佐々木議員の一般質問と答弁



2016.12.6

写真1.資産経営について
【佐々木ゆうき議員】

 市は、2014年7月に今後30年間を見据えた公共施設の見直しを考えた「公共施設見直し方針」を策定し、2015年5月には国の要請を受け、すべての公共施設を対象にした「公共施設等総合管理計画」が策定されました。
 この12月にはこれらの方針や計画に基づいて、公共施設の再配置の具体的な検討手法・手続きなどを示す「公共施設再配置推進指針」を策定する予定です。対象施設は、昨年4月1日現在の882施設です。
 公共施設見直し方針(素案)の時に、当時のあぐい武夫市議が、「公共施設について、わざわざハコモノと記述している」「減らすやり方は、法的に目的や役割が異なっているにもかかわらず、公共施設を一緒くたにして、類似していることや近くにあることなどを理由に、統合や複合、売却などを進めること」「人口減少や少子・高齢化、そして厳しい財政状況が将来も続くことを大前提に、資産経営の観点から、市民に一番身近な公共施設を箱物扱いし、30年後を念頭に減らしていく方針と言わなければならず、千葉市のまちづくりにとって、大きな政策転換であり、多くの市民を巻き込んで考えるべき重大問題だ」と厳しく指摘しました。そこで、伺います。
 パブリックコメントを寄せていただいた市民は、「見直し方針(素案)」に9人、「見直し方針(案)」に5人、「総合管理計画(案)」に3人となっています。議会での指摘に対し、市民意見を聴取する際の改善が行なわれたのか。今後、策定予定の「公共施設再配置推進指針(案)」については、市民の身近な公共施設を再配置する具体的な指針となるため、市政だよりやホームページ中心の手法によらず、施設利用者・団体などに配布すべきではないですか。公共施設再配置推進指針(案)における市民意見募集をどのように取り組むのか、伺います。
【財政局長答弁】
 「公共施設再配置推進指針」については、再配置の検討手法・手続きなどを示す、言わばマニュアル的なものであるため、パブリックコメント手続きは予定しておりませんが、現在の方針案につきまして、附属機関である資産経営推進委員会から意見聴取を行うとともに、去る、11月13日に開催したシンポジュウムにおきましても内容をご説明し、アンケートにより意見を聴取したところであります。

【佐々木ゆうき議員】
 個別施設単位の再配置案は庁内で十分に検討して市としての方向性を示し、周辺地域や施設利用者に対する説明会や意見聴取を行い、意見を踏まえて、市として最終的な再配置計画を決定するとなれば、市民参加での議論ができなくなるのではないか。どう市民参加を保障し、合意形成を図っていこうと市は考えているのか。
【財政局長答弁】
 今後作成する個別施設の「再配置(素案)」につきましては、対象施設の内容や利用状況に応じて、施設利用者・団体、地元自治会等に対し、意見交換やワークショップ、アンケート調査等、適切な手法により意見聴取し、合意形成に努めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 公共施設再配置推進指針(案)には、すでに耐用年限を超過している32施設、今後10年間に耐用年限を迎える77施設が示されていますが、大規模な公共施設を除き、多くは市民センターや公立保育所、公民館・図書館です。それぞれの公共施設は法律や条例に基づき設置され、それぞれの目的、役割が明確にされています。さらには地域住民にとって必要な場所であり、地域の拠点となる施設ばかりです。再配置にあたっては、周辺地域の住民に対して、対象となる公共施設がどのような役割を果たしてきたのか。施設に関するあらゆる情報を提供・共有し、再配置によるメリットやデメリットは何かなど、地方自治法が掲げる住民福祉の増進の観点から、市民と十分に議論・検討できるようにすべきです。お答え下さい。
【財政局長答弁】
 再配置(素案)を施設利用者や地元自治会等にご説明する際には、施設の設置目的や建物の状況、現状の利用実態等のほか、再配置によるアクセスなどの市民サービスへの影響や施設整備・維持管理費についての財政的な効果等も示し、再配置の必要性への理解が深まるよう努めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 今年8月26日に、宮崎市の公共施設経営について視察しました。同市では客観的なデータである築年数・劣化状況・耐震対応、利用量・面積あたりの利用量、市負担額・面積あたりの市負担額に加え、民間との競合・防災対策・交通事情など特別な事情、市民意見を踏まえた評価を行なった上で総合評価を実施しています。
 市民は施設を「見直す」ことには賛成でも、いざ身近な施設が対象となることについての是非が問われることになります。
 住民によるまちづくり、住民自治を醸成していくためにも十分な議論ができるようにしていくのが市の役割ではないですか。
【財政局長答弁】
 本市では平成25年度より、資産カルテとして施設の面積、築年数、老朽度合、耐震化状況、利用状況とコスト情報、その推移などを公表するなど、施設情報の見える化に努めております。また総合評価を実施し「見直し」とした施設につきましては、次年度以降、利用方針案を作成し、利用者等の意見聴取を行った上で利用方針を策定することとしております。さらに公共施設見直しシンポジュウムの開催や、マンガ版パンフレットの発行により、公共施設を取り巻く状況、見直しの必要性について周知に努めております。これらの取組みを通じ、個別の再配置を検討する前段階から、公共施設のあり方を考える機運を醸成していきたいと考えております。

【佐々木ゆうき議員】
 公共施設等総合管理計画には議会への理解促進が、同計画第5章「取り組みの推進にあたって」の中で、示されていますが、再配置推進指針(案)には示されていません。議会に対しては、公共施設の再配置(素案)の段階で示すのか、意見交換会等の場においても市民と一緒に考えることが求められると考えます。
 議会への適切な段階での説明については、どのように考えているのか。
【財政局長答弁】
 議会への適切な説明に関しては、再配置推進指針の上位計画である公共施設見直し方針に規定しているところであり、今後、作成する再配置(素案)につきましては、施設利用者・団体・地元自治会等にお示しするにあたり、議会へご説明して参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 資産経営推進委員会から「全体のスケジュール感を持って進めること」が意見として出されています。見直し方針は、30年間で15%の施設総量の縮減が必要としていることと「財政への貢献」が資産経営の目的です。
 「スケジュール感」を持つことになれば、意見交換会やワークショップ、アンケート調査などの手法での意見聴取はするものの、再配置(案)は最終的に市が決めることになるので、市民の合意形成によるものではなくなることにならないか。
【財政局長答弁】
 公共施設見直し方針において、今後30年間で約15%の総延面積の縮減が必要であるという試算結果が出ているということを踏まえつつ、個別の施設の再配置にあたっては、施設利用者等に対し、意見交換会等、適切な手法により意見聴取を行い、丁寧な合意形成に努めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 これまで述べてきた計画や方針のおおもとには資産経営基本方針があり、(1)資産の効率的な利用を進める。(2)資産総量の縮減を進める。(3)計画的な保全による施設の長寿命化を進める、という3方針が貫かれています。異なる用途の共同利用などの複合化や、複数施設の集約化などの効率的な利用の推進、余剰となる施設については、売却などを行うとしています。
 複数施設の複合化や集約化は、現在、それぞれの法律や条例に基づいて設置されていますから、複合化や集約化によって、交通の便が悪くなるなど市民サービスが切り捨てられるようなことがあってはなりません。維持・向上させる視点が必要ではないですか。
【財政局長答弁】
 複合化や集約化等、施設の再配置にあたりましては、公共交通アクセスや接道条件など、将来にわたり利便性の高い立地の選択に努めるとともに、複合化に伴う異なる用途のマッチングによる新たな利用者同士の交流なども検討して参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 最後に、余剰となる施設について、売却してしまえば市のものではなくなります。資産経営の観点からでは民間への用地も含めた売却が想定されます。
 公共施設は現在、災害時には避難場所・避難所として市民生活に欠かせない「市民の財産」です。公共用地については今後想定される大規模災害の際の仮設・復興住宅の用地として必要となります。
 先日、千葉県の企業土地管理局から磯辺地域の残る用地の今後についてお聞きしましたが、具体化はしていませんが、そのどれもが今後処分方法を住民などの意見を聴取し決定していく方向性を明らかにしています。特に美浜区ではまとまった土地はなくなります。
 そうしたことも含めて、余剰となる施設について、単に売却にすべきではなく、公共施設としての用地として確保することが必要ではないですか。
【財政局長答弁】
 市政運営の基本方針である新基本計画や実施計画等を踏まえ、庁内で検討した結果、今後も市としての利活用の予定がない施設や土地につきましては、資産経営の観点から、市として保有し続けることは困難であると考えております。

【佐々木ゆうき議員】
 公共施設等総合管理計画では取り組みの推進にあたって「安心で快適な市民生活に資するとともに、持続的なまちづくりを目指します」としているのであれば、市民を巻き込んだ議論と合意形成に向けて市の役割は大きく問われます。
 公共施設は地域社会やコミュニティの核をなすものであり、住民のライフサイクルを通して福祉の増進を図り社会・経済活動を営む基盤をつくるもので、自治体の仕事の根幹をなすものです。
 住民の暮らしや地域の実態、個性、将来をよく見据えて、住民参加で行うべきであることを繰り返し述べておきたいと思います。

2.旧高洲第二小学校跡地へのマンション建設について
【佐々木ゆうき議員】

 旧高洲第二小学校跡地は、来年1月からのマンション建設が行なわれようとしています。同校については市としての利活用がないことから、売却処分を行うこととし、「売却にあたり、地元住民の方々へアンケート調査を実施したところ、建築物の用途や高さなどについて『制限する必要はない』とのご意見を多数いただいたことから、法令以上の条件をつけない一般競争入札による公募売却を実施し、不動産鑑定評価に基づく最低売却価格10億8,600万円に対し、17億5,200万円で売却した」ということ。地域住民との合意やまちづくりで問題となることはないのかとの問いに、「千葉市中高層建築物に係る紛争の予防と調整に関する条例において、事業主に建築計画の事前周知と、地域住民への説明を義務付けており、その状況などについて近隣説明等報告書として提出させることとなっております。本計画では、地域住民からの特段の意見、要望などはなかったとの報告を受けているが、今後、地域住民との間に問題が発生した場合は、事業主との話し合いにより解決することが重要であることから、十分な話し合いが行えるよう指導していく」と9月議会の代表質疑で答えています。
 そこで、伺います。
 法令以上の条件をつけない一般競争入札による公募売却を実施し、不動産鑑定評価に基づく最低売却価格10億8,600万円に対し、17億5,200万円で売却した後に、4割部分はマンション建設用地として、残りの6割は転売したと設計施工主である長谷工側からの説明がありましたが、あらためて高洲第二小学校跡施設用地全体の売却先と、残り6割の転売先について市はつかんでいますか。また、いつから戸建ての建築工事が始まるのか、明らかにして下さい。
【財政局長答弁】
 旧高洲第二小学校跡地施設は、株式会社長谷工コーポレーションへ売却しております。売却先から転売についての報告は受けておりませんが、その後に提出された開発行為に関する事前審査願において、転売されたことについては承知しております。
【都市局次長答弁】
 平成28年6月に開発行為の事前審査願いを受付し、現在、関係課と協議中でありますが、申請時点の工事着工予定は、29年1月と聞いております。

【佐々木ゆうき議員】
 一昨日、4日に住民説明会が行われました。住民からは、「マンションが8階建てとなることは聞いていない。いつ決まったのか」「日照に影響が出るのではないか」「5街区の公園は団地の管理組合が管理しているが、マンションの住民が使うようになってしまう。なぜ公園をつくらないのか」などの意見が出されました。
 意見が多数出されたのは、工事車両の通行です。長谷工によれば、準備工事のために12月12日から重機等の搬入を行なうとのことです。
 高洲第一中学校前を通り、聖こども園側から入ることに対し、住民は「通行してほしくない」との意見、管理組合からも以前、「団地居住者の出入りや通学路のため交通事故防止の観点から工事関係車両の通行を自粛されたい」旨の申し入れがされていますが、示された内容は2箇所の搬入口に1名ずつ誘導員を置くというもので、当初の計画通りに中学校前を通行することになっています。
 日照について、設計施工主である長谷工の「計画概要説明書」によれば、午前10時まで計画建物による日影の影響があるとしても、建設には影響はないとしていますが、建物が建てばずっと影響を受ける団地の住民がいることに、問題がないと考えるのか。建築の再考が必要ではないのか。また、住民から意見が出された工事車両の交通について、市はどう考えているのか。
【都市局次長答弁】
 日影の影響については、建築基準法で定められた日影規制に適合していることを確認しており、住居環境は確保されているものと考えております。一方、工事車両の交通に関する安全対策については、重要な問題と考えており、話し合いによる解決が必要と考えております。

【佐々木ゆうき議員】
 工事関係車両の通行に対して、マンション建設予定地の南側の戸建て住宅予定地側から搬入することや、それでも通行するのであれば、高洲第一保育所やコンビニのある交差点は、子どもから高齢者まで多くの方々が通行する交差点であり、搬入口だけでなく、市として長谷工に何らかの対応を求めるべきではないのか。
【都市局次長答弁】
 本市としては、交通関係車両の通行に関する安全性について、事業主に話し合いによる解決を求めておりますが、当事者間での話し合いが円滑に進まない場合は、「千葉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、工事着手までの期間において、当事者双方からの申し出により、「あっせん」や「調停」による紛争の調整を行うことが出来ます。当事者間での話し合いが円滑に進むよう、必要に応じて助言やアドバイスを行って参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 説明会での長谷工の説明では「用地を売却・転売したから使えない」とのことでした。自ら売っておきながら使えないというのはおかしいと考えませんか。住民が求める内容で対応すべきではありませんか。地域住民の声を無視してはなりません。
 大事なことは、住民と一緒にまちづくりを考えるスタンスに立つことだと思います。さかのぼりますが、学校適正配置地元代表協議会から2009年9月9日に「地元の要望に配慮し、有効活用を検討すること」、翌年4月6日には多目的ホールとしての活用と福祉施設としての活用、体育館・校庭をスポーツ活動のために開放などの有効活用を求めていました。
 2013年5月21日に発表した「高洲・高浜・磯辺地区の学校跡施設における検討状況」の有識者等意見聴取結果で、不動産関係者から「住宅開発の可能性」の意見の中で、「用地売却にあたっては、地域活性化に資する機能を追加することが重要」と出された通りに反映していれば、売却をしたことによって今回の問題が起こることはなかったのではないでしょうか。
 東京都中野区の公務員住宅跡地において民間により531戸の分譲マンションとともに、子育て世帯向け賃貸マンションを建設するだけでなく、病院、高齢者住宅、介護施設、保育所などをこれから建築、整備するという事例があります。
 高洲のみなさんが将来にわたり住み続けられるまちにしていく観点からも、新しく住むであろう住民の方々と協力関係を築いていくことは欠かせません。その出発点で、禍根を残してしまうことは決してすべきではありません。

3.幸町地区の学校跡施設の利活用について
【佐々木ゆうき議員】

 9月議会での私の意見募集を踏まえた市の考えについていつ示すのか、地元や議会に対して今後の具体的なスケジュールを示すべきではないかの質問に対する答弁では、「現在、いただいた意見について、庁内の関係部局で対応を検討している。決定次第、市としての考え方を地元や議会にお示ししたい」としました。
 利用方針を決定する前に地元と協議を行い、地元が求める三者協議の場の設定については、「そのような地元意見について、URに伝えるとともに、その対応について検討していく」としています。
 先日、多摩市ニュータウン再生方針について多摩市を伺いました。
 その方針の中で公園緑地については、「東日本大震災などを契機にコミュニティを緩やかに形成できる場として、その重要性が再認識されるなど、近年では今までにない多様な機能を実現できる場所として注目されるようになった」として、公園緑地の活用自由度の拡充を示しています。
 また、統廃合で使用しなくなった旧南豊ヶ丘小学校跡地をスポーツチームと協働でスポーツ・健康づくりの場の創出、防災避難所として活用を実施しています。公的な未利用地を多様な住宅供給の種地としての活用など、団地再生のため、まちづくりのための方針を持っていることは重要です。
 9月議会で質問した内容について、どこまで検討されたのか。地元からその後どのような意見が寄せられているのか。地元の意見が反映されるものとなるのか。市の方針案に変更はないのか、伺います。
【財政局長答弁】
 現在、地元説明会やその後の地元意見募集で寄せられたご意見の反映が可能かどうか、関係部局へ改めて庁内照会を行い、検討を行っているところであり、その結果を踏まえ、最終的な利用方針を策定して参ります。また、その後、地元から新たな意見は寄せられておりません。

【佐々木ゆうき議員】
 地元は引き続き、旧幸町第一小と第二小跡施設である体育館、校舎を避難所として残すことを求めています。避難所が近くにあることが必要です。6月の質問の答弁では、「東京湾北部地震が発生した場合、幸1町目・2丁目で、合計5,399人の避難者が発生する想定だが、旧幸町第1、第2小学校が避難所として使えない場合でも、収容人数は確保できる状況がある。また、同地区で想定人数を超える避難者が発生した場合には、他の地区で受け入れ可能な避難所を活用する計画」とはしていますが、高齢者や要支援者は他地区への移動は困難です。
 地元の要望を真摯に受け止め、方針に盛り込むことが必要ではないですか。
【財政局長答弁】
 現在の地震被害想定において、旧幸町第一及び第二小学校跡施設が避難所として使用できなくなった場合でも、幸町地区では想定避難者数分の収容人数は確保できている状況であり、他に使用用途のない施設を避難所として残すことは難しいと考えております。

【佐々木ゆうき議員】
 先ほどの美浜区高洲のまちづくり、美浜区全体のまちづくりにも共通しますが、高齢化が急速に進む団地の再生も含め、まちづくりを考えなければなりません。多摩市では、UR賃貸住宅や建て替えが行われた諏訪2丁目の中に市が管理する公園があり、市民の憩いの場、多様な機能を実現する場として位置付けています。
 そうした面からも、「売却」ではなく、多摩市の取り組みに見られるように将来に有効に活用できる施設、公共用地として残すことが求められるのではないですか。
【財政局長答弁】
 今後、地元より寄せられた意見を基に、利活用の検討を進めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】
 売却の方針を変えず、民間に売ってしまってはもう千葉市が手をつけることが困難です。千葉市全体、美浜区全体のまちづくりを考えて、資産経営、マンション問題でも述べましたが、公共施設のあり方を住民とともに考えるべきであることを求めておきます。