中村きみえ議員の反対討論



2016.6.24

写真 党市議団と代表して、議案第83,85,86号に反対し、発議第6号が否決され、請願第2号が不採択されたことや議案第92号について討論を行います。

議案第83号千葉市旅館業法施行条例の一部改正について
 これは、住宅の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供する民泊サービスについて、簡易宿泊所の枠組みを活用して旅館業法の緩和を行うものですが、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要に応えても、宿泊者の安全性の確保や近隣住民とのトラブル防止などを行えるのか疑問が残ります。ネットでの予約で、届け出がない業者が蔓延し、実態も把握できずに良好な地域環境や宿泊者の安全を守ることはできません。基準を緩和するのではなく、質の向上・相互理解が深まる心が通い合う宿泊施設こそ増やすべきです。

議案第85号千葉市ビジネス支援センター設置管理条例の一部改正について
 今回の改正で、利用形態の変更、休日と利用時間の変更によって利用者の利便性が高まりますが、利用時間の変更に伴う利用料の負担増を利用者に求めることには認められません。コマ割りを1時間単位にするなど、利用者の利便性を考えた柔軟な対応を求めます。
 また、平成23年第3回定例会で当時の経済農政局長は「入居希望が多いことから、将来を見据えた新たなインキュベート施設の必要性などを勘案し、公共施設の空きスペースの活用や民間施設の借り上げとあわせ、管理運営方法などについて研究を進めてまいります」と答弁しています。今回の議案でWeb販売等が増加し、実店舗販売のニーズが低下したことを理由の1つとして、富士見分館の廃止も示されています。ビジネス支援センターは産業振興と地域経済の発展に寄与することが目的として掲げられており、ニーズに合わないとして、安易に廃止するのではなく、地域経済の発展や市民のために使われるよう求めておきます。

議案第86号千葉市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正について
 今回の改正では平成28年に3月4日に「幕張新都心若葉住宅地区計画」の変更による地区計画を定めた改正で、面積約21.5ha、総供給戸数4,515戸、事業期間15年間、総事業費約1,860億円で、37階建て3棟、46階建て4棟の約150mの超高層のタワーマンションをつくり、アメリカのオレゴン州のポートランド開発部と連携してドローン宅配などを行おうとするものです。
 全米で「住みたい街ナンバー1」のポートランド開発局と連携し、地域ルール作りや住民目線を特徴とするまちづくりを目指すとされていますが、そもそも住民の声が入っているのか、町だけ作ってもそこに住む子どもたちのための学校はどうするのか、土地の活用だけで住む人の目線に立ったまちづくりと言えるのか、疑問が残ります。自民党の議員から、入居の見通しがあるのか懸念の声が出されるなど、人口減少する下で、まちづくりを進めて成り立つのか疑問が残ります。
 拙速に進めるべきではありません。

議案第92号議決事件の一部変更について
 なお議案第92号議決事件の一部変更について(旧千葉市立磯辺第一小学校解体工事に係る工事請負契約)ですが、2015年9月議会でも、用地を企業庁に返還することは納得できないこと、学校跡地についても市民から高齢者施設や子育て施設の設置要望が出されていること、契約について競争した形跡がない極めて不自然な入札だと指摘しておりました。
 今回、杭の引き抜き作業中に発生した事故で作業に従事した方が、深刻な被害を受けています。事故原因はいまだ判明しておりません。しっかりと追及していただくことを求めます。なお、再発防止策が講じられるようですが、今後は、万全の体制で作業に従事し二度と悲惨な事故が起こらぬように求めておきます。

発議第6号千葉市都市景観条例の一部改正について
 太陽光発電設備を設置しようとする事業者に、市長への事前説明と近隣住民への説明を求め、地域環境の調和を図り、住民の利益となるよう他自治体での例を参考に、千葉市都市景観条例の一部改正することで、何らかの可能な調和を講ずることを求めたものです。
 日本共産党は、再生可能エネルギーの飛躍的普及は当然、図られるべきと考えます。今日、メガソーラーが地球の環境を破壊する大きな問題となっています。地域環境に配慮しながら推進することが重要と考え条例提案しました。
 委員会では、景観法施行令で「建築物又は工作物の利用を不当に制限するものではないように定めること」となっているからといって、条例に反対することは、事業者による周辺住民や環境を無視した無秩序な設置を見過ごせば、近隣住民とのトラブルを引き起こし、地域景観を著しく損なうことになりかねません。紛争を未然に防止するため、スピーディーな対応を求められる中、都市景観条例では「適切ではない」「必要性は感じられない」等の意見で日本共産党以外の反対で否決されたことは、住民の願いに反するもので、残念です。

請願第2号就学援助制度拡充を求める請願について
 意見陳述では、子どもの貧困の問題が深刻化するなか、中学校入学前に制服や体操着などの入学時に必要な費用が10万円近くかかることを紹介され、就学援助の入学準備金の支給を入学前の3月にすること、就学援助金の支給を7月ではなく、年度初めの早い時期にすること、就学援助の認定基準を生活保護基準の1.0倍から引き上げることが求められました。
 現在の制度では、小学校、中学校の入学時に必要な費用が工面できません。本当に必要な時に入学準備金の支給が求められます。新潟市や板橋区などの様に3月の支給に変更すべきです。また、全国平均は15%ですが、千葉市の認定率は8%と低い水準です。政令市における就学援助の認定額の倍率においては、千葉市と同様の1.0倍が7市であるのに対し、1.1倍以上は13市と、多くの政令市でも基準を1.0倍以上に設定し、より多くの世帯に就学援助を支給しています。さらに、川崎市のように申込書を事前に郵送で全ての世帯に返信をもらう形式に変更し認定率をあげるなど全国的にも就学援助の拡充が進展しています。
 子ども貧困対策法を施行されたいま、千葉市も自治体として子どもの貧困対策に積極的に取組むことが求められます。
 委員会審議において、市民ネットは「どうしたら支給を3月にできるか考えてほしい。支給月も早めるように求め」と賛成しました。しかし、未来民進ちばは「3月に支給はダブルチェックがいる。社会福祉資金の貸し付けを行うことやマイナンバー運用で改善を。生保基準は他市でもまちまち、願意は理解するが、反対」。公明党は「倍率を上げるのがいいのか悪いのか財源もあるなかあれもこれもとはいかない。現場のニーズ把握につとめてほしい、3月支給変更は、制度上変えるのは難しいのではないか」と反対。自民党は「前倒しして支給することは、考え方を変えれば可能ではないか。3月支給は努力してほしい。認定額の倍率は1.5倍に上げたときの財政負担は大きいので、気持ちわかるが、税金の公平、公正で賛成できない」と反対。
 結果は、反対多数で不採択になったことは極めて遺憾です。教育委員会には申し込み申請のあり方の検討から、人員配置等、システム見直しなどで早急に就学援助制度改善するよう求めておきます。