小関としゆき議員の条例提案理由説明

2002.11.27

発議第33号、34号、35号の提案説明をおこないます。
 まず、発議33号「千葉市市民参画条例」の提案理由の説明を行います。
日本共産党千葉市議団はこれまで、町づくりの主役は市民であり、市民参加を求めてきました。千葉市の「21世紀の市運営の基本」となる「千葉新総合ビジョン」においても、市民参加条例の制定を求め住民投票の検討を提案してきました。そして新総合ビジョンでは、「ボランテイァ活動や地域コミュニティ活動など社会参加活動に対応するため市民参加条例の検討を進める」と盛り込まれました。全国では、石狩市の「市民の声を生かす条例」、二セコ町の「二セコ町まちづくり基本条例」、宝塚市の「まちづくり基本条例・宝塚市市民参加条例」、箕面(みのお)市の「箕面市市民参加条例」など、さまざまな形で条例化がされています。
 地方分権がすすみ、社会や経済のあり方が大きく変わる中で、市民が主人公の立場から政治に大きくかかわり、市の政策や市民の意思を決定していくことが必要な時代です。また、「住民自治」は住民の意思で自主的なまちづくりを進めるのが基本です。身近な地域で緊急な争点が浮上した時などに、住民投票の役割が重要となってきます。この間全国では、直接請求や首長提案、議員提案などによって、新潟県巻町の原発建設、沖縄県の米軍基地の整理縮小、埼玉県上尾市の合併問題、徳島市の吉野川可動堰建設などの件で住民投票が行われました。千葉県でも、海上町で産業廃棄物の施設建設問題で住民投票が行われました。住民投票が広がる中、愛知県の高浜市では、特定案件を想定せず、議会の議決なく住民投票が行えるように条例化を行いました。選挙で選ばれた首長や議員が有権者を代表するのが議会制民主主義です。しかし価値観が多様化している今日、緊急の問題などの判断で、民意を十分に反映するために住民投票を適切に行うことが求められており、そのための条例化が必要です。また、投票年齢を引き下げて若い世代の関心と関与で住民参画の政治がすすむことが求められます。そして地方自治が活性化することが21世紀の地方自治体のあり方と考えられます。今回の条例案は、市が施策を展開するにあたり説明責任を行い、また行政評価を行い、徹底した情報公開で市民参画を保障し、また市民の意思を問う場合に住民投票ができるよう規定するものです。また「子どもの権利条約」に基づいて子どもの意思を何らかの形で反映する手立てが必要です。学校では子どもが主人公です。学校の運営や建設などで子ども達の意見が生かされるようにすべきです。いま、蘇我臨海開発など大型開発問題についても、市民参画が求められています。そのためにも、市民参画で市政が運営されるよう求め、この条例を提案致します。

 次に、発議第34号「千葉市個人情報保護条例の一部を改正する条例」の提案理由の説明を行います。
 今年の8月5日住民基本台帳ネットワークシステムがスタートしました。この制度は1999年の住民基本台帳法の改正によって導入されたシステムで、国民一人一人に11桁の番号を振り分けるものです。住基ネットは個人情報保護が不十分で、住基ネットから離脱する自治対があいついでいます。このように、国民全員を参加させる住基ネットは根幹から揺さぶられています。そのことは民間調査会社「日本リサーチセンター」の11月2日付の発表でも、住基ネットに対して「賛成」は3,1%「どちらかといえば賛成」6,6%。「反対」は17,6%「どちらかといえば反対」30,2%であり、したがって賛成は9,7%で反対が48%になり依然抵抗感が強いと報道されています。反対理由は、複数回答で「個人情報が漏れる危険がある」79,8%、「導入するメリットが分からない」45,7%、「個人情報の管理強化につながる」35%、「スタートからトラブル続き」28,5%とされています。国民の心配な点が調査結果に良く表れています。これは千葉市民も同じ思いと考えられます。さらに学者・ジャーナリスト6人が国や居住する市区町を相手取り住基ネット稼動差し止めをもとめる初めての民事訴訟が11月1日、東京地裁で始まりました。第1回口頭弁論で原告は「住基ネットで憲法13条が保障するプライバシー権が侵される」と主張しました。これに対して国や都はA4版1枚の答弁書だけで、反論がなかったと報道されています。これらの現状から憲法違反と指摘されている住基ネットを地方自治体としても、現在のままで稼動させることは問題が多すぎます。そこで、いくつかの地方自治体では住基ネットにたいして、通信回線により提供した個人情報を不正に利用することが無いよう、措置を定めています。それに合わせて千葉市においても、個人情報保護条例の中の第10条に1条を加えて個人情報の漏えい・改ざん・不適正な利用などにより、情報の保護が守れ無い時、基本的人権の侵害のおそれがある時は、相手先から報告を求めかつ必要な調査を行う事が出きるとしました。
 さらに、個人情報保護の為に情報提供の一時停止、緊急時では必要な措置を講じて審議会に報告するとしました。国が個人情報保護法保護の為の所用の措置を講じていないことこそ、法律違反とされています。このような状況では市民の住基ネットに対する不安を取り除く為にも千葉市として最低限の措置として条例を改正して、市民のプライバシーを保護するための措置を行うべきです。以上、地方自治権に基づき市民の個人情報保護をさらに明確にするために、この条例を提案致します。

 最後に、発議第35号「千葉市老人医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例」の提案理由の説明を行います。
 10月から国の医療費が改悪されました。そのために、1割負担でも在宅酸素療法を実施している方は、今まで月2回の往診で3,200円だったものが、今では月に13,380円もかかり1万円以上のはねあがりで、とても払いきれないと悲鳴を上げています。
 それに加えて今年の第3回定例会では、68歳,69歳に対して市独自で実施してきた医療費助成制度に、所得制限が設けられました。私たち日本共産党議員団は、これに対して強行しないよう求めてきました。今回の条例は改正前と同じように、この医療費助成制度に所得制限を設けないようにする提案です。船橋市、習志野市、八千代市では所得制限を設けずに10月以降も助成制度を継続しています。他の自治体では高額医療費の手続きの緩和策,委任払い制度などを実施しています。千葉市は31年前から所得制限なしで助成制度を実施してきており、市民に大変喜ばれてきました。医療費の無料化に向けて助成制度を充実することは、医療機関にかかりやすくすることであり、早期発見・早期治療につながります。その結果,医療費を抑制することができます。
 国の医療改悪によって、市民が大変な事態になっているときこそ、自治体は市民を守る立場に立つべきです。千葉市で安心して老後を過ごすためにも、ぜひ老人医療費助成制度の所得制限を撤廃するよう求め、この条例を提案致します。
以上で、各条例の提案理由の説明を終わります。