【地方行革】

指定管理者制度導入の問題点
(2004年9月議会 小関議員の代表質疑より)
 「公の施設」の管理・運営を、これまでは市の直営や市の出資法・外郭団体などが行ってきたが、今後は指定管理者に管理・運営を任せることになった。千葉市は、3年間で350施設を指定管理者に管理代行させる計画とのことだが、指定管理者制度に関する基本的な問題について指摘する。
 第1は、指定管理者に管理を行わせることによって、「公の施設」の持っている「公共性」が維持できるのかという問題である。
 「公の施設」の設置目的は、地方自治法244条で規定されており、そこには「公の施設」は「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設」と書かれている。しかし、民間業者が管理代行することになれば、「公共性」を追求していたのでは、民間業者は利益があがらないからと、利益優先の管理・運営にならざるを得ないのではないか。
 第2は、管理・運営を指定管理者が代行することで、本当に利用者のサービス・住民サービスは向上するのかという問題だ。
 本来、「経費節減と市民サービス向上」は両立しないと言われている。「経費節減」のためにと、管理・運営に必要な設備費用や職員が削られるのでは、市民サービスは後退するのではないのか。
 第3は、多額の市民の税金を注ぎ込んだ施設が、民間業者の儲けのために提供されると言う問題だ。
 今議会に提案された「千葉市斎場」「蘇我球技場」「アイススケート場・温浴施設」の3つの施設には、合計274億円2,000万円もの税金が投入されている。
 今後の350施設を考えると、1,000億円〜2,000億円という途方もない建設費をかけた施設が、指定管理者に管理代行されることになる。
 これらの施設を民間業者の利益のために提供することは、市民の財産や利益を民間に投げ出すことであり、地方自治体としての責任を放棄することにならないのか。

「千葉市斎場」「蘇我球技場」「アイススケート場」の指定管理者制度導入について
(2004年9月議会 中村議員の質疑より)
 指定管理者に管理を行わせることによって「公の施設」の持つ「公共性」を維持させることができるのか。
 地方自治法244条で「公の施設」とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用を供するために、地方団体が設置する施設と規定されている。
 それは、スポーツ施設や文化施設が、スポーツ・文化の振興に供すること。福祉施設では、福祉の増進に供するという目的・理念が掲げられている。
 市役所が管理・運営する場合は、地方自治法が前提になるが、民間の場合は行政から示された条例の範囲で管理・運営するのが原則になると思うが、提案された3件の議案のうち、「アイススケート場・温浴施設」は、「スポーツの振興及び市民の健康増進を図るため」と目的・理念が明記されているのに、「千葉市斎場」「蘇我球技場」は、設置目的や理念が示されてない。
 千葉市は、指定管理者に対して、地方自治法244条の示す「公の施設」を目的通り運営することを明確にすべきだ。
 また、利用者に対する無差別・平等の原則が守られるのかどうか疑問だ。千葉市は今回の3つの条例で、指定管理者の指定手続き等、指定のあり方を定めている。
 その中に「市民の平等な利用を確保するものであること」とあるが、本来の「市民の福祉の増進」「公平な利用」「差別的な扱いをしてはならない」ということを明記すべきではないのか。
 無料・あるいは廉価な使用料が保障されるのか。施設運営に住民の意向が反映されるのか。利用者の運営や施設改善への要求はどのように聞き、対応するのか。誰が、いつ、どのように行うのか。多くの疑問・不安に明確に答えるべきだ。
 議会の関与についても、問題がある。利用料金制になった場合、地方公共団体の歳入として予算・決算には計上されず、議会のチェック機能が果せない問題がある。
 事業の計画書、選定理由、業務内容、協定書などの情報を開示することが重要だが、どのように保障するのか。今後、決算議会などでは、事業報告や調査報告などは明らかにされるのか、明確にすべきだ。
 公募の選定にあたり、選定委員会は行政の内部にとどまらず、第3者機関が調査、検討、評価できるようにするべきだ。運営上の問題では、民間事業者が倒産した場合、市の損害の責任はどこが負うのか。住民負担によって補うことはないのか。
 指定管理者制度の導入により、これまでの社会福祉事業団やスポーツ振興財団、文化振興財団など「外郭団体のプロパー職員はどうなるのか」との不安に応えるべきだ。

千葉市・四街道市合併協議会廃止から何を学ぶのか
(2004年6月議会 やなぎだ議員の質疑より)
 鶴岡市長は、合併特例法の特別措置期限である2005年のタイムリミットに合わせて、合併協議会の運営を精力的に進めてきたが、四街道市民の住民投票の結果により、合併協議会は廃止することになった。市長の見通しは適切だったのか。
 鶴岡市長の協議会運営は、全会一致制を無視して多数決で押し切り、四街道市議会から2回に渡って、「民主的な運営を求める意見書」を提出されるなど、他に例を見ない強引な運営であったことが、議会でも指摘されてきたところだ。
 このような、鶴岡市長の協議会運営は、四街道市民の投票結果として現れたように、市民の願いに背くものだったことになり、責任は重大である。
 そもそも、千葉市・四街道市の合併は、政府の合併特例法に基づき、全国の市町村の数を減らして、政府が地方への財政支出を削減し、国の支配を強め、大型公共事業を推進するのがねらいであり、自治権の拡充など地方分権とは矛盾するものである。
 日本共産党市議団は、当初から「政府とそれを受けた堂本県政による押しつけに従うべきでない」と鶴岡市長に提言してきた。
 しかし、私どもの提言を無視して進めてきた結果、挫折したのである。四街道市民は、賢明な判断をしたことになる。鶴岡市長は、強引な進め方を反省し、「政府や県の押しつけに抗し、住民の利益を守る」と表明すべきではないのか。

市町村合併に対する党市議団の立場
( 野本信正幹事長に聞く) 2002.10.5
 私どもは、住民の意志に基づいて、地方自治体を適切な規模にしていくことを一律に反対するものではありません。いま政府は、地方分権を主張しながら、市町村合併を「飴と鞭」で押し付けて、全国に合併協議会などを立ち上がらせていますが、その狙いは地方自治体の数を減らし、大型開発をしやすくすることにあります。合併によって、当座の公共事業は特別に確保できますし、10年間は地方交付税の特例もあります。しかしその後、国から地方への財政支出は莫大な規模で削減されます。総務省の試算では「自治体の数を1,000に減らせば、地方財政を4兆円〜5兆円減らすことができる」と言っています。政府の押し付ける市町村合併はこのように、国から地方への財政支出を莫大な規模で削減し、住民サービスを低下させ、地方自治制度の破壊につながるものです。200万円かけて、合併に関する基礎調査が行われ報告書がつくられました。その内容は、政令市千葉市の合併には余り根拠がなく、近隣市町村との合併について消極的な結論だったと思います。しかし、四街道市で直接請求をされた「千葉市との合併協議会設置を求める会」の四街道市民向けのビラと資料を拝見しました。その中の、「中心市街地活性化」計画の説明によれば、「中心市街地の精工舎跡地や中学校跡地など8.8万坪の土地を850億円かけて再開発する。これを千葉市の3つの都心開発に続く第4の都心開発として発展させる。だから、千葉市との合併が絶対必要である」と書いてあります。日本共産党市議団にもこのプランが実現可能なのかとの問い合わせがありました。私どもは、議会で市長に問い質しましたが、四街道市の「会」のことだから「コメントできない」と言うだけでした。今でさえ、千葉市の財政は危機的なのに、さらに大型開発をすすめたら大変な事態となるでしょう。新たな開発のための合併だとしたら、認めるわけにはいきません。しかも、千葉市では市民に合併の是非を問う議論は何も行っていません。市民が知らないうちに、事態が進むようなことはあってはなりません。日本共産党は、合併は必要性を充分議論し自発的に行うべきもので、国や県からの押し付けには強く反対します。そして、市民が充分議論できるよう保障したうえで、意思決定は住民投票も含めて慎重に行うよう求めています。