党市議団提案の意見書

平成28年第3回定例会
No.1

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

子供の貧困対策を抜本的に強めるよう求める意見書(案)

 厚生労働省の調査(2012年)では、子供の貧困率が過去最悪となる16.3%、6人に1人が貧困ラインの122万円以下で暮らしているとしている。とりわけ深刻なのは、母子家庭などの一人親家庭の子供で、貧困率が54.6%と、2人に1人を超えていることである。子供の貧困率は、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国の中では9番目、一人親家庭では最悪となっている。
 貧困世帯の子供は学習面で不利な状況に置かれ、経済的に進学を諦めたり、退学せざるを得ない子供が多いと言われている。それは、就職にも大きく影響することになり、「貧困の連鎖」へと進む原因にもなっているのである。このような背景について、「政府が規制緩和を進める中で、企業が正社員を減らし、賃金の低い非正規労働者を増やしてきたことが貧困率を押し上げている」との指摘もあり、貧困と格差の解消に向けた国の役割は決定的に重要なのである。
 国は、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定し対応を始めてはいるが、極めて不十分と言わざるを得ない。一人親家庭の第2子から「児童扶養手当を増額」したが、一人親家庭の約6割は「子供が1人」であり増額にはならない。生活保護世帯では、子供の数が多いほど「生活扶助費」、「冬季加算」の削減幅が大きくなる。また、「子育て世帯」への臨時給付金は廃止されるなど、効果的な対策にはなっていない。
 子供の貧困対策として、児童扶養手当の所得制限の緩和、給付型奨学金の創設、給食や修学旅行費の無償化、子供の医療費助成の制度化、社会保険料や税の負担軽減など、国として真に実効性のある施策を直ちに進めるべきである。
 よって、本市議会は国に対し、子供の貧困対策を抜本的に強めるよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会


平成28年第3回定例会
No.2

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

公的年金積立金の投機的運用はやめるよう求める意見書(案)

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、本年7月29日に発表した2015年度決算で、5兆3,098億円もの巨額損失の発生が明らかになった。安倍政権のもとで、GPIFがこれまでの方針を転換して、株式の運用を倍増させてきたことが今回の大損失につながったものである。
 国民が納めた年金保険料の積立金約135兆円(2015年度末時点)は、老後の年金を保障するものであり、安定的に運用することが大前提とされてきたものである。
 ところが、安倍政権は「アベノミクス」の成果として「株高」を演出する必要があり、国民の大切な年金積立金を使って、国内・国外株を大量買いし「株高」を支えてきたのである。しかし、「投機」は「ギャンブル」でもある。本年8月26日、GPIFは英国の欧州連合(EU)離脱ショックなどにより株価が急落したことから、2016年の4月から6月にも約5兆円もの損失が発生したと発表した。損失が出れば、そのツケは年金削減や保険料引き上げとなって国民に回ってくることにもなりかねない。
 国民が支払っている国民年金や厚生年金の積立金は、国民共通の財産である。金融大国の米国でさえ、公的年金の積立金は株式運用しないルールがある。国民の年金積立金で株価をつり上げ、景気回復を装うなどは、政府がやるべき経済対策ではない。
 よって、本市議会は国に対し、国民の年金給付への安心のため、公的年金積立金の投機的運用はやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会


平成28年第3回定例会
No.3

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

四国電力伊方発電所の停止を求める意見書(案)

 本年8月12日、多くの反対や不安の声を顧みず、四国電力は伊方発電所(伊方原発)3号機の再稼働を強行した。7月末に予定していた再稼動直前に、1次冷却水材ポンプの不具合が見つかり延期していた原発であり、いくつもの不備・不調が指摘されている中での稼働は、とても容認できるものではない。
 伊方原発は、ウランを燃料とする通常の原発とは異なり、人体に影響があるプルトニウムをウランとまぜて燃焼するプルサーマルの原発である。コントロールの難しさや事故の際の甚大な被害を懸念し、世界では撤退の方向にある原発である。その危険きわまりない原発が、国内最大の活断層と言われる本州から九州まで連なる中央構造線断層帯の近くに位置している。また、原子炉容器の上ぶたが応力腐食割れを起こしやすい材質だと判明し、国内の原発では改修が進んでいるにもかかわらず、伊方原発ではそのまま使用している。さらに、重大事故が発生した際の周辺住民の避難方法が不十分な中での再稼働なのである。
 原子炉等規制法で「運転期間は原則40年」とされていながら、老朽原発の延長を次々に認めるような審査では、とても「原子力規制委員会」とは言えず、東京電力福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)などなかったかのように、政府の原発推進路線と一体となって、電力会社の経営を最優先に審査したと考えざるを得ないものである。
 ことしの夏も原子力に頼らずとも電力需要は十分に賄えている。政府も原子力規制委員会も福島原発事故の反省を生かすには、原発の再稼働ではなく、事故の原因究明と収束、被災者救済に取り組むべきである。
 よって、本市議会は国に対し、四国電力伊方発電所の停止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会


平成28年第3回定例会
No.4

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

医療・介護のさらなる改悪をやめるよう求める意見書(案)

 安倍政権は、先の参議院選挙で「1億総活躍社会」を掲げ、「保育の受け皿」づくりや「介護離職ゼロ」などを強調して、子育てや介護の不安をなくすかのような発言を繰り返し、社会保障を削減することには一切触れずにきたのである。ところが、選挙が終わったのを受け、医療・介護の改悪を強引に推し進める構えである。
 一般病床では、本年4月から入院時食事療養費が1食360円に値上げされ、2年後には460円への引き上げが決まっているほか、新たに居住費320円(65才以上は370円)も負担させる計画であり、入院患者は1日1,700円、1カ月51,000円を負担することとなる。これでは、「負担できない患者の追い出しになる」、「医療難民を広げることになる」、「命を脅かすものだ」など、多くの医療関係者から懸念の声が上がっている。
 介護では、昨年、要支援1・2の訪問・通所介護が保険給付から外され、要介護1・2も特別養護老人ホームの入所要件外となり、施設への介護報酬も大幅に引き下げているが、今度は、要介護1・2の訪問・通所介護を保険給付から外そうとしている。8月からは、障害者年金と遺族年金受給者の施設利用者への軽減策が縮小され、ベッドなど福祉用具の貸与も自己負担にする計画も出されており、これ以上、預貯金等を切り崩しての暮らしを国民に迫ることは、「老後破壊」をつくり広げることになる。これに対し、「保険あって介護なし」の事態を悪化させるだけであり、政府の言う「自立支援」、「介護離職ゼロ」に逆行する内容である。国は、「受益と負担の公平性」や「持続可能な制度の確立」などとして、福祉削減や負担増を迫るが、日本国憲法第25条では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」としているのであり、福祉や医療は国民の負担次第で決めるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、医療・介護のさらなる改悪をやめるよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会


平成28年第3回定例会
No.5

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

核兵器への依存姿勢を改めるよう求める意見書(案)

 米紙ワシントン・ポストは本年8月15日付で、オバマ米大統領が検討している核兵器の先制不使用宣言について、安倍晋三首相が反対の意向を米太平洋軍トップのハリス司令官に伝えたと報じている。安倍首相は同報道を「否定」しているとも伝えられているが、国連での核兵器禁止条約に向けた努力に対する日本政府の対応とを重ね合わせると、被爆者などからの厳しい批判が出るのは当然である。
 本年、原子爆弾が投下されてから71年目を迎え、8月6日と9日の広島・長崎での平和式典で安倍首相は、「悲惨な経験を二度と繰り返させてはならない」と挨拶し、「核なき世界」への取り組みを約束したばかりである。
 オバマ大統領は、初めて広島を訪問し、米国などの核保有国に対し、「核兵器のない世界を追求する勇気を」と演説した。その具体的な動きとして、核先制不使用宣言が検討されているのであり、核兵器廃絶と平和な世界を目指す国際社会は、大きな期待を持って注目している。
 安倍首相は「北朝鮮のような国々への抑止力が弱まる」ことを理由に反対したと報道されており、「抑止力」を理由にした「核兵器の使用を正当化する態度」であり、「核兵器のない世界の実現に逆行する」との抗議の声も起こっているのである。
 国連本部で開かれていた、国連核軍縮作業部会が本年8月19日、核兵器禁止条約の2017年の交渉開始を求めた報告を採択した。報告では、2017年の交渉開始について、国連加盟193カ国のうち107カ国が支持を表明したとされている。核保有国などの抵抗はあるものの、「核廃絶」の願いは世界の大きな流れとなっている。
 しかし、唯一の被爆国である日本は同採択を棄権しており、このような姿勢は極めて異常であり遺憾である。
 よって、本市議会は国に対し、核兵器への依存姿勢を改めるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会


平成28年第3回定例会
No.6

 (提出年月日)平成28年8月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

政党助成制度の廃止を求める意見書(案)

 政党助成制度が1995年に導入され21年が経過した。金権腐敗政治の温床とされた企業・団体献金を制限する目的から、一定の要件を満たす政党に対して、全ての国民一人当たり250円に相当する額として年間約320億円が国庫より交付されており、制度導入以来の交付総額は6,600億円を超えている。
 しかし、現在でも制限すべき企業・団体献金は野放し状態で、政党交付金との二重取りが続いており、そこから、政党の「政治とカネ」に対する感覚麻痺とも思える事態が進んでいる。政党交付金がほとんどを占める政治資金で「ホテル代や高額な飲食代、美術品の購入代」(舛添前東京都知事)、「健康診断代」(丸川五輪担当大臣)、「妻が所有するマンションに対する計2千万円の事務所代」(松本内閣府副大臣)を支出するなど、不適切な使途は数多く報道されている。しかも、未使用額は国庫に返還するのが原則とされているが、「基金」の名目で巨額のため込み金があることも明らかになっている。
 政党は、国民の中で活動し、国民に支持を得て活動資金をつくるのがあるべき姿である。国民には消費税増税や社会保障費の負担増を押し付けながら、税金その他の貴重な財源から交付金として自分たちの資金を受け取るのは、国民の理解を得られるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、政党助成制度を廃止するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成28年  月  日

千 葉 市 議 会