佐々木ゆうき議員の一般質問



2016.9.27

写真1.平和行政について
 アジア・太平洋戦争での日本の敗戦から71年を迎えました。戦後生まれの世代が圧倒的多数となり、戦争の悲惨さを語り継ぎ、平和への決意を新たにしなければなりません。アジア・太平洋の国々への深刻な被害、日本各地での空襲、地上戦が繰り広げられた沖縄の甚大な被害、アメリカによる原爆投下、戦後の国民の生活難など、時間は経っても決して消えるものではありません。
 千葉市においても、1945年6月10日と7月7日の2度の空襲によって、中心市街地約330haの約7割にも及ぶ231haが焼け野原となり、死傷者1,595人、被災戸数8,904戸、被災者4万1,212人にも及びました。
 空襲被害者も被爆者も平均年齢は80歳を超え、今後語り継ぐことが困難になります。
憲法前文には「日本国民は…政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し…この憲法を確定する」と記されているように憲法をいかした平和行政の取り組みが求められます。
 千葉空襲の戦災遺品は、戦争の記憶を後世に伝えるために募集して、市民から寄贈されています。遺品110点が土気市民センターに保管され、また貸出実績については今年度、教育委員会からの依頼の3件となっています。
昨年9月議会で、わが会派の吉田議員が行った質問も踏まえ、今回、平和行政について質問します。そこで伺います。
 1つに、昨年度と今年度8月末時点での平和啓発事業の取り組み内容と、学校教育における平和教育に関する取り組み状況について伺います。
 2つに、戦災遺品の貸し出しについて、一般貸し出しは行なっていないとのことですが、市または教育委員会が後援する団体に対し、貸し出しの働きかけもしてはどうか。戦災遺品の具体的な活用方法について、見解を伺います。
 3つに、私どもは郷土博物館以外にも常設展示を求めています。市は昨年、「展示スペースの確保については対応可能な施設の調査等の必要があることから、展示期間、方法等について調査し、検討していく」としていますが、その後、具体的な調査は行ったのか、伺います。また、戦跡への案内板設置についてもあわせて伺います。
 4つに、作草部の旧気球聯隊第二格納庫など民有地にある戦跡について、将来に渡り保存されるよう保存計画を持つよう提案します。お答え下さい。
 5つに、今年度は稲毛区のワンズモールで千葉空襲写真パネル展が開催されていますが、若い世代が訪れるイオンモール幕張新都心店などに協力を要請してはどうですか。
 6つに、平和啓発パンフレット「考えよう平和の大切さ」及び千葉空襲写真パネル展で憲法前文を掲載するよう求めてきましたが、今年度のパンフレットにもパネル展にも掲載はありません。掲載できない理由はないと考えますが、次年度から掲載するよう求めます。お答え下さい。
 7つに、戦争体験を語り継ぐ交流会の具体化と、空襲体験の語り部を養成するなどの取り組みを求めます。
 8つに、原爆被害者は平均年齢80歳を超えており、実相を語ることができなくなります。県内被爆者団体とも相談し、2013年に長崎市と共催した長崎原爆・千葉空襲展のように、原爆の実相を伝える展示や講話会を広島市や長崎市、新聞社などと共催で取り組むべきではないですか。
 9つに、市川市で取り組まれている被爆体験講話DVD貸し出しのように、作成・貸出を行い、実相を伝える取り組みを進めるよう求めるがどうか。

2.若葉住宅地区の開発について
 6月議会で、千葉市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正で、「幕張新都心若葉住宅地区地区計画」について、面積約21.5haについての建築制限が示されました。若葉住宅地区は総供給戸数4,515戸、事業期間15年、総事業費約1,860億円です。事業主体は三井不動産レジデンシャル株式会社を代表に7社で構成された「幕張新都心若葉住宅地区街づくりグループ」。まちづくりのコンセプトとして、「全米で住みたいまちNo.1、ポートランド市の開発局と連携し、地域のルール作りや住民目線の街づくりを実施」としていますが、その関係については、明確な内容が見えてきません。さらに保育所の整備、小中学校への通学、自然災害等への対応など課題が残されたままです。
 当初の事業計画では、現在整備されている若葉3丁目公園の北側には板状の18階建てのマンション、南側には46階建てのタワーマンションとなる計画でしたが、46階建て4棟、37階建て2棟のタワーマンションへと変更されました。
 この計画について、市は6月議会で、「建物を分棟化し、道路から壁面後退、建物の配置によってできた空地は、オープンスペースや緑空間を形成するなど周辺環境に配慮した計画となっている」としています。そこで伺います。
 1つに、あらためてお聞きしますが、なぜ「ポートランド市の開発局との連携」なのか。
 2つに、事業計画の変更に関連して、選定委員からどのような意見が出されたのか。
 3つに、「住民目線の街づくりの実施」としながら、タワーマンション建設が先に進められていますが、市民参加がどう保証されているのか。また、市が若葉住宅地区の開発に対して、意見交換する場を早急につくることを求めるがどうか。
 4つに、保育所整備、小中学校への通学、地震などの災害、火災、風害などにどのように対応しようとしているのか。人口増における公共交通機関への影響についてもあわせてお答え下さい。
 5つに、若葉住宅地区が終の棲家となりえるのか。将来にわたるまちづくりをどのように千葉市は考えているのか、伺います。

3.美浜区の諸問題について
(1)幸町地区の学校跡施設の利活用について

 6月議会では、私から方針案の押し付けではなく、自治会や住民の意向に沿った協議を求めましたが、「庁内で検討を行い、最終的な利用方針を策定する」とのことでした。それ以前にも、地元との協議を進めていくべきではないですかと問いに対し、「必要な場合」に留まっています。
 その後の利用方針(案)に対する意見募集では、「市の財政難との理由で拙速な結論を求めすぎているものではないか」「住民スポーツ広場が必要であり整備をお願いしたい」「避難場所の整備」「地元代表、千葉市、URの三者による協議の場の設定」などの意見・要望が出されています。
 地元は両校の体育館と校庭、校舎の一部について、地元が利用できるよう求めています。そこで、伺います。
 1つに、跡施設に対する意見募集の結果について市はどのように捉えているのか。また利用方針(案)にどのように反映させていくのか伺います。
 2つに、意見募集を踏まえた市の考えについて、いつ示すのか。地元や議会に対して今後の具体的なスケジュールを示すべきではないですか。
 3つに、再度求めますが、利用方針を決定する前に地元と協議を行い、地元が求める三者協議の場を設定していくことが必要ではないですか。

(2)幸老人センターの今後について
 6月11日の幸町地区の学校跡施設の利活用についての市の説明の前段に、「幸老人センター」の代替施設の提案がありました。この施設を廃止し、隣接している幸町第一中学校内の木工室及び準備室、昇降口を改修することで代替施設とするものです。現在のセンターは床面積307.02平方メートルから代替施設は約189平方メートル、諸室面積は135平方メートルとなります。
 説明会で出されていた自治会や住民の中学校への出入り、夜間・休日の利用などの課題があります。
 代替施設の整備にあたり、「地域運営拠点支援事業を活用した場合は、地域運営委員会の設立が必要」「自治会が行なう定例会議などの活動はUR集会所を使用」「サークル活動は、原則としてUR集会所、公民館を使用」を前提条件としています。
 さらに、関係者から出された耐震補強工事、建て替えについてはできないことが示されています。そこで、伺います。
 1つに、6月11日の説明の際に出された課題について、どのように検討し、解決しようと考えているのか。
 2つに、代替施設の整備の前提条件のうち、地域運営委員会設立は前提条件とはせずに、代替施設の整備に特化したものとして地元と協議すべきではないですか。
 3つに、これまでも、現センターの耐震補強工事や建て替えを求める意見がありましたが、今回の結論に至った背景・理由についてお示し下さい。
 4つに、8月28日に幸老人センター耐震診断の結果についての地元説明会がありましたが、地元から出された意見や要望に対し、今後も協議をしていくのか、お答え下さい。

<2回目以降>

1.平和行政について
 平和教育について、教育委員会は「独自に作成した社会科資料を活用し戦争を体験された方からのお話を伺うことを通して、戦争の悲惨さや平和の大切さをについて学習している」とのことです。広島市では、「被爆や戦争の記憶が薄れ、児童・生徒の平和意識の低下が懸念される中、子どもたちは、被爆の実相等の事実に学びつつ、被爆体験の意味を再認識し、それを次世代へ語り継ぐ役割を担っています。各学校の全体計画や年間指導計画に位置付け、計画的・継続的な指導を行う」として、世界に訴えたいことなどを発表するとともに話し合う「こどもピースサミット」が毎年実施され、次世代へ語り継ぐための取り組みが重視されています。
 1に、千葉空襲を語り継ぐ取り組みを重視する、平和教育の位置づけを求めるがどうか。
 2に、これまでも私どもは市内の小中学校の子どもたちを広島や長崎の平和祈念式典への派遣と現地での交流などを求めています。船橋市は93年から毎年、被爆地の平和祈念式典へ派遣をして、原爆資料館などを見学。流山市でも小学生20人が平和大使として式典に出席して、報告会、作文集を作る取り組みがされています。千葉市ではいまだ取り組まれていません。
 子どもたちに原爆の実相を知ってもらい、平和への思いを共有できる取り組みが必要ではないですか。広島と長崎に平和大使として派遣することを重ねて求めます。お答え下さい。
 3に、今年度の平和啓発事業の実績が示されましたが、昨年の戦後70年の実績を除けば、ほぼ毎年各事業への来場者、参加者は横ばいとなっています。
 戦災遺品の常設展示スペースの調査については「現在のところ、適当な候補は見つかっていない」とのことです。空襲体験者・被害者も語り継ぐことができなくなる中で、行政として語り継ぐための取り組みをしていかないと、次世代につなげることはできません。「空襲体験者からの戦争体験を後の世代の人々に語り継いでいくことができる交流会の実施に向けて体験者の方々と話し合っていく」としているならば、展示方法や展示スペースの確保についても具体的に話し合っていくことも必要ではないですか。
 4に、空襲体験者からは、東京大空襲や広島・長崎の原爆被害の実相、新聞社が保有している記事や写真などを活用して、千葉空襲パネル展の充実を求める声があります。こうした取り組みを大胆に実施し、市民に周知して、参加を広げることが必要ではないですか。
 5に、平和啓発パンフレットや「千葉空襲写真パネル展」で憲法前文を掲載するよう求めました。「限られたページや展示スペースの関係で、掲載はできない」とのことですが、掲載・展示方法を工夫すればできることです。
 今年5月に南相馬市で市外避難者を含む全戸に配布された日本国憲法の小冊子を議会事務局に取り寄せていただきました。小冊子の1ページ目には市長の挨拶が掲載されています。「私たち南相馬市民は、東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故によって、大きな苦難に直面しました。五年経った今でも、憲法で保障された健康で文化的な生活がかなえられていない市民が数多くいます。このような中、政治を担う人たちから憲法改正を積極的に呼びかける動きが出てきました。しかしながら、東日本大震災によって人権の大切さを改めて痛感させられました。加えて、恒久平和の必要性を考えさせられています。子どもたちの未来のため、幸せのために私たちはどのような憲法を伝えていくべきなのでしょうか。私たちの生活再建と安心して暮らせる環境を取り戻すため、日本の憲法とは何かを考えていただきたいと思い、本冊子を発行いたしました」とあります。
 日本国憲法の大切さを市民自ら学び、いかすことにつなげていくためには、こうした小冊子を作成して配布することは必要です。この南相馬市の取り組みについての評価と、「千葉空襲写真パネル展」を通じ憲法前文を配布するよう求めます。お答え下さい。

 戦前の歴史とともに千葉空襲の実相を語り継いでいくことに力を入れなくてはなりません。戦前は障がい者や高齢者は邪魔者扱いされ、子どもや女性が戦争で犠牲になりました。戦争を体験された方々は語ることができなくなります。戦争の惨禍、おびただしい犠牲と悲惨な体験をへて、日本国民が手にした憲法を生かした平和行政、戦争の悲惨さ、平和の尊さを語り継ぐための取り組みを求めて終わります。

2.若葉住宅地区の開発について
 美浜区は計画的なまちづくりにより、住宅、道路その他公共施設が整備されてきました。将来にわたるまちづくりについて、「幕張ベイタウンと違った形で、これからのライフスタイルを提示する先導的な住宅地区を期待する」としています。
 超高層のタワーマンションが整備され、他の地域と違ったライフスタイルとする住宅地区となり、若葉住宅地区以外の地域を含め様々な課題が生じては、住民主体のまちづくりとは言えないのではないか。他の地域との一体性を持つことがまちづくりではないのか。

 計画人口1万人という大規模な開発事業が他地域、まちづくりに影響を与えないはずはありません。事業計画に沿うのではなく、周辺住民、周辺環境との一体性をもつまちづくりが必要であることを述べておきます。

3.美浜区の諸問題について
幸町地区の学校跡施設の利活用について

 6月議会で私の質問に対する市の答弁では、「幸町団地の果たしている役割について、幸町団地は入居者の高齢化が進む中、地域医療福祉拠点の形成に向けた取り組みが進められており、高齢者が安心して暮らせるまちとして、他の団地のモデルケースとなると考えている」と答えています。
 1に、このように市は、他の団地のモデルケースとなると幸町団地を位置付けておきながら、旧幸町第二小学校を「売却」するとしています。最終的な方針を「決定次第、地元や議会に示す」ことは、結論の押し付けと言わざるをえません。身近な公共施設がなくなることは、住民にとってサービスが低下するだけでなく、「売却」によってまちづくりがおかしくなると考えないのか。幸町団地のまちづくりについて住民や地元とともに進めていくのが市としての役割ではないですか。
 2に、地元要望の「地元代表、千葉市、URの三者による協議の場の設定」は「URに伝え、対応について検討する」とのことです。地元が必要として意見を出しているのですから、地元が求める三者協議の場を設定することを重ねて求めます。お答え下さい。

 自治会や住民のみなさんは、6月の説明会以降も今回の方針案に納得はされていません。幸町団地のまちづくりを今後どう進めていくかの話し合い、三者による協議の場を求めておきます。

幸老人センターの今後について
 幸老人センターについては耐震結果などの現地説明会において、「今回の現地説明会を説明したものとせずに今後も協議をしていく」と話されていました。学校跡施設の説明と違い、地元とどう話し合いを進めていくかというスタンスにはあります。
 しかし、地域運営委員会の設立を条件としたら、協議が進まなくなることが懸念されます。設立条件を外した上で協議することを求めておきます。
 提案されている代替施設の内容は、現在の幸老人センターよりも床面積が少なくなります。サークルや自治会活動は集会所を利用するというのでは、これまでの地域の拠点施設としての役割を果たせるのか疑問です。「サークル活動が集会所でできないためセンターを使っている」「老人センターの名称となっても子どもたちは利用している。居場所がなくなるのでは」「自治会に用事のある方が現状のように来れるのか」など声があります。
 課題の解決について、「関係機関との協議を行い、その内容について引き続き、地元への丁寧な説明を行い、理解を求める」としています。今後の協議における地域住民、サークル、地元自治会の要望に即した対応を求めるがどうか、お答え下さい。

 現在のセンターは地域の拠点であり、住民にとって必要な施設です。代替施設によって住民や地元が不利益を得るようなことになってはなりません。協議を引き続き行うよう求めて、私の一般質問を終わります。