もりた真弓議員の決算討論



2016.10.3

写真 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。会派を代表して平成27年度決算に対して不認定の立場から討論を行います。
 決算不認定の第1の理由は、財政健全化を理由に市民生活・福祉をカットし、負担増を強いる決算だからです。以下その説明をいたします。
 平成27年度決算の特徴の1つは、実質収支が熊谷市政5年間の決算でもっとも多い45億4千万円になったことです。
 問題点の1つ目ですが、平成27年度の予算編成時、市長は138億円の収支不足を示し、「財源確保のため」と市民生活に必要な予算を削りました。ところが、決算では45億4千万円の黒字で、138億円の収支不足は過剰な宣伝であり、市民に我慢を強いるための数字だったということになります。この点は厳しく指摘し、今後は正確な収支見通しを示すように求めておきます。
 問題点の2つめですが、実質収支が増額した理由について、市長は「市税収入が予算に比べ増収になった」「効率的な予算執行に努めた」「28年度中の追加需要への対応等に考慮した」と答えました。このことは、市税の増収で歳入が増え、効率的な予算執行で節約したことと合わせて黒字になった収支を、27年度末までに必要な市民の願いに活用をしないで、翌年度に回してしまったものです。
 地方財政法第3条第2項は、「地方公共団体は、あらゆる資料に基づいて正確に財源を補足し、かつ、経済の現実に即応してその収入を算定し、これを予算に計上しなければならない。」と示されています。
 今年度末までに45億4千万円の黒字分の一部を有効に活用すれば、平成27年度の福祉カットを押さえることができたはずです。2,670万円で、廃止してしまった88歳1万円の敬老祝い金は継続できました。5,298万円使えば、民間保育園助成廃止や見直しは中止できました。また45億4千万円のうち20億円を使えば、児童生徒の健康を守るため大問題になっている、小中学校の3分の1にエアコン設置も可能でした。
 以上、真剣に市民の幸せを考えれば可能な予算執行を怠っていることは遺憾であり、財源を正確に補足して予算の補正を行うよう求めます。
 決算の特徴の2つ目は、市長が「財政健全化の取り組み効果が引き続き現れている決算」と評価しており、「『脱・財政危機宣言』を解除できる段階が近づいて」いて、「解消に向けた検討を進める必要がある。」と発言したことです。
 しかし、ここに到達した背景には市民に我慢と犠牲を強いてきた実態があります。
 見直しと称してカットした今年度の事業は、敬老祝い金88歳廃止など7件であり、熊谷市長のもとで行なった福祉カットは、平成22年度から27年度決算までに、難病見舞金など合わせて118件、削減額は合計で20億2,126万円になります。
 公共料金改定は今年度国保・介護料など10件であり、平成22年度から27年度決算までに保育料など含め合計で99億1,030万円です。
 このほかに平成22年度国民健康保険事業特別会計への繰入金32億余円カット。家庭ごみ処理手数料導入で、平成25年度から27年度までの合計は30億円になります。以上の合計額は181億6,647万円になります。
 また市職員の給与カットは平成22年度から27年度決算までの合計で96億5千万円であり、このうち千葉市独自に熊谷市長が行った給料及び退職手当てカットの合計は78億1千万円です。
 以上、千葉市の財政健全化の背景には、福祉カットと市民への負担増188億3,156万円、職員への給与カット78億1千万円の合計266億4,156万円の犠牲があったわけです。
 次に大型公共事業の平成27年度決算は、蘇我特定地区など13億3千万円で、平成22年度から27年度決算までの累計額は、243億円となっています。市民と職員に負担を強いながら大型公共事業には莫大な支出をするこうした決算は認められません。
 次に「財政健全化の取り組み効果が引き続き現れている決算」「脱・財政危機宣言を解除できる段階が近づいてきており、解消に向けた検討を進める必要がある。」としていることは、以前より財政運営に余裕ができたということです。
 余裕の出てきた財政を一番先に活用するのは、財政健全化の犠牲になってきた市民福祉であり、少しでも市民のくらしに振り向けるべきです。
 難病見舞金の復活や、支払い可能な国保料に引き下げることや、何日も30度を越える教室で我慢をしてきた児童生徒に向けて、速やかにエアコンの設置をすることを求めます。

 決算不認定の第2の理由は、熊谷市長には、国民生活を苦しめる安倍政権の暴走に対して毅然と対決して、市民生活と地方自治権を守る姿勢が欠如していることです。
 代表質疑でふくなが幹事長は、国政と千葉市政について市長の見解を質しました。
 日本経済と国民のくらしの向上が切実に求められていますが、年金積立金を5兆3千億円の損失や、介護保険の要支援1・2の保険外しに続いて、要介護1・2の保険外しや75歳以上医療費の2割負担も計画するなど、アベノミクスが市民生活に深刻な事態をもたらすと考えないか質しました。市長は「1億総活躍社会の実現に向けて積極的に取り組んでいただきたい」「社会保障制度の制度設計に関する議論を行っていただきたい」と答弁し、破綻したアベノミクスを評価しました。市長の姿勢は市民の利益に反するものであり、国の悪政の防波堤となるべき責任を果たしていません。
 また、地方自治が問われている沖縄の米軍基地建設問題について「ヘリパット基地建設の強行」「話し合いを放棄して沖縄県を提訴する」「法律を無視した辺野古基地工事の再開」などの暴挙についてはどう考えるのか、「基地のない平和で豊かな沖縄」を求める沖縄県民の願いに連帯すべきと質しました。市長は「国は住民の理解と協力が得られるよう、今後も協議することが重要」とのべ、日本の地方自治と民主主義の根本が問われている問題に、正面から応えようとしていません。住民自治に反するものであり、地方自治体の長として問題ある姿勢は厳しく批判しておきます。

 つぎに、各局の指摘をいたします。
 総務局です。
 防災対策は、避難所の整備や避難所運営委員会の活動など住民の努力が進んでいますが、マンホールトイレの設置は、学校46箇所にとどまっています。災害時にみぢかな避難所になる学校だけでも170校あることを考えれば、マンホールトイレの設置カ所を増やすとともに、非常用電源の整備を行うことや、災害時の備蓄品は、高齢者・障がい者・乳幼児に配慮したものを充実するよう求めておきます。

 総合政策局です。
 オリンピック・パラリンピックについては、必要な準備をすることは当然ですが、多額の費用をかけるのではなく、訪れる人達に千葉市のありのままを見てもらうようにしていただきたい。
 県市間協議については、はじめに県と対等平等の協議を行うことです。議題として県単事業補助金、水道事業について協議することを求めます。
 千葉市が不公平な扱いを受けている県単事業補助金33事業中、千葉市は31事業が補助対象外になっています。対象事業も子ども医療費補助率が、県内自治体の2分の1に対して、千葉市は4分の1であるなど、平成27年度決算で差別を受けている総額は、17億5,940円であり早期改善が必要です。
 水道事業は千葉県水道局からの分水・給水原価404円を214円で供給していることなどにより、多額の赤字を抱えています。県に対して給水原価の引き下げ、源水の活用などの積極的な交渉をすべきです。

 市民局です。
 社会保障・税番号制導入については、税や社会保障などの個人情報を一元管理するためのシステム導入や交付事務等に多額の税金が投じられています。しかし、市民の利便性向上・市民理解も進んでいません。市民の利便性向上より情報漏えいのリスクの方が高い制度であり、導入は中止・凍結すべきです。
 障害者スポーツの普及については、障がい者スポーツにふれる機会を増やす取り組みとともに、指導員の養成、バリアフリー化、専用利用枠の創設で安心して利用できる施設の充実が必要です。障がい者スポーツのさらなる周知と市民理解を広げるよう求めておきます。

 保健福祉局です。
 虐待予防について、高齢者虐待は年々深刻になっています、さらに介護殺人も増えています。認知症の対策も安心ケアセンターの充実など早急な対応を求めます。また、特別養護ホームの待機者は7月1日の時点で1,673人とのことですが、介護を必要とする方が利用できるよう待機者の解消と職員の待遇改善を求めておきます。
 生活保護の問題では、就労支援が強制的になることなく自立ができるように援助することです。学習支援事業も効果が出てきました。貧困の連鎖を断ち切るためにもさらなる充実が求められます。就労移行支援事業では、事業の精神に反する事例が生まれないように、趣旨を踏まえた行政の監視が求められます。フードバンクは貧困化がすすむなか社協などが中心となって千葉市でも対応できるようにするべきです。

 こども未来局です。
 待機児童解消へ向けて積極的な保育所整備を求めます。市は、老朽化した公立保育所の建替えを機に民設民営しようとしていますが、保育士が入れ替わることは、子ども達への影響が大きく、保護者にも不安をひろげています。公立保育所は、多様な保育ニーズに対応して一定の保育水準を保ち、地域で欠かせない子育て支援の拠点の施設となっています。公立保育所は公立のままで建替え、保育の質を向上させていくことを求めます。また、非常勤保育士の212人が担任を持つという事態を改善し、正規職員を大幅に増やしていくよう求めます。なお、保育士の処遇改善については、国のメニューだけでなく、今後は市独自の処遇改善策の早期実施を求めます。
 子どもルームについては、高学年ルームと低学年ルームの環境格差が広がっています。学校内施設であっても、低学年ルームにはエアコンが設置されていますが、高学年ルームへのエアコン設置も行うよう求めます。指導員、補助指導員の慢性的不足の解消が今後の課題であるため、来年度より経験給を含めた処遇改善策を求めます。
 里親や児童養護施設入所児童を含め、困難を抱えた家庭等の就学状況の実態把握に努め、子どもの貧困対策は、庁内の縦割りでなく、各所管と緊密に連携し子どもの貧困解消や教育の機会均等を目指す計画等の施策化を進めることを求めます。

 環境局です。
 再生可能エネルギー導入の推進については、再生可能エネルギーの普及にあたって、自然や住環境に影響する乱開発となってはなりません。メガソーラーの設置に係る事業者説明会の義務づけなど、周辺環境と調和を図る条例を制定するよう求めておきます。
 航空機騒音については、騒音測定の実施や千葉市上空を飛行する便数減少への要請行動を続けていくとともに、空路変更や羽田空港機能の地域住民への説明会開催や、抜本的な改善である海上ルートへの移行を国に強く求めるべきです。

 経済農政局です。
 幕張メッセについては、現時点で老朽化対策に約160億円とされ、県市間で改めて覚書を取り交わし、その一部を負担するとされています。さらに、オリンピック・パラリンピックの競技用の改修に相当な金額が必要になると言われています。千葉市は幕張メッセ建設事業負担金を払い続け、昨年度約1億9千万円負担しています。市民福祉を削っていながら、これ以上の負担は認められません。県に対し、毅然と対応し、負担は拒否すべきです。
 労働対策については、非正規から正規へとひろげる雇用対策が必要です。若者の就労実態の把握や事業実施後の後追い調査、相談体制の充実など労働対策を強めるよう求めておきます。
 農政については、新規就農や農業後継者対策など就農支援への予算の増額、新規就農者への市独自の支援を充実させることと、農地周辺の空き家やアパートの活用など住宅確保への支援を求めておきます。
 都市局です。
 地域住民の交通手段となるデマンドタクシーや乗り合いバス等については、具体化が進んでいません。他都市の成功例を参考に住民参加で、また、観光や商工業に関わる人や部署でも一緒に考えることが公共交通には必要であることを指摘しました。
 空家活用支援については、国が「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定しています。市内3地区でモデル事業に取り組んだものの、実際の活用についての同意は難しいと報告がされました。空家等が抱える防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境への影響は引き続き深刻であり、問題点を精査して取り組まれるよう求めます。
 市営住宅の、空家募集戸数に対する応募件数は5.8倍と高く、需要に対する供給は足りていません。生活に困窮する世帯が増加し、生活費に占める住宅費負担が重く、市営住宅を希望している市民に公的な住宅を提供する責任が千葉市にはあります。あわせて、若年層に向けた住宅の提供についても検討するよう求めておきます。

 建設局です。
 道路の舗装や側溝の整備、側道の白線のかすれなど、年間12,000件ほどの様々な要望が寄せられ、各区の土木事務所が対応にあたっています。橋りょうの耐震化整備など計画的に進める事業と合わせ、日常的に市民生活の安全に直結する事業には引き続き最優先で取り組むよう求めます。
 自転車駐車場は、電磁ロック式ラックは平成27年度末で2,555台となり、24時間対応で利便性が上がっているとのことで、第2次計画では6年間で689台を整備予定です。電磁ロック式ラックは6〜7年程度で交換時期を迎えるとのことですが、設備の更新が利用者負担にならないよう求めておきます。
 雨水対策で有効な防水板の設置工事は、27年度は2件の実施でした。平成23年度からの合計でも22件までにとどまっています。いつどこでゲリラ豪雨となるか予測がつきません。災害を未然に防ぐ意味でも、助成範囲と補助率2分の1を見直して、防水板の普及を図るよう求めます。

 消防局です。
 学生消防団・企業消防団などの一層の組織化が求められます。応急手当保険などボランティアで活動する市民への医療費などの保障が必要です。
 女性消防職員の採用では職場環境の整備をさらに改善をすることを求めます

 病院局です。
 公立病院の役割として市民の安全・安心の医療、周産期医療、不採算部門や高度医療で市民の願いに応え奮闘することを要望します。また地域医療への支援も必要です。
 血管外科の死亡問題では市民への情報公開と亡くなられた方への誠意ある対応を求めます。
 旧市立病院跡地問題では道路拡幅ありきで事業を進めるのではなく、地域住民・関係者のこれまでの福祉施設の要望に応えることを求めます。

 教育委員会です。
 学校エアコン整備については、暑さのため夏場の保健室を利用する児童生徒が増加傾向にあり、市民・有識者の意見を聞く場を速やかに設け、市長は、直ちに学校現場に出向き早期に実施するよう求めます。また、外壁改修やトイレ改修も並行して、来年度予算における教育費を増額し、学校環境整備の促進を求めます。
 小中学校における、いじめ、不登校等の問題においては、近年発達してきたネット、またはLINEなどの運用でトラブルが発生しています。メディアリテラシーやネット教育の推進を図ることを求めます。また、発達障害など支援を必要とする児童生徒が普通教室で学べる環境整備のために、特別支援教育指導員の配置の更なる増員、教職員の増員を求め、子どもの居場所ときめ細やかな対応を求めます。
 学校給食運営において、給食費未納が多い学校で給食内容に影響がでる学校もあります。実態を把握し学校給食は適切に提供し、給食費徴収員の小学校配置で教員負担の軽減を求めます。学校給食についても県内で18の自治体が保護者負担の軽減を講じていますので、市も実施するよう求めます。
 子どもの貧困と格差が社会問題化し、就学援助制度の更なる拡充が必要です。とりわけ中学校の入学準備金は入学前の3月に支給し、修学旅行前にも実費支給をするよう改善を求めます。また、川崎市のように全ての児童生徒に申請用紙を配布し、全員回収方式にして認定率を上げるよう求めます。

 最後に、選挙管理委員会についてです。
 18歳選挙権が始まり、18歳・19歳合計の投票率は53%で、全年代の投票率52%と比較して同程度でした。若い世代への投票行動のよびかけとあわせて、投票所の改善と増設など対応をし、投票率向上に努めること。また、高齢・障害など選挙にいけない人への対策を強化するよう求めておきます。

 以上で討論を終わります。