もりた真弓議員の一般質問及び答弁(要旨)



2016.6.23

写真1、住宅政策について
【もりた真弓議員

 今日、格差と貧困の拡大は、社会のさまざまな層において住宅困窮の問題を深刻化させています。国民生活基礎調査によると、「生活が大変苦しい」と感じている世帯の割合は、2001年の20.2%から2014年の29.7%にまで増加しており、「やや苦しい」と合わせると、国民の6割以上が生活苦を感じています。いくつか問題点を絞って取り上げます。
 はじめに、若い人たちの住宅費負担が増えている例を紹介します。
 国交省が住宅宅地分科会に提出した資料では、「30歳未満の勤労単身世帯の1か月あたりの平均消費支出に占める居住費の割合は、1969年は男女とも5%程度と低かったが、年々その割合が高くなり、2009年には男性は約2割(21.6%)、女性は約3割(31.1%)を占めているとなっています。
 つぎは、ひとり親家庭についてですが、相対的貧困率は五割を超える状況です。中でも特に困窮しているのが母子家庭で、単身者と違って住宅に子どものためのスペースを確保する必要があり、保育や学校教育の都合で居住地域の選択も狭まることから、高い家賃を払わざるを得ない等が考えられます。母子世帯に対する公的な支援策は、就労支援に偏っており、住宅の確保に関する支援策は貧弱と言わざるを得ません。
 続いて、高齢者世帯についてです。高齢者世帯は統計的にも生活に困窮し、生活保護を申請する世帯が増え続けています。1人暮らしの高齢者の割合も上昇が続く中、高齢者への入居差別や低年金の高齢者の家賃負担の重さなど深刻な問題となっています。
(1)「住生活基本法」と「住生活基本計画」について
 政府は今年3月に「住生活基本計画」(全国計画)を閣議決定しました。「全国計画」は8つの目標と基本的な施策で構成されていますが、前回2011年の「全国計画」よりも大きく後退していると指摘されています。
その理由の1つには、「住宅困窮者が多様化するなかで、住生活の分野において憲法25条の趣旨が具体化されるよう、公平かつ的確な住宅セーフティーネットの確保を図っていくことが求められている」にあたる内容の記載がまったくないこと。
 そして、2つには「住宅は、人生の大半を過ごす欠くことのできない生活の基盤であり、家族と暮らし、人を育て、憩い、安らぐことのできるかけがえのない空間であるとともに、人々の社会生活や地域のコミュニティ活動を支える拠点でもある。また、住宅は都市や街並みの重要な構成要素であり、安全、環境、福祉、文化といった地域の生活環境に大きな影響を及ぼすという意味で社会的性格を有するものである」とし、「個人の私的生活の場であるだけでなく、豊かな地域社会を形成する上で重要な要素であり、個人がいきいきと躍動し、活力、魅力があふれる社会の礎として位置付けることができる」との記述がないことです。
 こうしたきわめて重要な「住宅の位置づけ」が書き込まれなかったことは、憲法を軽視する安倍政権の姿勢の表れで、今回の全国計画の重大な欠陥であると指摘されています。全都道府県は原則として2016年度中に「当該都道府県の区域内における住民の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画」を策定し公表することになっており、それを受けた各市町村の計画策定は任意とされています。
 そこでうかがいます。
 1つに、「全国計画」にもとづいた計画を千葉市はいつまでに策定するのか、お示しください。
 2つに、千葉市の計画策定に「住宅分野における憲法25条の趣旨の具体化に向けた記載」を行うのか、おたずねします。
 3つに、「住まいは基本的な人権である」ことを基礎にした住宅政策が求められているのではないか。
 4つに、低所得世帯の生活費に占める住宅費の負担は深刻であり、家賃補助など抜本的な軽減が必要ではないか。
 5つに、「若年世帯・子育て世代」「高齢者」「住宅確保要配慮者」に対する千葉市の住宅の支援・取り組みについて、計画にどう反映させるのかうかがいます。
(2) 市営住宅について
 千葉市には現在7,015戸の市営住宅があります。市は、市営住宅について「千葉市営住宅長寿命化・再整備計画」にもとづき、H24年度からの10年間で「全部建替え」「部分建替え」「用途廃止」の3つの手法で再整備計画を策定しました。今年度は、事業対象である桜木町団地と宮野木第町2団地で建て替え工事が進められています。市営住宅は、年4回の空き家募集を行い入居者の決定をしていますが、応募してもなかなか当選しない状況が常態化しています。市営住宅の申し込み倍率は、H26年の年4回の平均で7.8倍であり、倍率が高いところではH28年1月の申し込みで、天台団地が42倍。轟町第一団地は年間29.8倍、4月の申し込みで93倍、7月には53倍と聞いています。「希望してもなかなか当たらない」「何回も落選している」との声がある一方、今年4月1日の時点で管理戸数7,015戸に対する入居戸数は5,807戸であり、入居率は82.78%という状況です。空き家になった後、新たな入居募集をせず「募集停止住宅」としている住宅は、現在14団地1,200戸に上ります。建て替え対象となっている3団地267戸を除いた933戸は、用途廃止対象団地や耐震性が劣る住宅、耐用年限を超過した住宅などの理由で募集を停止しています。千葉市は、市営住宅の再整備計画の供給量等について「真に住宅に困窮する世帯数の推計値は、10年間で5100戸」と示しています。
 そこでうかがいます。
 1つに、市営住宅の申し込み倍率の高さをどう受け止めているのか。市民の生活困窮の反映と受け止め、供給量等を抜本的に増やすべきではないのか。
 2つに、現在「募集停止住宅」で耐用年限を超過した住宅、耐震性が劣る住宅は、再整備計画でどう位置づけているのか、お示しください。
 3つに、入居戸数の減少が著しい住宅では、入居者が空き家の分まで共益費を負担していることや、空き家となった住宅の敷地の草刈りをするなどの問題が指摘されています。改善を求めるがどうか。
(3) 雇用促進住宅について
 千葉市内には5つの雇用促進住宅があります。この間、雇用促進住宅の譲渡・廃止についてはH26年の12月に「取得の有無の最終確認」が行なわれています。その後、入居を継続したままの民間事業者への売却方針が決められました。昨年夏に「独立法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が住民への説明会を開き、「閣議決定により平成33年度までに事業を終了」することが決定されていることや「地方公共団体は雇用促進住宅を取得する意向がない」ことから、運営を続けるため民間売却に取り組むことなどの説明が行なわれました。説明会の資料には「購入希望者がいない等民間売却できなかった場合は、雇用促進住宅の廃止に合わせて退去していただきます。」とあり、「民間売却できなかった場合は2021年を待たずに退去」との説明に入居者は不安を募らせています。現在、千葉市の雇用促進住宅には、4月末で5団地948戸のうち、782戸が入居しています。
 雇用促進住宅には、高齢者だけではなく、若者、子育て世代、障害を抱えた方など様々な人が生活をしています。公的性格を持った住宅が廃止になれば、地域経済に影響を与え、世代を超えた地域のコミュニティを失うことになります。昭和39年に運営を開始した若葉区の愛生住宅をはじめとして、比較的新しい美浜区の検見川住宅でも築42年を数え、どの施設でも老朽化は深刻です。民間が10年間家賃を据え置く条件で買い取る可能性は期待薄です。この間、政府は、国交省からも厚労省からもH27年6月10日付の「通知」で雇用促進住宅の廃止に伴う公営住宅への優先入居について「特段のご配慮を」重ねて「お願い」しており、改めて公営住宅の必要性も強調されています。そこで、うかがいます。
 1つに、地方自治体への雇用促進住宅譲渡の提案に対して、千葉市が買取りをしなかったのはなぜか、理由についてお示しください。
 2つに、政府の閣議決定により、一方的に「廃止」となる雇用促進住宅の住民に対して、千葉市は聞き取りを行っているのか。自治体として、現状を把握するべきではないのか。
 3つに、雇用促進住宅が廃止となり、入居者が退去せざるを得なくなった場合、住民の入居を受け入れる公的住宅が千葉市にはあるのか。
【都市局次長答弁】
 住生活基本計画の策定時期についてですが、国が本年3月に住生活基本計画の改定を閣議決定し、千葉県が年度内の改定を目指しております。これらの状況を踏まえ、本市においては、今年度に改定案を作り、来年度にパブリックコメントなど、外部の意見を聴取した上で、計画の改定を行う予定であります。
 憲法25条の趣旨の具体化に向けた記載についてですが、憲法25条は、生存権の基本的な条文ですが、その趣旨も踏まえ、国の住生活基本計画において「住宅の確保に特に配慮を要する者の住居の安全の確保」が目標として掲げられ、住宅セーフティーネット機能強化のための基本的施策が記載されていることから、本市の計画においても、主要な項目として引き続き位置づける予定です。
 「住まいは基本的な人権である」を基本にした住宅政策についてですが、住生活基本法においては、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であり、住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保を図ることとされております。市住生活基本計画においても、住宅確保要配慮者に対して、公平かつ的確に良質な住宅が供給されることが重要と位置付けており、これに基づき施策を展開しております。
 低所得世帯の住宅費の家賃補助などの負担軽減についてですが、公営住宅法の、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で提供すること、という主旨に基づき、市営住宅の適切な供給に努めているところであります。なお、新たな家賃補助については、対象世帯や、補助額の考え方、財源の確保など、様々な課題もあることから、その是非について検討してまいります。
 住宅確保要配慮者に対する支援・取り組みについてですが、「住宅確保要配慮者」については、市営住宅の入居にあたり、ポイント制の導入などにより配慮しております。その他、「若年世帯・子育て世帯」向けに特定優良賃貸住宅において良質な住宅を提供しております。また、「高齢者」には、サービス付き高齢者向け住宅の普及促進のほか、民間賃貸住宅入居支援制度により、賃貸住宅情報を提供しております。 「住宅確保要配慮者」には、住生活基本計画に基づき、このような事業を展開しており、今後も引き続き取り組んで参ります。
 市営住宅についてお答えします。
 市営住宅の申込倍率の高さと供給量を増やすことについてですが、高い応募倍率の対策として、平成25年1月募集分から住宅困窮の状況をポイント化するポイント制度を導入した結果、導入前の23年度の平均倍率19.3倍が、導入後の27年度には5.8倍になる成果が得られたことから、引き続き同制度を活用し、住宅に困窮している方が入居しやすくなるよう取り組んで参ります。また、供給量については、平成24年2月に「千葉市公営住宅長寿命化・再整備計画」を策定し、老朽化した市営住宅の建替えや既存ストックの改修などによる有効活用を計画的に進めているところであります。
 耐用年数を超過した住宅などの再整備計画についてですが、耐用年数を超過した住宅があるのは、10団地で、大宮町第1・第2及び千城台第1・第2の4団地が廃止。千城台第3及び園生町第2の2団地が建替え、千城台第4・第6、北河原坂、さつきが丘の4団地については、修繕により維持していく計画としております。
 これらの団地のうち、特に、大宮町第2、千城台第3・第4・第6、及びさつきが丘の団地の一部には、耐震性の劣る住戸が含まれており、まずは、その住戸の入居者の移転から進めてまいります。
 空き家の共益費と草刈りなどについてですが、共益費は、市営住宅の共用部分での維持費を入居者の方に共同で負担していただいており、入居者減による入居者への負担が増えております。また、市営住宅の団地の芝刈りは、入居者の方にお願いしておりますが、専用使用を認めている庭付き住戸が空き家となった場合は、草刈りを千葉市住宅供給公社に委託しております。空き家戸数の増加による、共益費の負担増や草刈り作業が負担となっていることは認識しており、今後、他都市の取り組み状況について調査を進め、検討してまいりたいと考えております。
 雇用促進住宅についてお答えします。
 雇用促進住宅を買取しなかった理由についてですが、取得費や維持管理経費などの財政負担や老朽化、バリアフリー化対策などと言った問題点を抱えていることから、買取りしなかったものであります。
 住居者に対しての現状把握についてですが、現時点では、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が民間売却の公募を行っている段階であり、住宅の所有者である機構において行うことと考えますので、本市では聞き取りなどを行っておりません。 今後とも、機構からの情報収集に努めてまいります。
 入居者を受け入れる公的住宅についてですが、世帯構成や所得などに応じて、入居可能な県営住宅、市営住宅、UR賃貸住宅などの情報提供に努めてまいります。

【もりた真弓議員】
 住生活基本法にもとづく千葉市の住生活基本計画の策定の時期について、また、「住宅分野における憲法25条の趣旨の具体化」「住まいは基本的な人権である」ことを基礎にした計画策定を求めました。国の基本計画でも、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保」が目標として掲げられ「住宅セーフティーネット機能の強化のための基本的施策」の記載があることから、千葉市の計画にも、主要な項目として引き続き位置付ける予定との答弁でした。
 「若年世帯・子育て世帯」向けと紹介のあった特定優良賃貸住宅についてですが、H28年4月現在、市内19団地、計654戸提供されています。契約家賃は、8万円〜10万円程度ですが、入居者は契約家賃から家賃減額補助を引いた入居者負担額を負担し、この負担額は原則3.5%ずつ引き上げ最終的には、契約家賃にすりつくまで家賃補助が行なわれます。千葉市特定優良賃貸住宅の管理開始日がH8年7月1日の若葉区の住宅は、20年を経過し、今月6月30日で管理終了日を迎えます。そのほかの18団地もH31年4月末日までに順次管理終了日を迎えます。管理終了後も入居継続は可能とのことですが、契約家賃へと移行した家賃負担は大きいと感じます。この間の千葉市特定優良賃貸住宅の評価についてうかがいます。また、今後の「若年世帯・子育て世帯」への施策として継続をするか、それを補完する施策を実施すべきではないのか。
【都市局次長答弁】
 特定優良賃貸住宅は、ファミリー向けの良質な賃貸住宅として、これまで1,218戸供給し、子育て世帯などの居住の安定確保と良質な住宅ストックの形成に役立ったものと考えております。若年世帯・子育て世帯への施策として継続することについては、管理満了を迎えた特定優良賃貸住宅は、今後、良質な民間賃貸住宅として活用されていくものと考えており、継続は考えておりません。また、補完する施策については、次年度の住生活基本計画の改定作業の中で、検討を進めてまいります。

【もりた真弓議員】
 国の補助事業として2015年度から始まった「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」は、入居対象を低所得の高齢者、障がい者、子育て世代などとした住宅確保事業で、家賃は公営住宅の家賃に準じると聞いています。国土交通省によると「公営住宅は応募倍率が高く、今後大幅な供給拡大も期待できない。民間賃貸住宅の空き家は一貫して増加傾向にあり、その有効活用が課題」として、空き家の改修工事などに国が補助金を出して、一定の質が確保された低廉な家賃の賃貸住宅を供給し、公営住宅の補完とするものとのことです。
 住宅困窮者への住宅供給の一つとして検討し、国の補助制度を活かす取り組みをしてはどうか。
【都市局次長答弁】
 現在、市内では、この制度により38戸の住宅が登録されており、そのうち入居可能な物件が10戸となっております。引き続き、事業者と利用者への情報提供を行うなど、当該事業の周知に努め、良質な賃貸住宅の供給を促進してまいります。

【もりた真弓議員】
 雇用促進住宅についてうかがいます。
 雇用促進住宅譲渡について、千葉市が買い取りしなかった理由は、「取得費や維持管理経費などの財政負担や老朽化、バリアフリー化対策などといった問題点を抱えている」とのことでした。2005年7月実施の意向調査には、「市営住宅の高齢化対策や設備の老朽化による建て替えや改善が急務」「財政的にも厳しい状況にあるため、当住宅を購入することはできない」とあります。「機構」の名称が、独立行政法人雇用・能力開発機構の時代から、千葉市には2005年に「雇用促進住宅購入のお願いについて」の通知がなされ、その後も2006年に「雇用促進住宅の購入及び同住宅からの退去者の公営住宅等での受入れについて」厚生労働省職業安定局長からの通知、さらに2012年には再度「雇用促進住宅の取得に係る意向調査のお願いについて」そして、2014年には「雇用促進住宅の譲渡に係る最終確認について」の通知が届きましたが、市内5か所の雇用促進住宅の取得希望は「無し」と回答しています。再三にわたる「お願い」にもかかわらず、千葉市は一貫して断っています。
 ことは、千葉市民の住居の問題です。雇用促進住宅の入居者一人ひとりは千葉市の住民です。現在の家賃額が3万円の美浜区の検見川住宅に入居している方は、「追い出されたらどこに住めばいいのか」と不安に思っています。美浜区で家賃3万円の住宅を探せるでしょうか。千葉市内でもこの値段で住めるところはありません。
 住民の不安な切迫した思いを受け、居住の安定を図るよう「機構」に求めるべきではないでしょうか。
【都市局次長答弁】
 雇用促進住宅の民間売却に係る入札条件において、入居者のいる物件については、10年間転売できず、現入居者の家賃などは、10年間変更できないこととされておりますので、引き続き状況を注視してまいります。

【もりた真弓議員】
 千葉県旭市では、雇用促進住宅入居者の住宅確保が必要であることなどから、住宅の譲渡を受けるための経費を2008年度の市の補正予算に計上し、「地域活性化・生活対策臨時交付金」を活用し、5階建て2棟79戸を買い取りました。市が管理を始めた2010年4月以降毎年1000万円の利益が出ているとのことです。
 また、山形県村山市では、人口流出の防止、低所得者に対する準公営企業的な住宅の提供などのために、雇用促進住宅を購入し運営しています。その際、公的な補助制度の社会資本整備総合交付金を活用したとのことです。国の交付金などを活用して公営住宅として運営し、岩手、福島、新潟、富山、石川なども雇用促進住宅を買い取り、公営住宅・地域優良住宅として活用している例もあります。現在、国交省は、社会資本整備総合交付金とともに、防災・安全交付金を創設して、住宅等を含む支援対象としており、地方自治体の裁量次第で活用できる条件はあります。
 現入居者が路頭に迷うことなく、住み続けられるように、千葉市でも国の交付金など活用し公的な住宅としての運営を求めるがどうか、おたずねします。
【都市局次長答弁】
 維持管理経費などの財政負担や老朽化、バリアフリー化対策などと言った問題点を抱えているため、公的な住宅としての運営は困難であると考えております。

【もりた真弓議員】
 国は、地方自治体向けに公営住宅への優先入居を何度も「お願い」しています。
 千葉市が居住者の住まいに責任を持ち、「通知」の趣旨を生かして、今から長期の整備計画をもって公営住宅を確保することを求めるがどうか、お答えください。
【都市局次長答弁】
 機構の民間売却の状況把握に努め、居住者に移転が必要となった場合、公的賃貸住宅や低廉な家賃の民間賃貸住宅などの情報提供を行います。また、市営住宅の整備などについては、引き続き千葉市営住宅長寿命化・再整備計画に基づき進めてまいります。

【もりた真弓議員】
 市営住宅についてです。
 収入に占める住宅費の割合は依然高く、貧困と格差が広がり所得が増えない中、少しでも安い住宅をと求める市民の声にどうこたえるのかが問われています。
 市営住宅の申し込みについては、導入したポイント制度を活用し、住宅に困窮している方が入居しやすくなるように取り組んでいるとの答弁でした。ポイント制導入により、困窮度の高い申込者の当選確率があがり、平均倍率が平均で5.8倍まで下がったとのことでした。子育て世帯や老人世帯、ひとり親世帯など、経済的支援を必要とする世帯の状況を把握することで一定効果あるとの評価もあります。一方で、若年層に対する記述がないように見受けられます。
 しかし、ポイント配点表の世帯状況に、老人世帯の同居で認められるのは18歳未満、ひとり親世帯では20歳未満としています。
 若者の住宅困窮の状況について、認定NPO法人ビックイシュー基金の呼びかけで設立された「住宅政策提案・検討委員会」が2014年8月に実施した「若者の住宅問題」インターネット首都圏と関西圏に住む20〜39歳の未婚で、年収200万円未満の学生を除く個人を対象にして、1,767人から回答を得たという調査があります。この調査では、対象者の77.4%が親と同居していると回答し、2010年の国勢調査で、親同居率は61.9%であったことと比較するとかなり増えていることがわかります。また、自分の住宅から親の家に戻ったと回答する人の割合は年齢とともに増え、いったん親と別居したものの、経済的要因などにより親との同居に戻っている人が多いのではないかと推測されています。
 このことから、若年世帯や若年者と同居をしている世帯についてもポイント制で配慮すべきであり、また、単身の若年者も市営住宅の申し込み対象にするよう求めるがどうか、うかがいます。
【都市局次長答弁】
 現状のポイント制では、一般住宅困窮者の中でも、高齢者世帯や障害者世帯などの困窮度が高い世帯を優先していることから、若年世帯や若年者と同居をしている世帯については、特に配慮しておりません。また、単身の若年者については、千葉市営住宅条例により対象としておりません。高齢者世帯や障害者世帯などの困窮度が高い世帯を優先した入居者の資格要件は、現状を維持してまいります。

【もりた真弓議員】
 長寿命化・再整備計画についてですが、2012年第3回定例議会で、野本信正議員の一般質問に対して「収入基準をクリアしている住宅困窮世帯の推計値は3万8,600世帯」と答弁しています。
 2012年の住宅困窮世帯の推計値3万8,600世帯は、その後、変化しているのか。直近の推計値でどうなっているのか、お示しください。
【都市局次長答弁】
 市営住宅長寿命化・再整備計画を策定するにあたり、3万8,600世帯を、公営住宅入居資格要件に適合している世帯として推計し、平成24年度から33年度までの計画であることから、現在、推計の見直しは行っておりません。

【もりた真弓議員】
 この数値は、本来であれば、申し込みしても断られない収入基準である世帯が、市営住宅の受け皿がないため待たされ続けている状況を示しているのではないでしょうか。
【都市局次長答弁】
 住宅困窮世帯の推計値3万8,600世帯のうち、5,100世帯を「真に住宅に困窮する世帯」として算定し、長寿命化・再整備計画を進めております。なお、「真に住宅困窮する世帯」が入居しやすいポイント制の導入により、効果が得られたことから、引き続き、取り組んで参ります。

【もりた真弓議員】
 千葉市は、千葉市営住宅長寿命化・再整備計画で、市営住宅が10年間で411戸減らすことについて、「将来、人口が減少することを踏まえ、本市が所有する住宅は必要最低限とし」ており、「用途廃止により転居が必要となる入居者には、民間賃貸住宅」を借り上げ、提供するとしています。千葉市ではUR住宅が「安定した住まいの供給」という点で、準公的な役割を果たしていますが、本来であれば千葉市が責任を持つべき公的住宅支援を、他に任せているということです。
 「入居者の居住の安定を図るため、民間賃貸住宅を借り上げる」とは聞こえはいいですが、現入居者を民間住宅へと転居させ、整備戸数を減らすのは公的な市営住宅の縮小であり、増やすべきではないのか、うかがいます。
【都市局次長答弁】
 市営住宅長寿命化・再整備計画では、市営住宅の整備手法として、長期的に採算性の良い建替えを基本と位置付けております。このため、人口や世帯形態などの変動に対応でき、また将来の余剰ストックが生じないよう配慮するため、需要に応じて民間の賃貸住宅を市営住宅として借り上げることとしております。

【もりた真弓議員】
 千葉市は、「時代の変化に対応できるよう配慮したもの」との姿勢です。千葉市営住宅長寿命化・再整備計画については社会情勢と今後の状況を見通して見直しをする必要はないのか、お答えください。
【都市局次長答弁】
 市営住宅長寿命化・再整備計画では、社会情勢の変化、事業の進捗状況などに応じ、適宜見直しを行うこととしております。

【もりた真弓議員】
 人口減少、少子高齢化の進展は市営住宅の提供を最小限に抑える理由に使われています。低家賃の公的住宅を整備し提供することは、認定月額15万8,000円以下の世帯、特に若い世代とファミリー層の居住の安定につながると考えないのか。
【都市局次長答弁】
 民間住宅の借り上げなどは、多様化する需要に対応することが可能であり、若い世代などの居住の安定に寄与するものと考えております。低賃金の公的住宅や民家住宅の活用等について、引き続き検討してまいります。

【もりた真弓議員】
 入居戸数が減少している市営住宅についてですが、居住者に良好な住環境を提供することは、今後の住宅の用途に関係なく行うことは当然です。
 耐震性が劣るとされた住宅のうち、さつきが丘では58戸中34戸が空き家、大宮町第2団地では42戸中22戸が空き家です。千城台第3団地では610戸中146戸、千城台第4団地では281戸中78戸、千城台第6団地は144戸中なんと101戸が空き家となっています。空き家となった後、新たに入居者を募集しない住宅では、居住者は確実に減り続けます。入居戸数が減れば減るだけ入居者一人ひとりの負担は増えていきます。現状では、共益費として敷地内の街灯や住宅の階段灯、テレビのアンテナなど共同で取り付けたものなどについて共益費として集金しているとのことです。そもそも、借りている住戸以外の区分の共益費を支払っていることは、是正されるべきではないのか。お答えください。
【都市局次長答弁】
 市営住宅の共益費は、共同生活の場における維持及び運営に要する費用として、入居者全体で負担していただくこととしており、その負担のルールは、入居者の話し合いで決めております。

【もりた真弓議員】
 市営住宅の入居世帯は、生活保護受給世帯や病気のある方、高齢者が多数であり、そうした世帯へ空き家分の負担をさせていることは問題です。入居者が50%を割り、3分の1へと減っている今でさえ2倍、3倍の共益費負担となっているのです。
 こうした負担をすることになっている根拠は何か、お示しください。
【都市局次長答弁】
 千葉市営住宅条例において、共同施設、エレベーター、給水施設、汚水処理の使用、維持及び運営に要する費用は、入居者に負担していただくこととしております。

【もりた真弓議員】
 このまま入居者が減り続け、最後の1人2人になっても「共益費は居住者が全管理戸数分支払う」ことになる制度は、直ちに改善をし、負担が増えないように対応すべきですがどうですか。
【都市局次長答弁】
 空き家戸数の増加により、入居者の共益費が負担増となっていることについては、今後、他都市の取り組み状況の調査を進め、検討してまいりたいと考えております。

【もりた真弓議員】
 庭付きの市営住宅の場合、高齢化が進んでいることもあって供用部分の草刈り等までできない。また、空き家については、2階建ての住宅の場合1,2階とも空き家の場合は、住宅整備公団が草刈りなどを行うことになっているが、1階もしくは2階どちらかが入居していると、空き家の分まで草刈り等の管理を任されていると聞いている。お金をかけて業者や人を頼んで対応している方など、住まいの空き状況によって、自宅以外の区域まで草刈りをすることになる、不利益を被る方法で管理が行なわれています。先日は、近隣から苦情があって、80歳を超えた高齢の入居者が共用部分の草刈りまでせざるを得なかったと聞きました。
 夏場の害虫発生など、近隣住民の生活環境を脅かす事態とならないよう市が責任を持って管理すべきですが、お答えください。
【都市局次長答弁】
 草刈りについては、空き家戸数の増加や入居者の高齢化に伴い管理が難しくなり、環境悪化が懸念されることから、今後、適正な管理について検討してまいります。

【もりた真弓議員】
 共用部分における低木を含めた樹木の剪定についても、高齢の住民には大きな負担です。樹木の高さに関係なく、市が剪定を行うべきではないのか、うかがいます。
【都市局次長答弁】
 現状では、安全上の観点から、概ね5メートル以上の高木の選定は、千葉市住宅供給公社が行い、それ以外は住居者の管理としております。

【もりた真弓議員】
 千葉市の都合で市営住宅の入居戸数を減らしてきて、結果、共益費や草刈り、樹木剪定等々、空き家の分まで居住者に負担をさせていることを、おかしいと思わないのか。経済的に困窮している世帯が入居している公営住宅としてふさわしいやり方なのか、問われています。
 今回、住宅問題を質問したのは、長く続く不況で困窮する世帯が増えている中「住まいさえあれば、何とか暮らしていける」という若者や子育て世帯に、また、長年千葉市に住み、今更新しい土地で新しい生活を始めることなどできない、望まない高齢者の方に、愛着のある千葉市に住み続けていただきたいからです。
 千葉市で家庭を持ち子どもを授かったご夫婦が、住宅費が高くて住めないと他自治体へと引っ越した例を聞きました。公営住宅の役割はますます重要であり、千葉市の対応が求められていることを強調しておきます。

2、子どもの貧困対策について
【もりた真弓議員】

 子どもの貧困の土台に、非正規雇用の増大と社会保障の連続改悪など「生活の不安定化と生活不安の増加」があると指摘されています。現代社会においては「所得格差・貧困拡大」が必然的に生じることになり、ひとり親世帯や疾病入院患者を抱える世帯を生活苦が直撃します。家族の養育機能障害が児童虐待などに現れ、児童相談所への相談を通じて、児童養護施設・乳児院などの施設へ入所措置となるケースは増加しています。さらに、施設入所などの権利が保障されないまま、子どもの貧困と家族の養育機能障害が放置されると、最悪の結果として、親子心中、子殺しとなって社会問題化することにもつながります。子どもの貧困は究極的にはいのちのはく奪というかたちであらわれると言われています。日本小児科学会は、虐待で死亡した可能性のある15歳未満の子どもが全国で年間約350人に上ると推計を発表しました。大変深刻な問題です。
 子どもの貧困が大きな社会問題となり、「子どもの貧困対策法」が制定され、「子供の貧困対策に関する大綱について」閣議決定されました。「子供の貧困対策大綱」では、地方自治体でも「子供の貧困対策についての検討の場」を設けるよう、また「子供の貧困対策についての計画」を策定するようにとあります。うかがいますが、
 1つに、18歳未満の子どもうち6人に1人が「貧困」と言われる中、千葉市の状況はどうか。
 2つに、千葉市の子どもの貧困対策について「検討の場」を設けることや、「計画」の策定にどう取り組むのか、うかがいます。
 3つに、福岡県八女市の「小中学校入学お祝い金支給事業」や同じく福岡県古賀市の「保護者負担軽減事業」、全国で122自治体にのぼる「給食費の補助制度」などの取り組みについて、見解をうかがいます。
【こども未来局長答弁】
 本市の子どもの貧困の状況についてですが、平成25年国民生活基礎調査において、全国の子どもの相対的貧困率が16.3%と公表されましたが、この調査は全国世帯を対象として無作為抽出によって行われており、各市町村の貧困率は算出されておりません。しかしながら、国が定めた「子どもの貧困対策に関する大綱」には、「子どもの貧困対策に関する指標」が示されており、本市の数値と比較可能な指標の状況等を勘案しますと、全国的な状況と同様な状態にあると認識しており、今後、実施を予定している実態調査により、本市の状況等の把握に努めてまいります。
 子どもの貧困対策についての「検討の場」や「計画」策定についてですが、子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、必要な施策を総合的に推進することが重要だと考えております。そのため、庁内横断的な対策の検討や事業間の相互調整を行うため、関係課による新たな庁内連携会議の設置や、計画内容を審議する「社会福祉審議会児童福祉専門分科会」に、臨時委員として、ひとり親家庭の当事者や生活困窮世帯の支援者を参画させ、意見聴取を行うなど、多様な方法で「検討の場」を設け、計画策定に取り組むこととしております。加えて、生活保護世帯をはじめとした困窮世帯の状況等を把握するため、アンケート調査等を行い、本市の実情を踏まえた計画策定に取り組んで参ります。
【教育次長答弁】
 子供に対する支援策については、各自治体の実情に応じて工夫し、独自の取り組みがなされていると考えます。他自治体の事例については、今後、参考にして参ります。