ふくなが洋議員の代表質疑



2016.9.7

写真 わが会派は、先の9月6日2017年度の予算要望書を市長に提出しました。それにもとづいて会派を代表して質疑を行います。

1、市長の基本姿勢について
 基本姿勢の第1は、国政と千葉市政についてです。
 7月10日の参院選挙は、戦後初めて野党と市民が全国的な規模で選挙協力を行う歴史的な選挙となりました。全国32の1人区の選挙区で、すべての野党統一候補が実現して、「安保法制廃止、立憲主義回復、安倍政権打倒」の共通の大義を掲げて戦い、11の選挙区で勝利を収めました。
 また、7月31日投票で東京都知事選挙が戦われました。野党と市民の統一候補の鳥越さんは、「都民の声を聞く」姿勢と大型開発優先から都民の暮らし優先の都政への転換を旗印に掲げ大健闘しました。
 そこでまず、先の参院選の結果と野党と市民の共闘の流れについて、市長の見解を伺います。併せて都知事選の結果についての見解を伺います。

 2に、暮らしと経済の問題で、アベノミクスについて伺います。
 7月29日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度決算で、何と5兆3千億円の巨大損失が明らかになりました。
 さらに、安倍首相は「アベノミクスのエンジンを最大限に吹かす」と具体的な中身を示さず、リニア新幹線などへ大型開発バラマキが浮上しています。その一方で、社会保障の改悪で、高齢者医療の窓口負担を75歳以上についても2割負担にする計画が出されています。
 介護保険でも要支援1,2の人の保険給付外しに続き、要介護1,2の訪問介護や通所介護を外す法案準備を進めています。そこで伺います。
 破たんしているアベノミクスへの評価、GPIFの巨額損失や介護保険の改悪が市民生活に深刻な事態をもたらすと考えないのか伺います。

 3に、民主主義の問題として沖縄の米軍基地問題です。
 これは地方自治の問題でもあります。首相は「県民に寄り添う」と発言しつつも「ヘリパット基地建設の強行」「話し合いの解決を放棄して沖縄県の提訴する」「法律を無視して辺野古工事の再開」は安倍政権が追い詰められている証左です。
地方自治体の長として沖縄への強権・無法な政府のやり方についてどのように考えるのか、また全国が沖縄県民の「基地のない平和で豊かな沖縄」求める願いに連帯をするべきと考えないのか伺います。

 4に、原発ゼロに、そして再生可能エネルギーについて伺います。
 福島原発事故から5年半が経過をしました。福島県ではいまなお、9万2千人が避難生活を余儀なくされています。福島第一原発は収束には程遠く深刻な現状があります。政府が原発再稼働や原発輸出のために福島原発は「終わった」ことにしようとしていることは絶対に許せません。そこで伺います。
 (1)すべての被災者が生活と生業を再建できるまで国と東京電力が責任をもって支援をするべきと思わないのか。
 (2)指定廃棄物長期管理施設についても伺います。
 環境省は7月22日千葉市が保管する7.7トンの指定廃棄物について、放射性物質濃度が基準を下回ったとして指定の解除を千葉市に通知しました。そこで伺います。
 千葉市の放射性廃棄物問題の根本的な解決と責任はどこにあると考えているのか。
 (3)再生可能エネルギーについてです
福島原発事故で原発が抱える危険性と事故被害の実態が明らかになり「原発安全神話」は完全に崩壊しました。2年近く原発稼働がなくても日本社会がやっていけることが明らかになりました。
 原発のない日本をめざし、無謀な原発の再稼働と輸出をやめて「原発ゼロの日本へ」政治決断をするべきです。そして、再生可能エネルギーを千葉市でも大量に導入する。むだや不要不急のエネルギー需要を削り、エネルギーの効率を上げる。省エネの徹底、地球の環境・資源の上で持続可能な低エネルギー社会をめざすことで、エネルギーの自給率を引き上げることです。そこで伺います。
 千葉市の条件にあった再生可能エネルギーの開発・利用を拡大する。太陽光・熱、小水力、風力、地熱、波力そして地域産業と結んだバイオマスエネルギーの活用を今一度再検討するべきではないか。
 また、再生可能エネルギーの活用を地元中小企業の仕事や雇用に結びつくように追及して、地域経済に取りいれたエネルギーの地産地消を進めるべきではないのか。

 5は、地方創生についてです。
 千葉市は憲法の「地方自治の本旨」にたちかえり、地方自治体の役割を拡充し「住民福祉の機関」にふさわしく地方の再生に取り組むことが求められます。
 しかし政府は「地方創生」の名のもとに「集約化」をすすめ民間企業の参入を促進することで地方自治体の公的責任を投げ捨てる方向です。
 地方交付税は自治体が地方税等の収入でまかないきれない不足分について、どの自治体にも財源保障をする制度です。ところが2016年から導入された「トップランナー方式」は民間委託・民営化など「行革」が進んでいる自治体の低い経費を基準に交付税を算定するもので地方交付税の削減につながるものです。そこで伺います。
 (1)地方交付税の「トップランナー方式」は地方交付税の削減につながると考えないのか。図書館・公民館管理・自治体の窓口業務などの指定管理者制度、民間委託など業務拡大は止めるべきと考えないのか。
 (2)地方財政計画の「まち・ひと・しごと創生事業費」は成果による算定は撤廃して「必要度」による算定とするべきではないのか。
 (3)「ふるさと納税」についてです。
 2008年に創設された「ふるさと納税」は居住地以外の地方自治体に寄付した場合に通常の所得税・住民税の寄付金控除に加えて住民税の税額控除を受けられる仕組みであり、故郷への応援、被災地支援など積極的な意味を持っています。
 こうした本来の趣旨を生かせるよう、自治体の「返礼品」競争の弊害や富裕層優遇となるおそれがある点は速やかな改善が必要です。そこで伺います。
 千葉市のふるさと納税へ評価・取り組み、実態について、改善すべき課題は何かを明らかにしていただきたい。

 6は、エアコンの設置計画についてです
 エアコンの設置は、子どもの命に関わる問題です。これまで住民運動や署名活動を行い、市長や議会に対して要請を続けてきました。教室へのエアコン設置計画の請願は6月議会では継続審議となりました。
 今日、エアコン設置は市長の決断で設置を進める時です。市長がエアコン設置の方向を今すぐ決断すべきではないのか。

 7は、障害者殺傷事件について伺います。
 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、元施設職員の男性により入所者19人が殺害され、27人が重軽症を負う事件が深い悲しみと憤りを広げています。
 一切の差別や敵意、偏見を許さないことが障害者をはじめ誰もが大切にされる社会をつくるための課題であり、生命と個人の尊厳を守りぬく社会の実現をめざすことが大切です。
 事件の被害者となられた方々のご冥福をお祈りするとともに負傷されたかたの一日も早い回復を心より願うものです。その上でお尋ねします。
 今回の残虐な事件の背景、公的な保障のもとで多様な生き方を認め、成長しあう社会の実現のためにどのように考えるのか、千葉市における対応について

 8は、東京オリンピック・パラリンピックについてです。
 「スポーツを通じて幸福で豊な生活を営むことはすべての人々の権利である」とうたったスポーツ基本法が制定されて5年になります。2020年の東京五輪、パラリンピックの開催都市になる千葉市の準備は市民本位で民主的に進めなければなりません。そこで伺います。
 (1)オリンピック・パラリンピックについては、国に対し国民にすべてを公開し、公正で透明性を確保した「開催計画」を実行し「簡素で無理のない計画」にするように求めるべきではないのか。
 (2)障害者のスポーツ参加を促進しバリアフリーのスポーツ施設の増改築、障害に配慮した設備・用具の整備、指導者・ガイド・介添え者の配置などを充実させるべきではないのか、そして障害者スポーツ基金条例を制定して障害者スポーツを発展させる時ではないのか。
 (3)障害者がスポーツへ取り組めるように環境つくりで企業や自治体での採用や障害者スポーツの観戦が多様性・共生社会づくりになるのではないか。

 基本姿勢の第2は、決算についてです。
 2015年度の決算は歳入決算額3,923億6,000万円、歳出決算額3,848億500万円で差し引き75億5,500万円を翌年度へ繰り越し事業住等財源30億1,400万円を引くと実質収支は45億4,100万円と報告されています。
 実質公債費比率は18.0で、将来負担比率は208.7となっています。背景には景気回復による税の増収その反面、市債管理基金からの借り入れが10億円あり、公共料金の国民健康保険料・介護保険料などの新設・値上げで10件15億6,393万円を市民負担させています。そこでまず伺います。
 1に、こうしたことを考えると決して喜べる平成27年度決算ではないと考えますが説明と見解を求めます。

 2に、大型開発公共事業予算についてです。
 千葉駅西口、蘇我特定地区整備、房総導水路事業負担金など13億3百万円投入されています。この投資が市民の福祉の向上に役立ったのか説明をいただきたい。

 3に、新庁舎の建設についてです。
 現庁舎の耐震診断を改めて実施することは考えないとのことです。今日の災害状況は「災害多発国」である現実があり、自然災害への備えを欠くことはできません。
 そこで「建て替え先にありき」ではなく耐震診断を行い耐震改修のやり方も含めて市民参加で検討するべきではないか。
 さらに建設費などの徹底した情報開示を行うべきではないか伺います。

 4に、決算における電力小売りの全面自由化についてです。
 そこでは千葉市の公共施設では電力自由化で再生可能エネルギーを選び市民の福祉向上に生かすことだと考えます。千葉市は電力自由化で平成23年度から一部の施設をとりまとめた一般競争入札をおこなっています。
 課題は市有施設では、まだ従来のまま東京電力との契約が行われていることです。
 これまでの取り組みの成果と従来のままの契約や一般競争入札にした場合、またそこで千葉市の公共施設をすべて地域密着型の電力にした場合どのくらいの効果があるのか伺います。

 5に、国民健康保険事業についてです。
 歳入総額1,104億2,563万円で、歳出総額は1,181億480万円で、差し引き額は76億7,916万円のマイナスとなっています。2018年から国民健康保険の保険者(国保)は都道府県と市町村になり、1961年スタートした国保は55年の歴史の中で大きな転換期を迎えます。都道府県化は「国保の医療費を削減するため」と言われます。そこで伺います。
 2015年から保険者支援として1,700億円が全国の市町村に配分されました。国は1人5,000円の財政効果があると説明しています。千葉市ではいくら交付されたのか何に使われたのか保険料の引き下げに使われたのか。
 また、千葉市は都道府県化にあたり住民の立場に立って命を守る立場で安易に平準化・標準化・統一化に流されないようにするべきではないのか。

 6に、保育の問題です。
 保育所の待機児童問題も引き続き深刻な問題となっています。国は「企業主導型保育」で設置や運営に行政が関与しない認可外保育所を増やすことであり待機児童解消にはほど遠いものです。
 千葉市では待機児ゼロを昨年4月発表しました。ところが待機児はゼロなのに「保育所に入れない」問題が浮上しました。そこで伺います。
 これは国の定義や自治体の裁量で待機児童を除外してきた背景があります。本来待機児童数は「認可保育所に申し込んでも入れない子ども」とする定義とするべきではないのか。千葉市の待機児童数、潜在的な児童数の実態について。
 また、質の高い認可保育所増設を急ぎ、保育士の待遇改善、多子世帯をはじめ保育料の助成・無料化を実現するべきですがどうか。

 基本姿勢の第3は、あらゆる災害への対策についてです
 熊本地震から5カ月になります。基本は地震が来ても壊れない耐震化した建物にする。震災の拠点となる施設の耐震化・免震化は大切であり、今後の地震に備えてやれることはたくさんあると指摘されています。
 復旧や復興は発災前からの対策の準備にかかっている。災害は完全には防げないが危機が直面した時の備えはできる。その点で国と自治体の果たす役割は大きいものがあるとされています。
 首都直下型地震への備えは、まず地震が起きやすく「地盤が揺れやすい」ことに踏まえた対応、直下地震の死者は最大2万3,000人とされ、そのうち70%が火災によるものとされ、全壊・全焼失は61万棟と予想されています。
 これは対策によって減らすことが可能とされています。熊本で起きた地震は特別ではなく全国どこでも起こるものでありとりわけ首都圏で確率が高いことを肝に銘じなければなりません。そこで伺います。
 (1)熊本地震への教訓を千葉市に生かすことについて、被災者目線の対応を求めます。
 (2)家は個人財産だからというにとどめずに「社会的存在」の観点から公的な資金を投入して千葉市の街づくりを進めるべきではないのか。
 大型台風10号は多大な被害をもたらしました。4月から続く熊本地震や8月の相次ぐ台風襲来は日本が「災害大国」であることを浮き彫りにしました。
 自然災害への備えがますます重要になっています。国や自治体を中心にあらゆる事態を想定して、災害の新たな様相や変化に応じた対策を講じるために防災・避難体制の総点検と拡充をすすめることが求められます。そこで伺います。
 これからの台風や集中豪雨対策を新たな様相と変化に対応できるように対策を見直すべきではないのか。
 また、首都直下型地震の発生の危険が警告されています。「災害に強い千葉市づくり」のための具体的な取り組みは待ったなしです。あらゆる災害への備えについてういかがいます。

2、総務行政について
 1に、マイナンバー制度につて伺います。
 現在、全国8か所で500人を超える原告が「マイナンバー制度は新たな国民総背番号制度であり、憲法13条で保障されたプライバシー権を侵害する違憲の制度」として訴えを起こしています。そして、監視国家の危険性が指摘されています。そこで伺います。
 (1)マイナンバーで管理される情報は、税金や社会保障関係のものであり、その価値は高く狙われやすく、民間で集め税務署などの官が利用するもので、セキュリティが低い民間で大量に使用されて漏えいの危険は高くなるのではないのか。
 (2)マイナンバーによる個人情報の名寄せの危険性の問題です。これが最大の問題と言われています。流失した個人情報は万人不同・原則不変のマイナンバーにより正確に名寄せされます。このことで表現の自由や人格の発展などが阻害されることはないのか。
 (3)なりすましの危険性が高まります。プライバシーだけでなく重大な財産的損害も発生するのではないのか。

 2に、職員採用についてです。
 昨年の職員採用と今年の採用についての特徴と併せて障害者や経験者の採用について現状と課題・改善の方向性について伺います。

3、市民行政について
 1に、ヘイトスピーチ問題についてです。
 特定の人種や民族に対する常軌を逸した攻撃は「ヘイトスピーチ」と呼ばれます。差別をあおる言葉の暴力は「ヘイトクライム」(人種的憎悪にもとづく犯罪)です。
千葉市においても原水爆禁止の平和行進に対して異様な言葉での攻撃が毎年繰り返されています。そこで伺います。
 ヘイトスピーチ解消法案が今年5月に与党が提出し、日本共産党などの賛成多数で可決・成立しました。ヘイトスピーチを社会から根絶していくために自治体の役割、取り組みについて伺います。

 2に、性的マイノリティについてです。
 わが会派もこれまで、性的マイノリティの人達の人権と生活向上に取り組んできました。千葉市において、マイノリティといわれる人が暮らしやすいほど千葉市民にとって暮らしやすい社会といえます。さらに、性的マイノリティに対する差別の解消や偏見の除去、生活の向上、権利の拡大をすることが求められます。そこで伺います。
 2020年東京オリンピックが開催されます。IOCは2014年12月の総会で「オリンピック憲章に性的志向による差別を禁止する」決議をおこないました。千葉市もオリンピックの開催都市になります。千葉市のLGBTへの多様性を尊重する具体的な取り組みはどうか。
 また、LGBTの4つの類型にあてはまらない人がたくさんいます。性のあり方の多様性を認める立場から性的志向と性自認を意味するセクシァル(SEXUAL)オリエンテーション(ORIENTATIAN)アンド(AND)ジエンダー(GENDER)アイデンティティ(IDENTITY)の頭文字を取ってSOGI(ソギ)という用語が使われています。この視点からの千葉市の対応を求めるものです。

 3に、性暴力被害者の支援について伺います。
 性暴力被害者支援法案を野党が共同提案して現在継続審議となっています。
 性暴力支援法案では性暴力を「性的な被害を及ぼす暴力やその他の言動」と定義して、国や都道府県に被害者支援計画の策定や各都道府県に1ヶ所のワンストップ支援センターの設置を求めています。性暴力の傷は深く長くそして支援には多くの困難があります。そこで伺います。
 千葉市における性暴力の実態について伺います。
 また、国連は女性20万人に1ヶ所の国費による救援センターの設置を勧告しています。千葉市における相談体制などの救援の内容についてと、医療費など被害者への公的支援についてはどうか。

4、保健福祉行政について
 最初に、障害者が雇用契約を結んで就労訓練を受ける「就労継続支援A型事業所」についてです。
 参入業者が急増しています。国からの給付金で運営できることから、全国で約2,400ヶ所を超えていると報道されています。問題は、障害者を雇用しながら就労実態がないなど不正が疑われるケースが残念ながらあるとされていることです。
 さらに、障害者の希望を無視する。そして、就労支援が本来の支援にならず制度を悪用し利益をあげる事業所もあります。そこで伺います。
 就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、B型事業の違いと目的を説明していただきたい。
 また、千葉市におけるA型事業所の件数と雇用契約や就労で問題となる事業者はないのか。

 2に、障害者の65歳問題が問われている天海訴訟問題についてです。
 障害者が食事、入浴、歩行、会話、見る、聞くなどをしながら「当たり前の生活」を送るためには福祉サービスによる援助が必要です。
 そして、福祉サービスの利用に料金負担が伴うと、支払い能力のない障害者は生きていくための必要なサービスを受けられなくなります。そこで、戦後の障害者福祉制度における利用負担は長らく「応能負担」とされてきました。
 ところが、平成17年2月に施行された障害者自立支援法により、障害者福祉に「応益負担」が導入されました。それに対して、平成20年10月障害者自立支援法違憲訴訟が提起され、その後国は政策の非を認めて原告団・弁護団と基本合意を結びました。こうした歴史的経過に踏まえ伺います。
 (1)65歳までは、障害者福祉で低所得の障害者は、自己負担ゼロで介護を受けられたのに、65歳になると健常者と同様に介護保険の対象となり、1割の自己負担はおかしいと考えないのか。
 (2)介護保険は「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等による要介護状態」と規定をされています。これ以外の障害者は総合支援法の対象となるのではないか
 (3)障害があることで支援が必要なことは個人の責任ではありません。当然に社会的に支援が保障されるべきではないのか。

 3に、手話言語等の普及促進についてです。
 この問題についても、わが会派は普及の提案をしてきました。6月21日に「千葉県手話言語等の普及の促進に関する条例」が全会一致で可決・成立しました。
 手話が言語であり、聴覚障害者の情報の重要性や手話の普及促進について市町村の役割を明らかにすることが求められています。
 そこで千葉県の施策にあわせた千葉市の具体的な取り組みについて伺います。

5、こども未来行政について
 3年ごとに発表される日本の子どもの貧困率は過去最悪の16.3%(2012年)になりました。深刻なのはひとり親世帯で、貧困率は54.6%にもなります。
 子どもの貧困で求められていることは貧困の実態を国が把握し、それに基づいて
削減目標を設定することです。そこで伺います。
 都道府県・政令市で子どもの相対的貧困率の調査が行われたのは沖縄県のみです。千葉市も実態調査を行っていることは評価をします。
 しかし、コンサルに委託するのではなく地元の大学等との連携、職員が面接調査をおこない深刻な貧困の実態をつかみ具体的な対策をたてるべきではないのか。

 次に、保育所民営化問題についてです。
現在千葉市は市立の大森保育所、緑町保育所の建て替えに伴い、これまでの公設公営の保育所ではなく民設民営を提案しています。そこで伺います。
 これまで、公設公営で運営されてきた保育所はそのままの形態で、運営をするべきではないのか。

6、環境行政について
 現在千葉市では廃棄物減量等推進審議会でごみの減量の審議をおこない、答申を出してごみ減量の方向性を示しています。
 環境省はダイオキシン削減対策、最終処分場延命策などを理由に2003年まで「焼却灰の溶融固化施設」を必ず設置するように義務付けをしてきました。
 しかし、ガス化溶融炉は故障や事故の発生が多く維持管理が高い上に運転管理が難しく、また排出されるスラグの安全性等構造的な問題があります。そこで伺います。
 ガス化溶融炉の持つ構造的な問題について市の見解は。

 次に、ごみの焼却中心主義から、ごみを出さないシステムの確立についてです。
 現在、ごみ行政では分別・資源化からプラスチック系のごみなどは「燃やせるものは何でも燃やす」という流れが強まっています。そこで伺います。
 (1)溶融炉の推進でなくごみの発生抑制、減量・リサイクル化を踏まえた適切なごみの処理とその計画に基づいた焼却処理施設建設に取り組むべきではないのか。
 (2)プラスチック製容器包装の再資源化については、ごみの発生を設計・生産段階から削減をするために、自治体と住民に負担を押し付ける現行制度を「拡大生産者責任」の立場で見直すよう考えないのか。

7、経済農政について
 1は、農業委員会制度の改正についてです。
 昨年の国会で農業委員会等に関する法律の「改正」が成立して今年4月から施行されています。そこで伺います。
 まず「改正」で農業委員会の性格や位置づけがどう変わり、変わらないのはどこなのか。
 また、今回の農業委員会法の改正はTPP受け入れを前提とした国内体制づくりと家族農業中心の戦後農政を根底から覆すものではないのか。
 農地の集積・集約や活用で、集積は地域・農家の要求と納得にもとづいて決めるべきではないのか。

 2は、観光行政についてです。
 千葉市において、市民の交流・地域経済の発展の視点からも観光の充実は重要だと思います。千葉市の魅力を引き出す観光として千葉市を代表するスポット、食べ物、名産品に光をあて観光産業や地域おこしで地域経済の活性化が求められています。
 そこで伺います。
 千葉ポートパーク・千葉港観光船・里山などがもっと親しまれるように案内看板、バリアフリー化など市民の憩いや観光拠点となるように対応を求めます。
 また、千葉市の歴史・文化を踏まえた名所・旧跡・食文化などを発掘・発信していくべきではないのか。

 3に、中小企業への融資制度の問題です。
 信用保証協会に造成されていた「制度改革促進基金」に対する国の補助金が2015年度に廃止されて信用保証協会の経営・財政基盤を危うくさせています。企業への保証渋りにつながる危険性があります。
 そこで、代位弁済時に保証協会に財政損失が出ないように全額国庫負担とすることを国に求めるべきではないのか。
 また、経営者以外の第三者による個人保証は、保証人の生活や人生を破たんさせ自殺者を生み出すなど、深刻な信用被害をつくり出してきました。個人保証は原則廃止も併せて国に求めるべきではないのか。

8、都市行政について
 すでに先進自治体ではユニバーサルデザイン条例ですべての人が安心、安全、快適に暮らすことができる社会の実現を目的にまちづくりが推進されています。
 ユニバーサルデザインについては「できる限りすべての人に利用が可能なように製品、建物、空間をデザインすること」と京都市では規定をしています。私は福祉のまちづくりを以前から提案をしてきました。
 今日でバリアフリー化や障害者差別解消法の視点からのユニバーサルデザイン(UD)が考えられています。多様性を認め共生社会の実現のためにも必要なものと考えます。そこで伺います。
 (1)千葉市の実情にあったユニバーサルデザイン条例を制定してユニバーサルデザインの7原則(1、誰でも公平に利用できる2、必要な情報がすぐに理解できる3、使う上での自由度が高い4、うっかりエラーや危険につながらないデザインであること
 5、簡単で直感的にわかる使用方法となっている6、無理な姿勢や強い力でなしに利用できること7、アクセスしやすい空間と大きさがあること)です。すべての市民が生活しやすい千葉市にするべきではないのか。
 (2)美浜区の高洲2丁目の高洲第2小学校跡地へ長谷工コーポレーションのマンション建設問題です。近隣の関係者からは環境破壊になるのではと心配の声が寄せられています。そこで伺います。
 この小学校跡地にマンションが建設されることとなった経緯、土地の売却額、マンションの規模について。
 また、保育所や公園などはどのようになるのか、震災時、このマンションの果たす役割について。
 さらに、地域住民との合意やまちづくりで問題となることはないのか、うかがいます。

9、建設行政について
 土木事務所関係予算はこの間全体としては増額されていることは評価できます。しかし、地元の要望に応え、安全・安心のまちづくりに向けて、予算をさらに大幅に増やすべきではないのか。

10、消防行政について
 わが会派がこれまで提案してきた、感震ブレーカーの設置についてです。大規模地震発生時の2次災害を防ぐためにも、一定の抑制効果が期待される感震ブレーカーの設置が有効とされています。
 課題は、費用の問題となっています。市が助成制度を設けるなどして、普及を進めることを求めます。

11、水道行政について
 災害用備蓄飲料水について、これまで何度も提案してきました。千葉市の水を非常用飲料水として備蓄するとともに、千葉市のイメージアップのため積極的に活用することを求めるものです。

12、教育行政について
 1は、平成29年4月に県から教職員配置等の権限が千葉市に移譲になります。そこで伺います。
 この権限移譲は子どもたちや市民にどのようなメリットがあるのか。また、課題について伺います。

 2は、臨時教職員の問題について伺います。
 (1)千葉市における臨時教職員の実態はどのようになっているのか、また政令市比較ではどのようになっているのか。
 (2)臨時教員の労災の適用は、交通費が支給されるのか、給与は授業のコマ数なのか、時間給なのか。
 (3)正規も非正規も臨時であってもより差別なく良い職場環境の整備が求められるのではないのか。
 (4)そもそも教員が不足しているのであり、子どもたちの教育を保障するために教員への国の予算を増やし正規採用を原則にするべきではないのか。

 3は、「教職員の評価・育成システム」の導入問題についてです。
 このシステムには育成の視点がなく。「評価」が賃金に連動することで教職員の協力関係や連帯感、高め合いをなくして職場に重苦しい雰囲気と繁忙化がまん延していると指摘がされています。そこで伺います。
 (1)千葉市において「教職員の評価・育成システム」の目的そして実態は先に指摘をしたようになっているのか。
 (2)教育の中立性が問題にされていますが「教育の中立性を犯すのは権力を持っている人たちであり、介入してくる場合は教育の自主性で守る立場」で指導をするべきではないのか。

 4は、教育費の負担軽減についてです。
 教育は、子ども一人ひとりの幸せ、成長と発達のためにあり、教育は社会の未来にとっても大切です。教育は、子どもの権利であり家、庭の経済力に関わらず万人に豊かに保障されなければなりません。憲法と子ども権利条約の精神を生かし千葉市の教育を充実させなければなりません。
 そのために教育費の負担軽減を図るべきです。もともと日本国憲法26条は「義務教育はこれを無償とする」とうたっています。
 全国に自治体の中で京都府の伊根町や山梨県の早川町では学校教育費の完全無償化をすでに実現しています。そこで伺います。
 他の自治体で給食費の無償化や援助を実現しているところはたくさんあります。伊根町の取り組みの評価と義務教育費の負担軽減についてお尋ねします。

 5は、学校給食への輸入食材の問題です。
 千葉県では、学校給食パンは100%国産小麦を関係者の運動により使用しています。しかし、南瓜、玉ねぎ、牛肉などは輸入食材を使用していることが、平成26年度学校給食用食材調査票で明らかになっています。そこで学校給食について伺います。
 (1)千産千消で安全な食材を千葉市は使用しているのか。ポストハーベストの心配はないのか。
 (2)食育基本法でも地域の生産物を活用するとあります。子どもの発達を考えても、千葉市の食材を使用するべきですが、実態はどのようになっているのか。
 (3)当然のことですが、遺伝子組み換え食品は使用されていないと思いますが、実態はどのようになっているのか。そして、学校給食には安全な国産農産物を使用するべきと考えないのか。
 以上で1回目質疑を終わります。

<2回目>

1、国政と市政の問題
 アベノミクスの評価について「今後さらに一層の地方支援や規制改革の推進とともに自治体が取り組みを推進することができるように権限、財源移譲を強く期待する」「社会保障制度についてはしっかりと制度設計の議論を行っていただきたい」との答弁でした。
 今年からあらたに策定された「ニッポン一億総活躍プラン」では「少子高齢化」を正面の課題と位置付け「アベノミクスの第2ステージの新三本の矢、(1)希望を生み出す強い経済、(2)夢をつむぐ子育て支援、(3)安心につながる社会保障によって「名目GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」を実現するとしています。 
 保育や介護の受け皿確保、最低賃金の引き上げなども取り上げられていますが、これは貧困と格差拡大の是正を求める国民の運動に押されて対応した側面も持っています。そこで伺います。
 1に、政府は、国の基本的な方針となる「骨太の方針2016」は、大企業の利益優先が貫かれて、法人実効税率の引き下げを誇り、今後「世界で一番企業が活動しやすい国」の実現に向けて、公的サービスの民間開放など「事業者目線」の規制改革で新たなビジネスチャンスをつくるとして、国と地方の公的責任を投げ捨て、住民に負担増と公的サービスの後退を強いるものではないのか。
 2に、安倍首相は「雇用でも非正規という言葉を日本国内から一掃する」としたものの、最低賃金を時給1,000円の実現すら先送りしています。
 非正規率が2016年4月では36.8%に増えています。年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1,139万人に増加しました。
 千葉市における非正規労働、ワーキングプアの実態を示し、非正規雇用をなくすことが地域経済活性化の要となり、千葉市に住んで良かったと言えるのではないか。そのための具体的な施策について伺います。
 3に、政府が「地方創生」の名のもとにすすめる「集約化」に反対し、農業、小規模事業者の振興、観光産業や地域おこしの振興策を進めるべきではないのか。
 4に、住宅と商店街のリフォーム助成へ支援を行い、地域経済の活性化を図るべきではないか。
 5に、千葉市の公共施設の老朽化対策については、市民参加で必要な財源を確保して、上からの統廃合ではなく、地方債措置を拡充するよう国に求めるべきではないのか。
 6に、敬老祝い金の見直しは、医療・介護等の財政需要に対応するために、支給年齢を見直して1億4,762万円削減することは、福祉の心を捨て去るものです。世代間の対立をあおることはやめるべきです。そして、予算を減らすから、どちらかを選択せよと迫ることは認められません。民間保育園助成金5,298万円を削減することも、保育園の充実が求められている中で逆行するものです。これらは元に戻すべきではないのか。
 7に、財政健全化は市民福祉を向上させる中で、見通しのない大型開発を見直してすすめるべきと考えないのか。
 8に、新庁舎建設も相変わらず建設ありきで進めようとしています。維持管理費は新庁舎でもかかることであり、多額の維持費が見込まれるから、耐震診断をしないことにはなりません。現庁舎の安全性の確保のためにも、耐震診断は実施をすべきではないのか。
 9に、参院選・野党共闘関わり伺います。戦争法が強行可決されて1年が経過しました。改めて市長に戦争法についてと憲法9条についての認識を伺うものです。

2、あらゆる災害対策について
 「地域と連携した取り組みの一層の推進を図り被災者の目線に立った対応に取り組んでまいります」との答弁でした。
 あらゆる災害対策に備えることで「災害に強いまち・国土つくり」をすすめることは千葉市政でも最優先の課題です。
 台風の被害が従来とは異なる規模と様相を見せています。防災を後回しにしたまちづくりが被害拡大に拍車をかけたとも言われます。
 熊本地震の2度の大きな揺れはこれまでの想定ではありませんでした。全国でもわかっている活断層が2,000以上あるとされ、どこでも大地震が起きてもおかしくないとされています。そこで伺います。
 1に、熊本地震の教訓と反省を踏まえて警告の出し方や避難の仕組み、建物の耐震基準のあり方を見直すべきではないのか。
 2に、超高層ビルや地下街の建設推進、無秩序なまちづくりは地震や水害などへの対応力を弱体化させます。
 その視点で千葉市の対応はどのようになっているのか。そして、原発を推進することは東日本大震災の教訓に反すると考えないのか。

3、再生可能エネルギー・電力システムの問題について
 今年4月1日から、電力の小売り事業の「自由化」がスタートしました。大手電力会社以外の事業者も参加できるようになりました。
 1990年代から財界は、大手電力会社に電力分野での規制を弱め、競争原理の導入をはかる形で、大口需要者向けの商社系発電事業や小売企業の参入、料金の引き下げを求めてきました。
 今回のような電力システムの全面的な「改革」となったのは、5年前の東日本大震災・福島原発事故がきっかけです。国民の側から、大手電力会社の独占的な支配力を弱め、原発の停止、再生可能エネルギーの普及という要求が高まりました。
 他方で、規制を取り除き「自由化」することで、エネルギーの種類別や地域別の経営を抜け出して、「総合的なエネルギー企業」を生み出すという政府や巨大企業の思惑が交錯しています。電力の自由化は、消費者側が参加できる公的なコントロールが大事です。そこで伺います。
 1に、電力に自由化で求められるのは、消費者、需要家の選択肢の拡大と系統運用など、情報の全面的開示を両立できるような制度セットするべきと考えないのか。
 2に、東日本大震災・福島原発事故で地域独占、大規模集中型の電力システムが、災害時に脆弱であることが明らかになり、分散型のエネルギーシステムに変更する必要性が生まれました。専門の審議会で2012年7月末に、(1)すべての国民に電力選択の自由を確保する、(2)すべての国民が電力を自由に創造する、(3)全ての電力を広域中立に国民に届けることで電力の自由化が進められました。このことへの千葉市の対応についてはどうか。
 3に、再生可能エネルギー選び増やす視点で、地域密着型のプロジェクトが注目されています。太陽光、バイオマス、小水力など地域の再エネ資源を地域の企業や家庭に供給することは地域活性化になります。そこで、自治体自ら民間事業者との共同出資で電力会社を立ち上げる事例が増えています。
 福岡県みやま市では、今年の4月から家庭向けの電力の供給を開始しています。 太陽光、バイオマス、小水力など地域の再エネ資源を地域の企業や家庭に供給することは、地域活性化になります。
 千葉市もこうした取り組みを行うと、数億円の効果があるとされています。この点への対応は。さらに、みやま市では「HEMS機器」で省エネの呼びかけや高齢者の見守りサービスを展開しています。こうした取り組みへの考えについてはどうか。
 以上で2回目の質疑を終わります。