佐々木議員の反対討論



2016.12.14

写真 日本共産党千葉市議団の佐々木友樹です。会派を代表し、議案第145号、161号、162号に反対し、発議第14号が否決され、請願第6号・第7号が不採択になったことについて討論を行います。
 議案第145号・平成28年度一般会計補正予算中、千葉市中央コミュニティセンター民間所有持ち分等の取得事業費についてです。
 本議案に対するわが党の委員会審査での対応は、取得価格10億円の妥当性について疑問があるので、今議会では継続審査として、調査・検証を深めその後結論を出すことを提案しました。しかし継続審査が反対多数で否決されたため反対をしたものです。
 取得価格についての当局の説明は、補正予算額10億円は、区分所有者の伊藤忠ビルディング株式会社の譲渡申し入れ額とのことです。これを市が実施した不動産鑑定の結果を、附属機関の財産評価委員会へ諮問し答申を得て、最後に千葉市が判断した結果、10億円になったとしています。
 私たちの疑問は、伊藤忠ビルディング株式会社の譲渡申し入れ額10億円が財産評価委員会の答申や千葉市の判断を通じても変わらずに決まっていることは、価格決定のために必要な調査・検証が不十分で情報が不透明であることです。
 また、不動産の収益還元率の還元利回り7.5%の妥当性や中央コミュニティセンターが昭和49年から今日までの42年間の施設の傷み状況、地下3階の雑な工事状況など実態を正確に把握すること及び、建設当時に職員互助会から4千万円の寄付を受けたことなどが反映されていません。
 多額の予算を使うことによる取得なので、以上の疑問点を検証、解明する時間が必要であることを主張します。他の会派からも、「実施した当該施設の不動産鑑定評価額については、収益還元法にもとづく利回りが類似施設との比較や施設の老朽化を勘案する中では高いと思われ、妥当な評価額ではない」との意見が出されています。
 なお、中央コミュニティセンターは、モノレール駅を挟んで本庁舎と一体の施設として利活用されている利用価値の高い施設であり、千葉市が取得することは賛成であります。取得後は、教育委員会を移転して庁舎の分散化の解消と、借り上げ料の減額に資することを求めておきます。

 次に補正予算中、放課後子ども教室・子どもルーム一体型事業の債務負担行為等についてです。
 国の補正予算を活用し、一体型の推進に係る備品購入費が全額補助されるため、平成29年度4月からの2年間、債務負担行為を設定し、稲浜小学校でモデル事業として放課後子ども教室・子どもルーム一体型事業を行なおうとするものです。
 放課後子ども教室の担い手が不足し、子どもルームの指導員が慢性的に不足している中、現行の子どもルームよりも安価で利用できることや、指導員の待遇は、現状の指導員よりも悪くなり、今後この事業が本格的に進んだ場合には、子どもルームの形骸化につながりかねないと危惧するものです。
 利用児童が生活保護世帯や非課税世帯の場合に利用料は無料であっても、おやつ代などは2,000円実費がかかり、子どもの貧困の受け皿になりうるのか疑問が残ります。さらに、有料プログラムもあり、お金のない子は肩身の狭い思いをすることになります。教育の場が企業の儲けの場になってはなりません。
 子どもの権利条約に照らしても、問題であり、学校現場に民間事業者参入を促進するものとなり、本来の教育の平等性が崩れかねません。
 放課後の自由な時間を保障することは、子どもたちの成長発達にとっても欠かせません。
 今回の一体型事業では国の補助金で、エアコンやプロジェクター、冷蔵庫などが購入できる一方、通常の高学年の子どもルームでは、エアコンが整備されていない部屋で過ごす実態は改善されません。環境格差を広げるものです。一体型だけが整備されるのではなく、他の高学年ルームや放課後子ども教室でのエアコン整備等を進めることを求めておきます。

 議案第157号 指定管理者の指定について、千葉市ビジネス支援センターです。
 本議案は千葉市ビジネス支援センターの指定管理者について、非公募で引き続き千葉市産業振興財団を指定管理者に指定するものであり、反対するものではありませんが、意見を述べさせていただきます。それは、議案審議のために出された資料について、あまりにも不十分であったことであります。このことは厳しく指摘しておきます。当局から渡された資料は、〇×のみで記載されている集計表、アンケートを元にした意見等の羅列や毎年度パターン化された改善点・自己評価・市による評価が書かれた管理実績、評価がオールAでありながら、「相談件数は目標に及ばなかったものの」等、課題が指摘されている総合評価シート。また、この総合評価シートの次期指定管理者の選定に向けての意見には「施設利用者の増加等に向けて、地域及び関係団体との連携した取組みを推進していただきたい」の一文のみの記載がありましたが、これらを見ても「非公募で行う理由」「これまでの成果」「何に取り組んできたのか」「何をしてきたのか」、明らかでありませんでした。議案の資料が「不十分」というのは問題であります。
 こうした資料が出された原因は、産業振興財団を千葉市が指導できていないことにあります。今後は、千葉市として責任をもって指導していくことを求めておきます。

 議案第161号 指定管理者の指定について、千葉市科学館についてです。現在のトータルメディア開発研究所・凸版印刷共同事業体からコングレ・東急コミュニティー共同事業体に指定管理者が変更されるものです。
 今回の議案は、1つに雇用の継続雇用が担保できるか不透明なこと。2つに5年に一度契約更新では、雇用の不安定となること。3つに賃金も上昇するかわからず、職員のモチベーションが上がらないこと、4つに質の向上ができるのか懸念するものであり、反対します。
 審査結果の評価点は4点ほどしか変わらず、現在の指定管理者が、この10年間サービス向上のために小学校視察100%など、サービスの向上に努めてきた実績を市としても評価していますが、変更される指定管理者の今後の企画に期待できるからと評価が高くなったようです。
 現在働く職員の努力をきちんと評価せず、プレゼンが良ければ、致命的な問題をなんら起こしていない事業者が変更されるのは納得できません。
 変更後にこれまでのサービスの質を保てるのかが問われています。そのためには今後の従業員の継続雇用が極めて重要です。継続雇用については、「事業方針に賛同し、希望者と面談し、原則として希望した職員全ての継続雇用をめざす」というものに留まり、継続雇用の保障が不透明です。これでは事業の継続性があるのか疑問視せざるを得ません。
 その上、指定管理料は前回と比較し1億781万9千円の減額が提案されています。来館者が40万人から47万人に増えることを想定して計上されていますが、想定通りでなければ、しわ寄せは人件費削減につながりかねません。
 市の財政面でワーキングプアや雇用不安を広げていく指定管理者制度は、制度の矛盾をきたしており、見直すことが必要です。

 議案第162号 千葉市蘇我スポーツ公園第2多目的グラウンド(南)の指定管理者の指定についてです。
 蘇我スポーツ公園に整備された第2多目的グラウンドの施設管理を、非公募で既存のフクダ電子アリーナ他4施設の指定管理者と同じMMT共同事業体に指定するものです。指定期間は平成29年4月から平成32年3月までの3年間で、蘇我スポーツ公園の4施設と合わせた管理期間となります。
 実施したアンケートをもとに、利用者の声を聞き改善を図る姿勢は必要なことですが、施設の「劣化度診断」や「競技場照明のLED化等の業務」が実施に至っておらず、目標値に照らして稼働率が低いことなど、思うように利用が増えていない状況です。
 千葉市はスポーツ振興の拠点や広域防災拠点として整備を続け、管理施設を増やしてきましたが、今後施設の劣化対策等新たな維持管理費の発生も危惧されます。財政を圧迫する大型開発には見直しを求めてきたものであり、賛成しかねます。

 発議第14号 千葉市障害者スポーツ振興基金条例についてです。
 基金の目的は、1つに障害者スポーツ普及や促進のためのインフラ整備を行い、2つに障害者スポーツの選手育成・支援、3つに障害のある方の誰もがスポーツに参加できるよう促進し、生活改善・社会参加へとつなげていくために設置するものであります。日本共産党千葉市議団は、2012年第4回定例会に、千葉市の障害者スポーツの振興を図り、障害者の福祉向上に資するため、千葉市障害者スポーツ振興検討委員会を設置するための条例を提案し、その後の経過の中で、基金条例が必要と考え、提案しました。
 障害者スポーツの振興には、認知度の低さ、利用可能施設の少なさなど課題が多くあります。千葉市の障害者スポーツ推進に係る予算は、2015年度は約1,644万円。今年度は約284万円となっていますが、大会支援等のための使われており、障害者スポーツの振興が十分進められているとは言えません。スポーツ振興の中で、障害者スポーツ振興は特に予算が必要であります。
 他の委員からは「基金を設置する趣旨は理解するものの、障害者のみならず、高齢者や児童など健常者も含め、市民のスポーツ振興を図ることが必要」としていることや、「スポーツ振興に係る基金の設置が検討されていて、その中で障害者スポーツへの対応も期待できる」などとして、発議に反対しました。
 環境経済委員会では日本共産党以外の反対で否決されたことは誠に残念ですが、実際に委員会において当局より「来年度に向けてスポーツ振興の基金をつくる」との答弁がありました。来年度、基金をつくることは前進であり、その中に障害者スポーツ振興のための各種施策が取り入れられるよう強く求めておきます。

 請願第6号 国民健康保険制度の充実を求める請願についてです。
 この請願は、国民健康保険料の引き上げを行わないこと、国民健康保険事業特別会計に一般会計からの繰り入れを行い、国民健康保険料の引き下げを求めるものです。
 千葉市の国民健康保険料は毎年度引き上げられており、国民健康保険料は所得の1割を超え、被保険者にとって重い負担となっています。
 国保は、国民すべてが安心して医療が受けられるよう保障する社会保障制度です。相互扶助の制度ではありません。国民健康保険制度を維持するためにも、国民健康保険制度への国庫負担を大幅に増額し、一般会計からの繰り入れを行い、払える保険料にすることは市民の切実な願いです。
 委員会では、「皆保険制度を維持するために請願は認められない」とし、日本共産党以外の会派が反対したことは極めて残念です。
 皆保険制度を維持するために国民健康保険制度の再建、改善を引き続き求めます。

 請願第7号 事故調査特別委員会設置を求める請願についてです。
 この陳情が不採択になったことは残念ですが、再発防止のために特段の努力をされるよう求めておきます。

 以上で、討論を終わります。