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市政懇談会で、参加者の意見・要望を受ける党市議団(8/8) |
2016年10月7日 日本共産党千葉市議団
第3回定例会(9月議会)は、9月5日から10月3日まで開催されました。今議会では、補正予算案5件、条例案9件、一般議案4件、決算関連議案1件、決算議案18件、議員発議6案件、追加議案2件が審議されました。
1.党市議団は、市長提出18議案について質疑を行い4議案に反対
国保運営の都道府県単位化に伴うシステム改修補正予算では、市独自の国保運営が広域化されることで予想される、国保料徴収強化や料金引き上げ、医療費抑制などの圧力に対し、市民の命最優先に対応できるのかを追及。市の「広域化は国保事業の安定的な運営に必要」と、国の方針を無批判に受け入れ推進する姿勢を批判しました。
市の証明書等のコンビニ交付サービス導入に伴い、コンビニでの手数料を50円引き下げる条例の一部改正では、コンビニ交付だけ手数料を引き下げ、利用促進を図ろうとしても、利用にはマイナンバーカードが必要です。カードの普及は1割で、カード紛失のリスクも格段に高まる中、4億円超でシステムを構築し、手数料を下げてまで導入する意味はあるのか質しました。市は「5年後には利用率2割を見込める」「セキュリティー対策は万全でデータが漏えいするリスクは極めて低い」とする根拠は弱く、中止すべきだと迫りました。
民間事業のため産業用地の整備費用を10億円まで支援するための「審査会設置条例」では、(1)対象地域の地権者(明治大学)と開発事業者との間で意見交換が行われ、周辺住民抜きに進めている。(2)税金を特定事業者の産業用地確保に投入しようとしている。(3)市内中小企業への支援策は不十分のままであることを示して、質しました。市は、対象地域は「昨年度から基礎調査してきた」結果であり、「早期に実現可能と判断した」もので、既定方針に基づいた計画であり問題はないとしました。また、「開発事業者」は「審査会」が決めるものだと、市の関与を否定。周辺住民には「企業に説明するよう指導する」程度です。党市議団は、多額の補助金を支出しても、わずか5年で撤退した企業の例もあることから、拙速な条例案提出を批判し、これまで千葉市を支えてきた中小企業への支援こそ強めるよう求めました。
保育所や認定こども園の保育士配置要件を緩和するための条例の一部改正案は、保育士不足を補うため、時限的に、朝夕は2名の保育士配置から1名に緩和し、また保育士の代用として、幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭の配置を可能にするものです。「朝夕は怪我が多い時間」「無資格者に預けるのは不安」「保育の質が低下する」「保育士は保育の専門職」など批判が出ており、待機児解消や保育士不足への対応なら、低すぎる保育士の処遇改善こそ急務です。しかも千葉市は、時限的といいながら期限を設けない無責任なもので、党市議団は対処療法ではなく根本的な解決を求めました。
2.5千名の署名を添えたエアコン設置を求める請願が不採択に
新日本婦人の会が6月議会に提出し、継続審査となっていた「小中学校普通教室にエアコン設置を求める請願」は、今議会に約5千名の署名が集められ提出されました。同時に、自民党議員紹介による「エアコン設置計画を求める請願」も提出されました。採決の結果、新日本婦人の会提出の請願は、共産・未来・ネットは賛成、自民・公明が反対し賛否同数でしたが、委員長裁決で不採択になりました。もう一つの請願は、「早期に」が欠落しているものの「エアコン設置を求める請願」であり、党市議団も賛成し、全会一致で採択されました。市当局は請願の採択を重く受け止めて、設置計画の作成を始めるべきです。
また、市民が提出した「公立保育所の存続を求める請願」は、老朽化した公立保育所の建替えと併せて民営化する方針を見直し、公立のまま残すよう求めるものです。共産党以外の会派が「民営化が悪いとは思わない」などと反対、不採択になりました。
継続審査中の「公民館への指定管理者制度の導入に関する陳情」は、今議会でも継続審査となりました。
3.2015年度決算案を審査、党市議団は不認定を表明
決算審査特別委員会の分科会は、9月16日から23日まで行われ、2015(H27)年度決算について審査しました。党市議団は、以下の理由から決算議案を不認定としました。
第1は、財政健全化を理由に市民生活・福祉予算を削り、市民負担を増大させた決算だからです。決算では実質収支45億4,000万円の黒字となりました。しかし、当初予算作成時には138億円の収支不足を強調し、市民に我慢と犠牲を押し付け、88才の敬老祝金や民間保育園助成カット、国保料・介護保険料値上げなど市民は18億284万円の影響を受けました。45億4,000万円の黒字なら、市民への我慢と犠牲の押し付けはしなくてもよかったことになります。
第2の理由は、安倍政権の暴走に追随し、市民のくらしを守る防波堤の役割を欠落させているのは、市民自治に反するからです。
医療・介護など社会保障及び労働法制の改悪が、市民と行政に与える影響を顧みないばかりか、沖縄米軍基地建設に全国から警察機動隊を動員し、自衛隊まで駆り出して基地建設を強行する政府に対し、地方自治の否定として批判できないのでは、市民のくらし・安全を守る市長としての姿勢が厳しく問われます。
4.党市議団は2本の条例案を提出
「児童養護施設退所者等奨学基金条例案」は、養護施設の子どもたちが大学や専門学校で学ぶことができるよう奨学基金制度を創設する提案です。「主旨は賛成」としながら、「国や県でも検討中」だからと、市民ネット以外の会派が反対し否決されました。
「市営住宅条例の一部改正案」は、空き家住宅の共益費まで負担している入居者の軽減を図る条例です。「市の支援で安い家賃なのに」「やりすぎ」などと他の全会派が反対し、否決されました。
5.一般質問では市政の重要問題や地域要求を取り上げ、解決・改善を要求
今議会で党議員は、市政の重要問題となっている「教室へのエアコン設置要求」「公民館の役割に反する民営化方針」「家具転倒防止金具の取付促進」「住民が反対する大型納骨堂建設問題」「周辺と調和しない高層住宅建設」などで市の対応を質し、市民要望の実現に向けて奮闘しました。 |