かばさわ洋平議員の条例提案理由説明



2017.2.17

写真 発議第1号 千葉市子どもの社会的養護検討委員会設置条例の制定についての提案理由の説明を行います。
 今回提案する条例は、児童虐待や育児放棄の増加など、社会的養護が必要とされる子どもが増えているなか、子どもの最善の利益を実現するために、里親等の普及啓発、里親等の委託推進及び支援、特別養子縁組制度の利用促進、子どもの養育強化等に関して調査審議し、市長に意見を述べる千葉市子どもの社会的養護検討委員会を設置しようとするものです。
 警察庁の発表によると、2016年上半期に全国の警察が虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が、前年同期比7,287人、比率で約42%増の2万4,511人に上ったとされています。貧困と格差の拡大もあって、児童虐待の件数は5年連続で増加し最多を更新中であります。社会的養護が必要な子どもへの最善の利益を実現するためには、子ども一人ひとりの状況に応じて最適な環境を提供できるよう、施設養護・里親委託をはじめとした養育強化に向けた取組みが必要です。
 とりわけ、家庭的環境での養育である里親の推進は喫緊の課題であります。しかしながら、里親委託開始後の里親等へのサポートも、十分に提供されているとは言えません。里親家庭への支援の課題として、「里親の悩みへの対応が不十分」、「訪問支援が不十分」などがあげられています。また、里親委託ガイドラインの制定以降、専任の里親担当者や里親委託等推進員、里親支援専門相談員などの設置によってアフターケアの強化が図られているものの、その運用はまだ途上にあるため、問題が発見されないまま里親と子どもに多大なストレスがかかった状態が放置されるケースも後を絶ちません。
 兵庫県では、望まない妊娠で生まれた新生児の里親への委託事業を産科医療機関などとの協力のもと推進しています。医師会や里親団体などの関係者を集めての会合を実施し、事業の充実に取り組んでいます。
 今回提案する千葉市子どもの社会的養護検討委員会は、子どもの置かれている状況が複雑化、深刻化するなかで、より多角的な視点で、子どもの命を守る取組みから、里親等の認知拡大に向けた取組み、里親に対する研修の強化、問題が生じた場合における相談体制の強化、並びに、子どもの自立を推進するために、学識経験者や医師、里親など幅広い知見を持つ委員に参画していただくことが重要と考えます。
 子どもの権利条約に謳われるとおり、すべての子どもが「家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべき」という前提において、家庭のなかで特定の大人との愛着関係に基づいた養育を行う里親制度は、社会的養護の中で重要な位置づけを占めており更なる推進に向けた努力が今こそ求められています。児童虐待などで命を落とすようなことが起きてはなりません。社会全体で子どもの最善の利益に向けて、縦割りを解消し互いに知恵を出し政策を進め、ひとりでも多くの子どもに家庭環境の下での幸福やぬくもりを届けようではありませんか。先輩、同僚議員のご賛同をお願いしまして提案理由の説明とします。