党市議団が提出した意見書案


平成29年第1回定例会
No.1

 (提出年月日)平成29年1月26日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

障害児者の生きる基盤となる「暮らしの場」の早急な整備を求める意見書(案)

 障害があるがゆえに、何らかの社会的支援がなければ生きていけない障害児者は年々増加している。現在の障害福祉施策は、居宅サービスはもちろん、グループホームや入所施設などの社会資源の絶対的不足が慢性化しており、結果として多くの障害児者が家族の介護に依存した生活を余儀なくされている。家族に依存した生活の長期化は、精神的にも経済的にも相互依存をより助長し、障害児者の自立をますます困難なものにしている。
 2014年1月、日本は国連の「障害者の権利に関する条約」の締約国に加わった。条約には、第19条(a)「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」が明記されているとともに、第28条では「障害者が、自己及びその家族の相当な生活水準(相当な食料、衣類及び住居を含む)についての権利並びに生活条件の不断の改善についての権利を有することを認める」ものとしている。
 多くの障害児者と家族は、社会からの孤立と家族依存、老障介護等の現実の中で、生きる基盤となる「暮らしの場」の早急な整備を切実に望んでいる。とりわけ、緊急時や同性介護に対応するヘルパー等の福祉人材確保の問題、入所施設への希望者が増加する中、緊急度の高い待機者が「長期のショートステイ(いわゆるロングショート)」を余儀なくされている問題などは早期に解決すべき課題であると言える。
 こうした深刻な現状を打開するためには、地域で安心して暮らすために必要な社会資源の拡充を図るとともに、「地域か、施設か」、「グループホームか、施設か」の選択ではなく、地域の中の重要な社会資源として共存し、相互に連携した運営と拡充が図られ、利用者が体験的に選択できる状況を早期に実現することが必要である。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について強く要望するものである。

1 障害児者が「暮らしの場」を選択できるよう、グループホームや入所施設・通所施設などの社会資源を拡充し、福祉人材を確保すること。
2 入所機能を備えた地域生活支援拠点を国の責任で整備すること。
3 前2項を実現するために、障害者関係予算を大幅に増額し、施策の重要な担い手となっている地方自治体を財政的に支援すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年  月  日

千 葉 市 議 会


平成29年第1回定例会
No.2

 (提出年月日)平成29年2月9日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ解禁法)の廃止を求める意見書(案)

 先の臨時国会で強行採決により成立した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ解禁法)について、新聞各紙は、「政治的退廃の極み」、「人々の不幸で経済成長なのか」、「依存症対策なら、初めからやらないのが最善策」などの声を紹介し、「疑問や懸念を残したままの法律」、「本当にカジノを解禁するのか」と強く批判的に報道している。
 成立直後の共同通信社の世論調査でも、カジノ解禁に「反対」が69.6%、「賛成」が24.6%、カジノ建設について「つくらない方がよい」が75.3%、「つくってもよい」は21.9%などと報道されている。また、「刑法で禁止されている賭博をどんな理屈で合法化するのか」、「依存症の弊害を認めながら国として推進するのか」、「地域の治安悪化や青少年への悪影響を容認するのか」などの意見もあり、カジノ解禁法の趣旨は矛盾と無責任にあふれていると言わざるを得ない。
 今後1年以内を目途に「実施法」を策定するとされるが、深刻な弊害は防ぎようがなく、カジノ推進は思いとどまるべきである。
 よって、本市議会は国に対し、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ解禁法)の廃止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年  月  日

千 葉 市 議 会


平成29年第1回定例会
No.3

 (提出年月日)平成29年2月9日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

国内でのオスプレイの配備撤回を求める意見書(案)

 昨年12月13日に発生した、米軍普天間飛行場所属MV22オスプレイの空中給油訓練中の重大事故は、その原因や、不時着なのか墜落なのかも含めて何ら解明されておらず、米軍の一方的な発表だけで詳細は明らかにされていない。米軍は、事故現場が米軍基地外であるにもかかわらず、日本の捜査機関(海上保安庁)による捜査協力要請を無視したまま、事故機のフライトレコーダーがあるとみられる操縦席などの機体全てを回収するなど、「情報の隠蔽」とも思われる状況さえ起きている。
 今回の事故を米軍は「着水・不時着」などと発表しているが、操縦士はパラシュートで脱出し、機体が大破している状況から「墜落」と見るのが自然である。また、米軍みずからが最も深刻な事故とされる「クラスA」に指定していることからも明らかである。ところが、米軍は「事故原因は単に給油ホースにプロペラが接触しただけ」などとし、事故からわずか6日後にオスプレイの飛行を全面再開したことは、日本を主権国家として認めていないような振る舞いであり、とても許されるものではない。
 このような事態に日本政府は、抗議するどころか「理解する」として容認していることに、千葉市民からも強い疑問や批判の声が起きている。それは、本年2月より、陸上自衛隊木更津駐屯地でオスプレイの定期整備が始まり、千葉市上空を飛行することも考えられるからである。「欠陥機」などと称される危険なオスプレイが、千葉市の上空を飛び交い、騒音や事故が発生しても、日本政府は原因究明に関与できず、抗議もできないなどという事はあってはならない。そのためにも、沖縄県はもとより日本国内で、米軍・自衛隊にかかわらず、危険なオスプレイを配備し飛行することは許されないのである。
 よって、本市議会は国に対し、国内でのオスプレイ配備撤回を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年  月  日

千 葉 市 議 会


平成29年第1回定例会
No.4

 (提出年月日)平成29年2月9日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「共謀罪」の新設に反対する意見書(案)

 政府は今国会で、犯罪の計画段階で処罰を可能とする「組織犯罪処罰法改正案」、いわゆる「共謀罪」法案の「早期成立を目指す」としている。これまで3度も国会に提出されてきたが、恣意的な適用が懸念されると批判され、日本弁護士連合会も「近代刑法に反するもの」であり、「単に疑わしいとか、悪い考えを抱いているというだけで、人が処罰されるような事態」が懸念されるとして、「共謀罪の新設に断固反対」を表明するなど、全国に反対の運動が広がり、廃案となった経緯がある。
 今度は「テロ等準備罪」などと名称を変えて議論しているが、思想や内心を取り締まるこれまでの「共謀罪」と本質はなんら変わっていない。日本の刑法は、「個人の生命や身体、財産など保護されるべきものを侵害する行為」を処罰することが原則とされてきた。しかし、「共謀罪」は犯罪の行為ではなく、意思を処罰の対象にするもので、憲法が保障する「思想及び良心」を犯罪視した、現代版「治安維持法」とも言えるものである。
 当初の700近い対象犯罪を当面300程度に縮小したとしても、「共謀」を取り締まるために、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(通信傍受法)を濫用し、国民の会話や電話、メールなどを日常的に盗聴、監視することが予測されるなど、事件に関係ない人の人権まで侵害するおそれがある。また、警察のおとり捜査、密告や通報が奨励され、冤罪が格段に増加するとの危惧もある。
 テロは、現在の法律でも対応可能とされているにもかかわらず、新たに、歴史を逆行させる悪法、「共謀罪」法案を持ち出す政府の暴走・強権は、絶対に容認できるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、「共謀罪」を新設しないよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年  月  日

千 葉 市 議 会


平成29年第1回定例会
No.5

 (提出年月日)平成29年2月9日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの支援策を求める意見書(案)

 内閣府が男女間における暴力に関する調査を行う中で、約350万人の女性が性被害を受け、被害者の約4割は未成年者が占める深刻な事態が明らかとなっている。ところが、こうした被害を受けながら、誰にも相談できなかった人が約7割に上っている。被害者がちゅうちょせず訴えられるような相談体制や、被害者の心身回復のために、被害直後及び中・長期にわたる支援体制の整備が必要である。
 内閣府は、「第2次犯罪被害者等基本計画」(2011年閣議決定)を受け、2012年に「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」を作成した。その中で「性犯罪・性暴力被害者に被害直後からの総合的な支援(産婦人科医療、相談・カウンセリング等の心理的支援、捜査関連の支援、法的支援等)を可能な限り1カ所で提供することにより、被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図るとともに、警察への届出の促進・被害の潜在化防止を目的とするもの」とワンストップ支援センターを規定している。
 また、国は2014年度に3,900万円、2015年度に1億円、2016年度には8,800万円の予算を投じ、「性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究」を実施し、新規開設・機能拡充に向けた取り組みを行っている。
 国際連合の勧告による基準では、女性の人口20万人ごとに1カ所のワンストップ支援センターを整備することが望ましいとされている。昨年3月現在、全国の27カ所に開設され、千葉県内ではNPOの運営によって、「千葉性暴力被害支援センター」が千葉市内にある病院内に開設されている。
 被害者に心と体のケアを提供する上で、このようなワンストップ支援センターが果たす役割は大きいが、千葉市が100万円を助成しているものの、千葉県からの補助はなく、機能拡充は困難な状況にある。
 よって、本市議会は千葉県に対し、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの支援策を早急に講ずるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年  月  日

千 葉 市 議 会