かばさわ洋平議員の条例提案説明



2016.9.5

写真 発議第8号 千葉市児童養護施設退所者等奨学基金条例の制定についての提案理由の説明を行います。
 今回提案する条例は、児童養護施設の退所者等が大学・専門学校等への進学の希望を断念することなく、社会的自立に向け、進学後の学費を助成するため、千葉市児童養護施設退所者等奨学基金制度を設置しようとするものです。
 「学びたくても学べない」「進学はあきらめざるを得ない」、多くの児童養護施設や里親のもとで暮らす子ども達の悲痛な声です。児童養護施設から18歳で大学に進学したいと考えても、国立大学でも80万円、私立では130万円を超える年間の学費とアパート代を含む当面の生活費の工面があまりに大変で、アルバイトに明け暮れるものの追いつかず、進学を諦めざるを得ない状況にあります。2016年の厚生労働省の調べでは、全高校生の約7割が大学等へ進学をする中、児童養護施設等の出身者の大学等の進学率は2割ほどにすぎません。また大学等に進学しても、児童養護施設等の出身者は3人に1人が中退しているということで、親元を頼れない境遇である児童養護施設等の出身者の状況は非常に厳しいものがあります。
 子どもの貧困が深刻な状況にある中、全国でも京都市や世田谷区で児童養護施設の退所者等に限定した奨学基金等がスタートしました。世田谷区では、楽天株式会社の三木谷会長や林家木久蔵さんをはじめ多くの著名人が賛同人として「少しでも多くの学生たちが安心して学業に専念し、将来の日本を担う1人として活躍してくれることを期待します」と児童養護施設退所者等奨学基金を支援しています。
 貧困を防止し、貧困から抜け出す上でとても重要な役割を果たすのが教育です。子ども達が進学して希望する職に就くことを支援することが求められています。今回提案の基金確保には市による拠出金を充てるとともに市民からの寄付を募ります。給付については、児童養護施設の退所者等で進学するものに学費の一部として月額3万円を4年間にわたり給付をし、返還は求めない給付型奨学金の創設を考えます。
 今こそ貧困から抜け出すために困難を抱える子ども達に市が支援の手をさしのべるときです。こうした支援の中で貧困の連鎖を解消することが、経済効果につながり、同時に市への恩返しという郷土愛にもつながり、地域発展の絆を創り出します。また、教育への支援、子ども貧困支援の政策的メッセージが、千葉市は教育の都市、子育ての都市としてアイデンティティー確立へとつながり、若年層世帯の流入にもつながるものと思います。全ての子ども達が夢に向かって進む権利は、平等であるべきであります。生まれ育った環境に左右されず進学を希望する子ども達が同じスタートラインに立てるようにすることが、行政の責務です。千葉市から子ども達に夢を与える新たな制度をつくり発信し、千葉市の子ども達のみならず、全国の子ども達に希望を届けようではありませんか。同僚・先輩議員のご賛同をお願い致しまして、提案理由の説明を終わります。