吉田義正議員の一般質問



2016.6.17

写真1.公民館について
 千葉市は、公民館の指定管理者制度の導入について3月25日の社会教育委員会議おいて、利用者が減少していること、管理運営費や職員の専門性が確保できないこと、生涯学習ニーズが多様化し、地域コミュニティの希薄化、更に、厳しい財政状況などを理由に、非公募で教育振興財団に指定しようという案を提示しました。その後、4月に2回開催し、これを進めようとしています。
 公民館は年間116万人の方が利用し、管理運営費は年間12億円で47館が運営するなど、事業費削減の中でも、職員はじめ、関係者の皆さんの努力で成り立っています。今議会には、千葉市公民館を考える会の方から「公民館への指定管理者制度の導入について(素案)」に関する陳情書が提出されて、拙速に決めることなくじっくり時間をかけ、慎重に審議を行うよう要望されています。昨日、教育未来委員会で審議がされ、「継続審査」となりました。
 千葉市が示した「公民館への指定管理者制度の導入について(素案)」「同(案)」では、指定管理者制度を導入することにより、「柔軟な職員配置による管理運営費の再配分」ができるとしています。市職員を非正規職員に置き換え、人件費を削減し、その分を管理運営費に回そうとするものです。
 そこには、公民館のあるべき姿や社会教育の場としての位置づけ、市として地域での諸問題を解決していく公民館の役割を、どう発展させようとしているのかが見えません。そこで伺います。
 1つに、4年前の議会で、当時のあぐい武夫市議の質問に、当時の教育次長は「公民館は社会教育法で学習の場の提供、社会教育関係団体等の育成などを通して、市民が主体となった地域づくりを行うことが主な目的であると認識しており、そのことから、施設利用だけではなく、地域の課題などについてさまざまな主催事業を実施するという役割を担っております」と答えています。さらに、公民館の管理運営を教育委員会が責任を持っている理由を質したのに対し、「市民の学習意欲に対応しつつ、学校や家庭、地域、さらには関係部局との連携を通して、社会教育施設としての公民館の管理運営ができる」と答えていますが、千葉市はこの立場で、推進してきましたか。
 2つに、市の職員を指定管理者となる財団の非正規職員に置き換えることで、削減した人件費分を、修繕費や事業費に回せるようになるというのでは、「職員の継続性、専門性の向上」にはならないと思いますが見解を求めます。
 3つに、熊本での震災では、公民館が市直営のため他の政令市からの応援にも24時間体制で対応でき、避難所としての役割も発揮できたといわれています。千葉市が、指定管理者制度を導入してしまうと、災害時に避難所としての役割が果たせないのではないですか。
 4つに、素案では、公民館本部が一元化して企画することで、講座の実施を効率的に行うことができると述べていますが、本来、地域ごとの課題はまちまちであり、地域の実態を把握したうえで、講座は開催すべきと考えますが見解を求めます。
 5つに、職員の位置づけについてです。私は、中村議員と公民館の先進自治体である岡山市と松本市で公民館のあり方を視察してきました。松本市では1947年に発足以来、住民の生活や暮らしに根付く様々な課題を地域全体で共有化し、町会主催で買い物弱者に買い物市を開いたり、ボランティアによる送迎サービスを実施したり、外国人向けの回覧板を翻訳したりと、生活の原点から考える地域づくりが行われています。岡山市でも、ごみ袋の有料化の時にも市の担当課が説明する際、公民館の場所提供にとどまらず、市民との間に立って、フラットな立場でその内容を吸収、消化したうえで、提供する立場に立っているそうです。こうした姿こそ、本来あるべき公民館の姿ではありませんか。
 6つに、千葉市は、指定管理者制度になって、そのような事業を展開できるでしょうか。岡山市では、2年目以降の公民館職員は、すべて社会教育主事を取得し、質の向上に努め、松本市では、月2回主事研修を行うなど学ぶ場を職員自身が主体的に研修内容を計画し常に研鑽しています。社会教育主事の配置を行い、先進市に学び、市直営を続けるべきではないですか。
 7つに、市民からの陳情では、素案について市民には公表もされず、関係者の議論も不十分であり、年間116万人もが利用する身近な公民館であることから、情報公開、市民参加、説明責任を果たすよう求めますがどうか。

2.稲毛東の納骨堂建設問題について
 稲毛東の地域は、すでに、サンセルモ、セレモと複数の葬儀場があり、更には、納骨堂もあるそういった地域になっています。これ以上の類似施設は必要ないのではないかと地域の方は思っています。
 稲毛東の地域は駅前であり、浅間神社や商店街もある稲毛区の顔といってもいい地域だといわれています。その地域に納骨堂を建設することは問題があると地域住民の皆さんは反対運動を続けています。事前協議書が提出される前の協議にも地域住民の皆さんはきちんと対応されているにも関わらず、説明会や協議で住民から出された疑問にきちんと答えない、説明しない法人、事業者の不誠実な対応が目に余ります。
 現在、事業者から事前協議書が提出され、千葉市が慎重に調査されていると聞いています。このことを踏まえて、質問をします。
 1つ、地域の方から説明会や協議で出された質問にきちんと答えられてないと聞いています。説明されていない法人や事業者にどのように指導されていますか。
 2つ、事前協議書が提出され、現在、調査がされていると聞いています。調査のスケジュールについて改めてお示しください。
 3つ、現在されている調査についてですが、どのような点を重点に調査をされているのですか。お答えください。
 4つ、建設予定地とされている地域は、駅の利用者や稲毛区と美浜区を通行する方々も利用され、交通量が非常に多い地域であります。しかし、道幅が非常に狭く危険な地域と住民から声が寄せられています。そういったことを考慮した計画になっているのでしょうか。お答えください。

3.若者の雇用について
 国の25年の調査では、若者の離職率で4割以上。その内、3年以内の離職が6割になっていることが明らかになっています。また、県内の失業保険給付データからでも、大卒が3割。高卒・中卒は、4割という結果になっています。
 こうした中、千葉市では合同企業説明会に取り組まれています。離職者を減らすということあれば、この取り組みで充分かも知れません。しかし、離職者を少なくしていくことともに、離職した若者を支援していく取り組みも必要ではないでしょうか。
 私は、佐々木議員と「ふなばし地域若者サポートステーション」と「ちば若者キャリアセンター・ジョブカフェちば」に伺い、若者の就労・自立、就職サポート、相談事業などについて視察しました。
 「サポステ」では、悩み相談、進路相談、コミュニケーションづくり、就労体験などに取り組まれています。設置当初は進学を目指す若者に対する「学び直し」の事業へ国の補助がありましたが、翌々年から補助が打ち切られてしまいました。船橋市では事業を継続させようということで、主に人件費になりますが、1,500万円の予算を確保して継続しています。そのことによって常勤の方を4名配置し、若者一人ひとりにあったプログラムをつくり、各種セミナーなどを実施することやハローワークなど関係機関との連携し、若者の自立などをサポートしています。また、高卒認定の取得も支援しているため、支援を必要とする多くの若者が利用されています。
 「ジョブカフェちば」では、15〜39歳で就職に悩んでいる若者がワンストップでサービスを受けられる機能を持った施設で、2004年度よりスタートしています。利用者は20代が7割で、総武線沿線の自治体に住む若者が多く利用されていて、千葉市からも昨年度は総利用者数3,047人、新規登録者は530人と多くの若者が利用しています。就職活動についてのセミナーの開催や職業適正診断、カウンセラーとの面談や就職試験対策など支援を行っています。
 両施設とも「利用者同士の交流」にも取り組まれており、「若者の居場所」という認識を持って運営をされているそうです。今後の課題は、就労や自立を目指しているため、どちらも就職してどうなったのかの後追いができないこと。相談者の年齢が高くなってきているため、40代半ばまでの対象年齢の引き上げが必要ではないか。とのことでした。そこで、伺います。
 1つに、千葉市子ども・若者総合相談センター(Link・リンク)における就職・雇用に関する相談は寄せられていますか。
 2つに、平成24年2月1日から「千葉市子ども・若者支援協議会」を設置されていますが、協議会において雇用などについてどのような意見が出されていますか。
 3つに、千葉市内にも「サポステ」が幕張にありますが、県内のサポステの統括をする役割があるため、千葉県で所管されています。若者の自立をサポートするためにも、千葉市も「サポステ」などとの連携の強化や情報交換など取り組みをしていく必要があるのではないですか。
 4つに、「ジョブカフェちば」にも千葉市の若者が利用していることからも、同様の機能を持つ就職支援センターの設置を求めます。
 5つに、「サポステ」も「ジョブカフェ」だけでなくハローワークでも就職すれば、支援はそこで終了しますが、若者の離職率は依然として4割であり、就職後の支援が必要です。就職後の状況把握や就職の悩みを把握するために、千葉市で行なっている就職説明会やバスツアーなどに参加する学生にメールアドレスを登録してもらい、経済企画課を中心としてアプローチできるシステムを構築してはどうですか。
 6つ、非正規雇用で働いている多くは、充分な貯蓄がない世帯です。正規の仕事に就くための支援が必要だと考えます。東京都などでは対策を進めています。対策を検討する必要があるのではないでしょうか。お答えください。

<2回目>

1、公民館について
 答弁では、公民館の役割について「地域コミュニティの希薄化など、社会的変化に対応するため、学びを通した地域づくりの拠点施設」であり、市の立場は基本的に変わっていないとしています。なぜ、地域コミュニティの希薄化などの問題が起きているのでしょうか。地域の中に貧困と格差の広がりなども大きな要因になっているのではないでしょうか。
 また、社会教育法第20条で「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と定めています。
 こうした中「持続可能な地域社会」を「学びを通じた地域づくり」を担っていくのは、市の公民館職員ではないでしょうか。非正規職員に置き換えをして、担わせようとする教育委員会の姿勢が問われていると考えます。
 災害時に避難所の対応について「避難所としての機能が果たせるよう基準並びに協定書に災害時の具体的な対応を規定する」など対策を講じていくとの答弁でありました。千葉大学教育学部社会教育研究室の「千葉市内の公民館は東日本大震災にどう対応したか復刻版」では、避難所になっていながら、備蓄品の食料や毛布などが不足し、交通渋滞で、支給するのに時間を要したことと、公民館職員の危機管理意識の違い、市との連携のあり方など詳細にまとめられています。現在の体制でも、違いが出ている中、指定管理を導入して、対応をしていくことが可能なのでしょうか。
 このことを踏まえて質問します。
 1つ、日本国憲法第15条には、すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。と規定されています。千葉市の職員は、市民のために働くことが求められています。正規職員は給与などきちんとした保障がされていますが、非正規職員はきちんとした保障がされていません。今回の素案で示されている「職員配置による管理運営費の再配分」で、正規職員を非正規に置き換えをして、公民館の担う役割を果たすことができるのですか。お答えください。
 2つ、「教育振興財団を指定管理者とした場合には、社会教育主事等を有するなど専門性のある職員配置が可能となるほか」「職員の継続性、専門性の向上が期待できる」と答弁されました。OB職員の活用等では、継続性を確保できないのではないですか。
3つ、先ほど紹介しました「千葉市内の公民館は東日本大震災にどう対応したか復刻版」では、2011年から3年間、市内の公民館での取り組みについてまとめています。この取り組みの結果をどう受け止めていますか。市直営だからこそ、24時間いつ災害が起きても市の職員と連携を密に撮り、当日そのまま公民館で被災者受け入れが行われた状況が記されています。正規から非正規に置き換えをして、協定書などの規定でどこまで担保できるのですか。お示しください。
 4つに、千葉市では現在、社会教育主事の資格を持った職員が1名のみで、研修についても主事クラスで年に2回となっています。先進市などでは、すべての公民館で社会教育主事を確保するよう計画し、職員の養成に努めています。別の市では、主事クラスの研修を積極的に行い、地域の問題解決の拠点としての役割を発揮しています。市直営のままでも職員の資格取得や研修の充実などを行い、地域の課題解決をしていく公共施設としてふさわしい対応を図るべきではないですか。
 5つに、千葉市では、公民館の維持管理費はこの10年間で25%も削減されており、講座開設費はこの10年間で7分の1に削減されました。そもそも47館の公民館への事業費が、合計12億円は少なすぎます。事業費を大幅に増額し、充実したものにすべきです。お答えください。
 6つに、財政が厳しいからとコスト削減を名目にする指定管理者制度を教育機関に導入することは、公民館の本来の役割を発揮できなくなることから、実施すべきではありません。市の直営で運営を堅持していくべきです。お答えください。

2、納骨堂について
 地元の住民から「質問に対して、事業者はきちんと答えていない」という声が寄せられています。こうした状況に対して、「条例に基づき適正に対応するよう指導されている」こと。また、「不備が確認されれば、必要な指導を行います」とのこと答弁でありました。更に、住民からの意見に対しては、「関係課と連携し、適切に対応してまいります」との答弁でありました。引き続き指導・対応をしてもらうよう求めておきます。
 事前協議では、どのような点を審査していくのか「事前手続きに関すること、経営主体に関すること、施設基準に関すること、納骨堂の永続性、非営利性及び必要性に関すること」について審査されていることが明らかになりました。そこで伺います。
 1つ、納骨堂の永続性についてですが、千葉市墓地等の経営の許可等に関する条例第8条に「経営するために十分な財産その他の経済的基礎を有していると市長が認めたものであること」とありますが、博全社から出資を受けていることや関係性について、地元の方々からも指摘されています。永続性を確保できているとは言えないのではありませんか。お答えください。
 2つ、地域にはすでに葬儀場や納骨堂が建設されています。必要性については、すでにないと考えますが、具体的に何を審査されるのですか。

3、若者の雇用について
 答弁でLinkの就職・雇用に関する相談が、「昨年度の件数は、657件中193件で、20代が最も多い60%を占めており、続いて30代が36%、10代が4%となる」こと。また、相談内容も「就業への適正をはじめ、就労や人間関係に関する不安、勤務条件、更には現職場に対する不満や苦情などの相談」など多岐にわたっていることも示されました。千葉市としても、こうした相談に対応していく必要があると感じます。
 安喰前市議も取り上げていましたが、2012年10月に策定された千葉市雇用促進マスタープランでは、「急速に悪化した雇用情勢は完全失業率の上昇、新卒内定率の低下、非正規雇用者割合の増加など」早急な対策の必要性と共に、千葉市も例外でないことが指摘されています。このことも踏まえて質問します。
 1つ、子ども・若者支援協議会における雇用等に関する主な意見で、「困難な問題を抱える対象者を性急に就労と結びつけることの危険性をはじめ、心のケアやコミュニケーション力の育成の重要性」と共に「対象者の状況に応じ、軽易な労働体験を経験させるなど段階的支援の重要性に関する」ことなど出されているとのことですが、こうした貴重な意見をどのように生かしていくのですか。
 2つ、現在、若者の総合相談窓口はLinkのみとなっています。就職・雇用に関する相談で20代が60%、30代が36%という結果にもあるように、若者の相談窓口の重要性が示されています。対象年齢を40歳代まで引き上げると共に人員の増員などが必要ではありませんか。また、雇用の専門性を有する人員を配置するべきではありませんか。お答えください。
 3つ、「非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者に比べ雇用が不安定、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい」と答弁されたように、これまでも課題が指摘されてきましたが、改善が図られていません。雇用に関わる関係機関との連携を進めるとともに、千葉市としても支援をする部門の創設や関連機関への予算的な支援を講じる必要があるのではありませんか。
4つ、非正規雇用から正規雇用の仕事に就くための支援策について、「国における労働者の企業内でのキャリアアップ制度に関連する情報を広く市内事業に提供する、利用促進を図っていく」として、市の主体的な取り組みがありません。一方で非正規をつくり出す、例えば、先に質問した公民館の指定管理制度導入で、市の正規職員を置く換えして、非正規を増やすことを行政が率先してやって良いとお考えですか。お答えください。

<3回目>

 順番を変えて行います。
稲毛東の納骨堂について
 地域の方々から建築計画など、様々な意見が寄せられています。こうしたことも踏まえ、審査されるよう求めておきます。

若者の雇用について
 国や県と協力して進める、検討していくという回答が多く感じました。市独自に若者への支援していく取り組みが必要です。今後、予算も含めて対策を検討されるよう求めておきます。

公民館について
 今回、指定管理導入についての陳情は、拙速に行うべきでないとして、継続審査となりました。それは、市の進め方が極めて不十分だったからではないでしょうか。市がなぜ、指定管理を導入するのか、直営のままで努力すべきではないのか、教育振興財団が指定管理をした時どうなるのか。千葉市の目指す方向性が見えないなど多くの問題点も指摘されました。
 また、教育未来委員会において、担当委員への事前説明がなく、「素案」ではなく、大幅に変更されている「案」を提示したことは問題です。そうは思いませんか。今後、社会教育委員会でもきちんと審議されるよもとめておきます。
 今後、公民館運営審議会など利用者、市民の方々に説明し、納得できなければ、強引に進めるべきではありません。
 今回の「若者の雇用」の質問で、経済農政局は「非正規雇用の労働者は、正規雇用の労働者に比べ雇用が不安定、賃金が低い、能力開発の機会が乏しいといった課題を抱えていること」と認識を示され、不十分ながらも解決に向けて検討を始めています。しかし、教育委員会は、正規職員を非正規雇用に置き換え、非正規雇用を増やそうとしています。同じ行政で、全く矛盾しているではありませんか。
 市として、公民館が、住民自治を発展させるためにかけがえのない公共施設であり、避難所としての役割を持つ重要な施設であるという認識に立つとともに、市直営を堅持し、充分な予算を配分し、市民が学び発展していける公民館の在り方を地域の方々と模索していくべきです。

 最後にコスト削減の指定管理者制度の導入は中止するよう重ねて申し上げまして、私の一般質問を終わります。