者が住宅に入れず車中泊が問題となりましたが、都市部でのこうした問題を市としてどう考えるのか。
 2つに、災害後に高齢者や障がい者など災害時要配慮者への支援が早期に求められますが、弱者の立場に立った「地域防災計画」の見直しをどのように進めるのか。
 3つに、今年4月15日に政府が発表した「避難所などの生活環境の整備等について」の通知に示されているプライバシーの確保、女性や子育て家庭に配慮した避難所の開設、適温食の提供などの「通知」との大きなギャップがありました。
 大規模な地震災害が発生した場合、「通知」等のそれぞれの項目について、正確に被災者の実情をつかむ迅速な対応が求められますが、市の対応について伺います。
 4つに、福祉避難所の設置については、熊本では施設も職員も被災して体制が取れず、遠方の施設には利用者が行けないなどの問題がありました。市は、拠点的福祉避難所を増やすべきではないですか。
 5つに、コミュニティセンターなどは指定管理者制度であり、災害時や避難時に企業に要請することだけで、公共施設としての役割を果たせるのか。
 6つに、小学校給食調理業務の民間委託が進められていますが、食事の提供について、地域防災計画では「炊き出しは市内小学校の各給食施設を利用し…、必要に応じて、日赤奉仕団、町内自治会、自主防災組織および民間事業者等に協力を依頼する」とありますが、民間委託ではなく、市が責任を持つ調理員を配置し、災害に対応すべきです。お答え下さい。
 7つに、災害で被害を受けた住宅再建などに対する国の被災者生活再建支援金の上限を500万円に引き上げること。被災者生活再建支援法人に対する国庫補助の割合も2分の1から3分の2に引き上げるよう国に求めるべきではないですか。
 8つに、市役所庁舎については、昭和62年に耐震診断が行われ、平成18年に診断を行なった業者から耐震性の考察が出され、その後、東日本大震災が発生し、「防災面の主な課題」の中で、「現庁舎のIs値は0.5で地震による建物の倒壊、崩落する危険性があります」と、耐震性能の不足が示されました。
 新庁舎建て替えは、建て替える費用があれば市民福祉にまわし、耐震補強を党市議団として求めてきました。建て替えまで何も手をつけないのではなく、耐震診断を行ない、市民と職員の命と安全を確保するためにも、まずは耐震補強を実施すべきです。お答え下さい。

2.就学援助制度について
 学校教育法第19条には、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」とされています。
 就学援助制度は、低所得世帯を対象に小中学校の入学準備費用、学用品費や給食費などを援助する制度です。生活保護世帯または同等の所得水準の世帯は要保護世帯として国庫負担による支援があります。準要保護世帯への対応は自治体施策で、所得水準も自治体ごとに決められ、千葉市は生活保護基準1.0倍です。
 国の就学援助の単価表では、「新入学児童生徒学用品費等」として、小学校入学は2万470円、中学校入学は2万3,550円となっています。千葉市の就学援助の「新入学児童生徒学用品費等」は国の単価表どおりの設定です
 特に、抽出5校の平均ですが、中学校の夏・冬の制服やジャージ、カバン、体操服、上履きを買うと男子で7万1千円、女子で7万9千円となります。体操服やジャージは1着だけではないので、さらに費用はかかります。入学前に出費がかさむと同時に支給月が7月となり、工面が厳しい世帯もあります。「義務教育は無償」に相応しい抜本的な見直しが求められます。
 申請についても各自治体で方法が違っています。千葉市は、入学説明会の際に全員の保護者に「就学援助制度のお知らせ」と申請書を配付しています。
 その他の保護者に対しては、3月に就学援助のお知らせを配付し、市ホームページにも申請書と記入例が掲載されています。しかし「お知らせ」には、申請書は学校で個々にもらい、申請理由を証明する書類を添付して学校へ提出することになっています。これを見ただけでも申請まで遠退いてしまいます。この間、「お知らせ」に申請書を付けて配布するよう改善を求めてきました。しかし、全体で8.45%と政令市の中でも認定率・認定者数ともに低い状況にあります。そこで、伺います。
 1つに、2010年3月議会で、もりた真弓市議が就学援助受給者の中で、経済的に困り特別な事情で認定されている世帯の割合を求めましたが、生活保護受給者、児童扶養手当受給者、経済的に困っている人数の割合にお示し下さい。また、学校給食費が未払いになっている人数をお示しください。
 2つに、「義務教育は無償」の原則に照らして、実態と乖離のある国の就学援助の単価表をそのまま用いるのではなく、国に改善を求めること。準要保護世帯に対し千葉市独自に上乗せを行なって、負担を軽減する支援策を求めます。お答え下さい。
 3つに、就学援助の対象となる目安額ですが、家族構成によって違いますが、4人家族で総収入362万円、基準となる総所得は236万円と低い基準です。生活保護基準を1.5倍まで引き上げるべきではないですか。
 4つに、新入学児童生徒学用品費の支給が7月となっていますが、せめて入学までに支給するように改善すべきではないですか。
 5つに、千葉市の認定率は昨年度、小学校・中学校で合計8.45%となっており、近隣の政令市である川崎市の小学校・中学校合計12.89%と比べても低い状況ですが、千葉市の認定率についてどのような認識にありますか。
 6つに、年度末に配布される「制度のお知らせ」とあわせて、全児童・生徒の保護者に申請書を付けて配布するよう改善を求めます。お答え下さい。

3.美浜区の諸問題について
(1)幸町地区の学校跡施設の利活用について
 学校適正配置地元代表協議会で、小学校の統廃合が協議され、昨年度、幸町第一小と第二小が統合し、旧第四小学校に幸町小学校として開校しました。
 2013年3月に、幸町地区の12団体から要望がまとめられ、地元代表協議会から「学校跡施設利用について要望書」が提出されました。
 要望書には、「既存の小・中学校は、位置的にバランスよく存在しており、様々な活動を通じた地域コミュニティの形成などで、大きな役割を果たしている。それぞれの施設がこれまで有していた街づくりの機能が継続されることが必要」として、「避難場所・避難所の整備」、「体育館・校庭はスポーツ団体が利用できるようにする」、「市の公園や広場として住民が憩う場所を整備」、「学校跡施設を民間業者等へ売却しないこと」などを要望されています。これら要望に対し、市は一部対応に留まり、旧幸町第二小については「売却」としています。そこで、伺います。
 1つに、地元代表協議会から多岐にわたる要望が提出されていますが、その後、跡施設の利活用について、市としてどのような検討が進められてきたのか、検討経過を示して下さい。
 2つに、災害時の避難所については、「学校校舎も状況に応じて使用し」、「地域防災計画における想定避難者数分の収容人数を確保できている」として整備しない方針です。熊本地震では、学校の再開のために避難所が集約され、被災者は自宅に戻らなければならない事態を生みました。この教訓を生かして、方針を見直すべきではないですか。
 3つに、幸町第二小の「売却」は、地元の理解が得られていません。利用方針(案)中、URによる団地再生の取り組み状況を踏まえた検討では、「将来的に、団地の建て替えなどが想定されていることから、その際に活用可能な土地を残しておくことは、中長期的なまちづくりの観点から、重要であると考えます」ということを示しています。市として、幸町団地の果たしている役割と、将来のまちづくりについてどのように考えているのか、伺います。またURと協議したのか伺います。
 4つに、利用方針(案)を押し付けるのではなく、幸町団地自治会や住民の意向に沿った協議を求めます。お答え下さい。

(2)子どもルームについて
 幸町地区の子どもルームは学校の統廃合に伴い、地元から幸町小学校へ子どもルームを必要とする児童全員を受け入れる施設とするよう要望されています。
 先ほどの学校跡施設の利用方針にあるように、旧第二小学校は売却し、平成31年度に幸町小学校内に移転・統合するとしています。
 また、幕張西小子どもルームは、施設の増設や定員の見直しを市に繰り返し求めていますが、一向に改善されません。そこで、伺います。
 1つに、幸町小子どもルームへは旧幸町第二小学校の子どもルームの利用状況に応じて移転・統合するとしていますが、対象学年を6年生まで拡充することによって、幸町小学校の子どもルームの施設を拡充・改善が求められてくるのではないですか。
 2つに、幕張西小子どもルームの120名という定員枠を見直して、施設を増設することが必要ではないですか。
 3つに、高学年ルームに入所している小学3年生は、待機児童としてカウントされていません。カウントして低学年子どもルームを増やすべきです。お答え下さい。
 4つに、高学年ルームでは専任の指導員は配置できず、指導員1名と補助指導員1名の配置では負担が大きくなっています。指導員の処遇改善とともに配置基準を見直すべきではないですか。

<2回目>

1.災害対策について
 6月10日公表された政府の地震調査委員会の全国地震動予測図で、千葉市は今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起きる確率が85%で、全国で最も高いとされました。
 「車中泊」避難の課題については、「一定の対策が必要」と答弁されました。余震が続くことや家のドアが壊れて鍵がかからないから心配ということが「車中泊」をせざるを得ない大きな要因とされています。どの都市でも共通の課題となるわけですから早急に調査・研究を行うよう求めておきます。

 災害後の給食調理業務ですが、「受託者は、大規模災害時に炊き出しに使用されることとなった場合には、可能な限り協力するものとする」とされていますが、「可能な限り」ではその保障が明確ではありません。給食調理業務は直営でやるべきであり、コストばかり追求することになれば公の責任が薄れてしまいます。委託業者に「避難所運営に協力する義務を負う」ことを地域防災計画に盛り込み、すぐにでも要請すべきではないですか。
 自助・共助よりも公助による災害・防災対策が不可欠であることが熊本地方の地震でも明らかになりました。被災者支援最優先が原則であり、市の果たす役割が大きいことを明確にして対応するよう求めておきます。

 庁舎については、これまで通りの答弁であります。平成18年以前にしっかりとした耐震診断を行っていません。東日本大震災でも庁舎がダメージを受けていると思われますが、診断して正確な数値を示すべきではないですか。
 耐震性が低いままの庁舎に市民、職員が不安に感じています。耐震診断をやるべきであり、建て替える前にも耐震補強を実施すべきです。

2.就学援助制度について
 就学援助の単価表の改善を求めましたが、「国への単価改善の要望は行っていない」との答弁です。5月24日の文教科学委員会での我が党の田村智子参院議員の質問に対して、「要保護児童生徒援助費補助金の新入学児童生徒学用品等におけるおおむね相当する経費と考えられる額は、これ小学校1年生が5万3,697円、中学校1年生が5万8,603円、無作為抽出の調査の結果の数値でありますが、これを比べても、半分以上違う。したがって乖離がある状況を認めざるを得ません。必要な調査を行った上で必要な改善策を考える必要がある」と、文部科学大臣は答えています。
 千葉市でも新入学学用品費等の経費は、抽出5校の平均とは言え、7万円を超えるわけですから、国会における答弁や千葉市の実態をもとにして、国へ改善策を求めていくべきではないですか。お答え下さい。

 認定基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げを求めましたが、「1.0倍を用いている市が最も多いこと、県内近隣市の基準とも遜色ない」と、見直さないとの考えです。千葉市や県内自治体だけが社会経済情勢が良くなっているわけではありません。千葉市の生活保護基準1.0倍は早期に改善すべきです。
 昨年度の就学援助受給者のうちの生活保護、児童扶養手当、経済的にお困りの特別な事情での受給者の割合を示されましたが、「経済的に困っている」割合は、22.8%であり、生活保護基準1.0倍であることで必要としている世帯まで支援が行き届いていないのではないですか。あらためて、改善を求めます。お答え下さい。

 支給月については、3月に前倒しして支給する自治体も増えています。新潟市では就学援助制度のうち中学入学時に支給される新入学生徒学用品費は8月に支給され、入学前の必要時に支給されていなかったことを改善し、3月支給に変更しました。入学前に何かと費用がかかるという保護者の願いに沿った対応です。
 仮の認定制度を創り、3月支給に変更して、とりわけ中学校入学する6年生のいる世帯に支給すべきです。お答え下さい。

 私は6月3日に、就学援助制度と関連する事業について足立区に伺いました。入学前に特に中学校では学生カバンや学生服購入費など、一時的に多額の資金を必要とする場合、最大15万円まで貸し付ける「応急小口資金」があり、貸付金を返済できる収入があれば連帯保証人がいなくても貸し付けを認めています。社会福祉協議会ではない足立区独自の事業として昨年11月から要件を緩和して開始しています。
 教育委員会と保健福祉局と連携して、貸付制度を構築すべきではないですか。

 「就学援助制度のお知らせ」に申請書を付けて全児童・生徒に配布するよう求めましたが、「年度末にお知らせを配布し周知を図っている」「申請書はいつでも配布できるように学校に準備している」とのことです。
 先ほど紹介した足立区は就学援助の認定率が23区内でトップです。昨年度、小学校31.1%、中学校41.0%、児童・生徒合計で34.2%となっています。
 申請書は児童生徒名が既に印字されたものを教育委員会、学校を通じて未開封のまま封筒で渡されます。家族構成欄についても3月上旬の住民登録上の情報を記載し、変更があれば追加・削除し、前年度に受けていれば振込口座も記入され、後は保護者・口座名義人の氏名記入と押印すれば、提出できるようになっています。
 所得証明書類の提出についても、会社員の方などは、会社が足立区に年末調整済みの給与支払い報告書を提出していること。自営業・パート・アルバイトの方などについては確定申告が期限内までに済んでいれば、提出不要となっています。郵送先は、教育委員会学務課助成係で、料金受取人払郵便で郵送できる仕組みです。前年度受けていて、今年度申請がまだ提出されていない場合は、事務職員や担任から保護者へアプローチされているとのことでした。
 保護者が世帯の所得によって受けられるかどうかに関わらず、提出していただくことをまず第1に考え、千葉市でも前年度受けていれば教育委員会に委任することで提出書類添付は不要となるわけですから、学校であっても教育委員会であっても、郵送を基本とすべきではないですか。

 学校の受付に直接届けなければならないため、フルタイムで働く親は提出できません。自分の世帯が当てはまるどうかわからない。就学援助を受けると給食費を払わない=後ろめたい気持ちになり、学校説明会時に「うちは一人親世帯ですが、援助は受けず、給食費を支払う」と就学援助を受けないと宣言した母親もいます。
 ある母親は、「就学援助を受けられれば月に5万円ほどの出費が浮き、手続き出来れば家計が楽になる。長女の時は子どもが受験などに不利になるのではと思って申請できなかった」と話されました。申請を躊躇する親もいる中で、申請は簡素にしていくことが、受けられる世帯が広がるのではないですか。

 憲法26条で「義務教育は、これを無償とする」とされていますが、実態は違い、教育費負担の重さで頭を悩ませている家庭は少なくありません。子どもたちの学びを保障するための就学援助の拡充が欠かせません。川崎市で2014年度から全員に申請用封筒を配り、全員から回収する方式に変更して、小中学校とも3%認定率が増加しました。経済的な事情で子どもの学びと成長が奪われることがあってはなりません。「義務教育は無償」という基本に立ち返って、就学援助制度における申請方法や基準を改善するよう強く求めておきます。

3.美浜区の諸問題・幸町地区の学校跡施設の利活用について
 方針案の押し付けではなく、自治会や住民の意向に沿った協議を求めましたが、11日に開催された説明会や現在行なわれている意見募集での意見を踏まえて、庁内で検討を行い、最終的な利用方針を策定するとのことです。
 地元からは、「今回の説明会で説明したとするのか」「出された意見をもとに再度検討するのか」「学校跡施設は現在も避難所であり、財政、お金のことから説明し、地域住民の安全は最後」「幸町団地の住民がどういう生活をしているのか。何が不足しているのか、考えてやっていただかないと誰も納得できない」「要望を無視している」などの疑問・意見が出されました。
 地元説明会では自治会や住民は納得されていません。これらの意見をどう方針案に反映させるのか。

 「庁内で検討を行い、最終的な利用方針を策定する」という以前にも、地元との協議を進めていくべきではないですか。

 地域の実情に即した調査や検討も示さずに、方針案を示すことへの疑問や意見が相次いだことを重く受け止めるべきであり、地元の自治会や住民との協議をするよう求めておきます。