かばさわ洋平議員の一般質問及び答弁(要旨)



2016.6.20

写真1.保育について
【かばさわ洋平議員】

 「保育園落ちた日本死ね」匿名ブログを契機に、国会でも取り上げられた待機児童問題。賃金の下落や非正規化の進行で子育て世代の貧困化が進み、共働きでないと家計のやりくりができないという子育て世代が増加するなか、子どもを保育園に預けられるかどうかは文字通りの死活問題であります。厚労省は4月、「隠れ待機児童」が6万208人と発表しました。真の待機児童は、既に発表された2万3167人の3.6倍の8万3375人にも及びます。千葉市においても、今年度4月時点において、3年連続待機児童ゼロは実現できず、11人の待機児童と632人の入所待ち児童数と発表したところです。児童福祉法第24条第1項は、市町村は、保育所において保育しなければならないとし、市町村には保育所保育を求める子供を保育所に入所させて、保育する責任があることを明確にしています。千葉市に必要なのは隠れ待機児童含めた地域における細かいニーズや実態把握、市民への情報公開を通じて、待機児童解消に向けた緊急的かつ抜本的対策に早期に取り組むことです。同時に待機児童ゼロを目指しハード面だけ整備を急ぐあまり保育士確保、人材育成が追いつかないという現状において、質の向上に目を向けた施策も求められます。そこで伺います。
 1つに、今年度待機児童ゼロを達成できなかったことについて、どのような分析と評価をしているのか伺います。
 2つに、千葉市の昨年度の保育士の採用試験の応募状況、合格者と辞退者数、採用数についてお示しください。
【こども未来局長答弁】
 まず、今年度待機児童ゼロを達成できなかったことについてですが、更なる潜在需要の喚起により、入所申込数が前年比840人増と大幅に増加したことをはじめ、保育士不足、用地確保困難等の問題から、整備事業者を予定通り確保できず、整備実績が当初計画より253人分下回ったことが影響したと考えております。さらには、保育士不足の影響により公立保育所・認定こども園において受入児童数が前年比191人減となったこともあり、これらの事が主な要因と考えております。
 次に、保育士の採用試験の応募状況、合格者と辞退者数、採用数についてですが、
 平成27年度の採用試験における一次試験の受験者は338人となっており、最終合格者数は101人、そのうち辞退者数が46人、採用者数は55人となっております。

2.パーキングパーミット制度について
【かばさわ洋平議員】

 2020年オリンピック・パラリンピックを4年後に控えるなか、パラリンピックの競技会場に千葉市が選定されるということで、文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができるユニバーサルデザインの更なる推進が求められます。そして、身体障害者の方、体の不自由な方のための駐車場の設置の必要性も高まっています。本年の第1回定例会において市民からも「パーキングパーミット制度」導入を求める陳情が寄せられ、また毎年のように市民から要望があると聞いております。
 「パーキングパーミット制度」とは、身体障害者や内部障害者など歩行困難な人が確実に駐車場を使えるよう、行政が利用証を交付する制度であります。交付された利用証を車内ルームミラーなどにかけて駐車利用します。障害者にとって、車を使って外出する際、車イスで乗降するなどの際駐車スペース確保は必要であり、適切に専用駐車場を使用できるかが、とても大切です。この制度を求める背景には身障者用駐車場を健常者が利用するといった心ないマナー違反が後を絶たない現状があります。パーキングパーミット制度は、この利用基準を明らかにするのが目的であり、欧米諸国では1980年代から既に普及していました。日本でも佐賀県が2006年に先駆けて導入して、全国の協力施設は約3万4900施設あり、利用証の新規発行数は延べ約71万6300件に拡大しおり、全国的にバリアフリー化やユニバーサルデザインの進展が図られています。そこで伺います。
 1つに、千葉市のユニバーサルデザインの推進についてはどう考え、取組みを進めているのか。見解を伺います。
 2つに、障害者等用駐車場ですが、千葉市は全ての市有公共施設で設置しているかどうか。今後さらなる障害者等用駐車場の整備を進めることを求めるがどうか。
 3つに、市がパーキングパーミット制度を導入した際に想定される対象者数、利用証の作成経費、協力施設に配布する案内表示の作成経費についてお示しください。
【保健福祉局長答弁】
 本市におけるユニバーサルデザインの推進についてですが、障害者がバリアを感じることなく、個がるに外出できるよう、公共交通、道路等のバリアフリー化を進めることが重要であると考えており、物理的な障壁のない安全・安心な都市基盤に努めているところであります。さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、ハード・ソフト両面のバリアフリーと多文化理解や活躍の場の創出など、障害の有無、国籍、言語などの多様性に対応した共生社会が実現できるよう努めてまいります。
 市有公共施設への障害者等用駐車場の設置についてですが、本市では「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」「千葉県福祉のまちづくり条例」に基づき障害者等用駐車場を設置することとしております。なお、条例施行以前の施設の設置状況は把握しておりません。今後、引き続き、必要な整備に努めてまいります。
 本市がパーキングパーミット制度を導入した場合の対象者数についてですが、障害者、要介護1以上の高齢者、難病患者、母子健康手帳の交付者とした場合、約73,000人が見込まれます。また、利用証の作成経費ですが、既にパーキングパーミット制度を導入した県の実績に基に、対象の1割が利用した場合は約100万円、ショッピングセンターなどの協力施設に配布する案内表示の作成費は、1,000か所の協力が得られた場合、約40万円となります。

3.昭和の森について
【かばさわ洋平議員】

 昭和の森は、市の中心部から東南に約18km、緑区土気地区に位置する面積105.8ha、の市内最大、県内でも有数の規模を誇る千葉市の総合公園であり、日本の都市公園100選にも選ばれた千葉市緑区のシンボル的スポットでもあります。土気と言えば昭和の森、緑区といえば文字通り緑あふれた昭和の森を連想される方も多いのではないでしょうか。1日では歩き尽せない広大な公園には魅力が沢山あります。今回市民からの要望として駐車場利用の在り方について質すと共に、昭和の森の良さを積極的にPRすることで市民はもとより、県外からの利用者増加につなげる展開や、ひいては市内への居住を促進させるひとつの街づくりの観点から新たな取組みを求めたいと思います。そこで伺います。
 1つに、昭和の森の管理についてですが、昭和の森協力会に管理許可しての駐車場運営となっています。平成27年度における年間駐車台数と収入金額、また収入金額の使途をお示しください。
 2つに、都市公園100選に選定された公園のうち、政令市が設置している公園で、専用駐車場があり駐車料金を無料にしている公園は何園あるか。
 3つに、近隣住民は歩いていけば無料であるなか車で行かざるを得ない市民にとって1日400円の駐車料金は割高であり、無料化を求める市民の声に応え無料にすることを求めるがどうか。
【都市局次長答弁】
 昭和の森の駐車場の駐車台数と収入金額、収入の使途についてですが、平成27年度の年間駐車台数は、6万9,849台で、収入金額は2,835万円であります。また、得られた収入は駐車場や運動施設の管理運営に充当しております。
 日本の都市公園100選に選定された公園の駐車場の設置状況ですが、100選に選定された公園のうち政令市が設置している公園は22あり、そのうち駐車場が整備されている公園は16公園で、駐車料金を無料にしているのは2公園となっております。
 公園駐車場の無料化についてですが、昭和の森のような大規模な公園は、広域の利用を対象とし利便性の向上に資するため、駐車場を設置しています。駐車場の利用者は施設の一定空間を占有し、その駐車場の整備及び管理にはコストが必要になることから、施設利用者の公平の確保と受益者負担の適正化の観点に基づき、有料としております。

【2回目】

1.昭和の森について
【かばさわ洋平議員】

 収入金額の約2,800万円は駐車場や運動施設の管理運営に充てられているということですが、使途についての透明性、納得性についてはもっと情報公開すべきと思います。市民からもなぜ駐車料金を取るのか、管理団体は公募ではないのかなど、問い合わせがあるためです。昭和の森協力会に管理許可する背景としては離農対策であり、離農という犠牲を払った旧地権者には感謝し、安心できる職場を提供することは必要だと考えます。一方で未来永劫続けていくのかは今後検討が必要という市民の声があるのも事実です。政令市の都市公園100選に選ばれた公園でも無料運営している公園もあるなかで、昭和の森の駐車場料金についても再考していただきたいと思います。そこで伺います。
 例えば1時間100円2時間まで200円、最高400円というように単時間しか利用しない人、または月に複数回利用する方への割引等で市民の経済負担軽減をするなど、駐車場料金について新たな金額方針を打ち出すことを求めるがどうか。
【都市局次長答弁】
 駐車場利用者への新たなサービスとして、例えば複数回の利用に対する割引サービスなどが実現できるよう協議してまいります。

【かばさわ洋平議員】
 昭和の森の利便性向上についてです。私も家族連れで公園を利用することが多いですが、子ども達の圧倒的な人気スポットはやはり、延長約109mのローラーすべり台だと思います。県内最大の長さを誇るというローラーすべり台の存在をもっと積極的に子育て世代への周知していく取組みが必要です。市民への周知のみならず足を運んでいただくインセンティブについてもっと戦略的に展開してほしいと思います。そこで伺います。
 毎月第1日曜日をファミリーデイとして駐車場を無料開放して多くの子育て世代に楽しんでもらうにすることを提案するがどうか。
【都市局次長答弁】
 公園に足を運んでいただく方策として、駐車場の無料開放も含め、利用促進策については、今後検討してまいります。

【かばさわ洋平議員】
 昭和の森で日本陸上連盟主催の千葉クロスカントリー大会が毎年2月に開催されています。昭和の森の起伏の富んだ環境、不整地の中を走ることで体幹やバランス感覚も養われ、通常よりもトレーニング効果があがると言われており、シドニーオリンピック代表女子金メダリストの高橋尚子さんは現役時代も、そして引退後も昭和の森に走りに来ています。そこで伺います。
 公園マップ、または公園にも掲示板で高橋尚子さんのRUN練習コースを明示して、五輪金メダリストが走ったコースを市民に周知してランニングやウォーキングしたい市民に活用してもらってはどうか。
【都市局次長答弁】
 昭和の森は、ランニングやクロスカントリーのコースとして広く知られており、高橋尚子さんが所長を務める「観光庁ランナーズインフォメ―ション研究所」からも、「自分らしく走る道」として認定された公園であるなど、今後、市のホームページの充実を含め情報発信に努め、市民が利用しやすい公園を目指してまいります。

【かばさわ洋平議員】
 私は先日、新潟県にある越後丘陵公園に足を運んでまいりました。公園人気No.1といわれるのがまるで雲の上にいるような白い山型トランポリンの「ふわふわドーム」です。トランポリンの効果はNASAも認めておりトランポリンですることで体の反応が良くなり転倒した時に手を出して体を守れるようになる、または医療面でも身心機能回復などがあるとされています。そこで伺います。
 昭和の森をさらなる子ども達の遊べるスポットとする、市民の健康増進にも寄与する目玉遊具として、ふわふわドーム設置の検討を求めるがどうか。
【都市局次長答弁】
昭和の森が子供からお年寄りまで幅広い世代から親しまれるよう、新たな遊具の設置やイベントの実施などについて、民間の柔軟なアイディアも参考にしながら、引き続き公園の魅力向上に資する方策について検討して参ります。

【かばさわ洋平議員】
 今後の少子超高齢化社会は避けて通れない課題であります。公園利用者の高齢化も紛れもない事実だと思います。そこで、今後昭和の森に必要になるのが、いわゆる健康遊具であります。背筋を伸ばせる背伸ばしベンチです。いまあるベンチを背伸ばしベンチに変えていくこと、また新たに『ツイスト』や『ぶらぶらストレッチ』など気軽にストレッチできる健康遊具のニーズが高まっています。そこで伺います。
 昭和の森に健康遊具を設置することを求めるがどうか。
【都市局次長答弁】
 高齢者の健康づくりに資する様、健康遊具も含め公園施設の更新などについては、検討を進めて参ります。

【かばさわ洋平議員】
 ぜひとも遊具新設について駐車場料金改定は前向きに検討して頂き実施を求めます。平成28年度予算における各区別主要建設事業費の状況をみると中央区122億、緑区は23億と比較するとおよそ5倍も格差があります。大型公共事業の実施個所に偏りがあるため単純な比較はできませんが、過去3年は同様のトレンドです。地方創成交付金の使途をみても、もっと緑区への投資があってもいいのではないかという声があるのも事実です。本件について最後市長に申し上げたいのは、もっとバランスよく市民の税金を配分してほしいということです。ぜひとも昭和の森がもっと市民へ利用される公園になるよう施策を講じることを求めて次のテーマに移ります。

2.パーキングパーミット制度について
 パーキングパーミット制度については、今年7月には制度が開始されてからもう10年目となります。利用者の利便性は高まり、利用証の新規発行数は延べ約71万人を超えるなか、現在は35府県1市間で相互利用が可能です。例えば群馬県で発行された利用証でも、パーキングパーミット制度を導入している新潟県において利用可能ということになります。全国各地から2020年パラリンピックで千葉市を訪れる時に制度がないとなるのは避けなければならないと思います。
 千葉市においても市民要望を受けてパーキングパーミット制度を導入すべきと考えるが見解を伺います。
【保健福祉局長答弁】
 本市は、千葉県のほぼ中央部に位置する交通の要衛であり、本市内の障害者等用駐車場を利用する障害者には、市内にお住まいの方も多いことから、広域的な対応が必要と考えており、千葉県に対してパーキングパーミット制度の導入を要望しているところです。なお、本年5月に、各区役所、保健福祉センター、コミュニティセンターなどに対し、障害者等用駐車場の適正利用を促す啓発ポスターなどを配布し、一般の利用者に向けて注意喚起を図っております。

【かばさわ洋平議員】
 答弁によれば広域的対応が必要なため千葉県に対して制度導入を要望しているということでした。そこで伺います。
 千葉県の現時点におけるパーキングパーミット制度導入に向けた検討状況はどうか。
【保健福祉局長答弁】
 本市からの要望に対し、千葉県からはパーキングパーミット制度の導入により、結果的に広いスペースが必ず必要となる車椅子利用者が駐車しづらくなる場合があることや、不適正な利用を排除する強制力がないこと、制度の運用コストを要するなどのデメリットがあることから、近隣都県における取り組み状況を踏まえながら検討していくと聞いております。

【かばさわ洋平議員】
 確かに広域的な対応があって、より利便性が高まることは間違いありませんが、県がやらないから市もやらないは、あまりに主体性がないものです。私は先般、埼玉県が実施しないなか、市独自で思いやり駐車制度を導入した川口市を視察してまいりました。今年度の3月末時点における利用者数は障害者等、妊産婦含めて3,895名となり、協力施設数は136施設まで拡大しているということです。「商業施設での利用が拡大してきて買い物へ行きやすくなった」という利用者の声から、県外から来る利用者も「制度があることで安心して利用できた」という前向きな声が寄せられているということでした。先ほどの答弁であった通り利用証等の発行にかかる予算は限られたもので、市のやる気があれば前へ進める事業だと思います。そこで市長に伺います。
 パラリンピックのレガシーについて盛んに語っておられますが、ハード面のみならずソフト面でも障害者が住みよい街づくりを進めることが必要だと思いますが、最後に市長の考えを伺いたいと思います。
【保健福祉局長答弁】
 障害の有無にかかわらず、誰しもが等しく、かけがえのない個人として相互に人格と個性を尊重し、支えあう共生社会を実現するためには、障害者が生活をしていく中で感じる差別や障壁を排除し、個人の持つ能力や多様性が尊重され、自己選択と自己決定のもとに、あらゆる活動に参加・参画できる地域社会を作り上げていく事が必要と考えております。今後も、ハードのバリアフリー化のみならす、ソフト面でのバリアフリーを推し進め、障害のある人もいない人も共に認め合う地域社会の構築に努めて参ります。

【かばさわ洋平議員】
 2020年のオリンピック・パラリンピック大会だけ開催が成功すればいいということでは決していけないと思います。オリパラはあくまでイベントに過ぎません。オリパラに向けた千葉市の行動計画には障害のある人もない人も快適に移動し滞在できる環境を充実するため公共施設のバリアフリー化やユニーバーサルデザイン推進についても書いているわけですから、障害者が住みよい街づくりをハード面のみならずソフト面からもしっかりと検討して、パラリンピック開催前までにパーキングパーミット制度を導入してほしいと思います。私はこの制度が全てだとは思いませんが、障害者が適切に駐車場を利用できる社会にしたい、心ないマナー違反をなくしていく、そのために全国各地で広がった制度を導入することで、市民の意識向上が必ずはかられると思います。ぜひとも市長または副市長からも千葉県に強く働きかけていただきたい、さらに県待ちではなく市独自で進めた川口市のように、市が一歩踏み出すことを強く求めておきます。

3.保育について
 まずは待機児童数の実態について質していきたいと思います。千葉市の待機児童数、隠れ待機児童数推移になります。待機児童は0から11人と増えても少ない印象ですが、隠れ待機児童は昨年より290人増の632人となっています。平成25年度から約3倍に保育園に入所できない児童が増えています。私のもとにも「近所の保育所へ入所が不承諾で30分も離れた認可外を紹介された。送り迎えが困難なこと、さらに事故の多い認可外より認可に預けたいため、仕事を辞めざるを得なくなった」と切実な声が寄せられました。当然親御さんとして、無認可より認可、民間より公立、または兄弟が通う近所の保育所へという要望は強いわけでして、入りたい保育所に空きがないため仕事を辞めざる得ない状況に追い込まれている実態を重く受け止めなければなりません。千葉市において積極的な保育所整備が求められます。私は先日、東京都世田谷区にある「さくらその保育園」を視察してきました。保育園建設に伴う用地確保が最大の課題である世田谷区では、中学校の使用していないテニスコート跡地に保育園を建設し、85名の子どもを受け入れています。園の2階ベランダからの写真ですが、隣接する中学校のグラウンドが目の前です。特筆すべきは中学校のグラウンドを第2の園庭のように学校側の許可のもと利用していることや中学生が保育園に訪れ子ども達とのふれあい体験を実施していることです。ある中学生は「大きくなったら保育士になりたい」と語るなど、難しい年齢である中学生が園児とのふれあいで普段見せない笑顔を見せるなど待機児童解消だけでなく、保育と学校の連携のなかでの互いの発達があるということです。厚生労働省も3月に待機児童解消に向けて受け皿施設整備促進策として、小学校の空き教室、公民館や公園などの地域の余裕スペースを活用した保育園等の整備について交付金の加算引き上げが盛り込まれました。そこで伺います。
 千葉市においても学校等や公園など地域の空きスペースを活用して、保育所整備を展開するなど市有地活用を積極的に検討することを求めるがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 保育所等の整備は、保育需要や送迎の利便性などを考慮し、地域を定めて事業者を募集する方法で行っておりますが、条件に合う未利用の私有地等があった場合には、その都度、保育所等の設置の可否を検討して参ります。

【かばさわ洋平議員】
 次に公立保育所の建替えにについて伺います。今回は築47年の大森保育所と築48年の緑町保育所を建替えるということですが、従来の市直営ではなく、民間による建替えで民間運営とする民設民営手法で進めることが決定されました。
 そこで伺います。今回なぜ民設民営という判断をしたのか。またなぜ保護者や職員へ民設民営方針を事後説明にしたのか。
【子ども未来局長答弁】
 整備・運営手法の決定に当たっては、平成24年7月に策定した「公立保育所の施設改善に関する基本方針」に基づき、保育所ごとに検討を行いました。
 公設公営と比較して、民設民営の場合は、より低いコストで施設の整備及び運営を行う事が可能であると共に、定員増をはじめ延長保育の時間延長や一時預かりの実施など、多様な保育サービスの提供が可能となることから民設民営方式としました。
 次に、保護者や職員への説明ですが、今回の手法について、5月17日に「社会福祉審議会児童福祉専門分科会」において審議いただいたところであります。今後、7月からは、両保育所において保護者説明会を定期的に開催し、改築の概要、開園までのスケジュール、整備手法等についての情報提供とともに、十分かつ丁寧な説明を行うことにより、ご理解を頂きたいと考えております。

【かばさわ洋平議員】
 公立から民設民営方針という保護者や職員にとって極めて大きな問題でありながら、なぜ当事者には事後説明なのか、決めたから従えというやり方には問題があると感じます。今後はしっかりと意思決定する前に当事者の声を聞いて検討することを求めておきます。同時に民間であれば補助金が半分でるというコスト的側面だけでどんどん民営化していくことでいいのかが問われます。千葉市の公立保育所と民間保育園の保育士平均賃金と比較です。平均賃金は5万円の格差があり、離職においても勤続年数も公立13年に比べ民間は約7年と公立に比べ民間での離職率が高いことも明らかであります。公立が良で、民間が悪と決めつけるわけではありません。民間でも善良な法人が運営すれば労働条件が守られ良い保育は実現されていると思います。しかし、実際に市内にある某民間保育園では先日、保育士の20名のうち8名が大量離職して受け入れに支障をきたすなど、本当に子ども達へ質の高い保育が実現できるとは言えない実態も浮き彫りになっています。残された公立の木造保育所において、市の関与と責任をしっかりと残し、保育の質を保ち続けることを求めます。
 そこで伺います。市の財産である公立保育所をコスト削減のターゲットとして民間運営へという流れではなく、市の保育行政における責任ある対応として、原則公立での建替えをすることを求めるがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 保育を必要とする子どもへの保育の実施は、児童福祉法に基づく市の責務であり、その責務を果たすための方法として、全国的に民間事業に保育の実施を委託する方法が推進されております。本市における公立保育所の建替え手法は「公立保育所の施設改善に関する基本方針」に基づき、保育所ごとに諸条件を総合的に勘案し、個別に検討することとしており、単に経費削減の点から決定するものでありません。
 なお、運営内容については、児童福祉法等により市が指導監督することになっており、公立保育所、民間保育園のいずれであっても、市が保育の実施責任を負うと言う点においては同じであり、公立保育所の民間移管が市の責任を放棄することにはならないと認識しております。

【かばさわ洋平議員】
 公立と民間の昨年度における食物アレルギー給食事故件数ですが、公立は誤食が6件、民間では14件と倍以上誤食等が起きています。一歩間違えば命の危険のあるアレルギー給食においても質の確保が求められます。さらに公立保育所と民間保育園における障害児受け入れ実績比較です。平成27年度実績ですが、受け入れ児童数は共に約6500名であるなか、公立は175名、民間は71名と障害児の受け入れの7割が公立で担っていることになります。公立だからこそ、民間での受け手がいない子どもの受け皿になることができる重要な役割があります。国の政策誘導でコストありきでの選択をしていくことが、質の低下につながり最終的に子ども達にしわ寄せがおよびます。保育監査指導するという場合も公立保育所の運営レベルが判断基準になってきます。その公立がなくなれば質の確保の指導もままなりません。そこで予算編成権をもつ市長の見解を伺います。
 市長は市内の公立を今後建替えするとき全て民間にしていく考えですか。公立割合をどの程度堅持していく考えか方針を示すべきではありませんか。
【子ども未来局長答弁】
 「公立保育所の施設改善に関する基本方針」において、建替え予定の公立保育所の整備・運営手法は、当該保育所ごとの待機児童数、今後の保育需要、立地条件、費用対効果、民間事業者参入の可能性の有無などを総合的に勘案し、改築整備計画を策定する際に、リース方式を含む公設公営か民設民営のいずれの手法により実施するのかを、その都度判断することとしております。なお、建替え対象以外の公立保育所については「中長期保全計画による維持保全」「大規模改造・改修」により対応していくこととしております。

【かばさわ洋平議員】
 次に、国が3月28日に待機児童解消緊急対策を発表しました。既存施設への子どもの詰め込みと規制緩和が中心の内容であり、問題なのは国の基準以上において上乗せして保育の質向上に努める自治体に対して基準切り下げを要求するなど、保護者や保育者の願いや子どもの権利保障を否定しているといっても過言でありません。私も市内の保育所を視察する度、保育士配置基準について現場の声を聞いてきました。「絶対にやるべきではない。保育士の負担をさらに増やし離職につながりかねない」または「現状の3歳児基準の20対1では質を担保した保育は困難。むしろ市の基準として特に3歳時の基準を15対1にしてほしい」など、基準緩和についてはNOの声が圧倒的多数でありました。そこで伺います。
 国の緊急対策について詰め込めばいいという規制緩和について、市の独自基準を守って、保育の質を担保することを求めるがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 1・2歳児の保育士配置や乳児室の面積に係る本市独自の上乗せ規準については、保育の質を確保する上で極めて重要であることから、現時点で、緩和は考えておりません。

【かばさわ洋平議員】
 次に保育士処遇について質していきたいと思います。1回目の質問の答弁として千葉市の公立保育所の採用試験で101人に合格通知を出してその半分が辞退するという状況もあり、191人の受け入れができなかったことは極めて深刻だと感じます。保育士が適切に確保できていれば、子どもの受け入れを拒否することはなかったと思うと保育士確保に向けた対策はやはり喫緊の課題であります。
 私はこの間、市内の保育園を視察して園長や保育士と対話を重ねてきました。保育士の仕事での悩みとして「保育以外でも教材準備から保護者連絡、保育計画や記録などの庶務も膨大であり長時間労働や持ち帰り残業もある」と話されていました。またそうした激務もあり、保育士不足は深刻さを増し、とりわけ朝夕に勤務する延長保育従事者の確保が困難を極めているとお聞きしたところです。そのしわ寄せは少ない保育士の長時間労働となり、離職につながるなど負のスパイラルとなっていると。さらには看護師配置が必要なところで不足している状況があると伺いました。これは配置基準を満たしていないという大問題であり、早期是正を求めるものです。なぜ保育士や看護師確保に困難を極めているかというと、近隣の船橋市と千葉市の延長保育従事者における時給ですが、千葉市は1240円ですが船橋市は1530円と290円も違うという状況になっています。他市の保育園を選択する背景には近隣市等における明確な処遇格差が生じていることにあります。そこで伺います。
 市独自に時給引き上げ、賃金上乗せ補助等の処遇改善を実施することを求めますがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 賃金の上乗せなど市独自の処遇改善は、全て一般財源となり、将来にわたり多大な財政負担を伴うことから、直ちに実施することは困難ですが、今回の補正予算案件をはじめ、本年3月、国から公表された「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策」のうち、効果的な事業について、早期に実施を検討するとともに、国や他都市の動向等を注視し、より効果的な施策について検討して参ります。

【かばさわ洋平議員】
 潜在保育士は全国で76万人にのぼるといわれているなか、資格をとる支援も必要ですがむしろ、資格ある潜在保育士をいかに活用できるかが重要であり、潜在保育士を現場に戻ってきてもらえるようにするための実行性ある施策が必要です。
 そこで伺います。国による「潜在保育士再就職事業」として引っ越しや就業に必要な就業準備金20万円貸し付ける制度があるので市も積極的に活用すべきではないか。
【子ども未来局長答弁】
 国で新たに予算化された潜在保育士再就職支援事業は、就職準備金の貸付や保育料の一部貸付など、潜在保育士の市内施設への就職促進に効果的であると思われることから、早期実施の方向で検討しております。

【かばさわ洋平議員】
 千葉市の公立保育所、民間保育園における非正規率は27%となっています。同一労働同一賃金を国としても進めようという流れのなか、保育の現場でもできる限り正規雇用で安定してした処遇の保育士を増やすことが求められます。そこで伺います。
 採用試験における採用時35歳以下という年齢制限を緩和して、非正規で働く保育士の積極的な正規化を求めるがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 本市では、今年度から保育士の採用試験においても、一定の経験があれば59歳まで受験できる、経験者採用試験を導入するため、年齢の高い非常勤職員も、採用試験を受験する事が可能となります。

【かばさわ洋平議員】
 私たち日本共産党千葉市議団は保育士の処遇改善策を先の本年、第一回定例会の教育未来委員会でも具体的な施策を提案してまいりました。保育士資格をとった新卒の辞退者が増えるなか、千葉市を選択するインセンティブが必要です。そこで伺います。
 千葉市に居住して腰を据えて保育士として働いてもらうために、家賃補助を実施することを求めるがどうか。
【子ども未来局長答弁】
 本市においても、民間保育園等の新規採用保育士の確保と、就業継続及び離職防止を図ることを目的として、保育士等宿舎借り上げ支援事業を実施することとし、今回、補正予算案を提出したところです

【かばさわ洋平議員】
 再三、申し上げますが保育士は足りないわけではありません。資格者はいるのに劣悪な処遇のために職業として選択できない状況になっているのです。専門職としてふさわしい処遇改善なくして保育士確保も待機児童解消も、保育の質と量の確保もありえません。私たち日本共産党は、野党4党が共同提出している月額5万円の保育士賃上げ法案を成立させることを目指し、さらに毎年1万円ずつ上げて10万円引き上げることを提案しています。さらに保育士配置基準を引き上げ、非正規職員の正規化で労働条件を改善し、安心・安全の保育を実施することを求めていきます。市には処遇改善と同時に長時間労働是正や有給消化等のワークライフバランスの推進を保育園に指導していくことも求めます。全ての子ども達の人権や成長を保障できる千葉市にしたい、子育てするなら千葉市という都市にしたい、そうした強い思いのなか私たち日本共産党千葉市議団は引き続き、保育の質の確保と保育士処遇改善に向けて全力で取り組むことを訴え、私の一般質問を終わります。